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Mogura VR Job 2022.12.15

【第3回転職説明会レポート】エンジニア&デザイナー必見!「アバター業界の秘密」の話

企業の採用担当者やエンジニア、マーケターなど様々な分野からゲストを招いてお話を伺う採用イベント「XR/メタバース転職説明会」の第3回が、2022年6月30日に開催されました。その模様をアーカイブ記事として公開いたします。ゲストは、株式会社アンビリアル取締役(CTO、Unityエンジニア)の高取泰洋氏と、株式会社ミラティブ デザイン部3Dグループマネージャー(テクニカルアーティスト)の下原雄大氏でした。



アンビリアルとミラティブってどんな会社?

――現在開発されているアプリやサービスを教えていただけますか?

高取泰洋氏(以下、高取):
アバターでカラオケが楽しめるアプリの『topia(トピア)』を開発しています。大きな特徴として、JOYSOUNDから1万5000曲(2022年12月時点で2万曲)が提供されており歌い放題になっています。配信中に多彩なエコーや、ボイスのエフェクトを掛けて歌うこともできます。そのため、本当にカラオケボックスで歌っているような感じで配信できるのが特徴です。
高性能な顔認識でアバターの顔を動かしながら、配信を楽しめます。また、最大12人までの「コラボ通話」で、みんなでわちゃわちゃ話しながら配信することも可能です。
アバターで配信ができるので、身バレを気にすることなく安心して楽しめるのも特徴ですね。配信中に話題がなくなって話に詰まってしまうという方もいらっしゃいますが、カラオケ曲を歌いながら気軽に配信できます。『topia』で初めて配信を行ったという声も聞いています。
コミュニティ機能は「SNS型」になっており、配信と視聴を交互に繰り返しながら、コミュニケーションを取っていく形にしています。従来の配信サービスでは、視聴者と配信者がはっきり分かれていて、有名な配信者がひとりいて、そこに対して視聴者が集まっていく方式が多かったように思います。対する『topia』は、配信者のときは視聴者と仲良くなり、視聴者の人が配信を行っているときはそちらに視聴者として参加する方式にしています。
現在でもバーチャルライブ配信はできますが、今後の展開として、ライブ背景が動くなどよりリッチな表現ができるように拡充していきます。また、最近のアバターのトレンドも取り込んでリニューアルしていこうと思っています。現在はスマートフォンで完結したサービスを目指していますが、中長期には「音楽領域のメタバースプラットフォーム」として、ARやVRなどのサービス展開をしていきたいです。
弊社のミッション(Mission)は、「絆が生まれる世界をつくる」です。年齢や性別、国籍、肩書きなど、あらゆるしがらみがない解放された第三の居場所で、本当の自分と本当の仲間たちとが繋がれる世界を目指しています。バリュー(Value)は、「ユーザー中心主義」と「絆を育むチーム」「プロフェッショナルマインド」を掲げています。現状、メンバーが約40名ほどで、平均年齢は32歳と若いメンバーが多く活躍されています。


(提供:株式会社アンビリアル)

下原雄大氏(以下、下原):
ミラティブは『Mirrativ(ミラティブ)』というサービスを提供しています。スマホ1台でアバターを使って簡単に配信ができるというものです。アバターを使ったゲーム配信も、(追加の機材・アプリがなくても)そのままできます。『Mirrativ』のアバターのことを「エモモ」と呼んでおり、幅広いデザインでユーザーに提供しています。
サービス内の配信者数は延べ360万人(※2022年12月時点で430万人)を突破しており、スマホゲーム配信者数は日本一です。コミュニティ色が強いサービスになっており、ユーザー同士の仲が良く、配信者同士で一緒にゲームを見ながら遊ぶという、友だちの家でゲームを遊んでいるときのような空間を提供しています。
アバターモデルの制作やモーションや「ギフト」演出といった3Dデザインに加えて、ここ最近は『ライブゲーム』に力を入れています。視聴者が配信中のゲームに介入できます。たとえば、視聴者がゲーム内で有利な効果が得られる装備やアイテムを配信へ「ギフト」すると、ゲーム内で有利な効果が得られます。もちろんゲーム内で使えるほか、アバターの衣装として身に着けることもできます。
ミラティブは、「わかりあう願いをつなごう」というミッションを掲げています。人と人とが繋がって、わかりあえるような「居場所」を創ろうというコンセプトの元、サービスを日々運営しています。


(提供:ミラティブ)

ユーザーが期待するクオリティアップと、技術的負債の解消の両立が課題

――会社の成長のネックはなんでしょうか?

