3Dオーディオに特化したヘッドホンを発表し、クラウドファンディングで成功を収めたOSSICが、事業の閉鎖を発表しました。資金難を理由に挙げており、出資者向けの製品は、大半が未出荷のままとなりました。
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6億円超集めるも資金難
OSSICは、各個人の頭や耳の形状に合わせた没入感の高い3Dオーディオヘッドホン「OSSIC X」を発表。2016年にKickstarterで270万ドル(約3億円)超、Indiegogoで約320万ドル(約3.5億円)を集めました。更にシード投資では総資金調達額の半分を調達したと言います。
OSSICは、事業閉鎖の背景として「追加資金調達ができなかった」「オーダーを受けた製品の量産を行うためには、追加で200万ドル以上が必要だった」と述べています。
事業閉鎖までに生産したのはわずか250台。その一部を1,000ドル以上の出資を行った出資者80人に出荷しました。しかし、Kickstarter、Indiegogoでは合計2万3,000以上のプレオーダーがあり、その多くは製品を手に入れることができませんでした。
VRの普及低調も要因
「OSSIC X」は32のコアプロセッサーなどを搭載し、360度から音を届ける3Dオーディオを実現したと謳っていました。特にVRでの活用を強調し、OSSICは、音場を完璧に再現する「OSSIC X」こそが、没入感が必要なVRに最もふさわしいヘッドホンとしています。
OSSICによれば、初期の投資の牽引力は強力だったとのこと。「しかしVRの普及が期待したほど進まず、多くの注目を浴びたハードウェアのスタートアップも、失敗に終わった。この結果、継続的に資金調達することが困難になった」と説明しています。
OSSICはまた、多様なデバイス向けにこの3Dヘッドホンを展開しようと試みました。しかし「このプロジェクトの複雑さと範囲の広さにはわくわくしたが、最終的にはそれがアキレス腱となり失敗に終わった」としています。
OSSICはクラウドファンディングサイトで事業の閉鎖を知らせるとともに、出資者へのメッセージを掲載しています。個人資金を投入、無給で開発を続けたものの、事業継続への資金が不足したと説明。出資者の協力への感謝と、製品が出荷できないことへの謝罪を述べています。
(参考)Road to VR
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