手と指をトラッキングするセンサー「Leap Motion」を開発・販売する米国のLeap Motion社から、新しいコンセプト動画が発表されました。この動画では、ARやVRの世界が現実の世界と重なる、パラレルワールドのような世界が描かれています。
現実世界がVR化、様々なアクションが可能に
「Mirrorworlds(ミラーワールド)」と名付けられたこの世界は、現実の世界の画像を捉え、マッピングします。そして現実に存在する家具や草木、人などをVRの世界のデジタル映像に変換します。つまり、現実世界の物全てを包み込む、果てしないVR空間が完成するーーということです。
同社のデザイン部門責任者、Keiichi Matsuda氏は公式ブログの中で次のように述べています。「ミラーワールドは、我々の周りにある物理的なモノも(VRに)変換することができます。例えば手に取った鉛筆を魔法の杖に変えたり、テーブルをタッチパネルに変えたり……。(中略)VRの世界で、自分の手や体、声を使うことも可能です」
そして「ミラーワールドは、人々をその場から動かすことなく、(VR空間へ)没入させます。人々はそこにいるままですが、しかし現実世界の別の空間に立っているのです。周りを見て、他の人とコミュニケーションすることも、歩いたり椅子に座ったりすることもできます。それと同時に、火の玉を発射したり、複雑な3Dモデルを構築したり、といった(現実には難しい)ことも可能です。(中略)ミラーワールドは現実空間というものの意味合いを変え、その場で出来ることを劇的に増やしてくれます」と続けています。
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(遠隔地から手術に指示を出すイメージ画像)
このミラーワールドは、学術的には「Augmented Virtuality」(オーグメンテッド・バーチャリティ)という概念に含まれるものですが、「Leap Motionはよりわかりやすくミラーワールドという言葉を使う」とMatsuda氏はGDC2018での講演で語っていました。
Leap Motionは、この技術コンセプトによって高度な社会的コミュニケーションを実現しようとしています。Matsuda氏は、「基礎的な段階では、他の人の存在は人型で形作られるだけです。次第に、人の形を認識すると、アバターで表現できるようになります」とも記しています。
実現に向け、技術的な制約は少ない
最終的に同社が思い描くのは、人々が家の外に出て、道を歩き、飛行機に乗る、といったことを、VR空間での体験を損なわずに現実で行える世界です。
ミラーワールドが現実化すれば、たとえば医師が遠隔地からリアルタイムで手術に指示を与えたり、VRの世界で画像を見ながらジョギングを楽しく行ったり、ということが可能になるでしょう。様々な産業で応用が考えられます。
この技術のリリース時期について、Matsuda氏は楽観的な見方を示しています。同氏は、「この未来の技術は、皆さんが思っているよりも近い将来に実現するでしょう。現在のハードウェア技術を使えばほとんど実現可能で、技術的な制約は多くありません。残された課題は、我々がどのような世界を作りたいのか、コンセプト化、優先順位づけし、その世界を構築していくことです」と述べています。
Leap Motion社は、2010年創業。当時はPC用のモーションコントローラー「Leap Motion Controller」を開発していました。その後VRヘッドセット向けデバイスとしての可能性を模索するべく路線を変更、VR向けのハンドコントローラーとして展開しています。手と指とトラッキングするセンサー「Leap Motion」は、VR向けのコントローラーとして、各種VRヘッドセット向け開発ツールや一体型VRヘッドセットへの組み込みをサポートしています。
また自社を「人間とコンピュータのインターフェースを常に考えてきた会社」と位置付け、デジタルな世界と物理的な世界が融合する未来が、VRに端を発して始まりつつある、としています。
今年4月には、デジタルな世界と物理的な世界を一連のものとして体験できるARのプラットフォームとして、ARデバイスのプロトタイプ「Project North Star(北極星)」を発表。2つの世界の融合を目指しています。
現実の世界とAR/VRの世界が重なるミラーワールドも、同社の目指す未来像への一歩となるものです。
(参考)VRScout
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