Home » 「ガリベンガーV」の今後はいかに!? 番組ディレクター・タカマツD ロングインタビュー【後編】


VTuber 2020.02.29

「ガリベンガーV」の今後はいかに!? 番組ディレクター・タカマツD ロングインタビュー【後編】


テレビ朝日で絶賛放送中の「超人女子戦士 ガリベンガーV」。3月1日(日)には「超人女子戦士 ガリベンガーV ヒロイン危機一髪!筋肉&妖怪大進撃!!」が配信限定イベントとして開催されます。

今回、MoguLive編集部は番組のディレクターを務めるタカマツDにインタビュー。後編では、以前行われたイベントの印象的なエピソードや、3月1日(日)に行われるイベント情報、そして今後の展望などをなんとMoguLive限定で先出しでお話し頂きました!


「超人女子戦士 ガリベンガーV」番組ディレクター・タカマツD

前編はこちら。

初のリアルイベントは温かかった

―昨年8月には番組初のリアルイベント「超人女子戦士 ガリベンガーV 激突!スーパーヒロイン知能大戦」が行われましたが、開催が決まった時はいかがでしたか?

タカマツD:

元々「いつかみなさんへ、ダイレクトに番組の楽しさをお届けできるような企画をやりたい」とは思っていたんですけど、豊洲PITという会場名を突然聞いたときは背筋が伸びる思いでした。

最初は「バーチャルなVTuberのリアルなイベントとは!?」と頭の中がハテナでいっぱいだったのですが、「hPa」(※アイドル部の1周年ライブ「はんぱないパッション」)をVTR等で拝見して、そこでようやく自分の頭の中でイメージが組み上がりました。

―実際豊洲PITでのイベントは盛況となりました。実感はいかがでしたか?

タカマツD:

私はイベント本番中は完全に舞台裏に入っていたんですが、後から会場の様子を記録映像で見て、「ああ、みなさんに喜んでいただけてよかった」と心の底から思いました。正直あんなに盛り上がるとは開催2日前の自分には想像もついていなかったんです。「ここまでやったから、きっと盛り上がってくれるはず」という祈りに近い分析はありましたが、当日はお客さんが想像以上に笑顔になってくれて、シンプルに嬉しかったですね。

―イベントがここまで盛り上がった理由はどのようなものだとお考えですか?

タカマツD:

やはりお客さんとの距離感が近かったからでしょうか。垣根のない空間で一緒に居られるということが大きかったと思います。

ありがたいことお客さんがとても良い人たちなんです。正直「がっかりされたらどうしよう……」という心配がなかったといえば嘘になります。でも、テレビ屋の感覚では想像もつかないようなあったかい雰囲気があって。途中で「エーイジ!」みたいな力強い英二コールも始まって、小峠さんもすごい戸惑っていました(笑)。「この世にはこんなにも優しい場所があるんだなぁ……」と衝撃を受けましたね。

―ファンとの距離の近さが企画の成功に繋がったと。

タカマツD:

そうですね。YouTubeのチャンネルでも一度、私タカマツとカネケン(AD)だけで生放送をしたんです。普通の番組でこういうことをすると「お目当ての人じゃないから見ないよ~」とか「引っ込め引っ込め!」みたいな反響になりがちです。それが普通の反応だと思います。でも、そうじゃなかったんです。あったかいなぁと。そんなみなさんに恩返しがしたい、もっとみなさんに喜んでいただけるような番組を作りたい!と強く思いました。

『未来展』が新しい技術に触れるきっかけとなった

―去年の12月に開催された「ガリベンガーV 未来展」の手応えはいかがでしたか?

タカマツD:

来場してくださった視聴者のみなさんと握手できるほど(笑)近い距離でした。会場にも、NrealLight、STYLY、VRoid、Gatebox、透過ディスプレイなど、今まで見たことのないガジェットや作品が数多く揃っていたので、とても充実したイベントだったと思います。

―MRグラス「NrealLight」がお披露目されるなど、大変貴重なイベントだったと思います。

タカマツD:

私たちにはVRやARの技術や知識がないので、自分たちだけでは実現しなかったと思います。このイベントをきっかけに、VR/ARの業界の方々とコラボレーションできたのはとても幸せでエキサイティングな経験でした。

イベントを渋谷のまさにど真ん中な「渋谷MODI」で実施させていただいたせいか、海外のお客さんがたくさんいらっしゃったのも印象的でした。海外のお客さんは「WOW! Oh my god!」と、リアクションがとっても良かったですね(笑)小さな子たちも夢中になってくれていて、VR/ARの人を引きつける力はすごい!と強く感じました。

―最先端のVR/AR業界と触れ合ったことは、今後のコンテンツ制作にも良い影響を与えそうでしょうか?

