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Mogura VR Job 2023.05.08

未経験でも転職するには? 挑戦を楽しむ「気持ちが大事!」【第7回XR/メタバース転職説明会レポート】

XR/メタバース業界の注目企業で働く採用担当者やエンジニア、マーケターなど、様々な職種の方をゲストに招いてお話を聞く採用イベント「XR/メタバース転職説明会」。

その第7回が、2023年2月22日に開催されました。今回は「『未経験者採用特集』未経験からスタートした人が生の声で語ります」と題して、株式会社ダイナモアミューズメントVR開発室プロデューサーの浅井拓郎氏と、株式会社TREE Digital Studio 次長/Engineerの根岸雅人氏、人事担当の矢部遥佳氏がゲストで登壇し、トークセッションが行われました。

この記事では、その模様をレポートしていきます。

ダイナモアミューズメントとTREE Digital Studioってどんな会社?

――まずは、それぞれどんな会社なのか教えてください。

浅井拓郎氏(以下、浅井):ダイナモアミューズメントは、社員15名の小さな会社です。CG制作プロダクションである株式会社ダイナモピクチャーズのアミューズメント事業部を事業承継し、会社分割により設立されました。主に映像を用いたアトラクションや体験コンテンツといった「体験を作り、拡げている」企業です。

ちなみにダイナモピクチャーズは、2022年に任天堂に買収されて、社名もニンテンドーピクチャーズ株式会社に変わっています。一緒に働いていた人たちがみんな「任天堂の人」になりました(笑)。

事業は大きく3つあります。ひとつは「映像アトラクションの制作と展開」、もうひとつは「MX4D」のモーションプログラミング、そして「XR LIVE ENTERTAINMENT」です。


(出所:当日資料より。以下同じ)

「映像アトラクションの制作と展開」ですが、映像を使ったアトラクションの企画・制作・プロデュースを長く手がけています。例えば、遊園地にあるような3Dメガネをかけると画面から映像が飛び出して見える3Dシアター等、映像を使ったものを中心に体験型アトラクションを作り続けていて、2016年辺りからVRの実績が急激に増えて、今やVRアトラクションがその中心になっています。企画・制作・プロデュースだけでなく、レンタルや販売も自社で行っています。海外コンテンツをローカライズして、日本で展開するお手伝いも行っています。

「MX4D」のモーションプログラミングですが、MX4Dとは、TOHOシネマズなどの映画館に導入されている4Dモーションシートで、、その座席の動きのプログラム制作を当社で行っており、邦画についてはほぼすべて弊社で担当しております。4席ワンユニットという構成になっていて、もともとはアトラクション用のシートだったんです。この「MX4D」とVRを組み合わせたVRライドアトラクションも制作しており、今や主力商材となっています。

「XR LIVE ENTERTAINMENT」事業は、現実のステージ上にキャラクターをホログラム投影して、リアルタイムに歌ったり踊ったりするライブコンテンツのなかで主にモーションキャプチャー部分を担当しています。

根岸雅人氏(以下、根岸):TREE Digital Studioは、CM制作や映像制作を包括的に引き受けています。社内には映像編集、CG制作、企画・演出、撮影などの部署に加えて、スタジオやカメラ機材などを扱う部署もあります。私たちの所属部署「REALIZE」は、XRコンテンツの開発を行っています。

REALIZEは、最初はインタラクティブコンテンツをやっていましたが、そのうちVRやAR、MR、メタバース空間の制作、バーチャルプロダクションといった分野も扱うようになりました。所属メンバーも多彩で、プランナーやエンジニア、デザイナーも在籍しており、企画から納品まで自部署だけで引き受けられます。

「作家」になる夢を転職で叶えられた

――なぜ今の会社を選んだのでしょうか?

