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Mogura VR Job 2024.01.26 sponsored

【XR Kaigi 2023】DAU7,000万人以上を誇る「Roblox」の基本と最新トレンドを紹介。ゲームに留まらない、何でも作り出せるプラットフォーム

(※本記事はMoguraの求人サイト「Mogura VR Job」のスポンサードを受けて掲載されています。GeekOut株式会社の求人票はこちらのリンクから)

XR/メタバースをテーマとした国内最大級のカンファレンス、「XR Kaigi」が今年度も開催されました。今年の「XR Kaigi 2023」は「さらに未来に近づく10年へ」をテーマとし、オンラインと現地、双方で計60以上のセッションが実施されています。

今回はその中から、12月20日実施の特別セッション「DAU7000万人以上の没入型プラットフォーム、Robloxの基本から海外最新トレンドまで」をレポート。登壇者は、RobloxのJun Tsuji氏、GeekOut株式会社田中 創一朗氏です。

毎日7,000万人以上のユーザーがプレイする「Roblox」

まず、RobloxのDeveloper Program Leadを務めるTsuji氏が登壇しました。「日本のデベロッパーをサポートして、コミュニティを大きくする仕事」をしているとのこと。セッションはRobloxのイメージを伝える動画からスタートし、「Robloxとはどのようなものか?」「開発者やクリエイターに、どのような機会を与えるのか?」を提示しました。

Tsuji氏によれば、Robloxは自らを「非常にソーシャルで、巨大なUGC(User Generated Contents)プラットフォーム」と位置づけています。Robloxのデイリーアクティブユーザー数(DAU)は7,000万人以上、2023年第3四半期の合計プレイ時間は160億時間と、非常に巨大なプラットフォームであることが伺えます。加えて2022年度のデイリーアクティブユーザー数は日本で最も伸びた(昨年比18.8倍)とコメント。「これから、日本のRobloxユーザーはどんどん増えていくのではないか」と述べました。

また、総プレイ時間は2022年の第3四半期よりも20%増加し、「今も急成長を続けているプラットフォーム」だと述べました。合計プレイ時間をプレイヤー数で割った場合、1人あたり約2.3時間プレイしていることになります。したがって、「ちょっと来て、すぐいなくなる」というプレイスタイルではなく、多くのユーザーがかなり長時間Robloxをプレイしていることが分かります。

Robloxは特定の地域に偏って支持されているわけではなく、月間アクティブユーザーの2/3が北米地域外からの参加。「180ヵ国15言語の地域からユーザーが参加する、非常にグローバルなプラットフォーム」となっています。その他にもユーザーの40%以上が17歳以上であることや、女性ユーザーが40%を占めることが明らかにされました。年齢や地域、言語、性別も含めて、非常に多様なユーザーがいるようです。

なぜみんながRobloxに集まるのか? カギは「友だち」

毎日7,000万人ものユーザーがRobloxをプレイする理由は、どこにあるのでしょうか? Tsuji氏は、「シングルユーザー向けでなく、みんなでワイワイ遊べるところが大きい要素となっている」とコメント。誰かが友人と一緒に遊び、その友人はそのまた友人と一緒に遊ぶ……といったサイクルを繰り返した結果、多くのユーザーを集めることに成功しているようです。

Robloxの持つソーシャル要素としては、Tsuji氏いわく「遊園地や映画館のようなところで、みんなで遊び、話しながら、ぶらぶらする場所である」点が強いとのこと。他のSNSと比較した場合、「3D空間であることに加え、没入感のあるコンテンツが大量にあり、ユーザーが飽きずに遊びに来てくれる」とコメントしました。

またRobloxはアバターの見た目やファッションをカスタマイズして、主にデジタルな自己表現の場にもなっています。Roblox全体で見ると、およそ50%のユーザーが毎月アバターを更新して楽しんでいるほか、若年層を中心に「毎日更新する」というユーザーもいます。

特に米国在住の10代は、放課後に「外ではなく、Robloxで遊ぶことがだんだん増えている」とのこと。単一のゲームやバーチャル空間に滞在するのではなく、ひとつのエクスペリエンス(Roblox内にある各種バーチャル空間やゲームのこと)を数分から30分ほど遊んだ後、別のエクスペリエンスに移動し、新しいコンテンツを楽しむ傾向があります。そして、エクスペリエンス間のシームレスな移動を可能にするRobloxのシステムが、これを支えています。

