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その他VRヘッドセット 2019.06.02

【徹底比較】VRヘッドセットを“今”買うならオススメはどれ?

一体型のOculus QuestやPC接続型のOculus Rift Sなど、様々なVRヘッドセットの出揃った2019年。“今”VRヘッドセットを買うならどれがオススメか、Mogura VR News / MoguLive編集長のすんくぼと、編集部の水原由紀が対談形式で語りました。

目次

1. 最新VRヘッドセット・Oculus Questはやはり強かった
2. Oculus Rift Sの手軽さ、VIVEの拡張性、Windows MRは?
3. PSVRは独自コンテンツが豊富、次世代機にも期待
4. 今後発売予定のVRヘッドセット、Valve IndexやVIVE Cosmos
5. 結論:VRヘッドセットを“今”買うならこれだ!

最新VRヘッドセット・Oculus Questはやはり強かった

水原:
まず、一体型VRヘッドセットのOculus Quest(オキュラス クエスト)が5月21日に発売されましたね。2018年に発売されたOculus Go(オキュラス ゴー)も一体型でしたが、そちらはヘッドセットをつけている頭とコントローラーの「回転だけ」が可能で、移動はできないデバイスでした。


(2019年5月21日発売された「Oculus Quest」。VRヘッドセットとコントローラーだけで動作する手軽さに加え、自由にVR内を動ける6DoFのトラッキングを実現している)

すんくぼ:
Questが出てきたことで情勢が変わった感じはあるね。「VRで何をするか? 何がしたいか?」って時に、Netflixや360度動画を見るくらいならGoでも良かった。一方でVRらしいVR、例えばVRの中に入り込み、色々なものに干渉したり、友達と遊んだり、自由に歩き回ったり……といったものを手軽に実現できるデバイスとして、Questが出てきたと。で、正直に言うと、Questの出来が良すぎるんだよね。
水原:
PC無しでもここまで自然に6DoFができる、ということにはかなり驚きました。コントローラーのトラッキングもキレイで、すっぽ抜けることはほぼないですし。これで約50,000円は破格ですね
すんくぼ:
価格や品質含めて、Questが一体型VRヘッドセットの情勢を完全に塗り替えてしまった感がある。HTCが展開しているVIVE系列にも6DoF対応のVIVE Focus Plusがあるんだけど、そっちは日本国内ではエンタープライズ(商用利用)向けで、価格も799ドルと、どうしても一般のユーザーが使うところまでは持って行きづらい。今の時点では、ユーザー目線からすると、一体型はQuestの一強と言っていいかな。そうでなくとも、デバイスとしての品質も良いし。


(2019年4月に発売されたHTCの「VIVE Focus Plus」。主に商用/法人向けを想定している)

水原:
Questはセットアップが簡単なのも嬉しいところですね。PC接続型のVRヘッドセットであれば、箱を開けてセンサーとヘッドセットを出し、センサーを部屋に設置して、PCと紐づけたり接続したりして、PCにソフトウェアを入れて、VR体験をする範囲を設定して……という流れでしたが、Questは最初に多少スマホを使ったあと、Questをつけたままセットアップできるんですよね。
すんくぼ:
確か前にセットアップした時も、通しで5~10分くらいで終わったよね。チュートリアル動画をスマホで見てる時間が一番長かったかも。買ってから体験するまでが楽で、セットアップもすぐ終わる、というのはPC接続型のVRをやっていた人からすると衝撃的だよね。

Questは質の高いコンテンツが揃うも本数不足が懸念?

