Home » Meta Quest 3とは? 性能や特徴など今分かっていることまとめ


Meta Quest 2023.08.09

Meta Quest 3とは? 性能や特徴など今分かっていることまとめ

Meta社は新型VRヘッドセットMeta Quest 3を2023年後半に発売します。価格は明らかになっているものの、現時点ではスペック等は不明なところも多く、詳細が発表されるであろう9月の「Meta Connect」に注目が集まっています。本記事では、2023年7月末現在判明している「Meta Quest 3」の情報をまとめます。

Meta Quest 3とは?

「Meta Quest 3」は、Metaが開発中のVRヘッドセットです。価格は74,800円、2023年秋の発売予定とされています。名称から分かるとおり、本デバイスは「Meta Quest 2」の後継機種で、初代のQuestから3代目のモデルです。記憶容量は128GBと発表されています。

いわゆる「一体型(スタンドアローン型)」であることが最大の特徴です。PCやスマホに接続しなくても、本体を装着して電源を入れるだけで、そのまま使うことができます。使用中にケーブルを接続する必要もありません。モノにケーブルが絡まったり、接続が外れて使えなくなったり等が無く、自分の身体の動きを気にせずに、自由に動けます。

本体のみの使用だけでなく、PCとケーブル1本で接続する機能「Oculus Link」や、無線でPCと接続する機能「Air Link」用意されています。本体のみでは体験できないようなハイクオリティなVRコンテンツを楽しめます。例えば、Steamで配信されているPC向けのVRゲームや、「VRChat」のような大規模なメタバースを体験するときに活躍します(なお、接続するPCはミドル〜ハイエンドのGPUを搭載したゲーミングPCが必要です)。

Meta社は10年近くVRデバイスの開発に力を入れており、最近は特に単独で動くスタンドアローン型に注力してきました。世代を重ねるごとに、高解像度、軽量化、性能の向上が図られており、「Meta Quest 2」は販売台数が推計2000万台以上とされています。そのため、最新デバイスとなる「Meta Quest 3」には高い期待が寄せられています。

現在分かっている性能は?

最も解像度の高いディスプレイとパンケーキレンズを採用

「Meta Quest 3」では、今までで最も解像度の高いディスプレイパンケーキレンズを採用しています。パンケーキレンズとは、その名の通りパンケーキのように薄いレンズのことです。VRデバイスではこれまでフレネルレンズというレンズが主流でしたが、パンケーキレンズを採用することで、デバイスの小型化・軽量化に繋がります。最近では「PICO 4」「MeganeX」「Bigscreen Beyond」と、最新機器で多く採用されています。

解像度に関して具体的な数字は発表されていませんが、「Meta Quest 2」が両目で3664×1920なため、それ以上であることが確定しています。

次世代チップセットを搭載

一体型のVRヘッドセットはスマートフォンのような他のモバイル機器に比べて、非常に多くの処理を行わなければいけません。そのために重要なのがチップセットの性能です。

「Meta Quest 3」は、多くの画素数を実現するため、Qualcomm Technologies社と共同で開発した次世代Snapdragonチップセットを初めて搭載。この次世代Snapdragonチップセットは、「Meta Quest 2」で採用されている「Snapdragon XR2」のGPUに比べて2倍以上のグラフィック性能を実現しているそうです。

Meta Quest 2と比較して40%スリムに

まだまだ大きくて重いという印象もあるVRヘッドセットですが、近年では各企業が小型・軽量化を目指す流れとなっています。「Meta Quest 3」の場合、ヘッドセット部分が40%スリムな光学設計になったと明かされました。「Meta Quest 2」の場合、前面に重量が傾いていたため、長時間快適に使うには「Elite ストラップ」が推奨されていましたが、今回のデザイン変更により重量やバランスの改善が期待できます。

シンプルになったコントローラー

「Meta Quest 3」のTouch Plusコントローラーは、人間工学に基づき、より簡素化されたデザインに刷新されました。外側のトラッキングリングがなくなり、省スペース化。また、2022年に発売されたMeta Quest Touch Proコントローラーで初めて搭載されたTruTouchハプティクスを採用し、リアルな感覚を味わえるようになります。

さらに、「Meta Quest 3」をMeta Quest Touch Proコントローラーにアップグレードすれば、ワンランク上の体験が可能に。他にも、「Meta Quest 2」にも導入された「ダイレクトタッチ」を使えば、コントローラーがなくてもハンドトラッキングでメニューを操作ができます。

Meta Quest 3が提供するMR体験、“Meta Reality”

Meta社ではMR(Mixed Reality)を「Meta Reality」と呼称しており、最先端のVRとMRの両方が1つのデバイスで体験できる、Meta初のコンシューマー向けデバイスとして、「Meta Quest 3」を大きく宣伝しています。

本デバイスには、「Meta Quest 2」にはなかったカラーパススルーが搭載。ヘッドセットの前面には2つの4メガピクセルのRGBカラーカメラ、プレイエリアをより正確に表現する深度センサーが埋め込まれています。

これにより、現実の景色をフルカラーで見られるだけでなく、現実とバーチャルが合成したようなコンテンツを楽しめます。また、立体映像を映し出し、それらに干渉する体験が可能。例えば、キッチンテーブルの上で「デメオ: ダンジョン アドベンチャー」のボードゲームをしたり、「Painting VR」でリビングルームに自身の作品を飾ったりできます。

なお、「Meta Quest 2」でのパススルーは白黒で画素も粗く体験の質は低かったですが、!「Meta Quest3」では比較して10倍以上の画素数のパススルーなどの機能が盛り込まれているとのこと。Meta社のCEO・マーク・ザッカーバーグ氏は、自身の公式インスタグラム上で「Meta Quest 3」を使ったMRゲームのプレイ映像を公開。フルカラー化されただけでなく、画質の向上やマルチプレイゲームを楽しむ様子が見て取れます。

具体的にできること

基本的に「Meta Quest 2」から多くの機能が引き継がれています。Quest 2で可能なことは、Quest 3でもできると考えて良いでしょう。具体的には、以下の用途が想定できます。

・映画やライブ映像を見る(2D、VR映像)
・VRゲームで遊べる
・ソーシャルVRに参加できる
・仕事(会議やメール)などに利用できる
・SNSやウェブ検索もできる

VRゲームや映像視聴であっても、機能の向上やデザインの変化により、より快適に体験できると予想できます。また、500以上のVRゲームやアプリなど、Meta Quest 2のコンテンツとの後方互換性があります。

Meta Quest 2との比較

Meta Quest 3 Meta Quest 2
価格 128GBモデル:74,800円(税込) 128GBモデル:47,300円(税込)
256GBモデル:53,900円(税込)
解像度 Meta Quest 2以上 3664×1920
重量 不明 503g
レンズ パンケーキレンズ フレネルレンズ
チップセット 次世代Snapdragonチップセット Snapdragon XR2
コントローラー Touch Plusコントローラー Touchコントローラー
パススルー カラーパススルー パススルー(単色)
Oculus Link、Air Link 対応 対応

Vision ProやほかのVRヘッドセットとの違いは?

Appleが2023年6月に発表した新デバイスVision Proは、「Meta Quest 3」と近い時期に発表されたデバイスですが、「Vision Pro」は「空間コンピュータ」という異なるコンセプトを示しています。現実空間にデバイスが映し出す情報を重ねる部分は共通ですが、こちらはつまみで“現実の風景の割合”を変更可能です。また、コントローラーは使用せず、手や視線での操作が基本となっています。つまり、“身につけるコンピューター”と言えるかもしれません。

一方、「Meta Quest 3」はQuestシリーズの延長線上となっており、これまでどおりVRコンテンツを楽しむエンターテイメント向けデバイスであると思われます。それに加えてMRも体験可能になっていますが、現時点で発表されたアプリは、同じくエンターテイメント寄りとなっています。

なお、価格に関しては、「Vision Pro」は3,499ドル(約48万円)と、大きな開きがあります。「Meta Quest 3」は価格が安く、一般ユーザーでも比較的手に入りやすいうえ、コンテンツが充実している強みがあります。

「Meta Quest 3」とそれ以外のVRデバイスを比べると、最も近いコンセプトなのは、カラーパススルーが使えるスタンドアローン型VRデバイスの「Pico 4」です。同じくVR・MRに両対応したデバイス「VIVE XR Elite」は、高性能かつ軽量なメガネ型にも可変するモデルです。サイズの小さいヘッドセットには「MeganeX」や「Bigscreen Beyond」が発表されていますが、両方ともPC接続が前提の機器です。

詳細はいつ分かる?

今年9月27日(米国時間)に開催する「Meta Connect」の基調講演で発表される予定です。また、さらにデータ容量が必要な利用者のために、より大きなストレージモデルも提供すると明かしています。

VRゲームは「Gaming Showcase」に20以上の新作が発表されており、発売に向けてラインナップはさらに充実する予定です。ローンチには大作VRゲームAsgard’s Wrath 2も発売されると明かされており、「Meta Quest 3」をフル活用した体験が期待できそうです。

公式サイトはこちら


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード