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VIVE 2018.11.12

VRヘッドセット上位モデル「VIVE Pro」最新情報まとめ

「VR元年」と呼ばれた2016年から2年が経ち、さまざまな種類のVRヘッドセットが発表・発売されています。スマートフォンを使用した簡易的なものから、グラフィック性能の優れたゲーミングPCに接続して使用するもの、またVRヘッドセット単体で動作する一体型のものまで存在しています。

本記事ではPCに接続するタイプのVRヘッドセットの中でも、ハイエンドに位置する「VIVE Pro」の特徴や使い方、価格、おすすめコンテンツ等を紹介します。

目次

1.VIVE Proとは?
2.VIVE Proの特徴
3.他のVRヘッドセットとの比較
4.VIVE Proの価格と入手方法
5.おすすめコンテンツ

VIVE Proとは?

「VIVE Pro」はHTCが販売するハイエンド向けVRヘッドセットです。HTCがVIVE Pro以前から販売しているVRヘッドセット「HTC VIVE」の上位機種にあたります。HTC VIVEに比べて解像度装着感、オーディオ機能が向上し、さらに高い没入感を実現しています。

VIVE Proの特徴

続いて、同じくHTCが販売する従来型の「HTC VIVE」と比較しながら、VIVE Proの特徴を見ていきましょう。

解像度

VIVE ProはHTC VIVEと同じく有機ELディスプレイを採用しています。解像度は両眼合わせて2880×1600(片目1440×1600)です。これは3K相当で、HTC VIVEから78%向上しています。またピクセル密度もHTC VIVEの448ppiから37%向上し、615ppiに。VR内の表示や文字がより鮮明に見えるようになりました。リフレッシュレートや視野角に関してはVIVE ProとHTC VIVEで共通しています。

 

VIVE Pro

HTC VIVE

ディスプレイ

対角3.5インチ
有機EL×2枚

対角3.6インチ
有機EL×2枚

解像度

2880×1600
(片目当たり1440×1600)

2160×1200
(片目当たり1080×1200)

ピクセル密度

615ppi

448ppi

リフレッシュレート

90Hz

90Hz

視野角

110度

110度

オーディオ

VIVE Proではハイレゾ対応のヘッドホンがVRヘッドセットに一体化する形で付属。VRならではの3D音響に対応し、アンプも内蔵しています。

HTC VIVEにはヘッドホンは付属しておらず、アクセサリとしてデラックスオーディオストラップを購入・換装する必要がありました。VIVE Proではマイクがデュアルマイクとなり、ノイズキャンセル等も実装されたことで快適にコミュニケーションを取ることが可能となっています。


(VIVE Proではデラックスオーディオストラップをベースとした新デザインが採用されている)

ベースステーション2.0対応

VIVE Pro、HTC VIVEでのトラッキングはLighthouseシステムを採用しています。ighthouseではまず、ベースステーションと呼ばれる機器から赤外線を飛ばします。その後赤外線をVRヘッドセットやコントローラーが検知し、時間や角度などから位置を特定します。ベースステーションが赤外線を飛ばすことでトラッキング可能となり、自由に動き回ることができるエリアをルームスケールと呼んでいます。ベースステーション1.0のときには最大3m×4mのルームスケールでしたが、VIVE Proと同時期に発売されたベースステーション2.0を使うことでルームスケールが6m×6mに拡大されます。また使用するベースステーションを4つに増やすことで最大10m×10mのルームスケールを実現します。

VIVE Proではベースステーション1.0、2.0ともに使うことができますが、HTC VIVEではベースステーション1.0しか使うことができません。詳しくは下の対応表でご確認ください。ベースステーション2.0はトラッキング可能エリアが異なりますがトラッキング精度などはベースステーション1.0と同じです。

 

ベースステーション1.0

ベースステーション2.0

製造元

HTC(台湾)製

Valve(アメリカ)製

チャンネル切り替えボタン

有り

無し

シンクケーブル

有効

無効

水平照射角度

120度

150度

垂直照射角度

120度

110度

ベースステーション2.0を使用すると、HTC VIVE用のコントローラーをVIVE Proで使用することができません。その場合にはVIVE Pro周辺機器同梱版に付属されている青色のコントローラーが必要となります。元々HTC VIVEを利用されていた方がベースステーション2.0に変更すると周辺機器も変更が必要になるので注意。VIVE Pro周辺機器同梱版に付属されるコントローラーとHTC VIVE用のコントローラーは、使用可能な環境が異なる点以外のスペックは同じです。

フロントカメラ

VIVE Proの前面には2つカメラが付いています。2つのカメラはトラッキングに使用されておらず、AR向けのものです。

AR機能では次のことが可能になっています。

・Depth(深度)
・静的/動的メッシュ
・バーチャルオブジェクトの合成
・バーチャルオブジェクトの操作

VIVE DevelopersではAR機能を使ったデモ動画がいくつか紹介されています。

こちらの動画では現実空間上にバーチャルオブジェクトを配置し、インタラクションを取っています。動画中にバーチャルオブジェクトがホワイトボードの後ろに隠れる場面があり、深度が認識されていることも分かります。

