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メタバース 2023.02.02

なぜ「FINAL FANTASY XIV」はソロで遊べるアップデートに積極的か?「おひとり様」ならではの楽しみ方に注目

「FINAL FANTASY XIV」(以下、FF14)では、1月10日に公開されたパッチ6.3「天の祝祭、地の鳴動」にて、NPCと攻略できるコンテンツサポーターが実装されました。これにより、「蒼天のイシュガルド」までのメインストーリーに関わるインスタンスダンジョンを、ソロ攻略できるようになります。

MMORPGであるFF14が、なぜソロで遊べるようなアップデートを実装するのか、本記事では、FF14のソロプレイ関連のアップデートの流れを振り返りつつ、ソロとマルチそれぞれの魅力について考えていきます。

MMOなのに「ソロで遊べる」とはどういうことか?

そもそも、FF14のストーリーを攻略する上で通るインスタンスダンジョン(以下、ID)の攻略は、他のプレイヤーと一緒に4人で行います。他のプレイヤーはオンライン上で実際に操作している人になります。

NPCと一緒に攻略したり、ソロで遊べるようになったのは、拡張パッケージ「漆黒のヴィランズ」にて「フェイス」という機能が登場してからのことでした。「フェイス」は、ソロで気軽に遊べるようになるのはもちろん、レベル上げやキャラクターと一緒にダンジョンを攻略したいというニーズを叶えるものです。

「フェイス」を使うためにはギミックをNPCが攻略できるように調整する必要があるため、過去のコンテンツには対応していませんでした。

しかし時が経ち、拡張パッケージ「暁月のフィナーレ」のアップデート展開で、ソロプレイの施策が発表され、「コンテンツサポーター」の機能が登場。

それ以降は、パッチの公開ごとに対応するダンジョンが増えていき、プレイヤーがNPCと一緒にダンジョンやボスを攻略できるように、リニューアルやストーリー変更などが行われていきました。

(パッチノート6.1より引用)

ダンジョンのリニューアルで1番影響の大きかったものは「トトラクの千獄」でしょう。暗く、迷いやすいダンジョンでしたが、リニューアル後は雰囲気を保ちながらも、1本道で分かりやすいダンジョンになりました。

また「蒼天のイシュガルド」以降では主要キャラクターが「コンテンツサポーター」に登場するためにストーリーを変更するケースが増えました。「フェイス」登場以前のストーリーでは、主要キャラクターたちは別行動や離脱などの形でIDに登場しない流れだったため、物語の整合性を合わせるための変更です。

既存プレイヤーにとって1番驚くであろうストーリーの変更点は、教皇庁の重要なシーンにこれまでは登場していなかったアルフィノの出現でしょう。シーンの印象が変わるので既プレイヤーの方もムービーだけでも見てもらえればと思います。

過去のコンテンツを最新のフォーマットに改修している箇所が多く見られるため、新規にとって遊びやすくするアップデートとして気合を入れて行っているのが伝わってきます。

なぜMMORPGなのにソロ機能を強化するのか

なぜここまでしてソロ攻略を可能とするアップデートを繰り返すのでしょうか。

プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹さんは、「コンテンツサポーター」の機能を発表後に受けたインタビューではこのような発言していました。

吉田氏:これは兼ねてからお話していることなのですが、オンラインというかMMORPGの世界には現実では体験したことがないようなカルチャーやゲーム体験が間違いなく存在すると思っていますし、今でも信じています。最終的には、それを皆さんに届けたいという気持ちは何一つ変わっていないです。

ただ、ここまで認知を上げてなおプレイしてもらえないという方には、このままのやり方ではダメなのだろうと。そうなのであれば、例えばコミュニティの皆さんが友達を誘う時に、「シナリオは全部ソロでクリアできるからおいでよ」と、この一言のためだけにやろうとしています。
(中略)
僕は、このメッセージ性はゲームのジャンルを超えていけるんじゃないかと思っています。最終的には人と遊ぶこと、世界に人がいること、世界が共有されていることの凄さに到達してほしいなと思っています。
引用元:https://www.gamer.ne.jp/news/202202210044/