この「ソーシャル要素」がRobloxの大規模なスケールを実現しており、Roblox上に10億回以上遊ばれているエクスペリエンスが既に数十個、100万回以上遊ばれているエクスペリエンスが数千個存在します。

なお、コンテンツについては、「Robloxはプラットフォームを提供している会社で、エクスペリエンスそのものは作っていない」とのこと。エクスペリエンスはクリエイターが専用のゲームエンジン「Roblox Studio」で制作しています。「最初はいちユーザーとしてRobloxをプレイし、1年くらい遊んでいるうちに『自分も何か作りたい』と思い、どんどんクリエイターになっていく」そうです。

2023年の第3四半期末時点で、ユーザーが作ったエクスペリエンスの数は実に5,500万個以上。「毎日新しいものが出てくるので、プレイヤーが飽きずに戻ってくる」そうです。

ただし、これらのほとんどはゲームではなく、Roblox Studioをダウンロードしたてのユーザーが実験的に作ったものとのこと。「アメリカでは、10代前半の子どもが、Roblox上に誕生日パーティー用のスペースを作って、友だちを呼んで一緒に時間を過ごす」といったケースもあるので、そのような一回きりかつ専用のエクスペリエンスも数多くあります。

ゲームの数はまだ「数千」のレベルで、まだまだ飽和状態ではないとのこと。Tsuji氏はよく遊ばれているゲームの一例として、Maximillian Studiosが少人数で作ったハイクオリティなFPS「Frontlines」を挙げました。

「どこでも、誰でも、何でも」作れるプラットフォーム

ここからは開発の話に。Robloxは「どこでも、誰でも、何でも作り出すことができる」をテーマとしているプラットフォームだと語るTsuji氏。大きなパブリッシャーでなくても、中学生や高校生、大学生、そしていままでゲームや3Dコンテンツを作ったことのない人でも、Robloxエクスペリエンスを作り出すことができます。

続けてTsuji氏は、これまでのゲーム業界の課題として、「ゲームを開発してから複数のプラットフォームに展開する」「遊んでもらうユーザーを獲得する」「ユーザーを理解して取り込んで収益化する」そして「遊びに来てくれたユーザーを維持する」ことを挙げました。

しかしRobloxで展開すると、それらが簡単に可能になるそうです。Tsuji氏によれば、数十分あれば作ったエクスペリエンスをマルチプラットフォームに展開できます。さらに、初期費用なしで開発やイテレーションができます。

「例えば、誰かが作ったオンラインゲームが人気が出たとしましょう。そうすると、インスタンス数やサーバーの構成などを最適なものにするためには、ネットワークエンジニアを雇わなくてはいけません。しかし、Robloxであれば、バックエンドはすべてRobloxのエンジニアチームに任せることができます」と語るTsuji氏。他にもユーザー数が多く参加しやすい点や、すぐ没入感のある世界に入れる点など、業界の課題に対し「ある程度の解決策を提供できているのではないか」と述べました。

Robloxはグローバルなデータセンター、ネットワーク、ユーザーのアイデンティティ管理システム、ソーシャルグラフを有しています。さらにマルチプレイヤーのゲームエンジンとクラウドAPIを持ち、その上に7,000万人のデイリーアクティブユーザーが存在し、クリエイターが作ったコンテンツがある、といった構造です。

専用ゲームエンジン「Roblox Studio」は共同開発が簡単で、開発からQA、リリースまですぐにできる開発エンジンとなっています。包括契約はなく、利用規約に合意すれば誰でもゲームの公開が可能です。

昨今話題の生成AIも開発ツールに導入されており、コードを書いたときに「ここの関数はどういう状態になっているか」を提案したり、テキストプロンプトで「こんなタイルを作って」と入れると3Dモデルのテクスチャを作ってくれる仕組みも。まだベータ版ではあるものの、「おそらく、今後どんどん進化していく」とコメントしました。

また、Robloxは何年もかけてゲームを作ってリリースするというサイクルのプラットフォームではありません。概ね、ゲームができてから2週間くらいでリリースするケースが多いようです。X(旧Twitter)やDiscordで、ユーザーからの反応を見ながら、どんどんイテレーションを繰り返していくプラットフォームになっています。

また、ユーザーデータの分析に関しては、パフォーマンスやバックエンドのデータも見ることができ、「ユーザーがどう動いているか」や「メモリがどう使われているか」も、全て無料で確認できます。

さらにRobloxはマルチプレイヤーベースのプラットフォームとなっているため、ネットワーク関連アーキテクチャの知識がなくても開発が可能な環境になっています。1つのサーバーあたり100人まで同時接続が可能ですが、オーバーしてもRoblox側が自動的にサーバーを追加していく仕組みです。普通ならパブリッククラウドのホスティングやインスタンスの計算をしなければいけませんが、こうしたコストをRoblox側が負担してくれるのです。

ソーシャルな要素に関しても、テキストチャットやBubbleチャット、ボイスチャットがデフォルトで入っています。自然と「遊びに来たユーザーがコミュニケーションを取れる」環境です。

さて、Roblox開発者は、どのようにエクスペリエンスを収益化するのでしょうか。遊びに来たユーザーがそのエクスペリエンスでアイテムを買ったり、スキルを開放したりするとき、「Robux」という通貨を経由して課金してもらう仕組みです。たくさんのトラフィック/ユーザーを得られた場合は、Roblox側からの支払いもあります。

ゲームを作るのが苦手な人にも、収益化の道は開かれています。例えば「アバター用のファッションアイテムを自作し、それを販売して生計を立てている人もいる」そうです。最近導入されたエクスペリエンス内広告機能の「Immersive Ads」では、自分のエクスペリエンス内に広告を貼ったときの収入が開発者に入る仕組みであり、多様な収益化方法が存在します。

また、大規模なクリエイターコミュニティがあることも見逃せません。Robloxには、300万人以上の開発者が存在します。質問があればお互いに答え、作ったプラグインを公開するなど、クリエイター同士で協力する仕組みができあがっています。

2021年と2022年には、開発者コミュニティが実に11億ドル(約1,600億円、2024年1月19日時点)を稼いでいます。利益率もどんどん上がっているとのこと。トップ10の収益額は6,100万ドル、トップ100で94万ドル、トップ1,000で約5.5万ドルといったレンジです。

Tsuji氏はRobloxプラットフォームのまとめとして、「エクスペリエンスの制作と配信に必要なものはすべて無料」「作ってからすぐに公開可能」「7,000万人以上のDAUにリーチできる」「収益化・ユーザーの維持も可能なアナリティクスツールに加え、多数の収益モデルを用意」しているとコメント。様々な開発者に広く開かれたプラットフォームであることを示しました。

Robloxは「ゲーム版YouTube」ではない? 注目を集める個性的なエクスペリエンス

次の登壇はGeekOut株式会社代表取締役の田中 創一朗氏。GeekOutは日本のコンテンツIPを中核としたRobloxコンテンツパブリッシャー事業を行っており、Robloxの日本における事業開発をサポートしています。セッションでは、Robloxの具体的なエクスペリエンスに触れ、その多様性やコンテンツの広がりを提示しました。

田中氏が今回投げかけた問いは、「Robloxを説明するときによく言われる、『Robloxはゲーム版YouTube』というのは本当か?」。Roblox=ゲームプラットフォームというイメージは強いものの、田中氏がRobloxを見てきた中では、「ユーザーをたくさん集めている、ゲームでないエクスペリエンスは非常に多かった」と述べています。

GeekOutではRobloxを「新たな共同体験を誰もが創作できる世界最大の没入型プラットフォーム」と捉えているとのこと。今回紹介するのは、あまり紹介されないものの、田中氏が選んだ“濃ゆい”エクスペリエンスです。

最初に紹介されたのは「ON TAP」。「+17」と書いてありますが、これは「17歳以上限定のエクスペリエンス」を指します。Robloxではお酒やスラングの描写などは年齢によって制限されており、それらを使ってもよいレーティングが「+17」です。Robloxは17歳から24歳のユーザーが大きく増加していることもあり、こうしたコンテンツが求められるようになりつつあるようです。

