日本においてVRについてSNSで話題になる際、そのほとんどがVRChatを始めとしたメタバースのことであって、VRゲームを積極的に好むユーザーの声が集まる機会はあまりなかった。
そこで、MoguLive編集部はVRゲーマーを対象としたアンケート調査を実施した。回答者は160名。まずは質問の一覧を並べて、それらの結果と掘り下げを著者(ぱソんこ)が解説。それではいってみましょう。
質問の一覧
このアンケート調査は2024年5月1日から10日までの10日間にかけて行われた。アンケートの質問は以下の内容となっている。以下の質問から得られた回答のうち、興味深いものを先にピックアップしていこう。すべての回答の結果については記事の一番下に並べるので、そちらを見てほしい。なお、質問の結果を順に並べるだけでなく、ある程度まとまったトピックになるよう適宜並び替えている。
(1)現在所持しているVR/MRヘッドセットを教えてください(複数選択可能)
(2)VRヘッドセットを使う頻度で一番近いものを教えてください
(3)あなたはVRヘッドセットを装着した際、VRゲームとメタバースのどちらを体験することが多いですか?(4)あなたがこれまで遊んだVRゲームの中で最も好きなものは何ですか? タイトルを教えて下さい 例:Beat Saber、バイオハザード4VRなど(※無い場合は「ナシ」とお書きください)。
(5)これまでダウンロードしたVRゲームの本数を教えて下さい(数字のみ、無料ゲーム含む、メタバース除く)
(6)VRゲームの購入に使った、だいたいの金額を教えて下さい。0円の場合は0とお書きください
(7)VRゲームのなかで、好きなジャンルはどういったものですか?(複数回答あり)
(8)あなたがVRゲームを選ぶ際に、特に気にしている条件を教えて下さい
(9)VRゲームを買うときに一番よく使うプラットフォームを教えてください。※メタバースへの課金が一番多い場合は、その他にメタバースの名前を記述してください(10)アニメや漫画、ゲームなど、様々な作品のなかで「VRゲーム化されたら嬉しい」作品はなんですか?具体的な元ネタがなくても「こういうVRゲームをしてみたい」でもかまいません(複数回答可)
(11)Meta Quest独占の大作VRゲーム『Asgard’s Wrath 2』はプレイされましたか?(『Asgard’s Wrath 2』はOculus Quest初代だと非対応です)
(12)Meta Quest 3所有者かつ『Asgard’s Wrath 2』をプレイしていない方に質問です。Meta Quest 3を新品で買った場合は『Asgard’s Wrath 2』のキー(ゲームの所有権)を無料でもらえるのですが、プレイしなかった理由はなんでしょうか?
VRヘッドセットとプラットフォーム、利用形態
まず、アンケート回答者の所有しているVR/MRヘッドセットについてだが、注目すべきはMeta Quest 3の所有率の高さだ。VR市場でもっとも普及率が高いデバイスがMeta QuestシリーズなのはVRのゲーマーであれ開発者であれ周知の事実だが、Meta Quest 3の所有者の数がMeta Quest 2所有者の75%に及ぶのは、筆者の事前の想定よりもはるかに多い。MoguraVRのインタビューにてMeta担当者が「日本におけるMeta Quest 3の売れ行きは想定以上」と発言したことがあったが、それを裏付ける証拠として有力である。
また、もう一つ気になるのはPlayStation VR2の所有者の少なさだ。調査会社IDC JAPANによると2023年の日本におけるVRヘッドセットの販売台数のうちソニー(PS VR2)とMeta(Quest 2|3)の販売台数はほぼイーブン、どちらかといえばPS VR2の方がやや多いのだが、このアンケート調査では回答者のうちPS VR2の所有者は10%となっている。これは日本に限らず全世界的に「PS VR2は2023年2月から2023年末の直前までの間に需要が満たされた」という見方が有力である。Amazonには直近1か月の購入者数のカウントが表示される仕組みがあり、本記事執筆時点(2024年5月末)から直近の1か月で日本のAmazonで4700台が購入されたMeta Quest 3と比べて、PS VR2の購入者数は50台に留まった。
次に、VRゲームの購入するときにもっとも利用頻度が高いプラットフォームを見てみよう。Meta Questは、それ単体でソフトを動かすこととPC(Steam)へ接続して利用することのどちらも可能であるため、Meta Quest所有者でも単体で使う派とPCに接続する派でスタイルがそれなりに違う。ゲームの購入よりもメタバースへの課金が多い場合は、プラットフォームの欄にメタバースを記入するよう案内した。