水原:
懸念点があるとすれば、これまでのOculusのデバイスに比べて、Questはコンテンツ審査が厳しくなったところですかね。ゲームやアプリを出すための事前審査が厳格になったことで、「毎日たくさんのVRゲームやアプリがリリースされて、遊びきれないくらいたくさんある」という状況にはなりにくいのかな、と。
すんくぼ:
他のプラットフォームよりもVRゲームやアプリのクオリティは保たれるけれど、本数、もっと言うとコンテンツ不足が懸念事項だね。他で言うとPlayStation VR(PSVR)も審査がやや厳しめで、開発者が「ちょっと思いついたVRゲームを配信する」とかは難しい。Questはスマートフォンよりはコンソール機の展開に近いと言えるね。
水原:
Questの最初に出てきた50本+αのローンチタイトルは結構いいものも多いし、面白いタイトルがたくさんあるんですけどね。
すんくぼ:
ただ、そこは「上手くやっているな」と感じている。あくまで予想だけれど、PC向けVRやPSVRで起動率が高く、かつ評価が高いVRタイトルを作っていたスタジオを口説き落として、Questにゲームを移植してもらったり、新作を出したりしているんじゃないかと。「Beat Saber」や「Tilt Brush」「Rec Room」なんかがそうで、発売直後にパッと触って終わりじゃなくて、発売後もユーザーがちゃんとプレイし続けている、触り続けるものを持って来ているように感じた。
水原:
確かに、10分や20分くらいで軽く遊べて、繰り返し起動したくなるタイトルが多いですね。逆に「1時間や2時間は続けて遊べるけど、一度プレイしたらそれきりの長大な作品」とかは少なめに感じました。
すんくぼ:
それでいうとVader Immortalとかは挑戦的だね。「スター・ウォーズ」のVRコンテンツなんだけど、“今は”30分程度で終わる。これはいわゆるドラマの1話、2話、みたいな感じで、数か月後に新エピソードが追加されていく仕組みになっていて、「VRでストーリーを順番に配信し、更新していく」システム、DLCみたいなスタイルの見せ方を模索しているんじゃないかと。「スター・ウォーズ」みたいな大作を持ってきて、このスタイルでイケるかどうかを実験している。


(「Vader Immortal: Episode Ⅰ」。スター・ウォーズシリーズのダース・ベイダーをテーマとしたVR体験であり、全3部作を予定している。日本語未対応なので、ストーリーがウリなのに堪能できないのが悲しい)

水原:
これまでのPC向けVRやPSVR等のコンテンツ情勢を数年見てきた上で、Questに導入するタイトルを選んでいる……という感じはしますね。

Google Daydream搭載のMirage Soloは「面白いデバイス」

すんくぼ:
市販で個人用に買う、という意味ではちょっとズレるけど、開発者向けにはLenovoの「Mirage Solo(ミラージュ・ソロ)」は面白いデバイスだったりするね。GoogleのVRプラットフォームであるDaydreamはあまり更新されなくなって、新コンテンツもなかなか出てこないという厳しい状況なんだけれど、開発者にとっては面白い機能が搭載されてる。


(Lenovoの「Mirage Solo」。6DoFの一体型VRヘッドセットであり、GoogleのDaydreamと呼ばれるプラットフォームを搭載している)

水原:
いわゆるパススルーとかシースルーと呼ばれている、VRヘッドセットをつけたままても外の現実が見れる機能ですね。
すんくぼ:
Questもこの機能はあるし、セットアップの時はパススルーを使うんだけど、開発者向けにまだ開放されていないんだよね。こういう「現実が見えていること」が重要なVRゲームやアプリも、Questではまだ出てきていない。そういうコンテンツを作ってみたい開発者の人はMirage Soloに手を出してみると新しいものが作れるかも。法人向けのみの展開にはなるけど、HTCのVIVE Focusもそういう機能があるね。

Oculus Rift Sの手軽さ、VIVE Proの拡張性、Windows MRは?

水原:
続いてはPC接続型のVRヘッドセットについて。Questと同日に「Oculus Rift S」が発売されましたね。こちらは過去にOculusが発売したOculus Riftの後継機です。


(Oculus Questと同時発売された「Oculus Rift S」。Oculus Riftのアップグレード版であり、外部センサーが不要になるなど「使い勝手の良さ」が強化された)

すんくぼ:
おさらいをしておくと、これまでのPC向けVRデバイスはフェイスブック/Oculusの「Oculus Rift」、それからHTCの「HTC VIVE」とその上位機種「VIVE Pro」、マイクロソフトが各社メーカーと提携して作っている「Windows Mixed Reality Headset(WindowsMR、WinMR)」がメインだね。それぞれ一長一短あったんだけど、今回RiftがRift Sになったことで、そこもかなり変わってきてる。ちなみにRift Sはどうだった?
水原:
かなりびっくりしましたね。
すんくぼ:
……前のRiftとRift Sではトラッキング方式が変わっていて、Riftはいわゆる「アウトサイドイン」のトラッキングで、部屋にセンサーを置く必要があった。Rift Sは「インサイドアウト」で、ヘッドセットに内蔵されているカメラで場所を把握しているから、センサーを置かなくてもVR体験ができるようになったんだよね。


(前モデルのOculus Riftの外部センサー。これを2台セットしてVR体験を行っていたが、Rift Sでは不要になった)

水原:
WinMRもインサイドアウトだったんですが、カメラが2つしかついていないこともあり、以前体験した際は精度にやや問題が感じられました。逆にアウトサイドイン、センサー設置型は正確ですが、取り付けにやや手間がかかります。
すんくぼ:
で、今回びっくりした理由は……
水原:
Rift Sは外部センサー不要なのにトラッキングがめちゃくちゃ正確なんですよ。範囲も広くて、頭の真後ろやヘッドセットにコントローラーがぶつかるレベルで口元に持って行ったり、背中にコントローラーを置いたりしない限りロストしなくなったんです。


(Rift Sのヘッドセット下部左右にある2基のカメラ。側面のカメラが後方までトラッキングする。ヘッドセットの真上にもう1つカメラがあり、こちらで上半分をカバーする)

すんくぼ:
Questはカメラが4つだけど、Rift Sは5つ。しかも配置が違うし、かなり良い感じでトラッキングしてくれるんだよね。画質についてはどうだった? リフレッシュレートは少し落ちたけど。
水原:
正直、VIVE Proよりキレイなんじゃないかって思いました。リフレッシュレートが落ちているのもあまり気になりませんでしたね。
すんくぼ:
数字の上ではVIVE Proのディスプレイの方が解像度は高い(1440×1600×2枚、Rift Sは1280×1400×2枚)けれど、Rift Sがキレイに見えるのには理由があって。VRデバイスに使われる有機ELはペンタイル配列(※)であることが多いんだよね。Rift Sは液晶で、サブピクセルがきっちり詰められているから、実際の解像度はRift Sの方が高いかもしれない。

(※ペンタイル配列……有機ELのRGBサブピクセルの配列方式のひとつ。通常、RGBのサブピクセルは均等な数で配置されるが、ペンタイル配列ではR/赤とB/青の数がG/緑の3分の2しか配置されていない。メリットは物理的なサブピクセルの数が少ないため、コストを抑えつつの製造が可能であること。デメリットは、均等に配置されたストライプ配列にはキレイさでは劣りがちなこと)

水原:
「Rez Infinite」とかめちゃくちゃキレイでびっくりしましたね。リフレッシュレートが90Hzから80Hzになったのは、144Hzでゲームをやっている人なら気がつくかもしれません。自分はあまり大きい変化だとは感じませんでしたが……。
すんくぼ:
Rift Sの欠点というか、Riftからの重要な変更点として、ヘッドフォンが変わったことが挙げられる。前は耳に軽く当てる、いわゆるオンイヤーのヘッドフォンだったけれど、Rift SではOculus GoやQuestと同じような内蔵型になったことで、オーディオ的な「耳の没入感」は弱くなったと思う。
水原:
その辺りをしっかりと体験したい人はきちんとヘッドフォンをつけて体験しよう、ってことですね。

Rift SのコントローラーはRift時代より後退した?

すんくぼ:
あと、これは明確にグレードダウンしたと思っているんだけれど、Oculus Touch コントローラーの形状が変わった。ここが気になっていて、旧Riftのコントローラーに比べて「コントローラーを持っている」感じが強く出てしまっている。
水原:
あー……。
すんくぼ:
前のTouchコントローラーは手に吸い付くというか、持っているのがわからないようなデザインだったんだよね。人の手の様々な動きをOculusが研究した結果、「この形だったら、色んな手の状態を再現できるんじゃないか?」とあの形になったわけだけれど、その大きなの特徴のひとつが、「手を開く動作(指をある程度開く動作)」だった。
水原:
QuestとRift Sで共用になった新しいTouchだと、手を開くとコントローラーが落ちそうになりますね。


(左:旧Oculus Touch コントローラー、右手用。 右:新Oculus Touch コントローラー、右手用)

すんくぼ:
今のTouchはかなり棒状だからね。前のTouchはそうならなかったし、重量バランスよりも今より優れていたと思う。これにも理由があって、インサイドアウトのトラッキングを実現するためには、どうしてもリング部分をこういう配置にしないといけなかった。ヘッドセットのカメラでコントローラーを見て把握してるわけだから、前のTouchだとダメで。前のTouchのほうは「物体としての存在感のなさ」とでも言うべきものが備わっていたんだけど。
水原:
インサイドアウトトラッキングのために妥協したんでしょうね。
すんくぼ:
あとは製造ラインを合わせるためとか。Rift S自体は良いものだし、価格も50,000円以内と安いから、損はしないと思うけどね。コントローラーは今後も改良に期待したい。

