プロダクトスタジオの「Apelab」は、2016年内にVRHMD向けのアニメシリーズ『Sequenced』を公開する予定です。『Sequenced』は360度見回せるアニメ作品ですが、「視聴者が見たもの」によってストーリーラインが変化するというインタラクティブな要素を持っています。
https://www.youtube.com/watch?v=UjrjeamdZ5k
『Sequenced』は、2Dと3Dを混合した独特のタッチで描かれたVRアニメ。視聴者はアニメの世界の”観測者”となり、辺り一面好きな場所に目を向けることができます。
最大の特徴は、なんと言ってもストーリーの可塑性。「視聴者が何を視界に入れていたか」に応じて物語が変化します。特定の人物、飛んでいるドローン、地面の落ち葉、空・・・。視聴者が目を向けるものによって、登場人物の会話内容や、生じるイベントが変わるのです。
例えば、部族の長と、街から来た調査団の一人が対面する場面では、描かれたモノの内30個以上が物語を変化させる「トリガー」となっており、異なる5つの結末が用意されているとのこと。
物語の内容は以下の通り。
”時は近未来、地球は荒廃して、人類に残されたのは、ただ一つの都市だけ。他に「人間」がいるかどうか調べるため、都市の外へ調査団が送られる。サムという調査団員はそこで、レイヴンという13歳の少女に出会う。後に人類の救世主となるレイヴンは、その出生に多くの秘密があった。”
「最終段階では、メインの話に関係の薄いものも含めて、さらに多くの”トリガー”を増やすつもりです。話に直接関係は無くとも、それらによって”そこにいる”という現実らしさが増すのです。」ApelabのCEOであるJolyはそう語ります。
Apelabはもともと、iPadなどのモバイル端末向けに、360度インタラクティブストーリーを制作していました。近年VRHMDの発展を受けて、プロジェクト名を『Sequence』に改め、活動の場をVRへと拡げました。既に二年以上の開発を経ています。
そんな『Sequenced』は、360度見回せるVRアニメシリーズ。3週間ごとに各10話、それを全部で3期予定しています。対応プラットフォームはOculus Rift、HTC Vive、Gear VR、iOS、Androidの予定です。
360度のアニメ・映像コンテンツは自由に見回せるがゆえに、「視聴者がどこをみるか」を指定することができません。VR空間の中でイベントが起きても、それを見てもらえないと全く意味がないので、クリエイター達は今もなおストーリーの適切な「語り方」を模索している最中です。『Sequenced』で用いられている「目にするものが物語を決定する」手法を、Apelabは「Spatial Storiies」(空間的物語)と呼んでいます。
『Sequenced』は、新しい「物語」の形を体験させてくれる作品になりそうです。
(参考)
VR Animated Series ‘Sequenced’ Creates Truly Reactive Storytelling in VR – Road to VR
http://www.roadtovr.com/vr-animated-series-sequenced-creates-truly-reactive-storytelling-vr/
Sequenced公式サイト(英語) – Apelab
http://apelab.ch/sequenced/
Apelab to show first ever “choose your own adventure” series for VR at GDC – UPLOAD VR
http://uploadvr.com/apelab-to-show-first-ever-choose-your-own-adventure-series-for-vr-at-gdc/