logo

XR・メタバース・VTuber求人

Home » 「XRは手段でしかない。だからこそ、面白い」博報堂プロダクツのプロデューサー/ディレクターが夢見る、新技術と表現の未来


Mogura VR Job 2023.07.21 sponsored

「XRは手段でしかない。だからこそ、面白い」博報堂プロダクツのプロデューサー/ディレクターが夢見る、新技術と表現の未来

博報堂プロダクツでXR事業に携わるプロデューサーとディレクターのお二人に、広告・プロモーション領域でXR技術を扱う魅力について伺いました(求人ページはこちら)。

1930年代に生まれたという前身技術までさかのぼれば、バーチャルリアリティや3Dビジュアルを用いた表現には100年近くの歴史があります。とはいえ、この手法が「新たなエンターテインメント」として人々に受け入れられ、「産業課題を解決するテクノロジー」だと本格的に期待され出したのは、ごく最近のことです。

世界各地で生活者の情報メディア環境が多様化し、企業のマーケティング・コミュニケーション施策が複雑化するにつれて、広告・プロモーション領域の「常識」も大きな変貌を遂げています。XRコンテンツ制作やメタバース構築が、顧客体験を設計・演出する手段としての存在感を強め、活躍の場を広げているのです。

印刷、音声、映像、放送、ゲーム、Web、AI――。新旧さまざまなメディアが混在する現代社会で、広告表現による「課題解決力」を高めつづけようとする会社があります。2005年に関係3社の統合合併で生まれた、博報堂プロダクツです。

博報堂プロダクツは、「こしらえる」という創業以来の武器で、専門性と実施力を兼ねそろえた博報堂グループの総合制作事業会社です。時代の変化に応じて、新しいデジタルテクノロジーを活かした広告クリエイティブを社会に送り出し、人々の心身を動かすこと。その使命を担う現場には、どのような魅力があるのでしょうか。

博報堂プロダクツでXR活用に取り組むお二人が、この問いに答えてくれました。お話を伺ったのは、XRクリエイティブチームでチーフデジタルプロデューサーを務める福田里佳子さんと、テクニカルディレクションチームでテクニカルディレクターとクリエイティブディレクターを兼任する熊谷周太さん。

2015年頃から広告・プロモーション領域でのXR活用に取り組んできたという同社。その取り組みを牽引してきたお二人は、広告クリエイティブ制作の今とこれからを、どのように見ているのでしょうか。「『XRだけじゃない』からこそ、この会社でXRに取り組むことが面白い」と語るお二人に、これまでの取り組みの内実と、その醍醐味を聞きました。

熊谷周太 / Shuta Kumagai
株式会社博報堂プロダクツ デジタルデザイン部テクニカルディレクションチームチーム テクニカルディレクター /クリエイティブディレクター。テクノロジー×クリエイティブでコミュニケーションや体験の企画〜実装をディレクション。toC領域だけでなくtoB領域の実績も多数。デジタルハリウッド大学特別講師。

福田里佳子 / Rikako Fukuda
株式会社博報堂プロダクツ クロスメディアプロデュース部XRクリエイティブチーム チームリーダー / チーフデジタルプロデューサー。元エンジニアのテクニカルプロデューサー。 AR / VR / MR を活用した、体験コミュニケーションのプロデュースを多数行う。代表案件は「MRミュージアムin京都(第5回イベントアワード最優秀賞受賞 経済産業大臣賞)」 など。


(博報堂プロダクツのライブ配信スタジオ「TOYOSTREAM」)

XRは制作事業会社としての「総合力」を発揮できる「新領域」

——御社はいつ、XRチームを立ち上げたのでしょうか。その狙いと併せてお聞かせください。

福田:2015年頃、R&Dの一環としてXRを広告に活用するためのプロジェクトが立ち上がり、2016年、本格的に組織化されました。その狙いは、次世代のコミュニケーションの可能性を模索することです。

元々、広告・プロモーション領域のマスコミュニケーションは、新聞や雑誌などの紙媒体でのグラフィック表現や、テレビでの映像表現が中心でした。最近では、WebやSNSでの多様なコミュニケーションが盛んですが、いずれにしても、マスコミュニケーション表現の多くは「2Dの世界」で行われるものだったわけです。

「次世代のマスコミュニケーションとは何か」という考えは、テクノロジーの進化とそれを受け入れる生活者のライフスタイルで変化していきますが、現時点では「3D空間におけるコミュニケーション」が答えの一つになり得るのではないかと。