HTC VIVEとVIVE Proは拡張性がウリ

水原:
HTC VIVEVIVE Proについてはどうでしょう?
すんくぼ:
価格で言うとVIVEはフルセット6万円前後。上位機種のVIVE Proは9〜16万円前後……とやや割高感はあるけれど、他のデバイスの追随を許さない特長がいくつかある。トラッキング範囲が広くて精度が高いことと、VIVEトラッカー等が使えるという拡張性だね。


(HTCの「VIVE Pro」。フルセットでは16万円前後と、VRデバイスの中でも高価だが、それに見合うだけの性能を持つ)

水原:
VIVEトラッカーを足や腰、肘や膝につけることで、現実側の動きをより細かくVR上のアバター等に反映できるシステムがあります。VTuberやVRChat等のコンテンツをやる人にとっては、VIVE系列は最終的なデバイスとして有力な選択肢ですね。
すんくぼ:
どちらかと言うとVIVE Proはプロフェッショナルやエンタープライズ、いわば業務・商用利用想定がメインだけれど、とことんこだわってハイクオリティなVR体験をしたい人には向いていると思う。トラッキングポイントを増やしてVRの中に持ち込む、動きを反映する、というのはVIVE系列の大きな強みだね。
水原:
先ほどRift Sの話でも出ましたが、Rift Sはインサイドアウト方式でセットアップが簡単な反面、口元や背中、ヘッドセットのすぐ後ろ(=頭の後ろ)などは仕組み上うまくトラッキングできないようになっています。VIVEはセンサーを部屋に設置するので、手間はかかるものの、トラッキングの自由さや拡張性についてはピカイチですね。
すんくぼ:
先ほど述べた通り、お値段がやや高めというところと、他のVRヘッドセットと比べてちょっと重い、というポイントはあるから、そこをどう見るかだね。これまでは解像度も特長だったのだけれど、前述のように、Rift Sが上回ってしまった。PCVRは手軽さならRift S、拡張性重視ならHTC VIVEやVIVE Proという印象。

Windows MRは独自路線?

水原:
あとはWindows Mixed Reality Headset、Windows MRWinMRと呼ばれているVRヘッドセットですね。2017年に発売された際、いち早くインサイドアウト方式を実現しつつ5万円前後の価格で発売されたデバイスです。

(2017年末から発売が始まったWindows MRヘッドセットたち。エイサーやHP、Dell、サムスン、Lenovoなどからリリースされた)

すんくぼ:
2019年の今では各社が第二世代WinMRとでも呼ぶべきデバイスを出しはじめていて、例えばHPの「Reverb」やAcerの「OJO」なんかがそうだね。海外取材のときにReverbを体験してきたのだけれど、Rift SやVIVE系列とは違った良さがある。片目2K、合計4KのLCD(液晶)でかなりキレイな映像を実現していた。


(HPの「Reverb」。片目2160×2160、両目で4Kの解像度を実現)

水原:
WinMRはこれから出てくる第二世代のデバイスに注目と。
すんくぼ:
第一世代WinMRはインサイドアウトが強みだったけれど、流石に2019年に出たRift Sの方がトラッキングも正確だし、どちらもインサイドアウトになったからね。2017年のWinMRはRift Sに食われてしまうと思う。ただし各社いろいろセールしているみたいだから、そこはお値段次第ということで。
水原:
海外だと20,000円くらいで販売しているケースもありました。VR対応PCが必要なのはどちらも同じなので、トータルの割合で言うとそこまで変わらなくなりそうな気がします。
すんくぼ:
第一世代WinMRは「とりあえずRift Sでも良いのでは?」みたいな感があるのは否めないね。

Pimax 8Kは「分かってる人向け」

水原:
ちなみに目の前にこんなデバイスがあるわけですが……。Pimax 8Kはどうでしょう。
すんくぼ:
これは……視野角150度(※従来のVRヘッドセットは100~120度程度)、8K解像度ということですごいスペック。見えている範囲が広いので没入感は大きくなるけど、このデバイス向けに作られているコンテンツが少ないから、「見えているにも関わらず視界の端が歪んでいる」みたいなことも多い。


(「Pimax 8K」。クラウドファンディングで目標の20倍を超える金額を集め、瞬く間に話題となった)

水原:
視野角も150度で片目4Kというところに挑んでみたい人は、注文してみるのも面白いんじゃないかなと。
すんくぼ:
コンテンツや重量バランス、PCへの要求スペックの都合であまり万人向けとは言えないけれど、「分かってる人」からするとかなり面白いデバイスかもね。

