赤い服を着た女の子を巡る、台湾の都市伝説を題材にしたホラー
VR映画を制作している国の中で、今最も注目しているのは台湾です。近年では「Your Spiritual Temple Sucks」、「HOME」、「LOOK AT ME」などの高品質な実写系VR映画作品を次々と輩出しています。
今回紹介する「The Tag Along」は2018年に制作されておりBIFAN、SITGES Festival、BUSANなどの国際映画祭で正式招待上映をされ、高い評価を得ています。
赤い服を着た女の子を巡る、台湾の都市伝説を題材にしたホラー作品です。2015年にスクリーン映画として公開され、台湾で大ヒットしています。
主人公のカップルは長い間廃墟になっていた邸宅を格安の値段で紹介され、新しい生活の始まりを楽しみにしていました。誰もいない家の中を2人で探索していると奇妙で不可解な出来事が……。
悪霊が棲みついた家から無事に逃げることができるのか? という作品です。
オススメのポイント
1. ロケーションの設定 -悪霊が取り憑いた家-
人里離れた廃墟になった邸宅が舞台になっていますが、ロケーションの設定時点ですでに恐ろしい。きっとこのようなシチュエーションはVRが最も得意とするところだと思います。
不気味で、閉鎖された空間を歩き回るだけでも相当怖い体験ですが、そこで次々起こる不可解な事象。なぜか、そんな状況で主人公カップルはどんどん部屋の中に入って行ってしまう……。
私はこの空間にいるだけで一気に血の気が引いてしまって、途中で挫折しそうになりました。
2. 参考にしたいカメラワーク
カメラポジションは実写系VR作品を作る際に参考になるほどのちょうど良さ。アクションが起こる場所をしっかりと捉えています。
被写体は最初、遠いところから入ってきてカメラの前まで近づいてきます。ちょうど良い距離に近づいてきてから、主要なアクションが行われます。多くのシーンで同様の方法が使われ、繰り返しがリズムを生み、スムーズに作品に没入していけます。
また、この作品の中で私が注目した撮影手法がもう1つ。そのシーンでは男女2人のカップルしかいないのですが、男性がカメラの前を通り過ぎた後、スッと不気味な女性が現れます。
不気味な女性の気配に気づいた男性がフッと見上げる瞬間に自分の視点が男性の視点に切り替わり、何かの生肉食べている女性と目が合うシーンがあるのですが、本当にゾッとしました。
CGや大金を使わずともカメラワークで恐怖を煽る手法は、スクリーン映画制作を多数経験している監督ならではの演出でしょう。
3. 不気味な音の効果
実写系VR映画制作の大きな武器となるのが、音の効果だと思います。
今回も色々な気持ちの悪い音が重なったり、ガラスを引っ掻いたような嫌な音を出したりして、体験者の不安を煽ります。この中で何より感心したのが、特に悪霊や不気味な物は視覚的に映さずに、音によって気配を感じさせたことです。
この音の使い方はVRにとって大きな武器になると思います。
作品データ
タイトル |
The Tag Along |
ジャンル |
ホラー |
Production |
Funique VR Studio |
公開 |
2018年 |
本編尺 |
7分43秒 |
制作国 |
台湾 |
体験可能な場所 |
VeeR, DARK CORNER |
Trailer
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