Studio Syroがハイペースに発表する「Tales from Soda Island」シリーズ第5弾
今回はStudio Syroが制作する「Tales from Soda Island」シリーズの2021年11月に公開された第5弾「The School Trip」を取り上げます。
この連載でもを取り上げた第4弾の「The Golden Record」が出てからわずか5ヶ月。第1弾の「The Multiverse Bakery」が出てからわずか1年半で「Tales from Soda Island」シリーズは全5作になりました。Studio Syroは、ハイペースに作品を制作しています。
「The School Trip」は第4弾の「The Golden Record」では抑えめであった色彩から、第3弾までの色彩豊かな画面に戻り、アニメーションは展開されます。今までと同じようにセリフはありませんが、動きだけでよくわかるストーリーは秀逸です。
今回は一滴の雨が、Soda Islandの複雑な生態系によって美味しくて甘い炭酸飲料に加工されていく様子を描いています。最後はこれまでのシリーズの秘密が少し明かされるようなシーン(もしくは過去作品とのリンクされるようなシーン)で終わるので、見られる方はぜひ第1弾から見ていただくとより楽しめると思います。
オススメのポイント
1. 見ている世界のサイズが変わるトリック
当たり前の話なのですが、見ている対象のサイズが大きくなろうが、小さくなろうが見ている体験者のサイズは変わりません。簡単に言ってしまうと、炭酸飲料の泡の大きさが手の中におさまるサイズであったり、ボトルの中に入るサイズであったりと場面によって大きさが変化します。
「The School Trip」の世界は小さいサイズでも大きいサイズでも可愛らしいキャラクターの世界なので一瞬サイズが変わったのかどうかもわからず、戸惑いがあります。この戸惑いはVRならではの表現による面白い戸惑いだと思います。
私たち人間は急に身長を変化できないので、これを体感できるのはVRの面白い表現の1つでしょう。何かこれをとっかかりとしたトリックとか考えられそうです。
2. 酔わないスピードで移動する視点
ここまで発表された「Tales from Soda Island」シリーズは、移動視点がメインになる作品が多いです。
第2弾の「Neon Jungle」では荷物を持って移動する話でしたし、第3弾の「The Quantum Race」はレースの話なので正に移動している視点でした。今回の「The School Trip」は移動しつつ炭酸飲料の変化を見ていく話です。雲の中でできた一滴の雨が海に落ち……と炭酸飲料になっていく過程を移動しながら見ていきます。
視点が移動していく映像は酔ってしまう人も多いのですが、Studio Syroはその辺の勘所はきちんと抑えていて、気持ち悪くならないスピードで移動させていくのは、さすがの技術だと思いました。
3. VRならではの世界観を広げる資料
「Tales from Soda Island」シリーズはシリーズ作品以外にも「Sodex」という各作品の設定資料や「Map of Soda Island」など世界観を広げる資料が発表されています。今回も「The School Trip」に合わせて「Sodex Vol.V」が公開されています。
「The School Trip」に出てくるキャラクターの立体的な造形をゆっくり眺めたりすることができるのでとてもいい試みだと思うのですが、後から見られなかった「場所」を改めて味わえるのは素晴らしいと思いました。
しかも6Dofなので、自分の足で歩き回れます。今後、VRの3Dアニメーションは作品と同時にその場所も一緒に公開すると、なかなか面白いのではないでしょうか。
作品データ
タイトル |
The School Trip |
ジャンル |
アニメーション |
制作プロダクション |
Studio Syro |
制作年 |
2021年 |
制作国 |
アメリカ |
本編尺 |
約11分30秒 |
視聴が可能な場所 |
Oculus TV |
Trailer
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