浅井:小学生の頃からお笑い番組が大好きで、高校生のときは放送作家になりたかったんです。「お笑い」は見ている方がいいかなと思っていったん夢を諦めたのですが、自分の芯の部分で「人を楽しませたい」「他人の人生に1秒でも楽しい時間を増やしたい」という信念を持つようになりました。

現在は3社目ですが、最初はリスクマネジメントに関するお堅い会社に入り、エンターテイメントとはほど遠い仕事をしていました。顧客向け会報誌の編集長を20代で担当することになり、「『ものを作る』というのはこういうことなんだな」ということを感じながら仕事をしていました。

その後、転職を考えるタイミングで、ライブハウスやスタジオを経営する音楽系の会社の営業職に転職しました。そこでも、顧客向けフリーペーパーの編集長を担当しました。

「他人の人生に楽しい時間を1秒でも多く増やしたい」という思いは継続していまして、次のチャレンジをするタイミングで今の会社と出会いました。ここであれば、より多くの人に「楽しい時間」を「1秒でも多く」提供できると思ったからです。結果、コンテンツの中身を作るという部分では放送作家に近いところもある仕事で、「こういう夢の叶え方もあるんだなぁ」と思っています。

根岸:前職ではシステムエンジニアをやっていました。ざっくりと言うと生命保険会社の勤怠管理システムや、宅配便の追跡管理システム、バス会社向け車両管理システムなど、お堅い仕事です。

転職を考えたきっかけは、「自分が作ったものを、誰かが喜んでくれること」が、自分のやりがいに大きく関わると感じたからです。システムを作って納品した後は、顧客の社内でどのように使われているのか、いまひとつよくわかりません。成果が見えにくかったのです。

次第に「誰かを楽しませたり、使ってくれた人が反応してくれると、自分は一番やりがいを感じるようだ」と、漠然と考え出しました。ゲームや映画が好きで、CGをやりたいと思ったのですが、未経験でも入社できるところがないかと探して、今の会社にたどり着きました。

求人募集はデザイナー職で、「未経験者歓迎」と書かれていたのですが、プログラマーの求人はありませんでした。ちょうど当時のセクションがインタラクティブコンテンツの開発に着手するタイミングで、「プログラムを書いてくれるならCGを教えてあげるよ」といわれて、入社を決めています。

当時のスキルは、C言語やJava Struts、データベースの知識、VB、PHPなど、システム開発で扱っていたものばかり。UnityやUnreal Engine、CGは「何それ?」という状態でした。そこから(スキル習得して)今に至る感じですね。

募集中のポジションは?

――現在募集しているポジションについて教えてください。

浅井:ふたつのポジションを募集しています。ひとつは、ロケーションVRアトラクションの企画/制作スタッフです。企画立案から制作進行、開発、場合によっては実際のロケーションへのアトラクション導入までを担当します。「何から始めればいいのか分からない」ところから始まるプロジェクトばかりですが、そこは経験者ばかりの会社ですので、チームに入って一緒に作っていくことができます。

もうひとつが、VRアトラクションやイベント向けコンテンツの技術・運用スタッフです。この仕事に特化したチームがあり、技術系メンバーを募集しています。入社後はまず現場作業からスタートするので、それだけ聞くと「作業」的なイメージを持たれそうですが、アトラクションの現場には、実はクリエイティブな要素がたくさん転がっているんですよ。

現場では「何を・どう設置したらお客さんが没入して、楽しんでもらえるか」といったところから考えなければいけませんからね。そして、現場では、楽しんでいるお客さんの姿を直にたくさん見ることができます。

矢部遥佳氏(以下、矢部):REALIZEでは、エンジニア以外にも、デザイナーやアカウントマネージャーなど5つの職種を募集しています。もし未経験で、エンジニアの技術がない人でも、コミュニケーション能力があれば採用しています。

今は人数の少ないチームで、エンジニア職もそれだけをやるわけではなく、ディレクター業務やデザイナーなど、幅広い業務に関わっていただきます。

根岸:エンジニアの求人でいうと、基本的にはUnityやUnreal Engineを使ったコンテンツ開発がメインの業務です。人数が少ないこともあり、Photoshopなどデザインソフトをさわれる人、プログラムを書きながら(ビジュアルの)素材を作ったり、みんなで現場の設置作業を行ったりもしています。「技術・開発」の枠にとどまらずにやらせてもらっている感じです。

矢部:エンジニアだけで3種類ぐらい職種がありますが、職域をまたぐものも結構あります。応募時はどれかひとつに絞らなくても、面接でお会いしてお話を聞きながら、適性を見て業務内容を相談する流れです。

――どんなサポート体制がありますか?

矢部:新卒・中途採用者向けの研修があります。各部署主催のセミナーも毎月1回あります。社内方針や新技術は、そのセミナーを視聴できます。REALIZEは、元々人数も多くない部署なので、チームで話しあいながら進めていく体制が整っていますね。

浅井:ダイナモアミューズメントは、企画制作やプロデュースがメイン事業なので、CGデザインなど職人的なスキルを伸ばしていく仕組みは設けられていません。とはいえ、人数も多くないので、先輩社員は誰もがオープンな雰囲気です。やりたいことに手を上げれば、しっかりと教わりながら、チームの一員に加わることができます。

イベント参加者からのQ&Aコーナー

――コンテンツを作成する上で、1番大変なことはなんでしょうか?

浅井:気を付けないと手段と目的の取り違え」がよく起こります。たとえば「VRでお化け屋敷をやろう」という企画なら、(絶望感を味合わせるなど)「お客さんにどんな体験をしてもらいたいのか」が目的なのに、手段でしかない「VRで実現すること」が目的になると、(企画コンセプトが)ブレ始めます。そこへみんなのアイデアが入ってくると、いつしか(企画方針の)取捨選択もできなくなってしまうのです。

根岸:「もの作り」が走っている時には、クライアント側からも「あれもやりたいこれもやりたい」という要望どんどん出てきます。そのオーダー(希望)をくみ取りつつも、どこかで妥協しなければいけない一線はあります。その見極めが大変ですね。

――今、就職活動を行っている学生です。未経験の大学生がメタバース業界に携わるためには、どんなキャリアが好ましいでしょうか?

根岸:我々も事業の幅が広がっていますが、それでも「できること/できないこと」は結構あります。「メタバース業界」というと(言葉の意味が)少し広いなと思っていて、メタバースのどの部分をやりたいのか次第ですね。コンテンツやプラットフォームを構築・運営したいのか、その上に乗る「世界観」を作りたいのかなど、やりたいことによってキャリアも大きく異なります。自分がやりたいことをもう少し明確にすると、(応募先の)的を絞りやすいと思います。

浅井:考え方の幅として、大きく分けて「職人」になりたいのか、「ゼネラリスト」になりたいのか、といったところから考え始めるといいかもしれません。弊社でいうと、遊園地などアトラクションを扱う現場では、機材の設置や装飾なども行います。まずはそこから経験して、「企画・制作をやりたい」「技術をやりたい」といった感じで、社内キャリアが枝分かれしていく傾向があります。

現場でお客さんの反応を実際に見てほしいからです。そのなかで、自分の中で「こうしたら、こうなる」といった正攻法がどんどんストックされていきます。その後で、「自分なりの道」を見つけるのもいいと思います。

――スクールでは勉強していましたが、実務経験が無い場合は、年齢制限がありますか?

根岸:今のところはありません。これまでもいろいろな方がいらっしゃったので、そこは大丈夫です。

浅井:明確には設けていません。その方の人生も考えて、お互いにとって5年後、10年後にいい形になるのであれば何歳でもいいかなと思います。ただ、現場仕事には体力が必要です(笑)。

――転職前は、どれぐらいの密度でXRに関わっていましたか?

根岸:私はゼロでした。何をやっているのかまったく分からなかったので、入社後に実務で学んでいったところが大きいですね。ただ、自主制作みたいなことはちょくちょくやっていました。UnityやUnreal Engineは無料でさわれるので、独学で勉強して。

それでも入社して1~2年はペーペーで、全然よくわからないまま進んでいましたね(笑)。それでもサポートしてくれる優しい人が社内に多かったので、知識を得ながらなんとかやっていけたのだと思います。

ちなみに、「入社前に、iOSの開発やアプリ制作について基本を押さえておいてほしい」とは言われました。今はUnityやUnreal Engineでアプリ開発できるので、それらをさわっておいてもらえるとスムーズかなと思います。

浅井:私も入社前の経験はゼロです(笑)。まだまだ新しい分野なので、常にチャレンジになると思います。今年から人事も兼務するようになりましたが、新しいことにチャレンジしていく上で、物事を「楽しむ力」が必要です。私の場合は編集経験を活せたところもありましたが、「特定のスキルがなければダメ」というわけではありません。

――ITエンジニアであっても、ウィンドウズの企業内インフラなど技術的にメタバース分野からほど遠い経験しかありません。その場合は、未経験者として転職活動を行った方がいいのでしょうか?