このアンケートは1位がSteam(86票、53.8%)、2位がMeta Quest Store(51票、31.9%)、3位タイ(6票、3.8%)が「PlayStation Store」「いずれも使わない」「VRChat」、残り5票の3.1%をその他扱いとした。これら5件はそれぞれ「PICO Store」「Resonite」「DLSite」「別所で購入したものをSideQuest経由で入れる」「cluster」といった内訳だった。
VRゲームのプラットフォームとしてMeta Quest StoreとSteamのふたつがほとんどを占めるのは予想通りだが、「ゲーミングPCを所有していないとVRゲームをプレイできない」Steamの方が利用者数が多いのは意外だった。そこで、この質問でMeta Quest StoreとSteamを回答したユーザーの傾向をそれぞれ掘り下げた。
まずは、VRゲームとメタバースの頻度の比率についてだ。VRのユーザーは大まかにゲームを好む人とメタバースを好む人に分けられ、それぞれ独自の性格を有している。結果としては、Meta Quest Store回答者はVRゲームを好み、Steam回答者はメタバースを好む傾向にあることが分かった。
VRデバイスの利用頻度はSteam回答者の方が高かった。これはSteamユーザーがメタバースを好む傾向にあることと、VRゲーマーよりもメタバースのユーザーの方が(サービスの用途として)利用頻度が高いことを考慮すれば自然な結果だ。そうはいっても、週に1度以上VRデバイスを使っている時点で、すでにヘビーユーザーではあり、Meta Quest Storeユーザーもヘビーユーザーの割合は十分に高い。
これはあくまで筆者の見解だが、一般的にVRゲームの売上のうち過半数はMeta Questで、もっと言えば2/3から3/4がMeta Questで占められていることがほとんどだ。そのため、2020年以降ではVRゲームを開発してもMeta Quest版が先行リリースされてPC版が後回しにされるか、PC版がリリースされない事例がそれなりに存在している。この調査によってPCのVRユーザーがVRゲームよりもメタバースを好む傾向にあることが数値としてはっきりと出てきた。
筆者としては、この結果を見て日本は「ゲーミングPCを所持していないが、VRを体験したい」というローエンドからミドルレンジの層がまだ少ないのではないかと推測している。基本的にはVRChatのユーザーがハイエンドな環境を前提としたとしても、Meta Questでは処理できないようなリッチなアバターの装飾を前提としていることが大きな要因だろう。VRゲームをプレイするだけならMeta Questだけでも困らない環境になりつつあるが、メタバース(VRChat)でのファッションがVRの主な利用用途の場合はそうではないということだ。
なお、SteamユーザーとMeta Quest StoreユーザーでVRの利用頻度や購入金額などを比較したところ、Meta Quest Store回答者の方が所有ソフト数が多い一方で、ソフト購入費用の総額はSteamの方が多い結果となった。所有ソフト数はプラットフォームやライブラリから正確に数値を把握しやすい一方で、ソフトの購入金額を正確に把握するのは難しいためか、あまり説得力のある金額になっていない。その一方で、Meta QuestユーザーがSteamユーザーよりもソフト所持数が2倍近いというのは、VRゲームを好むMeta Qeustユーザーとメタバースを好むSteamユーザーの違いを感じさせる結果となった。
Steam(有効回答85) | Meta Quest Store(有効回答50) | |
ソフト所持本数平均(本) | 23.24 | 39.58 |
ソフト所持本数最頻値(本) | 10 | 30 |
ソフト総額平均(円) | 53367.65 | 43460 |
ソフト総額最頻値(円) | 10000 | 10000 |
ソフト購入単価平均(円) | 2296.37 | 1098.03 |
ソフト購入単価最頻値(円) | 1000 | 333.33 |
好きなVRゲームとジャンル
次は、ハードとプラットフォームのつぎにVRゲームの結果について見てみよう。「あなたが一番好きなVRゲームを教えてください」と自由記述での回答を求めたところ、TOP3のうち1位が『Beat Saber』で24票、2位が「とくになし」で18票、3位が『Half-Life: Alyx』で9票となった。以下の表は左欄がゲームタイトル、右欄が票数だ。VRゲームをそれなりにこなした人ならば、納得のラインナップではないだろうか。