タカマツD:

イベントでの発見は大きかったです。視覚コンテンツを提供するという意味でのテレビ業界は最先端を追いかけているように見えて、やはり技術的に遅れている面も多々あります。今後、新しい技術と既存の事業の掛け算をすることでどんなコンテンツが生まれるんだろうとわくわくしますね。

未来展でコラボレーションをしたVRoidさんやSTYLYさん、Gateboxさんなどの関係者の方からもブイ子の活躍を「新しい」「面白い」とコメントしていただき、ありがたかったです。

中でも印象的だったのは、「これはガリベンガーVだからこそできる企画ですね!」という一言です。

ポイントとして、「3Dキャラクターをテーマに新しい技術や表現にチャレンジしたくても、どうしてもIPやキャラクター設定の制約があってできないことが多い」とみなさんに教えていただいて。ブイ子はガリベンガーVが開発したサンダーボルト型(超ざっくりいうと、誰でも中に入れる)VTuberということで、「何でもアリなのがすごい」と。なるほど、今まで試せなかった表現や実験ができるという意味で、ブイ子は新しい可能性なのかもしれないと教えていただきました。

また、私たちは映像制作を生業にしているので、「新しい技術やコンテンツを映像という形でみなさんにお届けすること」が得意なんです。直接見て・体験しないと伝わらない技術やコンテンツを、映像という形にすることでより多くの人にわかりやすく伝えることができる、という部分は、映像コンテンツとしてのガリベンガーVが持つ強みなんだなと改めて実感しました。言われてみればたしかに!という。

元旦に公開したフォトリアルCGアーティストのSeventhgraphicsさんとのコラボメイキング映像にも大きな反響をいただきました。みなさんが未だ知らない「テクノロジー」や「コンテンツ」の世界を、ガリベンガーというフィルターを通してみなさんに楽しんでいただくチャレンジは、引き続き模索していきたいなと思っています。

―ガリベンガーVは最先端の技術を試せる実験場でもあるわけですね。

タカマツD:

番組としても”学び”や”未来”をテーマにしているので、元々相性がいいのかもしれませんね。

スタッフ内だけの呼び方なのですが、番組に関わってもらった方々のことを、私たちは勝手に“ガリベンファミリー”って呼んだりしています(笑)ファミリーなので、何度でもお声がけさせていただきますし、ちょっとしたことでも「いまこんなことやってるよ〜」と共有したり。そういう意味では「ガリベンガーV」はもはや番組というより、“謎のクリエイティブユニット”になっているのではないかと。「おもしろいことをどんどんやって、みなさんに喜んでいただきたい」というピュアな空気感がありますね。ありがたいことです。

全ての伏線が回収されるリアルイベント

―3月1日に行われるイベント「超人女子戦士 ガリベンガーV ヒロイン危機一髪!筋肉&妖怪大進撃!!」について、見どころをお教えください。


タカマツD:

本来、リアルイベントでの開催を予定していたのですが、新型コロナウイルスの影響を考慮し、「イベント内容はそのままで、全てをオンライン配信する」という、チャレンジングなイベントとなりました。「一体何を言っているのか全くわからない」とコメントをいただくタイトルですが(笑)実際に見ていただければ「そういうことだったのか!!」と納得していただけると思います。

ガリベンガーVは今まで教室の中で授業をしていました。その目的は頭脳を鍛えるため。しかし今回のイベントでは初めて「敵」がやって来ます。そこで「なぜ頭脳を鍛えていたのか?」「なぜ『ガリベンガーV』は生まれたのか?」という理由が明らかになってきます。

―盛大な伏線が用意されていると。そのストーリーは構想段階からあったんですか?

タカマツD:

もちろんです!全部が繋がってますよ!(笑)VTuberの方も先生方もたくさん出演されますので、豪華出演陣による活躍には期待していただきたいです。また今回のイベントはサプライズだらけです。サプライズじゃない時間がないんじゃないかっていうぐらい怒涛の展開が押し寄せます。

―番組に出演された方々がレギュラー陣のように再登場するかもしれないと。

タカマツD:

私たちは授業に出てもらった先生に関しては、オンエア1度だけの登場とは全然思っていないんです。出演いただいた方はもう“ガリベンファミリー”ですね。オンエア収録が入門の儀式みたいになっています(笑)

―イベントで他に期待してほしいポイントなどありますか?

タカマツD:

1つに、スタッフ総出で制作したイベントグッズ「ガリベンマガジン」ですね。スタッフ全員フル稼働で執筆したフルカラー64ページのムック本です。正直、イベント本編と同じくらいに気合を入れています。ガリベンファミリー全員集合!という勢いで書き上げました。

完全撮り下ろしグラビア「英二のドキドキモーニングルーティン」、オンエア全38話を名場面と共に解説する「ADブイ子のオンエア議事録」、「英二独占インタビュー」、「小峠ツッコミまとめガリベンガー語録」、ブイ子のモデリングデザイン解説「メイキングブイ子」、さらにスタッフおすすめの六本木のグルメをまとめ、撮り下ろしのデートブイ子グラビアを添えた「ROPPONGI MAP」、最後に真のガリベンガーマニアのためのクイズ「ガリベン検定」。あ、あとお恥ずかしながら私のインタビューも……(笑)誌面デザインも全ページ気合が入っていまして、絶対に読んでほしい一冊です!

