「VR元年」から5年が経過したいま、VRゲームは一握りのユーザーだけが遊べるものではなくなりました。様々なタイトルがリリースされ、一部では100万本以上を売り上げるVRゲームも複数生まれています。
他方でVRゲームのユーザー数は従来のビデオゲームに比べてまだまだ少ないことも事実です。こうした状況を受け、開発者や経営者がVRについて否定的な見解を示すケースも少なくありません。テイクツー・インタラクティブ・ソフトウェアのCEOであるStrauss Zelnick氏もその一人です。Zelnick氏は投資家向けの収支報告にて、VRやARに関して否定的な意見を述べています。
Zelnick氏は、以前からVRに対して否定的なスタンスを見せていることが知られています。2017年には「将来的に有望なのはVRよりもARである」と語り、2020年には、「VRプラットフォームに対して、我々は無駄な出費をしない」ことを公言し、一部の注目を集めました。
Zelnick氏は収支報告において、「私はいつもバズワードにアレルギーを持っています」と話し、以下のようにVRについて語りました。
VRというバズワードはゲーム業界に深く浸透してはいませんし、ARについても同様です。3Dであることは、我々に大きな恩恵を与えていないのです。
我々のビジネスの軸となっているのは、驚くべきクリエイティビティ、良いキャラクター、素晴らしいストーリー、綺麗なグラフィック、高品質なゲームプレイです。また、世界中の他ユーザーと、それらの体験を一緒に楽しめること、それらこそが本当に重要なことなのです。
VRゲーム自体は複数タイトルを展開中、その真意は?
Zelnick氏がVRに対して否定的な見解を示している一方、テイクツー・インタラクティブ・ソフトウェアの子会社であるロックスター・ゲームズは「L.A.ノワール: VR事件簿」を、2K Gamesは「Borderlands 2 VR」をそれぞれリリースしています。また、2020年には、「L.A.ノワール:VR事件簿」を開発したロックスター・ゲームズが、新たなAAA規模のVRゲーム開発を行っていることも報じられました。
米メディアUploadVRはZelnick氏の意見について、「2016年から2019年にかけてのVRから、こうした結論を導き出すことは理解できるが、『Half-Life: Alyx』のような大ヒット作品がリリースされているここ数年のVRプラットフォームの隆盛を認めていないように思われる」とコメントしています。
(参考)UploadVR