熊谷:2015年当時、すでにARやVRを活用したプロモーションは登場していました。ただ、あくまでも飛び道具的な使われ方というか、話題を呼ぶためのものに留まっていたと思うんです。組織としてより本格的な活用を模索するために、XRチームを設立しました。

福田:博報堂プロダクツの「総合力」を生かせるという判断もありました。XR/メタバースを広告・プロモーションに活用するなら、3DCGはもちろん、さまざまな表現をさまざまなメディアで組み合わせることが理想です。私たちは総合制作事業会社として、映像や音楽、Webメディア、リアルイベントなども含めて、領域横断的なプロモーション・アクティベーション施策を手がけています。培ってきた総合力を生かせると考えたわけです。

人々の記憶に残る、深い「視聴/体験」を提起できる

——広告・プロモーション領域にXRを取り入れるメリットは、何でしょうか?

熊谷:最大のメリットは、深いインタラクションを生み出す「体験」を提供できることだと考えています。受動的な「視聴」よりも、主体的なインタラクションを通して得た「体験」の方が、記憶に残りやすいものです。先週どんなCMを見たのかは思い出せなくても、1ヶ月前に行ったテーマパークでの出来事は細かく覚えていることって、あるじゃないですか。

XRが登場する以前は、リアルイベントが広告と生活者との間で深いインタラクションを生み出す代表的な手段でした。しかしながら、リアルイベントは一度に情報を届けられる人数が限られます。

かたやテレビやWebといった「視聴」コンテンツは、より多くの人に情報を届けられる反面、リアルイベントほどに深いインタラクションは生み出しづらい。それらにXRを組み合わせれば、より多くの人に没入感のある「体験」を届け、これまでにないインタラクションを生み出せるんです。

福田:私たちの仕事は、「人を動かす」ことに尽きると言ってもいいでしょう。その手段として、記憶に残りやすく、より多くの人に届く技術の活用は非常に有効だと考えています。

もちろん、リアルイベントやテレビ、Webにしか果たせない役割は、今も変わらずあります。それでもXRに注力するのは、これまでのメディアの代替ではなく、「新たな選択肢」になり得ると期待しているからです。

「見えないもの」が見える、「体験できないこと」が体験できる

——立ち上げから約7年が経ち、現在のチームはどう変わりましたか。

福田:立ち上げ当初は私も含め数名のチームでしたが、現在はオフショアも入れると約20人が所属する組織になりました。博報堂プロダクツ全体でみると、XR関連プロジェクトに関わったことのある人は、かなり多いんじゃないかな。

——福田さんのチーム以外にも、ですか?

熊谷:そうですね。社内外のさまざまな組織に、XRに関する専門技術を持ったメンバーが所属しています。組織を超えて協働しながらXRを活用したプロジェクトが生まれ、新たな表現を模索しているんです。

——これまで、どのようなプロジェクトを手がけてきましたか?

熊谷:XRは多様な分野で使われていますが、とりわけ大きな効果を発揮しているのは、生活者が「試してみたいけど、なかなか試せない」サービスやプロダクトの訴求です。

一例として、日産自動車さんとの取り組みを紹介します。自動車を購入するときは、販売店へ足を運んで、実物を見て検討する方が多いですよね。販売店にはさまざまな車種が展示されていますが、ほとんどの場合、展示スペースの兼ね合いもあって、車体は一車種につき数台が用意されているのみ。最新の高級車をすぐに展示できないディーラーも少なくありません。気に入った車種のカラーバリエーションや内装といった「理想の組み合わせ」を見ることができません。

そこで私たちはARを活用したアプリ「AR SCOPE ARIYA」を開発し、一人ひとりのお客様が車体を“見られる”ようにしたんです。実車がなくても、さまざまなパターンを比較検討できるように。

(提供:日産自動車。店頭などでiPadを使い、車体のパターンを比較できる)

——「見えない」ものが見えるようになる、と。

熊谷:それに、現代の自動車には最新テクノロジーを活用したさまざまな機能が搭載されていますよね。日産自動車さんの「e-4ORCE」もその一つです。“前後2つの高出力モーターとブレーキの統合制御により、駆動力を自在にコントロールする電動駆動4輪制御システム”で、たとえば雪道での走行性能を高めているのですが……その真価は試乗しないと伝わりにくいものです。内部構成や走行システムの中で起きることまで見られませんからね。