タイトル | 票数 |
Beat Saber | 24 |
とくになし | 18 |
Half-Life: Alyx | 9 |
VRChat | 6 |
ALTDEUS: Beyond Chronos | 6 |
Moss | 5 |
Into the Radius | 4 |
Legendary Tales | 4 |
DYSCHRONIA: Chronos Alternate | 3 |
ルインズメイガス | 3 |
ラストラビリンス | 3 |
SUPERHOT VR | 3 |
Asgard’s Wrath 2 | 3 |
Elite: Dangerous | 2 |
星の欠片の物語。しかけ版 | 2 |
東京クロノス | 2 |
Horizon Call of the Mountain | 2 |
サンバDEアミーゴ | 2 |
くれりっくさんはすぐゴブリンにさらわれる | 2 |
バイオハザード4 VR(Quest) | 2 |
オノゴロ物語 | 2 |
そのほか(1票のみ) | 52 |
集計結果をもとに、TOP3の回答者のVR利用形態を探ってみた。結果としては好きなゲームに「とにになし」を挙げていた回答者の約66%がメタバースを好むことが分かった。
おそらくは「好きなVRゲームを記入」にVRChatを記入するかどうかが人によってバラつきがあり、VRChat記入しなかった人が「とくになし」と記入したものと思われる。逆に、好きなVRゲームの質問に「とくになし」と回答した人のうち33%はVRゲームを好む層であったことになる(いつかマイ・オールタイム・ベストなVRゲームに巡り合えるといいですね)。
Beat Saberと回答したユーザーもメタバース比率が高いことに注目したい。普段はゲームよりもメタバースを利用するユーザーでも、Beat Saberだけはプレイするということだ。Beat Saberはアバターを使った動画撮影が可能であることも要因の一つではあれど、それ以上に『Beat Saber』が普遍的な人気を誇るVRゲームであることの証拠だろう。
Half-Life: Alyx | Beat Saber | とくになし | VRChat | |
VRゲームのみ体験する | 3 | 4 | 3 | 0 |
比較的VRゲームが多い | 1 | 4 | 2 | 0 |
どちらも同じくらい体験する | 3 | 3 | 0 | 2 |
比較的メタバースが多い | 1 | 5 | 2 | 2 |
メタバースのみ体験する | 2 | 9 | 10 | 2 |
どちらも体験しない | 0 | 1 | 0 | 0 |
自由記述:メタバースの定義が不明で答えられない | N/A | N/A | 1 | N/A |
また、「好きなVRゲーム」に投票されたVRゲームのジャンルを筆者が独自に分類した(ひとつのVRゲームが複数のジャンルに当てはまる場合は、そのようにした)。その結果、「みんなの一番好きなVRゲーム」のジャンルはシューター、アクション、音ゲーのいずれかに該当する確立が非常に高いことが判明した。これとは別に「好きなジャンル」の選択式投票も用意しているので、そちらと並行して確認しよう。
こちらは「好きなVRゲームのジャンル」を複数回答してもらったものだ。1位がリズムゲーム(92票、57.5%)、2位がアクションゲーム(78票、48.8%)、3位がシューティングゲーム(62票、38.8%)と、VRゲーム経験者であれば納得の結果ではないだろうか。特に1位がリズムゲームなのは、いわずもがな『Beat Saber』の影響だろう。アクションゲームもシューターもVR人気作がごまんとある。
せっかくなので、日本のデータをグローバル(北米)と比較してみよう。以下のグラフはゲーム業界者向けのニュースレター「GameDiscoverCo」で2024年4月に発表されたVRゲームの売り上げとタイトル本数のグラフだ。VRゲームはジャンルによってソフトの販売価格がさほど変わらない(2000円から3000円の間)ため、売り上げ価格は購入者数とほぼ比例している。左の軸は売り上げ金額、右の軸はリリース本数となっており、左の軸は高くて右の軸が低いと「少数のタイトルにユーザーの人気が集中している寡占ジャンル」、その逆であれば「タイトル数は多いがユーザーの人気が低い過剰供給ジャンル」となる。以下のグラフでは格闘と音ゲーが寡占ジャンルで、アクションとアドベンチャーが過剰供給ジャンルだ。
このグラフは単体でも興味深いが、グローバルでは1位「Fighting(格闘、剣戟)」、2位「シミュレーション」、3位「スポーツ」、4位「ホラー」、5位「シューター」となっている。「トップ10に何が含まれているか」という見方では日本と大差ないものの、「トップ10の順番」として見るとかなり違う。
まず、グローバルでは音ゲーの人気が必ずしもトップではない。もちろん、VRゲームの全世界の販売本数ランキングを作ったら間違いなくBeat Saberが1位になるほど、Beat Saberは人気なのだが、それ以外のVR音ゲーのタイトルの数を考えると、日本でのVRゲームの音ゲー人気は、ほかの国と一線を画している。音楽メディアMusic Allyは2022年に日本におけるモバイル向け音楽ゲームの人気がすさまじい(モバイルに限って中国の8倍、北米の35倍である)ことを指摘しており、他の地域と比べて日本における音ゲーの根強さを感じさせる。
また、グローバルにおけるVRゲームのトップは「格闘(剣戟)」だった。格闘・剣戟と聞いてパッと思いつかない方のためにいうと、これは『Blade and Sorcery』や『SWORDSMAN VR』といったプレイヤー自身が剣闘士・魔法使いとなって相手を剣で切り裂いたり燃やし尽くしたりするVR残虐コンバットゲームのことだ。日本では格闘・剣戟の回答数が少ない。どれくらい人気なのかといえば、Meta Quest Storeのレビュー数(6月初頭時点)がBeat Saberが約49500件なのに対して、Blade and Sorceryが約45200件と並ぶ勢いだ。日本でBeat SaberとBlade and Sorceryが並ぶほどの存在だとは考えづらいので、これははっきりとした地域差だろう。
スポーツゲームはVRでないゲームでも定番ジャンルではあるが、日本だとVRのスポーツゲームはボクシングや卓球のVRゲームのプレイヤーをそこそこ見かける一方で、ゴルフやボウリング、野球にバスケといった(卓球を除く)球技のVRゲームのプレイヤーを日本のユーザーがプレイした様子を見た覚えがない。もしかしたら家で利用できる空間の差があるのかもしれない、と筆者は推測を試みたが、ボクシングとゴルフで利用スペースに大差があるとも考えづらい。推測としては、日本におけるVRスポーツゲームの人気は動きの激しさによるフィットネス需要であり、ゆるい動きのゆるいカジュアルなVRスポーツゲームの需要はまだそこまでないのかもしれない。
Meta Quest Storeでは『Job Simulator』といったお仕事バカゲーや『Shave & Stuff』という美容師シミュレーションが人気作である。これらについては実用的なシミュレーションというよりもごっこ遊びの範疇に近いもので、これらの傾向を見て筆者が思い至ったのは「アメリカではVRゲームの需要を低年齢層が支えている」という可能性だ。筆者としても「最近のMeta Quest Storeの人気作はSteamやPlayStationよりもApp Store/Google Playに近くないか……?」と思っていたので、グローバルの人気ジャンルはアメリカの若年層の好みに支配されているのかもしれない。
なお、Meta Quest StoreにはほとんどMR(Mixed Reality)専用ゲームがないのにこのグラフにMRが2番目の売上になっているのは、ランキング上位の人気作ほどアップデートでMRモードを追加する傾向にあるためだと思われる(本質的には”人気作”というくくりと同じ)。このため前述の説明でMRを省いた。
次の話題に移ろう。「VRゲームを買うときに気にしている条件」だが、非常に有意義な結果となった。上から順番に1位が「好きなジャンルのゲームであること」、2位が「ビジュアル、デザインの良さ」、3位が「日本語翻訳対応の有無」、4位が「ゲームの評判(レビュー、SNS評価)」、5位が「価格」となった。これも納得の結果だろう。
基本的には、自分の好きなジャンルの新作でよりクオリティの高い(ビジュアルがひときわ目立ち、レビューによってゲームプレイの面白さも保証されている)ものを選ぶということだ。また、VRゲーマーはゲームが日本産か海外産かを気にする人は全体の1割程度で、それよりも「ゲームが日本語に対応しているかどうか」を重視する人が全体の半分であることが明らかとなった。むろん、家庭用ゲーム機と違ってVRは日本産のゲームだけに絞ってプレイするのは間違いなく実現不可能ではある。
Asgard’s Wrath 2、プレイしていますか?