PSVRは独自コンテンツが豊富、次世代機にも期待

水原:
いわゆる第一世代にあたるOculus RiftはRift Sに、HTC VIVEはVIVE Proに、そしてWinMRも第二世代が現れつつある状況ですが、PlayStation VR(PSVR)はずっと同じデバイスで勝負をしていますね。
すんくぼ:
コンテンツの蓄積は進んできている印象。最近だと「エースコンバット7 スカイズ・アンノウン」がリリースされて、大作や品質の良いものは複数ラインナップされている。一方で周りのVRデバイスがどんどん新型になっている中で、どうしても性能を見てしまうとデバイスとしては取り残されていきつつある、というのが正直なところかな。


(2017年10月に発売されたPlayStation VR(PSVR)。PS4と接続してプレイする、数少ない「家庭用ゲーム機と繋いで遊ぶVRデバイス」)

水原:
性能はどうしても落ちてきますよね。PS4やPS4 Proのスペック上の縛りもあります。
すんくぼ:
PSVRはペンタイル配列じゃなくてストライプ配列、フルRGBの有機ELだから映像はけっこうキレイ。ただし、どうしてもマシンパワーがPS4側に依存してしまうという弱点がある。逆に言うとみんな同じVR体験ができるという強みでもあるけれど。
水原:
PSVRにしかないコンテンツが結構多く、なかなか面白いタイトルが多いんですよね。例えば海外でも数々の賞を受賞している「ASTRO BOT」、最近だとVR対応版の「TETRIS EFFECT(テトリス・エフェクト)」、新作の「みんなのゴルフ VR(みんゴルVR)」とか。
すんくぼ:
これからも面白いタイトルはまだ出てくるだろうし、PS4を持っている人が追加で買ってみよう、という分には十分なデバイスだと思う。PSVRにしかないオススメできるコンテンツも複数あるし。


(2018年10月4日に発売された「ASTRO BOT:RESCUE MISSION(アストロボット レスキューミッション)」。複数のメディアやWebサイトで高評価が相次いだ)

水原:
最近は次世代機の「PS5」的なもの、それからPSVR2の話も出てきましたね。
すんくぼ:
PS5とPS4の比較動画を見ている限りではかなり変わるようなので、それなりにはPSVR2の性能は高くなると思ってる。それと、PSVRはすでに2016年の段階でリフレッシュレートは120Hzまで対応している上に、有機ELがペンタイルでなくフルの配列でキレイに見れるので、今のPSVRを次世代のPS5につないだとき、今のPS4よりも綺麗に見えるはず。マシン側が強くなって、きっとよりきれいに見える可能性があるからこそ、次世代機でもPSVRの後方互換がある、と早めに宣言されたのかもしれないね。
水原:
PSVR2が出たとしても、今PSVRを持っているひとは2をすぐ買わずにとりあえずPS5的なものにつないでみるのはアリですね。また、PS5と同時にPSVR2は発売されないという情報も出てきました。
すんくぼ:
ひとつだけ、PSVRはコードの接続が大変で。何本も配線しなくちゃいけないから、次世代機では無線化など使い勝手が良くなってほしいところだね。

今後発売予定のVRヘッドセット、Valve IndexやVIVE Cosmos

水原:
少し話はそれますが、まだ発売されていないVRヘッドセットであればValve Indexなんかはどうでしょうか。
すんくぼ:
ダークホース的な、突然出てきたデバイスだね。もともとHTCと一緒にVIVEを作っていたValveは、ゲーム配信プラットフォームSteamの運営としても知られていて、そのSteamVRやソフトウェア側を作っていたところ、突然新しい自前のデバイスを発売すると。