私たちが開発したARアプリには、目の前で車が“走り出す”様子を見てもらえる機能があります。走行中にe-4ORCEが作動する様子も、ワイヤーフレーム表現で可視化しています。そうすることで、試乗会に参加しづらい方にも、この技術がより伝わるようになったんです。


(提供:日産自動車。ワイヤーフレーム表現による制御システムの解説も)

——「体験できないこと」も体験できるわけですね。購入の後押しになりそうです。

福田:その意味では、ウシオ電機さんとの取り組みもその一例と言えます。「光のソリューションカンパニー」として、光源や光学および周辺技術に関する製品を開発、製造する会社です。

ウシオ電機さんが持つ光技術の一つに「Care222®」があります。人体に悪影響のない紫外線で除菌する技術で、2021年から22年にかけて、これを搭載した製品群のプロモーションを担当しました。除菌性能のアピールが最もプロモーション効果を高めると考えましたが、どれだけ文字や映像で性能を伝えても、「除菌できているかどうか」は目に見えません。そこで「Care222®」の性能を実感してもらうために、除菌効果を“見てもらう”ことにしたんです。


(提供:ウシオ電機。除菌シチュエーション別のブースを設置)

医療機関や学校など、製品利用が想定される環境を模したブースをリアルな空間に設置。来場者にMRグラスとスマートフォンを渡して、ウイルスが不活化する様子を視聴体験してもらいました。体験された方々からは、2D映像をただ視聴するだけでなく、3D映像の世界に入っている感覚で、なおかつ外の景色も見ながら面白く体験できた、「人がいる場所でも、安全に紫外線で除菌できる」ことのメリットを分かりやすく体験できたと、評価していただきました。


(提供:ウシオ電機。除菌イメージを全身で体感できた)

「なんでもつくれる」環境がある、相談できるプロがいる

——XRコンテンツの制作に限らず、「我が社ならでは」だと感じることはありますか?

熊谷:総合制作事業会社であることは第一でしょう。自社単体でこれほど幅広くモノをつくれる会社は、日本有数だと思います。いろんな分野の専門家が在籍していますし、多様なプロフェッショナルとも協働できる。社内でさまざまなシナジーが生まれる可能性があるし、実際にそうなっていますから。

福田:「やりたい!」と思いついたら、必ず相談できるプロフェッショナルがいるので、どんなアイデアでも形にできます。本当に飽きない環境ですよ。予算や時間を抜きにすれば、たぶん、つくれないものはないんじゃないかな。というか、社員みんなの性格的にも「できない」とは言いたくない(笑)。

熊谷:「どうやればできるか」を考えることが、会社のDNAとして組み込まれていますよね。もちろん限界はあるけれど、技術的に難しそうなら表現でなんとかしようとするし、逆もまた然り。テクノロジーとクリエイティブの力を駆使しながらさまざまな課題解決に挑めることが、博報堂プロダクツで働くことの面白みであり、会社としての強みです。

——どのような企業文化が浸透していますか?

福田:何事にも前向きに取り組むことが、私たちのカルチャーと言っていいと思います。風通しが良く、若手も活躍できる、社員の要望を尊重してくれる文化があります。若手時代の私が「新しいことにチャレンジしたい」と希望したことで、XRクリエイティブチームの立ち上げを任されたように。

熊谷:プロジェクト推進のメインポジションを、若手社員に挑戦させることも多いです。

福田:若手が主体性を持てることは大事ですよね。では、どんなときに主体性が芽生えるかというと、やはり自分のアイデアが起点になった仕事に取り組むときだと思うんです。

博報堂プロダクツには、いいアイデアなら入社年次を問わず採用される文化があります。自分のアイデアを形にできるチャンスに事欠きません。だからみんなが前のめりに働ける。

——これから、どんな仲間を迎えたいですか?

福田:デジタルが大好きな人ですね。新技術を活用して、新たな表現を切り拓きたい人を求めています。あとは、主体的に取り組める人。バッターボックスに立つ機会はたくさん提供できますが、モチベーションがなければその機会を活かせません。そして、そのモチベーションが「人を喜ばせたい」というものなら、よりフィットするのではないかと思います。

熊谷:付け加えるなら、「越境精神を持てる人」ですね。「自分はエンジニアだから」「プロデューサーだから」あるいは「XRの専門家だから」と壁をつくらず、領域横断的に人やモノと関われる方なら、この環境で活躍できると思います。

XRは手段でしかない。だからこそ、面白い

——今後、広告・プロモーション領域で、XR制作はどう変化していくと思いますか?