本企画をMoguraVR編集部から頂いたとき、元々のテーマは「Meta謹製のAAAタイトル『Asgard’s Wrath 2』は日本のVRゲーマーにどう受け入れられているのか、あるいは受け入れられていないのか?」というテーマだった。本アンケート調査はそれを調べるためにデータを集めた節がある。
なお、Asgard’s Wrath 2の大きな特徴としては「Meta Quest 3購入者には発売から約9か月にわたっての期間限定で無料配布された」という点も見逃せない。Meta Quest 2/ProでAsgard’s Wrath 2を買うかどうかは基本的にユーザーの好みの問題でしかないが、Quest 3ユーザーの場合は「ゲームソフトを無料でもらったうえでプレイしたかどうか?」が焦点となる。Asgard’s Wrath 2はMeta Quest 2/Pro/3専用なので、それらのハードを所有していない場合はプレイできない。
Asgard’s Wrath 2をプレイしたかどうかは以下のような結果となった。Meta Quest 2/Pro/3所有者のうち、Asgard’s Wrath 2をプレイしたのは25.8%、全体の1/4だった。ただ、Quest 2/ProユーザーのうちAsgard’s Wrath 2をプレイしたのが5.2%(57人中の3人)というのは、思ったよりも少ない結果となった。VRゲームをプレイするためにMeta Quest 2を買った日本のユーザーにはAsgard’s Wrath 2があまり刺さっていないのかもしれない。
一方、Meta Quest 3の所有者で見るとAsgard’s Wrath 2のプレイ率は41.3%となった。「本体購入者に無料配布しているのにプレイ率が40%って高いのか?低いのか?」と疑問に思う方のために、類似例としてXbox Game Studiosが2023年9月にリリースした『Starfield』を挙げる。『Starfield』は「Fallout」シリーズや『The Elder Scrolls V: Skyrim』で知られるベセスダ・ソフトワークスが開発したオープンワールドRPGで、発売初日からXboxとPCのサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」でプレイできた。その結果、Starfieldのプレイヤー数は2023年12月時点で1300万人になったことが確認された。Xbox Game Passの会員数はおよそ3000万人であることと、同作がSteamでも買い切りソフトとして販売されていることを考慮すると、Starfieldも「サブスクリプションユーザーのうち、プレイしたのは3〜4割」となる。世界最大級のヒットタイトルでもサブスクリプションユーザーがプレイするのは4割なので、Quest 3ユーザーのうちAsgard’s Wrath 2をプレイしたのが4割というのは自然な数値だ。
なお、Quest 3ユーザーのうちAsgard’s Wrath 2をプレイしなかった理由を尋ねたところ、1位が「キーを貰ってライブラリに登録したけど、なんとなくプレイしていなかったから(23票、44.2%)」、2位が「そもそもQuest 3購入者が『Asgard’s Wrath 2』を無料で貰えることを知らなかったから(18票、34.6%)」、3位が「その他(6票、11.5%)」、4位が「興味がなかったので、キーを貰ってもライブラリに登録せず放置していたから。(4票、7.7%)」、5位が「『Asgard’s Wrath 2』の容量が大きすぎてストレージに入りきらなかったから。(1票、1.9%)」となった。「なぜこのゲームをプレイしなかったのか」と聞かれれば、大抵は「興味がなかった」と返答するのはまったく自然なことだ(実質的に半分のユーザーがそう答えている)が、およそ1/3の人に存在を認知されていなかったのは、やや残念である。
なお、その他の意見の内訳は「Meta Questのシステムがゲーム実況に適していないため」「Quest 3向けの最適化アップデート待ち」「キービジュアルが洋ゲーっぽくて惹かれない」「VR酔いのためアクション系が苦手」「VRゲーム自体がゲーム実況に適さないため」「とくになし」となっている。2024年5月29日にAsgard’s Wrath 2のQuest 3最適化アップデートが配信されたため、このタイミングを期にプレイしてみるのもよいだろう。Meta Quest専用ゲームは録画や配信機能が貧弱である点は、Metaにシステムで対応してもらいたいところだ。
VRでやってみたいゲームは?