(空間スキャン/Spatial Scan)

こちらでは現実空間にメッシュを貼ることで、カメラにより現実空間が認識されていることを示しています。

(視覚効果/Visual Effects)

また、カメラを通して現実を見ているので、見えている景色にエフェクトをかけることも可能です。

(現実空間とバーチャル空間の門/A portal between the real and virtual world)

さらに、カメラにより現実空間が認識できているので、バーチャルオブジェクトを投げると現実空間のものに当たり跳ね返ったりします。現段階ではVIVE Proの前面カメラをAR用途に活用しているケースは数少ないものの、いずれ活用が進みそうです。

推奨PCスペック

VIVE ProはOculus Goなどの一体型VRヘッドセットと異なり、PCへの接続が必要です(※)。VIVE Proを動作させるためにはある一定以上のスペックをもつPCでなくてはなりません。HTC VIVE公式サイトに記載されている推奨PCスペックは以下の通りです。

 

HTC VIVE

VIVE Pro

プロセッサ

Intel Core i5-4590、AMD FX 8350、または同等クラスのCPU以上

Intel Core i5-4590 もしくは AMD FX 8350 の同等品またそれ以上

グラフィクス

NVIDIA GeForce GTX 1060、AMD Radeon RX 480、または同等クラスのGPU以上

NVIDIA GeForce GTX 1060 もしくは AMD Radeon RX 480 の同等品またそれ以上

メモリー

4 GB RAM以上

4 GB RAM以上

ビデオ出力

1x HDMI 1.4ポートまたはDisplayPort 1.2以上

DisplayPort 1.2 以降

USB

1x USB 2.0ポート以上

USB 3.0 以降 1口

オペレーティング システム

Windows 7 SP1、Windows 8.1以上、Windows 10

Windows 8.1, Windows 10 以降

VIVE ProがHTC VIVEと異なるのはビデオ出力の形式です(接続に必要なケーブルが異なります)。それ以外の推奨スペックは同じですが、VIVE Proを使用する際はなるべく高いスペックの環境で使用することをおすすめします。

(※海外ではHTC社から公式で、VIVEの無線化キットが販売されていますが、日本では総務省から技適(技術基準適合証明等)の許可が下りなかったため販売されていません。国内でもサードパーティー製(TPCAST)の無線化キットが販売されているものの、VIVE Pro対応のものは2018年11月現在、販売されていません)

他のVRヘッドセットとスペック比較


(同じくハイエンドVRヘッドセットのOculus Rift)

一般ユーザー向けに販売されている主要なハイエンドVRヘッドセットとVIVE Proを比較した表がこちらです。

 

VIVE Pro

Oculus Rift

マイクロソフトMRヘッドセット(通常)

Samsung Odyssey

ディスプレイ

OLED(有機EL)×2枚

OLED(有機EL)×2枚

LCD(液晶)×2枚

OLED(有機EL)×2枚

解像度

2880×1600
(片目あたり1440×1600)

2160×1200(片目あたり1080×1200)

2880×1440(片目あたり1440×1440)

2880×1600(片目あたり1440×1600)

リフレッシュレート

90Hz

90Hz

90Hz, 60Hz

90Hz

視野角

110度

110度

90度~105度

110度

位置トラッキン

アウトサイドイン方式
付属のベースステーションを使用)

アウトサイドイン方式
(付属の赤外線センサーを使用)

インサイドアウト方式(外部センサー不要)

インサイドアウト方式(外部センサー不要)

(※ 2018年10月現在、「Samsung Odyssey」は日本国内での販売はされていません)

2018年10月現在国内で販売されているVRヘッドセットの中でも解像度が高いことが大きな特徴です。その他の特徴として、位置トラッキングの方式でベースステーションを用いたルームスケールを採用していること、VIVE トラッカーを用いた拡張性などが挙げられます。

VIVEトラッカーとは

VIVEトラッカーはVIVE Pro、HTC VIVEともに使用可能な拡張アイテムです。VIVEトラッカーをさまざまな物体に取り付けることで、装着した物体の位置を正確にトラッキングできます。それにより例えば棒やモデルガンなどに取り付けることで、VR空間内のそれらの位置や動きと現実での位置や動きを同期させることができます。


(株式会社アスクの販売するVIVE 向けガンコントローラー「Hyper Blaster for VIVE Tracker」)

VR ZONEなどのVR体験施設などにあるロケーションベースVRで使われることが多く、ガジェットやデバイスに装着することでVR空間内に持ち込めます。有名なゲームではVR ZONEの「マリオカート アーケードグランプリ VR」で使われています。

また最近では複数のVIVE トラッカーを体に装着することで、モーションキャプチャーとして使用する例も増えてきています。VIVE トラッカーをモーションキャプチャーとして使用する理由として、昨今のVTuber(バーチャルユーチューバー)ブームやVRChatなどのソーシャルVRの流行が推測されます。

VIVE Proの価格と入手方法は?