「ON TAP」ではお酒を飲んで酔っ払っている描写や、スラングを使える空間になっています。またマネタイズもされており、ドリンクを作るには課金が必要となっています。

続く「Rec It」では、空間内でエモートをしながら動画を取り、音楽を付けてシェアすることができるエクスペリエンスです。他の人の動画もタイムラインで見れるなど、「TikTok」風の内容となっており、ソーシャル性の高い体験になっているとのこと。「Robloxの中でバーチャル空間の動画撮影をする」という、Roblox Studioでは技術的に難しいことをしているそうです。

「PLS DONATE」は、Robloxの仕組みをうまく利用することで、「ゲーム内通貨であるRobuxを、他のユーザーにあげる」といった通常はできないことを可能にしています。動画では、Robuxをプレゼントされて喜ぶ子どもたちの様子が映し出されていました。総訪問数は19億回以上、同時接続の平均は1.3万人の人気のエクスペリエンスとなっています。

Robloxの機能として最近発表された「Roblox Connect」にも注目。Robloxの中でビデオ通話をかけることができ、Robloxを起動していなくても、スマホのOSに統合された形で着信が届きます。この着信に出ると、バーチャル空間の中で1on1でボイスチャットができるほか、Robloxアバターを使ってビデオ通話ができます。このテクノロジーを自分のエクスペリエンスに取り込むことも可能です。

ここからはファッション体験のエクスペリエンスを紹介。「Fashion Klossette」は、モデルのカーリー・クロスがプロデュースしています。モデルをスタイリングして、ファッションショーで投票してもらい、票数に応じてコインがもらえる内容となっています。Robloxのアバターをコーデするのではなく、このエクスペリエンス内の専用アバターをコーデするのが特徴です。

「RH Dance Studio」は、ダンスができるエクスペリエンスです。友だちと一緒に入り、友だちへ強制的にダンスのパートを割り当てて一緒に踊らせることができます。Robloxでダンスのアニメーションを作るのは難しいのですが、エクスペリエンスには曲とともにダンスのモーションも入っており、手軽にダンス体験ができます。

さてRobloxのアバターファッションを支える技術として「Layered Clothing技術」というものがあります。Robloxのアバター素材は多様な形・サイズがあり、他のプラットフォームなら服もアバターとセットのサイズが多いものの、Robloxの場合は素体のボディを選んで何を着せるのかが選べるそうです。Roblox向けファッションクリエイターは、「ひとつ服を作って色々なボディに適応するよう設定すれば、どんな体型のアバターでも着てもらえる」とのこと。

こうしたアバターアイテムは人気が高く、GeekOutが制作したエクスペリエンス「風雲!たけし城」でアバターアイテムを毎週無料でゲットできるキャンペーンを実施したところ、その時にユーザーが爆発的に増加したことを明かしています。アバターアイテムは「みんな喜んでゲットしに来る」そうで、集客でも重要なポイントとなっています。

学習体験のエクスペリエンスもあります。Robloxを作るには「Lua」というプログラミング言語が必要ですが、「Lua Learning」ではLuaを学べます。こちらは3Dではなくて2DのWebアプリがRoblox上で動いているそうです。この中でコードを書いて試しに動かせるなど、実際のコーディング用アプリの動きをしています。

「Replica」はメトロポリタン美術館のエクスペリエンスで、美術館の中を再現しています。この美術館に展示してあるアイテムを、実際の現地の美術館に行って外部アプリで展示品をスキャンすると、Roblox上のアバターアイテムとしてゲットできるとのこと。Roblox上の体験とリアルの美術館の体験を上手く融合して人を動かす試みがなされた珍しい事例になっています。

田中氏による“濃ゆい”エクスペリエンスの紹介は以上となりました。GeekOutではさまざまなゲームやエクスペリエンスを作っており、「風雲!たけし城」の運営やドラえもんのゲームを今冬リリースに向けて開発中です。

2024年1月現在、Geekout株式会社はRobloxプロジェクトマネージャーや企画プロデューサーを募集中。求人の一覧はこちらのリンクから。

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