にじさんじの動向を月ごとに振り返る連載「にじさんじを追う!」。Zepp全国ツアー「Shout in the Rainbow!」がスタートし、配信では多くのにじさんじライバーが同じゲームをプレイする配信が目立った。2月の特集では少し趣向を変え、ゲーム実況をメインに振り返ってみよう。
トピック①恐竜の島で文明を開化させよ!
ホロライブ・桐生ココによるARKホロライブサーバー設置をきっかけに、Vtuber界隈に大きく広がったサバイバル・文明開化ゲーム「ARK: Survival Evolved」。ホロライブではサーバー設置直後から、配信内外問わず長時間プレイヤー(ARK廃人)を生み出すまでにメンバーを虜にしてしまった。
「マインクラフト」や「Raft」、「Atlas」などのような開発・サバイバルゲームだが、「恐竜を飼う(テイム)」という要素が特徴的。2018年8月ごろに静凛(openrecアーカイブ)が、2019年1月ごろに本間ひまわりがプレイしていたことがある。特に本間ひまわりについては総プレイ時間8000時間を超えるプレイヤーであった。
ARKのけいけんは
公式PVP5200時間
非公式PVP3000時間
公式PVE20時間ぐらい(🌻・ヮ・)参考にしてたも~
— 本間ひまわり🌻 (@honmahimawari) December 29, 2018
1月のSONYイベント後、ARKのブームを受けた本間ひまわりがARKにじさんじサーバーを立てることに。すると、にじさんじグループでもARK廃人が生まれ、日々テイムと開発、探検が行われるようになった。その一端を振り返ってみよう。
最初にARKにじさんじサーバーに立ち入ったのは本間ひまわりとラトナ・プティ。続いて椎名唯華と夜見れなが参加した。
恐竜・モスコプスをテイムできた瞬間、興奮していた椎名唯華の姿が印象的だった。一方、神田笑一はテイムされていない恐竜からの襲撃に遭い、何度もリスタートすることに。それでも配信時間が5時間を超えているのは、このゲームの中毒性ゆえだろう。
シェリン・バーガンディもARKの魅力に取り憑かれたライバーのひとりだ。初プレイでTEK(機械になった恐竜)ステゴザウルスと出会い、「ゾイ○だ!」と感動。リスナーの少年心に呼応していた。その後、レア生物であるユニコーンをテイムするのに20時間をかけた末、見事に成功。ルイス・キャミーに盗まれそうになる顛末が、探偵と怪盗のやり取りを思わせた。
https://www.youtube.com/watch?v=LyYQv_rtjqo
少年の夢を胸に抱いたライバーには花畑チャイカ、社築、加賀美ハヤトらも含まれる。特に花畑チャイカはARKのプレイのために恐竜図鑑「恐竜の飼い方」を手に入れるほどの入れ込み具合だった。長時間配信が続いているが、中でもぜひ見てほしいのは火口付近での花畑チャイカ・社築の滑落のシーンだ。
またアルファと呼ばれる強化された恐竜の強襲も見どころだ。ある時、アルファ・カルノタウルスが村近辺に登場し、社築・花畑チャイカ・加賀美ハヤトらが犠牲となってしまう。これに対し、渋谷ハジメ、本間ひまわり、叶による討伐作戦が展開され、一進一退の攻防の末に勝利を勝ち取るシーンもあった。シェリン・バーガンディの実況付きを視聴すると分かりやすいだろう。
他にも加賀美ハヤトが「元頂点捕食者、わたくし」といったユニークな配信タイトルでプレイしたり、イブラヒムは水路を巡って他ライバーと商売人的な交渉はじめたり、アルス・アルマルが釣りでのんびりしたり、葉山舞鈴が孤軍奮闘で高レベル個体をテイムしたりと、参加しているライバーは数多い。マインクラフト配信などと同様に、ながら作業をしながら視聴すると良いだろう。
ちなみに、でびでび・でびると鷹宮リオンのARKはまとめ動画がアップロードされているので、彼女らのやりとりを見守りたい人におすすめだ。
トピック②深夜の不気味なコンビニバイト
深夜コンビニで起きる怪奇現象がテーマのホラーゲーム「夜勤事件」。コンビニバイトの女子大生(プレイヤー)が、バイトをしているときに起こる奇妙な出来事に巻き込まれ……というシナリオ。1~2時間でプレイできることから多くのVTuberが配信を行っている。
ホラーゲームではあるが、ドッキリ系で驚かせるようなポイントはそこまで多くない。しかし、コンビニの上司が飛び出すシーンや監視カメラ視聴中の怪奇音など印象に残りやすいギミックがあり、悲鳴をあげるライバーは少なくない。
魔使マオの配信では、「懐中電灯を客に向けとったんか!?」とプレイヤーの挙動にツッコミを入れたり、領収書(タイムカード)の置き場所を延々と店長に説教したりと、ホラーというよりは漫談のような雰囲気になっていた。
青鬼やクトゥルフ神話RPGなどでコラボしているシスタークレアと成瀬鳴のコンビ「クレなる」の配信では、シスタークレアが出勤拒否という形でゲームをプレイ。普段は丁寧で落ち着いた物腰の彼女が成瀬鳴に激しいツッコミを入れたり、駄々をこねたりといった、意外な振る舞いを見ることができる。
黛灰は悲鳴とゲラで有名な夕陽リリをサポート役にしてゲームを進行。「スプラトゥーンがやりたい」「意地が悪いのは良くない」などあまり乗り気でない黛灰を、夕陽リリが容赦なく煽り立てていた。店長が驚かすシーンでは静かに怒りを露わにするなど、黛灰の珍しい顔を見ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=MPyhqlN7XFo
イブラヒム、天宮こころ、鷹宮リオン、フレン・E・ルスタリオによるコラボ配信も行われた。メイン操作はイブラヒムだったが、本人はホラーゲームはかなり苦手のよう。ささいなことでも驚く彼に対して「ゲームの音を小さくするな」と鷹宮リオンが煽る一幕も。またフレン・E・ルスタリオは2人のやりとりと関係のないところで勝手に怯えており、終始賑やかなプレイだった。
トピック③「にじさんじスプラ杯」開催
2月29日に開催された「にじさんじスプラ杯」。1チーム4名×12チームで参加者48名を数える大規模なイベントだ。準備期間はそれほど長くなかったが、チームごとに優勝に向けた練習が配信されていた。
注目となったのはAチーム「ほす☆狂」の不破湊だろう。彼はウデマエXの実力者。チームメイトの愛園愛美や轟京子といった初心者ライバーに積極的にアドバイスを行い、実力の高いチームにまで育て上げている。
椎名唯華リーダー率いるKチーム「白いカラス」はAチームと練習試合を開催。椎名唯華は一時的に監督視点でメンバーの動きを指示するなど、精力的な一面を見せた。メンバーも不破湊からアドバイスを受けるなど、敵味方を超えた友情が垣間見られる。
中でも練習に打ち込んでいたのは、Jチーム「かわのおしゃかな」の星川サラだ。今回初心者だったため、同じチームの叶と直前まで調整を繰り返していた。途中、彼女がツボにハマって笑いが止まらなくなるシーンもあったが、真剣に技術を磨いていた。
桜凛月率いるCチーム「意外に強いらC」は、春崎エアルが司令塔となりチームを引っ張ることに。迅速な報告で試合を進め、Aブロックを突破。準決勝ではJチームに対して慌てること無く勝利しており、終始落ち着いたプレイを見せている。
今回の大会で最も目覚ましく輝いたのはDチーム「インクフィッシュ」だろう。エクス・アルビオが的確に指示を出し、夕陽リリが後方をカバー、魔界ノりりむと魔使マオが前進するという連携が生きていた。決勝、ひとり前線に向かったエクス・アルビオの号令に3人が的確に応えるシーンは必見だ。
星川サラやフレン・E・ルスタリオなど初心者も多かったにも関わらず、どの試合も接戦となったのは、ライバーたちが全力で練習を積み重ねている証左だろう。こういった勝負に対するライバーの真剣さには拍手を送りたい。
全国Zeppツアー「Shout in the Rainbow!」スタート
本日は「 #にじさんじJAPANTOUR 」Zepp Sapporoをご覧いただき、ありがとうございました!!
2020.02.09、冬。
北の大地に舞い降りたにじさんじの真っ白な足跡は、ここ札幌に刻まれました。2020.02.13、次は福岡へ。
にじさんじの旅は、まだまだ続きます・・! pic.twitter.com/ZLxlRIe9r8— にじさんじ公式🌈🕒 (@nijisanji_app) February 9, 2020
2月9日(日)のZepp Sapporoを皮切りに、13日(木)Zepp Fukuoka、21日(金)Zepp Namba、26日(水)Zepp Nagoyaと次々に開催されたで開催された「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 “Shout in the Rainbow!”」。このツアーで、童田明治や加賀美ハヤトらの3Dがお披露目となった。
ニコニコチャンネルでは百花繚乱氏をMCに、ベルモンド・バンデラスや黛灰が参加ファンインタビューを実施。早瀬走や星川サラらが控え室インタビューやライブ後インタビューを担当しており、前後盛りだくさんのイベントとなっている。
さらに本間ひまわり、椎名唯華、花畑チャイカらが同時視聴枠を設け、ライブを共に楽しむ配信を行っている。御伽原江良の「ファンサ」でコールする本間ひまわり&ドーラや、アンコール固定の「Viturl to Live」を一緒に口ずさむ椎名唯華など、思い思いにライブを楽しんでいる姿が見られた。
この度の【 #SitR東京 開催中止のお知らせ】について
ツイートの文字数制限を大幅に超えてしまったため、画像で失礼いたします。https://t.co/XOePMaHou5 pic.twitter.com/Vcw03TVnu9— ベルモンド・バンデラス🥃 (@belmond_b_2434) February 27, 2020
しかし、昨今の新型コロナウイルス蔓延の都合で東京公演は中止。ベルモンド・バンデラスを始め、リゼ・ヘルエスタ、アンジュ・カトリーナ、戌亥とこ、笹木咲らは悔しさを露わにした。ファンを思っての決断である。いつかこの5人でステージに立って欲しい。(3月5日にZepp中止組として企画配信を行った。)
2月のまとめ
2月は他にも、グウェル・オス・ガールがましろ・来栖夏芽・奈羅花(まななつ)と行った「ウミガメのスープ」が、丁寧な進行で話題となった。またスプラトゥーン+「ウミガメのスープ」(山神カルタ、フミ)や水中ゲーム(山神カルタ、星川サラ)など、ゲームと「何か」を組み合わせたコラボ内容も注目された。
話題になったものといえば、2019年2月6日に現れた生主「でびっち」の1回忌配信もある。順調に追悼式が進行していくと思いきや、でびでび・でびるの2ndチャンネルで突如として「【萌え声雑談】でびっちのまたーり雑談(*´ω`*)【凸受け付けてまセン】」が配信開始。途中からはでびでび・でびるとでびっちが通話する流れに。その後、でびっちのTwitterアカウントが創設され、単独で配信をするようになり、いよいよ存在感を増している。このドラマがどこに向かうかにも期待したい。
運営より「暴言が怖い」との理由からゲーム「Grand Theft Auto」のプレイ実況を禁止されていたライバー・樋口楓が、2月5日に遂にプレイ解禁。「お嬢様言葉縛りGTA」を始めるも、上限3回はあっさりと終了。その後、上限が5回、10回とあげられていった。お嬢様言葉の崩れた回数がトータル18回かどうかは、推して知るべしである。
10月に黛灰が配信した「記念凸待ち配信(凸0人)」企画も話題となった。その後、ホロライブ・天音かなたや湊あくあらも凸待ち0人が続いてしまい、これを繰り返してはならないと決心した黛灰がとった行動は「金を渡して凸してもらう」という主旨でのゲーム実況を敢行。生粋のエンターテイナーである彼らしい配信といえる。
今月は、その昔Vtuber界を席捲した激辛焼きそば・ペヤングMAXENDの更に上を行くからさを誇る「獄激辛」を食べながら、邦ロックリレーで多くのリスナーの心を動かした三枝明那の「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」で締めたいと思う。エモいとは、一筋縄ではいかないようだ。
執筆:Aikawa Hasma (Twitter:@arg_Aikawa_)