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VTuber 2023.03.11

にじさんじのイベントと物販の裏側はどうなっていた? SMS担当者がVTuberになってプレゼン【SMS「EMBARK」レポート】

3月1日に、ソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)によるカンパニープレゼンテーション「EMBARK」が開催されました。同社がエンターテイメント業界向けに提供している様々なソリューションが展示・紹介されるビジネスイベントです。

MoguLive編集部は今回、「EMBARK」の現地会場を取材。本記事ではイベント内で実施されたセッションのひとつ「「にじさんじ」×SMSのキセキ」について取り上げます。

運営事務局の視点で振り返る、にじさんじのイベントと物販の歴史

セッション「「にじさんじ」×SMSのキセキ」では、SMSが担ってきたVTuberグループ「にじさんじ」のイベントや物販について、その歴史や裏側が紹介されました。

セッションには、SMSのライブ&イベント事業部と、MD(マーチャンダイジング)事業部から合計4名が登壇。セッションの途中では離席した後、別室からアバターを使って画面上に登場し、まさかの「VTuberとなってプレゼン実施」を行いました。やや突飛でしたが、VTuber事業に噛んでいる面々ならではの見せ方です。

SMSとにじさんじのタッグが初めて組まれたのは、2019年1月に開催された、樋口楓1stライブ「KANA-DERO」です。にじさんじにとっても初めてのライブ興行だった本ライブで、SMSはライブ制作を受託。そしてライブ開催を通して、VTuberイベントではグッズ収益に加え、配信収益も発生する点に注目しました。

その次に、同年開催の「京都国際マンガ・アニメフェア」とのコラボも担当。ここでSMSがは、トークや宣伝力の高さ、多数の所属タレントによって”群”で見せることができる点、タレントの多様性から扱えるコンテンツ軸が豊富である、というVTuberの強みを見出したのだそうです。

そしてSMSは、2019年12月の「Virtual to LIVE in 両国国技館 2019」を共催。現地倍率、配信売上の高さはもちろん、来場者より多いグッズ購入者の存在(=グッズだけ買いに来た人が存在すること)に驚いたのだそう。翌年開催の全国ツアー「Shout in the Rainbow」も共催し、配信・グッズ収益の高さから「低コスト・高収益」なイベントであったと振り返りました。

こうして2020年3月に、いちから株式会社(現・ANYCOLOR株式会社)への第三者割当増資がSMEより実施。さらなる事業拡大に乗り出します。

2020年はコロナ禍に直面しますが、2020年9月の「京と秋のにじさんじ」のタイミングでオフィシャルECもスタートし、グッズ収益が増加。会場でのグッズ販売も、客単価は14,000円にものぼり、以後のイベントもグッズ収益と配信収益が伸びていったとのことです。その一つの到達点が2021年2月開催の「にじさんじ Anniversary Festival 2021」で、配信チケットは過去最高記録を達成、EC売上も過去最高額に到達したのだそうです。

MD事業については、SMSが商品企画、製造、品質管理、販売、在庫管理までサポート。現地物販はもちろん、ECサイトも担当しており、売上についてはフィジカルの売上が年々大きく伸長しているとのことです。そして、にじさんじのグッズは、アーティストグッズ、アイドルグッズ、アニメグッズの要素を兼ね備えている上、タレントの幅も広いので、グッズの幅も非常に多いことが強みであると語りました。

そして、直近の事例として、2022年10月開催の「にじさんじフェス2022」が紹介。VTuber事業としては過去最大規模となったこのイベントでは、メインステージの有料配信視聴者数は前回のフェスをはるかに超える人数となりました。グッズ販売数は154アイテムとなり、会場では2.2万人、ECでは3万件もの購入実績を挙げたとのこと。また、そのグッズ数の多さゆえに、現地レジはなんと100個も展開されたのだそうです。

今後もSMSは、運営事務局としてIP・事業拡大ソリューションを提供していくとのことです。所属VTuberの活躍がメインとなってきたにじさんじのイベントですが、その収益力も年々強まっていることを、数字からあらためて知ることができるセッションでした。


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