ファイナルファンタジーに限ったことではありませんが、シリーズ作品におけるオンラインタイトルは歴代作品の思い出を振り返る際に省かれる印象があるのではないでしょうか。ソロでも遊べるアップデートは、「オンラインだから触らない」といった人に向けたアプローチになるのでしょう。

吉田直樹さんの考えは、歴代作品を楽しんだ人がソロでシナリオを楽しんでいるときに、マルチプレイの楽しさに気づいてもらえればいいというスタンスです。私自身も以前はMMORPGなどのオンラインゲームを好きではありませんでしたが、FF14を通じて苦手意識が減ったように思えます。

FF14は「ファイナルファンタジーのテーマパーク」をコンセプトとして掲げていることもあり、歴代作品のオマージュや小ネタを多く仕込んでいます。これまでのシリーズは遊んだけどもオンラインという理由でFF14を遊んだことない人も、楽しめること間違いないと考えているのでしょう。

これからのアップデート予定では次の拡張パッケージまでにはメインストーリーのIDはソロ攻略できるように出されています。

(FINAL FANTASY XIV Letter from the Producer LIVE Part LXVIIIより引用)

運営側は「コンテンツサポーター」からマルチで一緒に遊べる導線も配慮しようと考えている節も所々に見られます。改修されたIDの中には、FF14の攻撃の基本的なギミックを盛り込んだボスが登場します。他のプレイヤーと遊ぶ際は、自分がやられてしまったときに蘇生してもらえます。ですが「コンテンツサポーター」では蘇生できずにやり直しになるため、否応なしにギミックを理解しないと進めません。

例えば、メインストーリーで戦う「善王モグル・モグXII世討滅戦」は「コンテンツサポーター」のみで攻略してきた初心者がはじめてマルチで戦う相手のため、ややこしいギミックを単純にする調整をしました。このようなかたちで「コンテンツサポーター」からマルチで遊ぶための導線も意識していることもうかがえます。

世界を共有する楽しさ

ストーリーを楽しむコンテンツでのやり取りは、コンテンツの最初と終わりで行う挨拶のみが基本です。また、挨拶のやり取りもマクロを使うことでボタン1つで済ませられます。

ストーリーを進める上で攻略するコンテンツは、パーティの全滅はあっても制限時間までには終わるような難易度になっています。高難易度コンテンツは別で用意され、特殊な演出や報酬はあれど、ストーリーを楽しむ分には高難易度に行かなくても問題ない作りです。

またアップデート直後に挑む新しいコンテンツは、全員が初見。つまり、誰も何も分からないまま攻略します。ギミックが分からず全滅して混乱するといった体験を楽しめるのは、リアルタイムで最新コンテンツを楽しんでいる人の特権とも言えるでしょう。

FF14のプレイヤーが集まる主要都市「リムサ・ロミンサ」では、ゲーム内の演奏機能を使って演奏をしたり、アイテムを制作している人がいたりと、賑わっている様子が見られます。高難易度コンテンツなどでマーケットが活発になると、アイテムを作る人も増え、アイテムの強化に一喜一憂する人も出てきたりと変化も読み取れます。

賑わっているリムサ・ロミンサを話しながら楽しむのもいいですが、椅子に座ってのんびりするのもいいでしょう。流れてくるチャットログやエモート、服装などからプレイヤーたちの活気を味わえます。

オンラインゲームと言えば、PVPやボイスチャットなどで積極的に知らないユーザーとコミュニケーションしなければならないイメージがあると思います。

しかし、FF14はメインストーリーを楽しんで、気が向いたら高難易度コンテンツをパーティ募集で集まったメンバーで熱中しながら攻略できるというバランスになっています。

Twitterで流れてくるようなFF14のコミュニティ内のネタを再現してみたり、良い風景を求めて写真撮影に行ったりしてみるのもいいでしょう。

つまり、ゲーム内に沢山の人がいて、コミュニティが存在する中でも、「おひとり様」で楽しむという選択ができるということです。FF14の良いところは、オンラインの他の人との交流の楽しさを実感しやすく、同時に付き合い方も柔軟に選べることだと思います。

「MMORPGだから……」と敬遠している人も、ソロで遊びながら世界との付き合い方を探って遊んでみてはいかがでしょうか。1人で遊びながら世界と向き合うやり方を模索できるはずです。

体験版のフリートライアルはこちらから。

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