VIVE ProはHTC VIVE公式サイトほか国内正規販売店で発売されています。現在販売しているのは「周辺機器同梱版」と「アップグレードキット(ヘッドセット単体)」の2種類のセットです。

現在HTC VIVEの公式サイトなどでは「周辺機器同梱版」が品切れとなっており、VIVE周辺機器を未所持の方は「アップグレードキット」と同時に周辺機器を買う必要があります。また「VIVE Proスターターキット」が、11月上旬の発売を予定しています。

周辺機器同梱版

 

内容物

 VIVE Pro ヘッドセット本体

ヘッドセット本体、専用ケーブル付属(装着済み)、フェイスクッション(取付済み)

ベースステーション2.0(ルームスケール2.0対応)

ベースステーション2.0 本体×2台、ベースステーション2.0 専用電源アダプタ×2台、マウントキット×2基

リンクボックス(VIVE Pro用)

リンクボックス本体、USB 3.0ケーブル、DisplayPort ケーブル、リンクボックス専用電源アダプタ、リンクボックス固定用パッド

コントローラー(2018)

VIVE Pro コントローラー本体×2台、ストラップ×2本、充電用電源アダプタ×2個

その他

クリーニングクロス、イヤホン接続口用キャップ×2個、取扱説明書、保証書

内容物は以上で価格は162,880円(税抜)です。

アップグレードキット

 

内容物

VIVE Pro ヘッドセット

ヘッドセット本体、専用ケーブル(装着済み)、フェイスクッション(装着済み)

リンクボックス(VIVE Pro用)

リンクボックス本体、USB 3.0 ケーブル、DisplayPort ケーブル、リンクボックス専用電源アダプタ、リンクボックス固定用パッド

その他

クリーニングクロス、イヤホン接続口用キャップ×2個、取扱説明書、保証書

内容物は以上で価格は94,000円(税抜)です。

VIVE Proスターターキット


11月上旬に発売予定の「VIVE Proスターターキット」は、HTC社の発表によると以下のようなセット内容になる見込みです。
・VIVE Proヘッドセット
・HTC VIVE コントローラー(通常モデル、ルームスケール1.0にのみ対応)×2個
・ベースステーション(1.0)×2個
以上5点で希望小売価格は133,000円(税抜)です。

3セットの比較

セット名

周辺機器同梱版

VIVE Proスターターキット

アップグレードキット

VRヘッドセット

 〇

コントローラー

2018モデル(2.0 対応)

通常モデル(1.0対応)

×

ベースステーション

2.0

1.0

×

リンクボックス

価格

162,880円(税抜)

133,000円(税抜)

94,000円(税抜)

個別販売

HTC VIVE公式サイトやヨドバシカメラのオンラインストアなどでは、VIVE Pro用のリンクボックスや、ベースステーション2.0対応のコントローラーなどの個別販売を行っています。


ベースステーション1.0、2.0ともに対応しているコントローラー(2018)は23,130円(税別)で販売されています。その他にベースステーション2.0、VIVEトラッカー(2018)、PCとVRヘッドセットをリンクさせるのに必要な、VIVE Pro用のリンクボックスなどが販売されています。

おすすめコンテンツ

VIVE Proのソフトは米国のゲーム会社ValveのプラットフォームであるSteamVRやHTCのプラットフォームであるViveportから入手することができます。どちらも会員登録が必要になりますのでご注意ください。

Beat Saber

「Beat Saber」は映画「スター・ウォーズ」シリーズに登場するライトセーバーのような光る剣で前から流れて来るノーツをビートに合わせて斬るVRリズムゲームです。プレイヤーは赤と青の2本のライトセーバーを操り、ビートに合わせて流れてくるブロック型のノーツを表示された方向から斬りつけます。

https://store.steampowered.com/app/620980/Beat_Saber/

Tilt Brush

「Tilt Brush」はVR空間に線が描けるペィンティングツールです。両手に持ったコントローラーがパレットと筆になり、色も線種も自由自在に3D空間に絵を描くことができます。描くものは3Dなため、前から見るだけでなく後ろやしゃがみこんで下から見て作品を作り上げていくことができます。最新のアップデートでは、音楽に合わせて絵が変化する機能が追加されるなど、クリエイティビティがさらに刺激される体験となっています。

https://store.steampowered.com/app/327140/Tilt_Brush/ https://www.viveport.com/apps/bbbc73fc-b018-42ce-a049-439ab378dbc6

Raw Data

「Raw Data」は近未来の日本を舞台にした人気のVRアクションゲームです。プレイヤーは巨大組織・エデンの秘密を暴くために銃や剣を駆使して迫りくるロボットと戦いを繰り広げます。本作の戦闘は、4種類キャラクターとさまざまな武器を選ぶことができるため、自分好みのスタイルで戦えます。 銃で武装して敵を寄せ付けないプレイスタイルや、ワープ移動を駆使して刀で近接戦闘をするプレイスタイルが可能です。

https://store.steampowered.com/app/436320/Raw_Data/

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