(「Valve Index」。解像度やフレームレートも高く、まさしく「ハイエンド」)。

水原:
解像度は片目1440×1600のLCDで、Rift Sよりも高い。おまけにフレームレートは90Hzはおろか、120Hzがデフォルトで、試験的なモードだけれど144Hzまで出せるという。「ハイエンドなPC向けのFPSやアクションゲーム×きちんとしたゲーミングモニターを使っているとき」の体験が、VRで実現する可能性がありますね。残像を減らす処理も入れているらしいです。
すんくぼ:
PC向けのVRだと、RiftやVIVE、WinMRがあって、その上にVIVE Proが設定されていたわけだけれど、そのポジションを狙っている感があるね。ガチなハードコアゲーマー向けというか。設計思想も「VRゲーム用のVRデバイスで、どこまでできるのか」を体現したデバイスになっていて、「このデバイスを普及させていこう」というよりは「ここまでVRでゲームができるようになったんだぜ!」というメッセージをゲーマーに伝えるため、という要素が大きいと思う。144Hz搭載とか、残像感も5倍改善と謳っているし。オーディオも特殊で、いわゆる内蔵型でもなければRiftみたいなオンイヤーでもなく、オフイヤーなんだよね。
水原:
ヘッドフォンは耳につかないけど、きちんとある状態だと。
すんくぼ:
浮いてる状態だね。「閉じられるけど閉じてない状態でデバイスを撮影した」かと思ってたら、最初からああいう構造だった。これも含めてかなりアメリカのメディア等では高く評価されているみたい。
水原:
日本への出荷は未定ですが、どこかがしっかり販売してくれると嬉しいですね。
すんくぼ:
全部込みで999ドルだから、およそ11万円前後かな。ヘッドセットだけなら半分の499ドルなのでVIVE Proよりも安い。ターゲット層を狙う上でのスペックは十分に備えていると思う。

Valve Indexは「コントローラー」が大きなポイントに?

水原:
そして、Valve Indexと言えばコントローラーですね。
すんくぼ:
そう。コントローラー。もともとKnuckles(ナックルズ)という名称で呼ばれていたけれど、正式名称が「Valve Index Controller」になった。何が特殊かというと、五本の指を全てVRに反映できる。さらに握っている時の圧力の強弱も取っているから、VR内で持っている岩にぐっと力をこめて粉々にする……みたいなことができる。


(2016年からValveが開発を続けていた、5本の指をトラッキングできる「Knuckles」、もとい「Valve Index Controller」)

水原:
活用方法として夢が広がりますね。例えば触覚デバイスと組み合わせて、遠くにいる相手にどれくらいの強さで握っているかを正確に伝えられるようになるとか。
すんくぼ:
Oculus Touchコントローラーに比べてかなり正確に再現できるよね。そのあたりがきちんと設定されていれば、頭一つ二つくらい抜きんでたデバイスになる可能性がある。今日紹介してきた中で、Indexだけはまだ体験したことがないから早く触ってみたい……。

未だ謎多きVIVE Cosmos

水原:
あとはVIVE CosmosVIVE Pro Eyeですね。前者はHTCが発表したPC接続のVRヘッドセットで、後者はVIVE Proに視線追跡機能を追加したバージョンです。


(「VIVE Cosmos」。2019年1月に発表されたが、その後詳細は伏せられ続けている)

すんくぼ:
VIVE Pro Eyeはほぼ業務用想定だから一旦置いておくとして、VIVE Cosmosはかなり謎が多いね。まだ情報があまり出ていない。発売時期やスペックも不明で、ベースステーションを使わないインサイドアウト型のトラッキングになる、ということは発表されてる。それからペンタイル配列ではなく、フルRGBのパネルを使うとのこと。
水原:
他にも手を使ったジェスチャーコントロールが入るとか、「モジュールカスタマイズ」なる要素があるとか……。これはいろいろと、未知数ですね。夏あたりにまた情報が出てくることを期待したいです。

結論:VRヘッドセットを“今”買うならこれだ!

すんくぼ:
今この時点で「どれを買えばいい?」と聞かれると、「VRが気になる、試してみたい、という人は一体型のOculus Quest」で、「ハイスペックなPCを持っていたり、ちょっとPCパーツを入れ替えればハイエンドもいける、という人はOculus Rift S」、それから「VTuberやVRChatをやってみたり、全身トラッキングをやってみたい、という人はHTC VIVEやVIVE Pro + VIVEトラッカー」になりますね。

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ハイスペックなPCを持っていたり、ちょっとPCパーツを入れ替えればハイエンドVRもいける

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VTuberやVRChatをやってみたり、全身トラッキングをやってみたい

HTC VIVEVIVE Pro + VIVEトラッカー

水原:
Valve IndexやVIVE Cosmosみたいなデバイスも控えていますし、VRデバイスは更新や進化が非常に速いので、気になったときに買った方がいいと思っています。
すんくぼ:
PCVRはまだまだ出てくるデバイスがあるというところで、ワクワクしながら待って楽しむのもいいですね。「買おうかな」と考えている人は、今日挙げたようなデバイスから選んでみると後悔はしないと思います。

(了)

 

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