https://booth.pm/ja/items/1852901

そしてもう1つが、VRoidさんとのコラボ企画「ブイ子をARカメラで激写せよ!」企画です。アプリVRoidモバイルをインストールして、指定のQRコードを読み取るだけで、誰でもブイ子をARで召喚して写真が撮れちゃう!というスペシャルコンテンツです。

リアルイベントが中止になり、配信イベントを実施することを決定したときも「こんな時こそみなさんに、リアルとバーチャルの橋渡しになるような、わくわくするような楽しさをお届けしたい!」という強い想いがありました。

この企画も「イベント当日、みなさんのお部屋にブイ子が現れることで、いつもとは違うバーチャルな1日を楽しんでもらいたい」という想いをテーマにVRoidさんとお話してコラボレーションしました。
業界的にも新しいチャレンジだと思います。ぜひ、ブイ子をかわいく撮ってあげて、ハッシュタグ「#ガリベンガーV生誕祭」で写真をツイートしてあげてください(笑)本人はめちゃくちゃエゴサする準備をしていましたよ!

今回開催されるイベントはタイトルが謎すぎて何が魅力か伝わりづらいかもしれませんが、視聴すれば必ず楽しいものであることは、皆さんに是非知っていただきたいです!

ガリベンガーVのこれから

―「ガリベンガーV」の今後の方針は決まってますか?

タカマツD:

今後も新しいことをやっていきたいと思っています。スタッフ内では、次は教室を飛び出してロケに行きたいねという話でもちきりです。また、「ガリベンガーV未来展」でお見せしたような新しい技術やガジェットも積極的に取り入れていきたいですね。

「ガリベンガーV」はバーチャルとリアルの境目にある番組なので、その境目がもっと曖昧になるようなことを仕掛けたいと考えています

―ますます小峠さんが動揺しそうなことが起きそうですね。

タカマツD:

そうですね(笑)。先程お話したように「ガリベンガーV」はテレビ番組というより、“謎のクリエイティブユニット”なので、予想外の方向に展開できれば良いと思います。

―リアルイベント以降にも大きな展開があるということですね。

タカマツD:

「ガリベンガーV」が一気に展開しだすのが3月以降ですね。イベント終了以降はバシバシ計画が進むと思います。ちょうど今、企画を走らせすぎて、大変なんですが(笑)リアルイベント以降もみなさんに楽しんでもらえるかなと思います。

―告知というと、バズーカ岡田先生コラボ、そして日本人初のスマブラプロゲーマー・aMSaさんコラボ告知が年末に発表されていましたが、そちらも何か発表される予定でしょうか?

タカマツD:

ブイ子がですね……本人曰く、ちょっとだけ正月太りをしたそうなんですよ。「運動をちゃんとしたい!」とのことなので、バズーカ先生に相談してみたら「私が鍛えてあげましょう!」と。乞うご期待です。

また、ガリベンガーVとしてもeスポーツに挑戦したいと考えています。aMSaさんは元々番組を視聴していただいており、Twitterで「ガリベンガーV面白いなあ」ってつぶやいていただいていたのを捕捉したんですね。そこですぐ連絡して、お話をさせていただきました。

予定としては、今度aMSaさんと一緒に、YouTubeチャンネルでeスポーツ部的なプロジェクトを発足します。ブイ子がプレイヤーとして参加し、スタッフもかなり気合いを入れてゲームをプレイすることになるだろうと思います。ただ、私たちらはゲームキューブ発売以来、長らく遊んでいない集団なので、まずはマイコントローラーを買うところからはじめています(笑)初心者の成長と一流選手の技が両方見られるコンテンツになればいいなと。

―YouTubeチャンネルにも今後力を入れていくということですね。

タカマツD:

テレビの放送では、どうしても尺というものが存在します。しかしYouTubeにはそれがない。だから、もっと深堀りしたい!と思ったコンテンツは全部YouTubeに持っていってしまおうと考えています。

―今後は「YouTubeから知った」という人も増えていく可能性がありますね。

タカマツD:

「ガリベンガーV」は関東ローカル番組なので、全国ではまだまだリアルタイムで視聴できない方が多くいらっしゃいます。Twitterを見ると「YouTubeのガリベンガーVだけ見てる」という人もいらっしゃるんですよね。

私たちたちが一番驚いたのは「YouTubeから番組の存在を知りました」や「ガリベンガーを高画質で見たいからテレビ買っちゃったよ」といった声が少なからず寄せられたことでした。それまで、テレビは一方的にネットに視聴者を取られてしまっているだけだと思っていたのですが、その逆の現象も起きていたんですね。

だからこそ、テレビでの放送とネットでの配信を両立させて、みなさんに喜んでいただけるような、おもしろいと思ってもらえるような番組を制作し続けたいと思います。

取材:MoguLive編集部


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード