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VTuber 2020.04.18

VTuber文化は世界に浸透するか? にじさんじ海外事業責任者インタビュー

いちから株式会社が運営するVTuber/バーチャルライバーグループ「にじさんじ」。現在は国内展開だけでなく海外での展開にも積極的で、19年4月の「VirtuaReal」、7月の「NIJISANJI ID」、11月の「NIJISANJI IN」、12月の「NIJISANJI KR」と、世界各国でプロジェクトが進められています。

今回はにじさんじ海外事業の責任者にインタビューを実施。にじさんじやバーチャルライバー文化が世界でどのように受け入れられているのか、お聞きしました。

海外にじさんじライバーの展開状況は?

――現在にじさんじは国内事業だけでなく、海外各国でのバーチャルライバープロジェクトを推進されています。プロジェクトを展開する地域を決めるポイントは何でしょうか?

「日本のアニメ文化がどれくらい浸透しているか」、「ライブストリーミング文化がどこまで発展しているか」という点を主に見ています。特に既存のライバーの活動に対して独自のファンコミュニティが形成されている熱量の高い国に関しては、今後も積極的に展開していきたいところですね。

――「NIJISANJI ID」や「VirtuaReal」に関してもそのように決められたのでしょうか?

そうですね。特にインドネシアと中国は既にVTuberという文化がある程度出来つつあった国で、我々が予期しないところでファンアートが生まれたりしていたので、それを事業として転換できないかというところからスタートしました。

――現在は中国、インドネシア、インド、韓国と、4ヵ国でのVTuberプロジェクトが展開されています。始動後、各国それぞれの状況をお聞かせください。

まずインドネシアに関して一番印象的だったのは、デビューして間もなく出演したインドネシア国内のイベントCreators Super Fest 2019」でのファンの熱量がすごく高かったことです。特に2期生のオーディションの告知を行った時の熱狂的な反応は非常に強いインパクトがありました。国土の広いインドネシアにおいては会場まで足を運ぶのも一苦労だと思いますし、我々も積極的にそうした強い期待に応え続けたいと思っています。

中国はちょうど4月にVirtuaReal発足から1周年を迎えますが、現在は20名近くのライバーがデビューし、VirtuaReal出身のライバーの登録者数は合計80万人ほどになりました。先日1周年企画の一環でbilibiliでのファンアート企画を行いましたが、観覧総数350万以上、投稿数1800件以上と予想を超える反響を得たので、こちらも熱量が上がってきている実感があります。

インドと韓国に関してはまだデビューして間もないのでまだ未知数なところが大きいですが、今後次第に雰囲気を掴めてくると期待しています。

――予想以上に盛り上がっている様子ですね。

インドでは、メンバーの中でもNoorというライバーが大きく話題になりました。登録者数はいきなり25000人にまで到達し、先日はオレオのミーム動画を引用するツイートが2.6万リツイートや7.7万いいねを超えるほどのバズツイートになったりと、一気に認知が広がっています。基本的に私たちはグループとしてのブランドを強めていく方針なので、運営側が集中的に1人を伸ばそうと力を入れることはありません。なので今回の盛り上がりは各タレントの自主的な活動により伸びたという印象ですね。

――そういった偶発的なブームが起こる点は国内のにじさんじに近い雰囲気を感じさせますね。

それぞれの国ごとで変化するライバー文化

――各国のライバーたちに共通している特徴などはありますか?

https://www.youtube.com/watch?v=KZW2OHNblpc

国内と海外という2つの軸で見た時に、海外はどこも基本的な言語能力・学習能力が高いと感じます。以前からにじさんじを追ってくれたり日本のアニメを見ていたりする方が多いので、日本語を読み書き出来る人の割合が非常に大きい。それ以外にも例えばインドネシアでは英語を喋れる人がいたりと、半数近くやそれ以上がバイリンガルといっても過言ではないぐらいの言語能力の高さが見られます。

――国ごとにライバーたちの雰囲気に違いなどは見られますか?

国それぞれに注目するとそちらも各々の色が出ていますね。インドネシアは元気いっぱいでとにかく明るいイメージが強く、活動に対しても前向きに取り組んでいます。

インドのライバーは3人とも特徴がハッキリした組になっていますね。世界中のライバーがコラボした「にじさんじの日」のイベントでも、とにかくインドのライバーが自由奔放で手に負えないみたいな。別の意味で元気ですね。

中国については一番日本のライバーに近い雰囲気を感じていて、国内に負けず劣らずのバラエティ豊かなライバーが集まっていますね。

韓国はまだデビューしたばかりではありますが、配信の文化が根強くある国なので、配信回数や時間といった面での体力が豊富にあるという印象を持っています。

――ちなみに海外ライバーの中には日本語を話せる方もいらっしゃいますが、この方々は言語能力の高さを評価しての採用だったのでしょうか?

そこを優先的に見ているというよりは、結果的に偶然日本語を喋れる人が多かったという流れです。あくまで自国のファンをメインにしてもらいたいので、タレント性を見ていたのですが、蓋を開けてみるとマルチリンガルな方だったという経緯です。

タレントの引き出しの多さはその人の教養に繋がる部分があるからか、その部分を見ていくと結果的に学力が高くなってしまったのかもしれません。

――バーチャルライバーに興味を持っている層に、ある種さまざまな素養のある方々が多かったという。

そうですね。恐らく昔からネット文化に触れているライバーは、比較的勉強熱心な方々が多いという因果関係があるのかなとも思います。

――国内と海外とで、ファンの雰囲気はどのように異なっていますか?

全体的に熱量が高く、時には日本と同じようなファンの盛り上がりがイベントで感じられます。横断幕や独自グッズを作って応援しに来るようなファンまで見られます。かつて国内事業で責任者を務めていた関係で日本のイベントはほとんど見てきましたが、それでも海外の一部のコアなファンの熱量は見たことがないものがありますね。

あとはライバーと一緒でファンの皆さんも言語能力が高いですね。以前から日本のにじさんじを見てくれていた人が多いので、日本語を喋ったり字幕付いた動画を上げたりしてくださっています。

――ファン側も素養のある方々が多く集まっているということですね。

そうですね。すぐに字幕を付けたり、ライブ配信中にリアルタイムでコメント欄での翻訳や説明をしてくださったりする方もいます。我々が依頼したわけではなく、全て自発的に同時翻訳をしてくださっていたのでこちら側としても驚きましたね。非常にありがたい。

そういったような特徴の違いがあるとはいえ、やはり全世界共通でにじさんじというものを応援してくれているということ、そして我々の事業を通じてライバーのみならずファンの間でも国際交流が生まれてきたことはこの事業をやっていて良かったと思うところです。

バーチャルライバー文化が世界に与える影響とは?

――「にじさんじ」の海外展開を進めていく中でバーチャルライバー文化の広がりは感じられますか?

私の個人的な見解が結構強いのですが、今後バーチャルライバーの文化が急速に拡大するという予感はあります。

文化の拡大にあたっては配信者が増えること、そして視聴者の幅が広がっていくことという2つの段階が必要だと思っています。まだバーチャルライバー文化のない国やコミュニティにおいても、顔出しせず挿絵だけ貼って配信する配信者は多く存在しているので、そうしたユーザーは潜在的にバーチャルライバーへの転身と相性が良いと考えています。既に出てきている技術とその方々がうまくマッチングすれば急速に広がると思いますね。

またデバイスやインフラの整備が未だ進んでいない国が多いのですが、逆に言えば発展次第では一気に伸びる可能性も大いにあると思っています。これから5Gの時代が到来しようとしている中で、発展途上国の中にも4Gを飛ばしてそのまま5Gを導入しようとしている国があったり、中華系の企業がローコストでハイスペックなデバイスを一気に拡大させようとしていたりするので、そうした動きを見ると拡大の可能性を感じます。

ーー世界中にライバー文化が浸透するような土壌はあると。

ただ技術については国によって全く状況が異なるので、それぞれの国における市場の変化をコンテンツを通じて日々精査しています。例えばインドだといわゆるリープフロッグ現象のように携帯がない状態からいきなりスマホが普及したという流れがありました。逆にインドネシアでは4Gがある程度普及してしまったがために5Gの導入が遅れているという指摘があります。海外と一括りにするというよりは、国単位でフォーカスの幅を見直している状況ですね。

ーー通信のテクノロジーが発展することで、より活動の幅も広がると想像できますね。

技術の進歩は人々に余暇の時間の増加を生み出します。例を挙げると、インドネシアでは「GO-JEK」や「Grab」といったバイクタクシーのアプリの登場によって、運転手がマッチングも乗客との価格交渉もアプリに全て任せられるようになりました。そうなると収入も安定しますし、今まで闇雲に走り回って浪費していた時間も浮くので、運転手は基本ベンチで寝たりコンビニの前で溜まったりしつつマッチングを待つという体勢が整っています。その増えた余暇の時間で彼らが何をしているかというと、SNSやYouTubeを見てるんですよ。

こうした流れは他の業界にも広がっています。とはいえ出費まで激しく増やせるかというとそうでもないので、動画コンテンツやエンタメ系に需要が集まっていくのではないかと思います。

――そういった層がますますコンテンツを視聴するかもしれないし、発信側に回るかもしれないということですね。

実際、タクシーの運転手のお兄ちゃんが自分の踊っているTikTok動画を見てたりするんですよね(笑)。そういう風に視聴も発信も両方やる文化になっていくと思います。

ーー実際にライバーが増えていくことで、社会はどのように変化していくとお考えですか?

https://www.youtube.com/watch?v=Vbbhj0iFBiE

社会的役割としてはクリエイターの雇用創出が考えられます。特にインドネシアのケースになるんですけれども、イラストやモデリングのできる人が居ても国内だとそれが職にならない状態にあるんです。趣味が趣味のままで終わってしまう。私たちは『Virtual to LIVE』のNIJISANJI IDカバー版の作成にあたって、翻訳や動画作成を現地のクリエイターさんにお願いしたり、インドネシアでイラストレーターコンテストを開催させていただいたりしました。多種多様なクリエイターのプラットフォームになることで、彼らが今まで諦めざるを得なかったかもしれない仕事を与える役割を担えたらなと思っております。

また、これは実際にファンのコメントであったケースなのですが、新型コロナウイルスの流行で厳しい警戒態勢が張られているインドネシアにおいて、手持ち無沙汰になってしまった人が「何もやることがない中で、笑わせてくれてありがとう」とか「なかなか友達とも会えなくなっちゃったけど、YouTubeでみんなの配信を見てれば寂しくないね!」という風に言ってくれて。こうした点でも大きな社会的役割を果たしているのではないかと思っております。

――オンラインコンテンツとしての役割も期待出来るし、今まで余暇でお金が入らなかった人々やクリエイターへの還元にもなるということですね。

まだまだ十分な雇用を生み出せるレベルにはなっていませんが、このまま市場が拡大していけばそういったプロジェクトをたくさん生み出せるのではないかと思っております。

――海外展開について国内展開での経験などを活かせる部分、または国内とは事情が異なる部分などはありますか?

プラットフォームは日本と同じくYouTubeを利用しているので、そこで伸びるためのノウハウは転用の効く部分だと考えています。ライバーとの信頼関係の構築についても、可能な限り積極的なコミュニケーションを図るようにしています。

異なる点について言えば、文化的な背景や法律、環境が異なるのでローカライズの難しい部分があります。盲点だったのはデバイスやインターネット環境が想定よりも整っていなかったところですね。タレントについても回線が整っていなかったり、大家族が住んでいる場所のため配信できる環境になかったりといったケースがありました。日本は1人暮らしが当たり前の文化ですが、他の国でもそうとは限らないという。ハードの面とソフトの面、両方でやってみるまで分からなかったことが多々ありましたね。

――海外ライバーに対するマネジメントについて、どのようなことに気を付けているでしょうか。

基本的にはその国のスタッフは基本現地で採用するなど、極力日本の感覚を持ち込まない努力をしています。ライバーだけでなくスタッフについても文化やビジネス習慣が全く違ったりするので、そこでストレスがかからない形で仕事を進めていくのが非常に大変ですね。それを四カ国で進める必要があるので。

――運営サイドは非常に大変なのではないかと想像します。

思ったよりもハードでした(笑)。「世界中ににじさんじを広げよう!」という意気込みで展開を進めていったらいつの間にか大がかりなことになっていて。基本はその国の言葉を喋れる日本人か、日本語を喋れる現地の人は必ず置くようにして、意思疎通は頻繁に行うようにしていますね。

――海外の企業のコラボ案件やイベントについても、現地スタッフである程度は運営させていくイメージでしょうか。

日本側からスタッフを派遣することはほぼありません。文化等の違いもあるので、日本の型だけで突き進まないよう基本的には各国が単独で動ける形を整えようとしています。ただ、にじさんじという全体としてのブランドを崩さないようなマネジメントは行うと思います。

世界の距離が縮まった「にじさんじの日」

――2020年2月3日には「にじさんじの日」の国内外コラボが開催されました。海外のにじさんじメンバーが多数出演し、国を超えて記念日を祝うという大型企画でしたが、このイベントを終えて印象的だったことなどはありますか?

このイベントをきっかけにファン間やライバー間の国をまたいだ交流が増えたのはとても良いことだなと思っています。ファンアートの数も増えましたし、他の国のファンに世界中のライバーのことを知ってもらうことができたので開催した甲斐がありました。ただ電波の問題や時差の問題などはあったので、非常に大変でしたね(笑)

――開催にあたって事前に気を付けたこと、対策したことがありましたらお聞かせください。

負荷が軽く落ちにくい体制の構築や落ちた時の対応、トラブルへの対策などは入念に行いました。あとは先程申し上げた通り、宗教や文化的なタブーに触れないようにするのも気をつけたところです。

とりわけ韓国とインドについてはまだデビューから日が浅くバーチャルライバー活動に慣れていない中での大型コラボだったので、台本で流れをどこまで指示するか、どこまでを偶発的な事象としてライバーに委ねるかというコントロールにとても苦労した記憶があります。

――連絡のやりとり自体にも相当な時間がかかったのではないかと。

アナウンス文を作ろうと日本語で伝えたら、各国担当が一斉に翻訳して、ライバーからのレスポンスの有無も確認する流れでした。一つの部署で完結する話ではなく、様々な部署・様々な国をまたぎつつ進めていたので、情報を行き渡らせるためのコストは多くかかりました。

――にじさんじの日によって何らかの成果があったという実感はありましたか?

Twitter上でのファンのやり取りが活発になったというのはあります。ファンがそれまで知らなかった他国のライバーの配信を見に行くようになっています。動画の切り抜きの数も増えていますね。

「この国に進出します」というリリースはその都度日本向けに出させていただいてはいるんですが、その後の活動内容についてはなかなか日本から見えづらいところがありました。この機会に改めてそれぞれの活動の様子をお見せできたかなと思っております。

――実際それ以降で日本のファンが他の国のライバーのチャットにいるのを見ますね。

そうですね。実際にライバーの次の配信で海外の方がコメントしに来てくれたという話もチラホラと聞いています。そういう意味でも日本のライバーに世界との距離の近さを実感してもらえたと思いますし、他の国のライバーにも「世界中にこんなにたくさんの先輩たちがいるんだよ、君たちはそのブランドを背負っているんだよ」というブランドの意識を共有できたので、内部的にも意味があったと思っております。

ライバー主体でさらなる海外展開を

――にじさんじの海外展開に必要なもの、課題となっているものはどういったものでしょうか?

まず必要なのは人材ですね。タレントもスタッフも必要です。ネット上の文化などを幅広く知り、なおかつゼロから1へと新しいコンテンツを開拓していくようなハードな仕事をする人材を探さなければならないので、その点が課題です。1人ひとりの資質に大きく依存する分野なので、人材確保は大変なところです。

――そもそも現地で信用の置けるスタッフを見つけること自体、かなりハードルの高いことではないかと。

本当にそうなんです。特にVTuberはプライバシーを大事にしなければならないので、VTuberについての理解があり、なおかつコンプライアンス意識を持っている海外の人を探すのが非常に難しい。

――スタッフは基本的には応募してきた方を面接しているという流れでしょうか?

そうですね。ヘッドハンティングのようなことはあまりしていません。だからどの国の人もモチベーションが高く、ライバーの配信も本当にみんな楽しんでいますね。

――にじさんじの海外展開で今後期待したいこと、実現させたいことなどをお聞かせください。

実現させたいのはリアルイベントですね。今のところまだ海外でのリアルイベントをソロで開催したことがないので、各国でできたらいいなと思って。日本で開催したZeppツアー「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!」のように、いずれはワールドツアーのような世界中を巻き込んだイベントをしたいと思っています。

ただリアルイベントとなるとどうしても会場を押さえたり、必要なソフトの通信環境を整えたりと、ネット上のイベントとはまた違った障害が非常にたくさん出てくるので、そこは今後の課題の一つです。

また、これは個人的な願望に近い話になるのですが、昔からVTuber業界にはリアルタイムかつボーダーレスなクリエイター活動ができる可能性を大いに感じておりまして。にじさんじ自体が言葉の壁を乗り越え世界中で二次創作を産み出し続けるコンテンツになっていったらいいなと考えています。

今までのPV制作やイラストコンテストも運営主体でクリエイターを巻き込んでいく狙いでしたが、「もっとその国だからこそできるものはないか?」という可能性をいつも探していますね。

――その国に即したイベントが生まれると、視聴者側もより盛り上がりますね。

せっかくの世界規模のプロジェクトなので何も日本のスタイルに従う必要は全くないと思っています。各地で次々に独自の文化が生まれていき、多様性の色が増えていくというのが私達現場側の理想です。ファンの声やライバーの自発的な提案から意外な発見があるので、人を選ばずに様々な声を聞く体制が我々のスタンスとして必要だというのを日々実感しております。

――今後も別の国や地域に進出したいという意向はありますか?

もちろん全世界中に展開したいです。にじさんじへの熱量が上がってきた国から優先的に展開していこうと考えているので、そこは今後のファンの動き次第です。

――最近はVTuberを見ている英語圏の層もすごく増えているような印象があります。

そうですね。昔からそうしたファンは一定数いたんですけれども、今まで英語圏コミュニティで閉じていた活動が徐々に私たちの目にも見える範囲で拡大してきたのかなと。

字幕などで英語圏の人が見られるコンテンツが増えてきているのも大きいと思います。公式で投稿している「ぷちさんじ」という漫画動画も全て英語字幕に対応しているので、アクセスは結構多いですね。

――ゆくゆくは英語圏をメインに活躍するライバーが登場すれば、国を問わず海外で広く活躍できる可能性もあるかもしれませんね。

大いに有り得ると思います。YouTubeの配信はどこからでもアクセスできるので、その人の才能次第ではどの国でも戦っていける可能性はありますね。

アプローチの仕方にはそこを”言語圏”として捉えるか”文化圏”として捉えるかという二つの軸が存在するので、今後は言語圏という捉え方で万人に分かりやすいものを量産するタレントさんが出てもいいと思います。もちろん、それとは逆に一つの地域に特化して狭く深く掘るタレントさんがいてもいいと思いますし、基本的にはそれぞれのライバーさんのやりたい方針を尊重し、運営はあくまでブランドという観点からそれを支援していく体制でいようと思っております。

――その広がり自体もライバー次第では変わってくるということですね。

そうですね。あくまで私たちはライバーさんのクリエイティビティを尊重するスタンスです。運営があれこれ口を出すのは簡単ですが、結局配信するのは私たちではないので。彼ら彼女らが楽しいことをやって、その結果ファンも楽しくなるというサイクルを生み出したいと考えております。だから展開次第ではいずれ世界的に注目されるライバーが生まれる可能性もあると思います。

――最後に、海外事業について直近で告知等があればお聞かせください。

イベントのお誘いも各国で頂いてはいるのですが、残念ながら新型コロナウイルスの影響で開催自体が危ぶまれるケースが増えてしまっているので、オンラインコンテンツの強みを活かし、コロナの影響を受けない大型企画も考え始めております。ご期待してくださると幸いです!

――ありがとうございました。

インタビュー:moguLive編集部
執筆:うぇるあめ


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