根岸:未経験になるかなとは思います。ただ、僕は割とそうした経歴をたどってきたのですが、そのときの知識が今でも役に立っています。コンテンツのアプリを作るだけではなく、納品環境や動作環境、機材選定、システム構成といったスキルも求められるからです。たしかに「XR業界は未経験」ではありますが、そうしたスキルを欲している企業はたくさんあります。大切なことは「やりたい」という前向きな気持ちですね。

――XRコンテンツを作る際に、これだけは外せないというこだわりやモットーはございますか?

浅井:当社では「伝えたくなる驚きを」というステートメントを掲げています。「わあ!これすごく楽しいよ!」と、思わず回りにシェアしたくなるものを作ろとしています。「何を体験させるのか」をまず考えて、「その実現にVRは最適ではない」と判断できるぐらい、目的と手段を見失わずに、お客様に「楽しい」や「感動」を届けることにこだわりを持っています。

――オンライン環境の社会利用化・活性化で、場所と時間の壁は越えるようになってきました。それに加えて年齢や性別の壁など、今後も低くなっていくのでしょうか?

浅井:低くなっていくのではないでしょうか。この業界にいると、40~50代でも若々しい人が多いです。お互いに「年齢うんぬん」では接していません。そこは本人の意志やエネルギー次第です。

根岸:メタバースが普及すると、その辺りも加速していくのかなと感じますね。社内でも、最近は意識していません。男性が女性の見た目をしたアバターを使っていたり、オンラインではもはや関係ありません。そうした環境が増えていくと、世の中の意識もどんどん変わっていくのかなと思います。

――未経験からAR/VRの業種を希望する場合の、最適なスキルセットで、特に需要が高い分野について教えてください。

根岸:1番はやはり、UnityやUnreal Engineでしょうか。明日からでもすぐに始められるので、まずはそこから取り組んでみるのもいいのではないでしょうか。最近は(ソフトウェアが改善されて)いくつかの工程ですぐに見られる状態に持っていけるので、AR/VR開発がしやすくなりました。UnityでC#を扱うのが、ハードルが低いところかなと思います。

浅井:最適なスキルセットは、「物事を全力で楽しめるかどうか」です(笑)。UnityやUnreal Engineは、それが扱えるスキルを持っていたらかなり強いと思います。ただ、弊社として必須スキルかというと、そうではありません。

根岸:そう言われるとハードルが高く見えちゃうんですけど(笑)。弊社としても、技術的なスキルとは別に、ベースにある本人の気持ち――「新たな知識を得ることへの貪欲さ」や「誰かを楽しませたい気持ち」が大事です。

浅井:あとは、BlenderなどCG制作ソフトから入るのもいいのかなと思います。

――最後にメッセージをお願いします。

浅井:私がまさにそうだったので、「未経験からの転職」というテーマは個人的に刺さるところがありました。XR業界が今やっていることは、新しいことばかりです。特定のスキルはもちろん強みにはなりますが、それよりも「チャレンジしていける、楽しんでいける」というモチベーションが大事です。これまでの経験を、自分たちが作るものに「いかに活かせるか」が重要です。楽しいものを作りたい方は、ぜひ一緒にお仕事をしましょう。

根岸:未経験で他の分野や職種に行くのは、怖いだろうと思います。僕も入社してから、回りが全然違う分野の人たちだったので、宇宙人が回りにいるような感覚でした(笑)。不安はたくさんあると思いますが、「新しいことを常に追い求めていく」など、新しい知識がどんどん必要になるので、「新しい文化に飛び込みたい」という気持ちが1番大事です。その気持ちやモチベーションは、常に持ち続けてほしいです。

矢部:未経験からの転職は、おふたりからもあったように難しいこともたくさんあると思います。XR業界は新しい分野でもありますので、弊社のチームを見ていても、毎日のように試行錯誤しながら勉強している状況ではあります。なので、不安にならずに飛び込んで来ていただけたらと思います。弊社は「REALIZE」の事業に今後も力を入れていきたいと思っています。新しい分野をどんどん大きくしていくために、採用も増やしていきたいので、ぜひご検討いただけたら幸いです。

――本日はありがとうございました!