XRやメタバース業界で伸びている企業の採用担当者やエンジニア、マーケターなど様々な分野からゲストを招いてお話を聞く採用イベント「XRメタバース転職説明会」。
その第2回が、2022年5月26日に開催されました。この記事では、その過去のイベントの模様をレポートしていきます。ゲストは、Psychic VR Labの人事を担当する江口夏絵氏とSynamon テックリードの松原達郎氏さんです。
Psychic VR LabとSynamonってどんな会社?
――Psychic VR Labの紹介をお願いします。
江口夏絵氏(以下、江口):弊社は『STYLY』という、XRのクリエイティブプラットフォームを提供している会社です。XR版のYouTubeとたとえさせていただいていますが、アーティストやクリエイターが自由に作品を表現する場として使っていただいています。
クリエイティブと謳っている通り、単に作品を発表する場所を提供しているだけではなく、制作ツールとしてAR/VRなどの作品を、ウェブブラウザ上で作ることができる『STYLY Studio』というツールも提供しています。初心者から上級者まで、多くのクリエイターに使っていただいていますが、最近はARのオクルージョン機能に対応したり、「Modifier」と呼ばれるオブジェクトを簡単に動かしたり変化させたりすることができる機能が追加されるなど、いろいろとできることが増えてきました。
――Synamonの紹介をお願いします。
松原達郎氏(以下、松原):Synamonは設立日が2016年8月で、そこからビジネス向けVRの『NEUTRANS』というサービスを使ったVR会議システムを展開していました。最新ニュースとしては、そこから別路線としてメタバース全振りのサービスを作っています。(※2022年12月現在は「SYNMN」としてオープンベータ版がリリースされています)ビジネスで使うというよりは、3D技術を使ったバーチャル空間を構築して、人々の交流や空間の中で活動できる仕組みを開発しています。
Psychic VR LabとSynamonでエンジニアの年収が変わる基準は?
――エンジニアの年収は、何を基準に変わっていくのでしょうか?
江口:いろいろな要素はあると思いますが、大きくふたつの軸があります。ひとつは開発スキルです。今いる会社でも転職先でも求められるスキルがあるかどうかというのは、一番重要だと思います。もうひとつは、ビジネス的な視点が持てるかどうかというところです。どこも基本的には事業会社として、利益を生み出すために開発をしています。会社の発展のために、今必要なエンジニアリングは何か考えて行動できる人は、組織の中でも活躍することができます。そのため、自然と評価も上がり年収アップにも繋がっていきます。
――新卒でもいきなり高い年収をもらうことができるのでしょうか?それとも何社か経て転職されたほうが高くなるのでしょうか?
松原:新卒の方の採用をこれまであまりやってきたことがないので、なんともいえないところですが、新卒でもスキルの違いによって多少の年収の差は出てくると想定しています。新卒でスキルが高い人がいたら、中途の社会人と同じぐらいの年収を最初から稼ぐことも不可能ではないかなと思います。
ただ、先ほどふたつ目の基準としていわせていただいた、ビジネスとしての動き方や考え方は、社会人として何年か経験してから身につくものです。少し開発ができるからといって、中途で5~6年やってきている人と同じ金額になるのは、結構難しいのではないかなと正直思います。
エンジニアの市場価値は年々上がってきている
――海外のGAFAMなどは、新卒でも結構な額を出しています。日本のゲーム企業もメタバース関連で人材が取られないように、少しずつ年収を上げる動きが出ています。そうした状況を見ながら、年収をどうしようといった会議はされていますか?