高取:
メタバースの人気が急速に高まっていることもあり、ユーザーが求める3Dコンテンツのクオリティも高まっています。ただ、3Dコンテンツ制作はかなり専門的な領域で、エンジニアとデザイナーが関わりながら作っていきます。そのため、異なる専門家同士での社内コミュニケーションが課題になるというのはありますね。
『topia』はサービス開始からもうすぐ4周年になりますが、技術的な負債も溜まってきました。ゼロからの作り直しはできないので、少しずつ改修しながら運用していく必要があります。そこが結構難しいところだなと思っています。

下原:
元々『Mirrativ』は、ゲーム配信がスマホ1台でできるアプリでした。そこにアバター機能を追加したため、あとからアバターの文化ができていきました。アバターを使わずに配信するユーザーも一定いるので、最近の課題は、そうした方たちにもアバターを使ってもらうために、どんなことができるだろう? どんな新しい体験を提供できるのだろうか? といったところですね。
先ほど高取さんがおっしゃった、コンテンツ自体のクオリティアップも(課題感が)ありますし、ラインナップ拡充も課題です。弊社は「カワイイ」寄りのアバターなので、逆に「カッコイイ」寄りのアバターが作れるようになりたいとか。そうした声に応えるために、アバターの根本的な部分にいろいろと改善を入れなければいけないといったこともありますね。

(撮影:株式会社Mogura)

――開発で苦労していることはありますか。また、それを解決するために何をされていますか?

下原:
『Mirrativ』はいろんな機能を持ったサービスで、ゲーム配信もできるしアバターもあるし、『ライブゲーム』も最近登場しました。それらの連携は結構難しいです。毎週のようにイベントを開催しながら、新しいアバターを追加して、衣装などのアバターパーツも追加しています。
アバターパーツには組み合わせの問題があります。たとえば、このトップスにこのボトムを合わせたときに、ちゃんと成立するのか、みたいなことです。運用コストをある程度下げつつ、アバターのクオリティを維持し続けるために、テーマ別にパーツを揃えたときの見栄えやクオリティを最優先にして、グラフィックが多少はみ出たり、組み合わせが破綻するのは許容しています。

高取:
『topia』は配信アプリということもあり、めちゃくちゃ人が来ます。たとえばひとつの配信が、多いときは100人ぐらいに同時視聴されますが、その負荷は開発中に再現させることは容易ではありません。従業員は今40人ぐらいしかいないので(笑)。1分間に何十ものコメントが流れたり、カラオケ予約が大量に来たり、本番環境では様々なことが起こります。(開発中のテストで)一部UIを自動化したり、擬似的な配信をいっぱい立ち上げたりもしていますが、それでもユーザーの使い方は、しばしば僕らの想像を超えていて。不測の事態をテスト工程にどう組み込むかには苦労しています。

――意識的に他社サービスを触ってみることはありますか?

高取:
特に意識的にはやっていませんが、コメント機能などの他の配信アプリと共通する部分の機能改修があるときは、他のアプリがどのような機能実装をおこなっているのか参考にする意味合いで調査するようにしています。

――ベンチマークにしている企業はありますか?

高取:
ベンチマークにしている企業はありませんが、アバターの見た目を考える場合、「原神」や「ウマ娘」などの話題のスマホゲーをウォッチして開発の参考にすることがあります。

下原:
最近はベンチマークにしているものはなくて、よそであまりやられていない領域を突き進んでいる感じです。似たようなサービスはありますが、そちらと『Mirrativ』の中の文化は異なります。もちろん、同系統のアプリはリサーチして、調査結果を『Mirrativ』の文化にどう落とし込んでいくか、どうすればユーザーが喜んでくれるのかを、みんなで日夜議論しています。

テクニカルアーティストはデザイナーとエンジニアの「橋渡し」役

――昔からゲーム業界には「テクニカルアーティスト」という職種がありましたが、メタバース業界でも注目を浴びるようになってきました。どんなスキルが必要でしょうか?

高取:
デザイナーとエンジニアの橋渡し的な役割ですね。弊社の3Dアーティストは、『Maya』などの3DCGツールを使った3Dモデル制作が中心です。メインの仕事は、デザイナーが作ったものを、どのようにアプリに組み込んでいくのか考えること。ワークフロー全体を理解して、どうすればより効率化できるかまで考えるので、幅広い知識が求められる職種です。

――テクニカルアーティストがいない会社では、どなたかがその役割を兼ねている?

高取:
弊社では3Dデザイナーが3Dのアート部分の提案を行い、そこからエンジニアとやりとりをしつつ、納品物の仕様を決めています。なのでデザイナーとエンジニアがうまく役割分担をしている形です。ただ会社の規模が大きくなるとチーム間でのコニュニケーションコストが増えてくるので、その間をうまく取り持ってくれるテクニカルアーティストがいると心強いですね。

――実際に「テクニカルアーティスト」として働いている下原さんは、どう見ていますか?

下原:
ゲーム会社もそうだと思いますが、テクニカルアーティストにもいろいろなタイプがいます。3Dデザイナーとエンジニアのコミュニケーションの橋渡しも行いますし、アーティストの業務にテクニカルな視点を入れて、より効率的にできるように提案するサポート役も務める場合もあります。
ほかにも、社内で「こんな見た目の物を作りたい」と相談されたときに、グラフィックデザインやCGの観点から、技術的な方法も含めて指示する方もいらっしゃいます。
僕自身、昔はそんなに「テクニカル」なアーティストではありませんでした(笑)。ミラティブ入社当時、デザイナーの中でUnityが使われていて、僕はUnityの機能にある程度理解があったので、テクニカルアーティストっぽく働いてきました。VRChatのワールドを自作できるような人には、向いている職種だと思いますね。



3Dグラフィック制作経験のほか、技術選定やチーム編成、業務効率化ができる人も歓迎

――テクニカルアーティストを雇うときに、どんな職務経歴の方を想定していますか?

下原:
アーティスト出身の方が多い印象です。エンジニアだと、グラフィックの効率化など、描画回りに強い人でしょうか。

――ゲーム業界の方が多いのでしょうか?

下原:
映像業界にも結構いらっしゃいますね。特にCG映像やアニメーションを扱っている会社です。

――前職でUnityを使ってなくても、入社した後に使えるようになればいい?

高取:
Unityは(入社前から)使えるほうが、望ましいと思いますね。

――現在募集中のポジションを教えていただけますか?

高取:
テクニカルアーティストを絶賛募集中です。会社規模が大きくなってきたので、デザインと開発の間に入ってリーダーシップを取れる人が必要かなと思っています。たとえば、「こういう見た目のアバターを作りたい」と相談されたら、技術的選定やチーム編成まで考えてくれる方が入ってきてもらえると、非常にありがたいです。

下原:
おかげさまで採用活動は順調して、3D系求人は落ち着きつつあります。しかし、良い方がいればぜひお会いしたいですし、アンテナは常に張っている状況です。どちらかというと今は、Unityエンジニアを急募中です。業務効率化ができる人を歓迎したいです。
ミラティブはBtoCのサービスで、いろいろな文化が入り交じっています。設立して4年の会社で、まだこれからです。会社としてやることも、作っているものも、どんどん変化していきます。そうした変化に対応出来たり、それを楽しめたりできる人が社風に合うかなと思います。

イベント参加者からのQ&Aコーナー

――動画業界からメタバース(ARやVRなど)業界への転職を考えています。ディレクターや編集者に求められる能力はありますか?

高取:
弊社には編集者の職種がないのでディレクターについてお答えすると、ディレクターと一口でいっても会社によって要求スキルがかなり異なると思っています。なので、他業種への転職を考えいる場合、例えば弊社のようなスマホアプリを作っている会社に転職を考えるのであれば、1度簡単でもいいのでご自身でアプリを作ってみると業界への知識が深められるのではないかと思います。

下原:
ミラティブでは、マーケティング向けの動画を作る職種の募集を出したことがあります。まずはそのポジションで入社をし、徐々にやることを広げていき、みたいな働き方は可能だと思います。

――メタバース関連企業に転職するために、押さえたほうがいいポイントを教えてください。

高取:
文化の違いを知る意味で、VRChatで遊んでみるのもいいと思います。ミラティブさんや弊社などの配信サービスも、「アバターを作ってなりきり配信する」という文化を学べる点でおすすめです。

――これから、アバターによる配信事業が伸びていくと思われる理由を教えてください。

下原:
ざっくりしたくくりでいうと、「配信」は世界中で成長している産業領域です。ゲームはもちろん、別ジャンルの配信も成長していて、社会でどんどん当たり前になってきています。ゲーム自体が、配信を前提にした作りにしていることも増えてきましたよね。
今後も、バーチャル空間ではどんどんゲームや配信が混ざっていき、それもまた当たり前になる世界が来るんだろうなと思っています。ミラティブはその未来を見据えています。そして、そういったバーチャル空間にはアバターも絶対に必要になると思います。

――今すぐ来て欲しい人は、どんな人材でしょうか?

下原:
エンジニアですかね(笑)。Unity以外のエンジニアでも、クライアントもバックエンドなど、幅広く募集中です。

高取:
うちはテクニカルアーティストが特に欲しいです(笑)。

――別のプラットフォームに、アバターを持ち出せるようにする計画はありますか?

下原:
もちろん検討しています。過去にVRMファイルの書き出しも社内で試したことがありました。これから事業展開の幅を広げていくときに、自社サービスを飛び出すこともありうるだろうなと。それでユーザー体験が良くなるのであれば、僕としては是非やっていきたいなと思っています。

高取:
特定のプラットフォームは想定していませんが、弊社もVRMファイルやFBXファイルの書き出しは試しています。メタバースのプラットフォームが乱立するようになってきたら、それに対応できるように、社内で研究はしています。

――ITIL (Information Technology Infrastructure Library)やサービス設計回りのスキルは需要ありますか?

高取:
運用設計回りのスキルは、めちゃくちゃ需要があると思います。基本的には、運用をずっと続けていくコミュニケーションプラットフォームなので、そうした経験がある方は大歓迎です。

下原:
僕自身はエンジニアではないので、この辺りのことはわかりませんが、高取さんがそうだというならば、弊社でもそうだと思います(笑)。

――売上の種類(投げ銭など)と、その割合はどうなっていますか?

高取:
弊社は基本的にアプリ内で視聴者から配信者に送られるギフト(投げ銭)がメインとなっています。

下原:
割合はいえませんが、大きな収益源のひとつにアバターがあります。『Mirrativ』でアバターを手に入れるには、他の配信へ「ギフト」を贈る必要があります。「ギフトガチャ」と呼んでいますが、視聴者が配信にギフトを贈ると、視聴者と配信者がそれぞれアバターをゲットできます。また、ゲーム会社さんとタイアップキャンペーンを実施することもあるので、その広告収入もあります。

――3DCGアーティストでメタバース業界に転職したいと思っています。募集人数に対して、応募される方が多い(倍率が高い)状態なのでしょうか? また、テクスチャーアーティストの募集はしていますか?

下原:
直近はメタバースへの注目が上がり、そこから応募が徐々に増えてきました。ただ、肌感覚では、めちゃくちゃ倍率が高いわけではないです。ちなみにミラティブでは、テクスチャーアーティストのみでの募集はしていません。可能なら、(隣接分野も)ひと通りできるとありがたいです。

高取:
倍率が高いわけではないですね。弊社の場合は、テクスチャーアーティストの募集はしていません。3D関連の職種ですとモデル製作とテクスチャー製作の両方ができる3DCGアーティストの募集をしています。

――どんなポートフォリオだとわかりやすいのでしょうか?

下原:
モデラーとしてなら、純粋にモデリング能力や造形力がわかる作品がどれだけあるか。プラスアルファとして、幅広い表現や業務に対応できそうだと分かるものがあるといいですね。たとえば、モデルだけではなく、エフェクト作品やUnityで作った自作のゲームやアバターなどもポートフォリオにあると、いろいろ任せられそうだなと思います。

高取:
弊社が目指す方向性と合っていそうか確認できるポートフォリオがあるとありがたいですね。例えば弊社のトピアは人間型の3Dアバターをメインで作っているので、それに近しいモデルや、モンスターやロボットなどの人間型に近しいような3D製作の経験をポートフォリオとして提示していただけると、我々の方も実際に業務に紐づけて「どのような仕事を頼めそうか」想像しやすいと思います。

――本日はありがとうございました!


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