HTCは2023年3月20日、同社が展開する一体型VRヘッドセット「VIVE XR Elite」等に向けて新たなトラッキングデバイスを発表しました。このトラッキングデバイスは「Self-Tracking Tracker(セルフ・トラッキングトラッカー)と紹介され、正式な製品名はまだ決まっていないとのこと。
これまでHTCが展開してきたVIVEトラッカーと異なり、外部センサーを不要とする光学式のトラッキングデバイスです。
一体型VRヘッドセット向けに外部センサー不要に、さらに軽く小型に
HTCはこれまで、「VIVEトラッカー」を展開してきました。コントローラー以外でVR内にオブジェクトを出現させたり、全身の動きをトラッキングするためのデバイスとして使われており、特に日本ではVTuberやソーシャルVRでのアバターを動かすために使われてきました。
VIVEトラッカーはPC向けのVRヘッドセットと併用し、SteamVRのトラッキングシステムに対応していました。SteamVRのトラッキングシステムは、Lighthouseと呼ばれ、外部センサーを使って精度の高いトラッキングを特長としています。一方でセンサーの設置を行わねばならず、手軽に使うにはハードルが高いものでした。また、単体動作する一体型VRデバイスとは併用ができませんでした。
Self-Tracking Trackerは一体型VRヘッドセット「VIVE XR Elite」との併用を想定した新たなトラッキングデバイスです。ヘッドセットど同様にトラッカーについた2つのカメラの画像認識と内蔵センサーによって位置を特定する「インサイドアウト式」のトラッキングを採用しています。これまでのVIVEトラッカーでは赤外線を受け取るための窪みが必要でしたが、Self-Tracking Trackerでは不要となったため、大きさは第3世代のVIVEトラッカーと比べて半分程度になったとのこと。
OpenXRにも対応、単体動作可能
同時に5点で使用して全身のトラッキングにも対応しているようです。端子はUSB TypeCポートが1つあることが確認できます。また、VR/ARの標準規格であるOpenXRに対応すること、VRヘッドセットを使わずに単体動作も可能にすること、などが明らかになっています。
記事執筆時点では価格やバッテリーの持続時間などの詳細は不明。2023年第3四半期の発売を目指しています。全身のトラッキングデバイスは、これまで高額なシステムでなければ実現していませんでしたが、ソニーのmocopiなど安価に手軽なデバイスの登場が相次いでいます。Self-Tracking Trackerの価格にも注目したいところです。
(参考)VIVE公式、Road to VR