江口:年収対策会議みたいなものは、やっているわけではありませんが……(笑)。エンジニアの市場価値は年々上がっているので、それに正しく答えられるような体制を作っていきたいという話はしています。ただ、単純に人が欲しいから、社内にいるエンジニアと比べてスキルはないけど上乗せしていこうというようなことは、あまりやっていません。
会社の利益が上がってそれが社員に還元されていくというのが理想だと思うので、それができるように頑張っていきたいなと思っています。
松原:いわゆる社会人経験というか、仕事の仕方を覚えてからスタートするというところがあります。割と経験がものをいうところがあり、それをベースに年収は上がっていくというのが一般的です。そこにエンジニア的な目線でいうと、たとえば技術一点突破ですごい人だったり、この領域になら右に出るものはいなくて、確実な相談役としてのポジションを確保できたりする人は、年収が高いイメージです。
それとは別に、雑に仕事を投げてこなしてくる人は少なくて、エンジニアは「こういう範囲でしか仕事を受けません」という人が多い職種です。雑に仕事を投げてた時に、「こういうことなのでこういう風に仕事を進めていっていいですか?」といった、解釈をかみ砕いて仕事ができる人も、年収が高くなる目安なのかなと思っています。
プロジェクトの調整役はどの開発にもいますが、プロジェクトがスケジュール通りうまくいくのはなかなか難しくて、割とふわっとしたスケジュールの中で動くと、着時点が揺れたりすることが多くあります。そうしたプロジェクトを管理して、ちゃんとした着地点に導くPM(プロジェクトマネージャー)的なポジションの人は、外すことができません。そうしたところを抑えることができる人は、スキルが豊富で年収が高いイメージがあります。
人とのコミュニケーションは苦手だけで年収を上げたい人はどうすればいいの?
――人と関わるのは苦手だけど年収は上げたいという人は、どうすればいいのでしょうか?
江口:人と関わることを避けるのであれば、圧倒的な技術力を高めることかなと思います。ただ、高い技術を持っている人は、それを他の人に教えたりサポートをしたりということを求められます。会社の中でエンジニアとして働いていくとなると、人と関わるのは避けて通ることはできません。
人と関わるのがマネージメントをするだけではなく、誰かのサポートをしてあげたり、一緒にものづくりをしたりするのも、組織に貢献できる要素です。少しずつでも、うまい関わり方を身に付けていったほうがいいのかなと思います。
松原:コミュニケーションを避けて自分が不利な状況に陥ることが、エンジニアでは結構あります。コミュニケーションを取らざるをえない相手が技術に詳しくないときに、自分に対しての仕事量を多く割り当てられたり、無理なスケジュールを立てられたりしてしまうことがあります。そうしたときに、コミュニケーションを取って解決することが必要です。
自分の責任範囲を明確にするためにコミュニケーションを取るというやり方もありますし、自分が取れる選択肢を相手に提示することで、コミュニケーションしやすくなるということもあります。開発のプランで、松・竹・梅というのがあったとして、どれがいいですか? という感じで、相手に選ばせるようにするコミュニケーションもありなのかなと思います。
対話をしていく中で相手の意志決定を求める必要がある場合、開発の方からコミュニケーションを取らなければなりません。苦手なら苦手なりに、コミュニケーションのやり方は結構あります。
年収800万円のエンジニアになるにはどうすればいいの?
――年収800万円のエンジニアは、どんなスキルや資質を持っていますか?
江口:高い開発スキルを持っているのは大前提です。あとは、事業を発展させていくための判断力や知識を持っていることも、必要になってくるのかなと思います。いわれたからやるのではなく、目標を達成するためにはこうするべきなどいろいろとあるなかで、今何を優先するのかという判断を自分でできるかどうか。そうしたスキルも、高レベルのエンジニアは持っている必要があります。
チームで開発をしているので、その中でしっかり力を発揮することができる人かどうかということもあるのかなと思います。マネージメントもそうですし、技術面からもチームの力を底上げして引っぱっていくことができる人かどうかというところが、このレベルのエンジニアに求められるところです。
松原:エンジニアの仕事には必ず終わりがあります。その終わりを、必ず考えられるエンジニアは年収が高いのかなと思っています。同じ活動を延々としている人や、プロジェクトの進捗に対して何かしら影響が出る行動が出る人は難しいのかなと思います。なので、プロジェクトをちゃんと終わらせることができるエンジニアは、年収は高いイメージがあります。
エンジニアの中でも、UX(ユーザー体験の改善)をひたすら追求していく人もいます。なので、その辺りはポジションによっても変わってくるのかなというイメージです。どちらも、基本的にスキルが高くないといけないということが前提になります。どちらの傾向にあるのか自分で分析して、進んでいく方を考えていけばいいのかなと思います。
――単純にスキルがあるだけではなく、コミュニケーション能力は必須なのですね。
江口:上の立場の人に対しても、開発視点から意見をいうのも重要なことです。そうしたものも求められてくるのかなと思います。
XRやゲーム業界以外からの転職者も多い
――エンジニアとして、UnityやUnreal Engineのスキルをどのように磨いていきましたか?
松原:私自身がVR関連のスタートアップに勤めていたということもありまして、Unityを使うことが多かったので自然とスキルが身につきました。Unity案件では、PC向けVR以外にも、スマートフォン向けやスタンドアローンのデバイス向けなど複数のデバイスを開発経験として多かったことも、スキルを磨けた理由にあげられます。
Unityを使って各デバイスごとに開発をしていると、このデバイスなら動くけどこのデバイスでは動かないということがあります。そういった開発での問題に対応しているうちに、Unityから徐々に開発できる範囲が広がっていったというイメージですね。
――それぞれ転職で入社される方々は、どんな業界でスキルを磨いて来られる方が多いですか?
江口:弊社の場合、エンジニアはXR業界かゲーム業界以外から来ている人の方が、圧倒的に多いですね。IT系でも全然関係ないものを作っていた人たちで、仕事上ではUnityは全然使っていなかったものの、個人的にVRが好きで自分でUnityを勉強して個人制作で作っていたら楽しくなったので、本格的に仕事にしたいと思い入社したというような方が一番多いです。
なので、業務でやっていたからとかではなく、そこにすごく興味があって自分で学んでという人が多いです。そうしたパターンだと、今エンジニアでなくてもいいと思います。とにかくいろいろと作っていく課程で、スキルを身に付けていくというのが、外から入ってくる人は一番いいのかなと思います。
――スタートアップの年収が最近は上がってきたという印象はありますか?
江口:多くのスタートアップの給与状態を知っているわけではありませんが、スタートアップは新しいものを生み出しているフェーズにあります。それだけ成果を出している人の集まりだと思います。しっかり出した成果に対して評価した結果、年収が年々上がっていくのは自然な動きとしてあるのかなと思います。
XR業界が盛り上がるほど、そこに集まってくるエンジニアの年収の平均額も上がっていきます。そうした形で、最近は少しずつ上がってきているのかなと感じています。
松原:年収自体が上がっている印象はありますが、実はそこは落とし穴があるかなと思っています。転職を繰り返すほど年収が上がるというのがありますが、会社をまたぐことで身に付けるスキルも違います。取得言語であったり使用しているライブラリやフレームワークなどが会社によって異なったりします。ある意味、個人が開発している範囲がどんどん広くなっていっているイメージですね。
総合力ではありませんが、ひとりのエンジニアがこなさなければいけない知識や、作業範囲はどんどん広がっている印象があり、その理由で年収が上がっているのではないか、というイメージを持っています。逆に、職人気質のエンジニアの採用が難しくなってきているのではないかと、私個人では思います。
自分をアピールするポートフォリオはどんなものが必要?
――面接に来られる方は、どんなポートフォリオを持ってこられるのでしょうか?
江口:エンジニアの方だと、ポートフォリオとしてGitHubを見せていただくことが結構あります。私は採用担当でエンジニアではないので、コードだけ見せられてもこの人が優秀なのか綺麗なコードを書いているのか、分からないことがあります。それだけではなく、GitHubの中にWikiを書いておいてもらうとか、何かアウトプットされているならば綺麗にまとまっていなくてもいいので、ひとまとまりになっているものを渡していただけるとありがたいですね。
そうすると、この人いろいろと作れそうだなというのが視覚的にわかり、エンジニアと話をしてもらおうかなとか、もう少し詳しくエンジニアにこの人のコードを見てもらおうかなという橋渡しができます。
弊社に限らず、エンジニアが目を通す前に、採用担当がその方のポートフォリオや経歴をチェックするところが多いと思います。そのため、エンジニアではない人がわかるようなものを、用意しておいていただけると助かるなと思います。
――それは紙でまとめてこられる方が多いですか? それともウェブ媒体でまとめている方が多いですか?
江口:紙はほぼないですね。ウェブサイトにまとめられている方もいらっしゃいますし、職務経歴書の最後に、これまでの制作物みたいな感じでURLを記載している方もいます。そういう形でも確認できればいいので、ポートフォリオ自体がひとつの作品になっている必要はありません。
松原:私も、候補者の方のGitHubを見させてもらうことが何回かありました。私がエンジニアということもありますが、コードの実装の方を見られやすいのかなと思います。実際に候補者からGitHubのリンクを頂いた場合、どのようなコードを書いているのか、どのようなソフトウェア設計をしているのかといったところや、どこかのサイトからコピペしてないかなどはチェックしています。エンジニアの癖というのはコードに出やすです。自分が開発しているところを他人から見ても見やすくしておくのがポートフォリオなのかなと思います。
半分趣味アカウントにしている人もいますが、エンジニアはツイッターでこうしたものを作りましたと公開している方もいます。そうしたSNSを使ってポートフォリオ的に見てもらうのも、やりやすいのかなと思います。
――年齢的な制限はありますか?
江口:弊社の組織では、20代前半から40代まで幅広い年代の方がいらっしゃいます。なので、40代だからエンジニアリング初心者だからダメとかは全然ありません。その人が何年やってきたかではなく、今何ができるのかというところをシビアに見ています。
松原:元々前職でゲームの開発で3Dのモデリングをしていたという人や、サーバサイドやビジネスソフトの開発をしていたという人も多いですね。ゲーム業界とスタートアップで働いていたという人が、半々ぐらいです。今はしていませんが、それこそ新卒で未経験で入った方もいます。どちらかというと、VRにおける熱意をどれだけ持っているかで入っている人が多い印象です。
どんな人が採用されるのか?
――現在募集中のポジションで、どんな人が合うか合わないか教えていただけますか?
江口:Psychic VR Labでは、エンジニアの求人はウェブ系のフロントエンドとサーバサイドと、Unityエンジニアも募集しています。エンジニア全体としていえることでは、私たちはプラットフォームを作っている会社なので、特定のコンテンツではなく多くの人に触れるプラットフォームの開発・提供にやりがいを感じることができるかどうかが、向き不向きに関わってくるかなと思っています。
弊社の場合、社内で勉強会をやっていたり、外部の勉強会やイベントに積極的に出向いていったりするタイプのエンジニアが多いので、そういうことが好きな人はカルチャー的に合うのかなと思います。
松原:うちでも引き続きUnityの開発者を探しています。まったくUnityしかできませんという人よりも、割と広く開発しているなど、特定のポジションに特化している人が欲しいのですが、開発責任のようなエンジニアもやりますしプロジェクトの調整もやりますという人が来てくれると嬉しいですね。
最近でいうと、リアルタイムネットワークエンジニアという職種の募集も増えています。総合的に開発できる人も、専門的にやっていただけるエンジニアの方も両方とも採用しています。
私どもも、メタバースのプラットフォームを作っていきますので、VRやメタバースに掛ける熱意を持った方がやっていけると思います。
イベント参加者からのQ&Aコーナー
――仕事でXRの技術を使用することはありますか?
江口:弊社の場合は、エンジニアは特に日々の開発の進捗ミーティングは、『STYLY』を使ってVR空間の中でやっています。
松原:ヘッドマウントディスプレイを使って仕事をしているかどうかという話だと、エンジニア自身がアプリケーションの開発を行っているので、通常はプログラムを書くための開発環境の画面を、ずっと眺めている時間のほうが長いのかなと思います(笑)。
――貴社で副業をするのは可能ですか?
江口:業務委託やパートタイムとして参加していただいている方もいます。業務委託やパートタイムの方にお仕事を振るときは、タスクベースで切っていることが多くなっています。
業務委託の方の話によると、自分で考えて作ってくださいというよりは、ある程度弊社側でコントロールしやすいタスクを切ってお任せをすることが多い状況です。仕事に対して、自分の思ったことややりたいことを直接仕事に反映することができないことが結構あります。
話していてやりたいことはわかるのですが、こちらの要望としてはこうせざるをえないというところもあり、本人がやりたいこととは別のこともやってもらっています。その割り切りができるかというところが、ターニングポイントというか可能性を検討するところだと思っています。
松原:業務委託ですと、一部の業務を切り取ってお願いするか、週5日フルコミットで参画して頂く形になります。ちなみに、弊社での業務がメインで、他の会社で副業することは可能ではありますが、半分半分というのは今はやっていません。弊社でフルに働いていただいた上で、プラスアルファで副業するのであればどうぞという形です。
――大学院でXR表現について研究制作をしていましたが、今年新卒でXRをほとんど扱わないIT系で働き始めました。やはりXRのフィールドで働きたいという思いが強いのですが、今の会社で社会経験を積んでから転職するか、早めに転職するか迷っています。転職についてアドバイスをいただけますか?
江口:すごく大事な決断になるので安易に断言はできませんが、今いらっしゃる会社でどのような経験が積めるのかにもよると思います。学生時代にXRについていろいろとやってきた中で、そこでのスキルがどの程度付いているかにもよって、今すぐにでも動いてしまった方がいいのか、今の会社での経験も将来的に見ると貴重だから1~2年頑張った方がいいとか、もう少し詳しい話を聞いてみないとちゃんとした話はできないというのが正直なところです。
ただ、こういう状況であれば、いろんな会社にカジュアル面談を申し込んで、詳しくご自身の状況を説明してどう動いたらいいのか、アドバイスをもらうという動きぐらいはしてもいいのではないかなと思います。
松原:XR関係のデバイスやソフトウェアはたくさん出てきて、XRやメタバースもたくさん出てきています。まだ開拓している段階です。たくさんのデバイスも出てきますし、それに見合った開発ソフトウェアも出てきます。それ自体完成はまだしておらず、どんどんバージョンアップを繰り返しています。バグに気付くことができるかは、経験がものをいいます。
いきなりXRの業界で働きたいと思っても、実力がそれに追いついていない仕事として成立しないという問題もあります。自分がある程度の実力を持ったタイミングで、XR業界に入り直すことを検討する必要があるのかなと思います。あとは自主判断にお任せします。
――ポートフォリオでは、Blenderなどでモデリングしたものなど、応募の段階でアピールする人は多いですか?
江口:職種にもよりますが、Blenderなどを使った3Dモデリングとかをするようなポジションの方は、応募書類に付いていることが圧倒的に多いです。付けておいてくれた方が、こちらとしては助かります。
松原:おそらくクリエイターの方だと思いますが、デッサンなどモデリング以外の能力が見られるものも提出するのがいいのではないかと思います。
――Unity専門でゲーム開発をしてきましたが、ネットワークに関する転職をしようと考えています。スキルとしての幅を考えたときに、Unityの機能やライブラリーに頼らない方がいいでしょうか?
松原:ここは判断が難しいところです。Unityのライブラリは特殊な事情があり、いわゆるオープンソースで公開されているC#のライブラリは動きません。アセットストアで有料販売されているネットワークシステムや、クライアントを使うことが一般的です。そこをゼロベースで始めるのは、リスクがあると思います。
本当にやるのであれば、まったく違う言語でサーバーを立てて、そことネットワーク通信ができるかということをやったり、本を読んだりということもいいと思います。通信技術の本を読んで、まずはどんな技術があるのかというところから入っていくのがいいのではないでしょうか。
Unityの中で使用されているネットワークのパッケージは、結構ブラックボックス化しています。こちらに関しては、本当に手探りでやって自分が一番やりやすい方法で身に付けていくしかないのかなと思っています。
――国内のメタバース市場が、他国と比べてそこまで拡大しないのではないかと思っています。どのように、この部分を克服しようとされていますか?
江口:Psychic VR Labの場合は、日本国内で戦っていくというよりは、私たちが海外の市場に出ていって戦おうと思っています。たとえば、日本人が英語を話す能力が低いのであれば、英語を話せる外国人を雇えばいいという考え方です。日本国内にいるのがデメリットであれば、それを解消できる場所で人や環境を見つけていけばいいのかなと考えています。なので、そこまでネガティブな考えは持っていません。
松原:海外でメタバースは、コミュニティの一環として活動している方が多いのかなと思っています。逆に日本はコンテンツ力が強いところがあります。漫画やアニメというところからメタバースを使っていけば、十分に戦えるのではないかというイメージはあります。単純にメタバースというだけではなく、複合的な要素を持って活用していくという方針であれば、十分に通用します。
XRやメタバースが盛り上がらないと年収は上がらない!
――最後におふたりからメッセージをお願いします!
江口:今日はテーマが年収についてということで、いろいろとお金回りの話をさせていただきました。仕事をする上でお金を稼ぐということは大事なポイントですが、自分のやりたいことをして充実した人生を送ることも大事なことです。年収の金額だけに捕らわれずに、自分のやりたいことが何かということも、しっかりと軸として持っていて欲しいですね。皆さんの今後のキャリアが、いい方向に進んでいくことを願っています。
松原:今後XR界隈やメタバース界隈が盛り上がらないと、年収は上がらないのかなと思っています。皆さんの熱意が、ある意味XRが盛り上がって、それがエンジニアの年収を上げていくことにも繋がります。熱意を持って、この業界に飛び込んでもらえると嬉しいですね。
――本日はありがとうございました!
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