福田:まず考えられるのは、他のテクノロジーと組み合わせた広告・プロモーションの増加でしょう。たとえばXRをAIと組み合わせれば、よりパーソナライズされた体験を生活者に提供できるでしょうし。技術の掛け算で生まれる可能性は大きく広がると思います。

熊谷:XRは生活者を時間、肉体、場所の制約から解放するポテンシャルを秘めています。メタバース空間で仕事をしたり、ショッピングをすることがより当たり前になると、現実世界で「今日は何を着ようか」と考えるより、自分のアバターに「今日は何を着せるか」を考える時間が増えるかもしれませんよね。

そうした変化が積み重なると、私たちの「自我」の捉え方にも変化が生じるかもしれない。人々の文化や行動様式、ひいては「自分」や「世界」の見方も変わる可能性がある。当然それらが変われば、企業が売るモノも、売るためのコミュニケーションも変わります。

何がどう変わるかはまだわかりませんが、「XRが広告をどう変えるか」ではなく、「XRで変わる世界で、広告はどう変わるか」を考えなければならないと思っています。

福田:そうですよね。表現の手段は技術の進歩につれて変化してきましたし、これからも変化していく。ただ、人の根源的な欲求は不変のはずです。人間が「人とのつながりの中でこそ、喜びを感じる」ことは、きっとこれからも変わらない。

私たちの仕事は、人の心を動かし、行動を促すことであって、「新技術の活用」ではないのです。技術はコミュニケーションを後押しする「手段」でしかない。それを常に認識しておかなければなりません。

でも、だからこそ、広告・プロモーション領域でXR活用に挑むことはおもしろいと思うんですよね。

——「手段でしかない」からこそ、ですか?

福田:そうです。課題解決の手段はXRに限りません。逆説的ですが、「手段が限定されないこと」こそ、広告・プロモーション領域におけるXR活用の醍醐味だと思うんです。

「XR×リアルイベント」「XR×Web」「XR×AI」など、さまざまなメディアや場所、技術を組み合わせた表現に挑戦できますから。現に、「XRのみ」で完結するプロジェクトはほとんどありませんからね。

熊谷:さまざまな表現のプロフェッショナルと協働できる環境は、私たちの会社ならではのやりがいですよね。想像を超えたアウトプットが生まれる可能性もあります。

以前あるバーチャルイベントの会場を設計する際、建築デザインの専門家も交えて議論をしたんです。リアルな建築空間の有識者と対話を重ねたことで、バーチャルな空間設計における新発想が次々と生まれました。XRの専門家だけでは生まれなかったであろう表現にも辿り着けて。結果として、初めてバーチャルイベントを体験したお客さまにもストレスなく回遊できる空間/導線をデザインでき、さまざまな展示にふれていただけました。


(撮影・配信スタジオには多様なアウトプットを支える機材類も充実)

——最後に、御社の今後の展望をお聞かせください。

熊谷:「デジタルで、新しい前例をつくっていく」ことが、これからの目標です。デジタルの力で、生活者の新しい体験を生み出して、同時に社会課題の解決にも貢献したいですね。私たちの表現を多くの生活者が楽しんでくれて、それを見たつくり手の私たちも楽しい。そんなサイクルを生み出していきたい。

さらにいえば、「つくること」に関わる人が楽しく働ける環境をつくりたいとも思います。たとえば、「UIデザイナー」といった職制的な多様性ではなく、もっと「個人」の多様性を活かしながら働けるようにしたいし、ポリバレントな働き方を促す環境はつくれるはず。

福田:博報堂プロダクツには、さまざまな業種業界のクライアントがいます。私たちXR/メタバースの専門家が対峙することで、課題解決に導ける可能性がある案件も増えています。グループ一丸となって課題解決に挑むことも大事ですし、「私たち自身」が「できること」の幅も広げていきたいですね。

(統括: 笠井康平(Mogura)/ 企画制作: 森部綾子(インクワイア)/ 編集: 長谷川賢人 / ライター: 鷲尾諒太郎 / フォトグラファー: 栗原論)

博報堂プロダクツの求人一覧はこちら

https://hrmos.co/pages/hakuhodo-products/jobs/0005090 https://hrmos.co/pages/hakuhodo-products/jobs/0005160