以下の表は「(10)アニメや漫画、ゲームなど、様々な作品のなかで「VRゲーム化されたら嬉しい」作品はなんですか? 具体的な元ネタがなくても「こういうVRゲームをしてみたい」でもかまいません(複数回答可)」という質問で集まった回答を集計したものだ。なお、「SAO」という票はMMORPGとしてカウントしていない。SAOのようなゲームは必ずしもMMORPGだとは限らないためだ(一般にSAOを題材にしたビデオゲームはほとんど一人プレイ用のRPGだ)。一方で、「Metal Gear Solid」という回答の場合はステルスゲームとしてもカウントした。これはタイトルから想起されるゲームプレイがはっきりと限定されているためである。
先ほども言及した通り、SAOこと「ソードアートオンライン」が圧倒的な1位となった。VRを題材にした作品の代表格ということもあり、いまだにVRユーザーの間で圧倒的な影響力を有している。それ以降は(とくになしを除くと)ガンダム、ポケモンと著名IPが続く。これらに続いてMMORPGが続くのも、かねてよりVRMMORPGという一定の共通の願望が続いていることの証左だ。アーマードコアが上位に食い込んでいるのも、ガンダムと合わせてロボットを自分で操縦してみたいというニーズを伺わせる。
ランキング | 票数 |
SAO | 17 |
とくになし | 11 |
ガンダム | 8 |
ポケモン | 8 |
MMOPPG | 7 |
アーマードコア | 6 |
オープンワールド | 6 |
ドラゴンクエスト | 5 |
アイドル | 4 |
建築ゲー・サバイバルクラフト | 4 |
フィクションの世界を鑑賞 | 3 |
ドライブ | 3 |
剣戟 | 3 |
RPG | 3 |
ファイナルファンタジー/FF | 3 |
遊戯王 | 3 |
パイロット・フライトシム | 3 |
ロボット操縦 | 3 |
異世界 | 3 |
アダルト・R18・エロゲー | 2 |
進撃の巨人 | 2 |
スローライフ | 2 |
S.T.A.L.K.E.R. | 2 |
ステルスゲーム | 2 |
美少女モノ | 2 |
.Hack | 2 |
AR/MS!! | 2 |
ARK: Survival Evolved | 2 |
アイドルマスター | 2 |
攻殻機動隊 | 2 |
大神 | 2 |
モンスターハンター | 2 |
マリオカート | 2 |
空中遊泳 | 2 |
無重力 | 2 |
鉄騎 | 2 |
鬼滅の刃 | 2 |
その他(1票のみ) | 37 |
これらのうち、5票以上獲得したジャンルのユーザーを分析した。「とくになし」と回答したユーザーはVRゲームよりもメタバースを好む比率がはっきりと高いことがわかった。おそらくメタバースのユーザーはメタバースで体験が完結している(あるいは、メタバースで完結させたいと考えている)ため「新しい体験をコンテンツ・VRゲームに求める」という欲求自体が他とくらべて低いのではないかと筆者は推測している。逆にアーマードコアと回答したユーザーはほぼVRゲーマーというのも面白いところだ。
もっともVRコンテンツに使うプラットフォームでは、SAOとポケモンの回答者がはっきりとMeta Quest Storeユーザーである割合が高いことがわかった(このアンケート調査では全体の半分がSteamユーザーだと回答しているため、これらは明確に差異だ)。もしもSAOの(あるいは、SAO風の)VRコンテンツを作ろうと考えている人がいたら、Meta Questユーザーをターゲット層にした方がいいだろう。
VRデバイスの使用頻度においては、(週1以上の時点ですでにヘビーユーザーなので)はっきりとした差は見られなかった。
回答一覧
Googleフォームで集計された回答そのままのグラフである。以上の分析に含まれていないグラフもあるので、気になる方はチェックしてほしい。
好きなVRゲームのうち、1票のみだったもの
POPULATION: ONE | V勇者のくせになまいきだR |
VRカノジョ | 7days to die(vr mod) |
PavlovVR | ソードオブガルガンチュア |
Vertigo 2 | DEMEO |
Lone Echo | カウンターファイト |
バイオハザードRE:4(PSVR2) | Contractors Showdown |
Deo VR Video Player | ボクシング(詳細不明) |
バイオハザード5(MOD) | Maestro VR |
オオカミと香辛料VR | Outer Wilds(VR MOD) |
リトルウィッチアカデミアVR ほうき星に願いを |
デュエル・オブ・ガルガンチュア(開発中止タイトル) |
Espire 2 | Boneworks |
Jet Island | Rez Infinite |
光の連隊 | エロ系(記入ママ) |
ソウルコヴェナント | Raw Data |
Robo Recall | The Thrill of the Fight |
スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー |
エースコンバット7(PSVR) |
Nostos | Fruit Ninja VR |
OrbusVR | Richie’s Plank Experience |
Blade and Sorcery | STRIDE |
カスタムオーダーメイド | Real Fishing |
All-In-One Sports VR | H3VR |
Pistol Whip | Echo VR |
National Geographic Explore VR | Ghosts of Tabor |
ZENITH | DiRT Rally 2.0 |
やってみたいVRゲームの自由記述形式の回答のうち、1票のみでその他になったもの
エルデンリング | シルマリルの物語 |
機動武闘伝Gガンダム | 海中遊泳 |
ピカチュウげんきでちゅう | Echo VRライク |
ミステリー | JRPG |
恋愛 | 日本ファルコム |
全身フルトラッキング(蹴り) | 三国無双 |
Escape from Tarkov | テラリア |
銃夢のモーターボール | Dead by Daylight |
デカいものが動く様子 | Project Winter |
PvPでオープンワールドの物理演算剣戟ゲーム | ポケモン不思議のダンジョン |
グロくないもの | ポケモンスリープ |
侍道 | リズムゲーム |
天誅 | ハリーポッター |
リアルな操縦系 | Ghost Wire Tokyo |
エースコンバット | ジブリ |
クリストファー・ノーラン | ぼくの夏休み |
ジョッキーゲーム | ゼルダの伝説 |
ABZU | 龍が如く |
風の旅ビト | サルゲッチュ |
弓矢ゲー | マルチプレイのPvE |
ログホライズン | ポケモンGO |
着せ替え・ファッション | 外出先のMRゲーム |
すごろくゲーム | 不思議のダンジョン |
FPS型のRTS | Balder Sky |
宇宙飛行士 | Halo |
VRChatの版権アバター | BattleField |
スマブラ | BFBC2 |
ぼっち・ざ・ろっく | メトロイド |
ガールズ&パンツァー | 8番出口 |
バイオハザード | VR世界をかわいいキャラで散歩 |
マクロス | マンガ・アニメのキャラの日常を眺める |
エアギア | Tom Clancy’s The Division |
ドラゴンズドグマ | 怪獣8号 |
ダンジョン飯 | 金色のガッシュベル |
Valheim | RIGS |
ダークソウル | 零(コーエー) |
グランドセフトオート・GTA | OUTLAST |
マビノギ | Rock Smith |
ドリームクラブ | ストライクウィッチーズ |
オブラディン号の帰還 | 世界樹の迷宮 |
任天堂 | フィットネスとシューティングの両立 |
スクエニ | 中華世界の鑑賞 |
国内大手ゲームのIP | スクフェスAC |
ガンバレット | ボードゲーム |
女性向けアイドルゲームの観客席 | メイドインアビス |
メダルゲーム | 宇宙 |
MGS | ファンタジー世界 |
MGSV | まともな版権VRゲーム |
牙狼 | ゼノブレイド |
ニンジャスレイヤーTRPG | アイドルマスターミリオンライブ |
Apex Legends | BattleTech |
theHunter: Call of the wild | MechWarrior |
Far Cry | Factorio |
Fallout | SIREN |
非VRとのクロスプレイ | 三国志 |
スカイクロラ | GANTS |
戦闘妖精雪風 | 俺だけレベルアップな件 |
Ready Player One | ノベルゲーム |
非ホラー | マインクラフト |
デジモン | サンドボックス |
キングダムハーツ | ディシディアFFNT |