VTuberという言葉を聞いたとき、どのプラットフォームを思い浮かべるだろうか? 多くの方はYouTubeだろう。しかし現在もうひとつ、世界各国のVTuberが集まる場所として盛り上がりを見せているプラットフォームがある。Twitchだ。
TwitchのVTuberへのアプローチは2018年から始まっており、2021年には「VTuber」という単語が検索用のタグとして採用されるなど、関係性をより深めている。最近ではキズナアイさんがDJ配信を実施したり、ホロライブの兎田ぺこらさんが同時視聴をおこなったり、Twitchの創業者が立ち上げたVShojoが活躍したりといった事例も増えてきた。
2021年12月時点では、リアルタイムで配信するVTuberが3,000名ほど。VTuberの視聴時間もかなり伸びはじめており、興味深い状況になっている。その一方で、TwitchでどういったVTuberの配信が行われ、人気を集めているのかを知らない方も少なくないだろう。
今回はTwitchで、ひときわユニークな輝きを見せ、世界各国の視聴者から支持を集めているバイリンガルなVTuberMinya September(みーにゃせぷてんばー)さんに、TwitchとVTuber文化の繋がりについて話を聞いた。
VTuberになりたいと思っていたわけではなかった
(https://www.twitch.tv/videos/687286202)
――まずは読者の方に向けてMinyaさんのプロフィールをご紹介おねがいします。
- Minya:
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今でだいたい2年ぐらい活動してますね。普段はゲームもするけど、雑談半分ゲーム半々っていう感じの配信をしています。リスナー層は海外の人と日本の人が半々ぐらいみたいな感じですね。
――デビューは何月ごろか覚えてますか?
- Minya:
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そもそも「配信者になろう」とか「デビューしよう」みたいなきっかけがあった訳じゃなかったので、「何日がデビュー日」っていうのがないんですけど、その代わりにアフィリエイターになった日を記念日にしようと思っていて、一応2019年12月17日ですね。
――いつごろにVTuberを知って、VTuberを名乗るようになったのでしょうか?
- Minya:
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VTuber自体はストリーマーになる前から知っていました。VTuber好きの友達がよくTwitterでリツイートしていたので「そういう人達がいるんだ」ぐらいで、特に詳しくなかったですね。
(配信を始めた頃は)自分をVTuberって思ってなかったんですよ。ただ音声の配信をしていたからです。そこへモデレーター(※)がアバターを持ってきたんです。当時の私のアイコン画像は、いまのアバターをちょっと崩したみたいな感じなんですけど。
※モデレーター:ストリーマーのチャットを安全、快適、陽気に保ち、管理を手伝うために必要な権限を割り振られた管理者
イラストを描いていただいた✨
服が偶然にもタルコフぽいのが素敵!
髪飾りはにゃんこ大佐(名前はまだ無い)とお揃いという粋な計らいまで😭💕
ぐりさん(@gryphin1424 )ありがとうございました! pic.twitter.com/w3kYoJjqNG— Minya September/Vtuber🥑 (@Minya_923) March 5, 2020
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これこれ。ちょっと手直しされてるんですよね。ただの正面画だったイラストを使って、モデレーターがリギングして「多分これ付けたらみんな喜ぶから、これを使って配信してみない?」って言って、もう出来上がったのを渡されたんですよね。
「いいじゃん面白いじゃん、これ」みたいな感じで使い始めたんです。だから「VTuberってどんなだ」とか「VTuberになろう」とか、なかったんですよね。
――ずいぶんと特殊なデビューのされ方ですね(笑)。
- Minya:
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そう、そうなんですよね! 普通に配信し始めてちょろっと経った頃に、VTuber好きな視聴者が増えたなって感じだったんですよ。その時、モデルの効果をめちゃくちゃ感じましたね。当時はあまり人気の無かった「タルコフ」のゲーム実況配信を5ヶ月ぐらいずっとやっていたのですが、ピーク80人とかが、モデルを使ってプラス20ぐらい突然ビュッと上がりましたね。
その当時はTwitchに検索用の「VTuberタグ」が無かったので、レイド(※配信終了後に視聴者を別のチャンネルに送り込めるシステム。他ストリーマーと視聴者を共有することでコミュニティを拡大できる)を行うときにも、いちいち検索しないといけなかったんです。モデレーターに「Minya…VTuberってタイトルに付けた方が見つけてもらいやすいから、VTuberって付けなさい」って言われたんです。それが、VTuberを名乗ったきっかけでしたね。「VTuber」ってタイトルにつけたその日のうちにレイドでたくさんの視聴者が来ました。
――つまり自分から「VTuberになりたい」と思って名乗り出したのではなく、自分の配信コミュニティのためにVTuber文化に接近したってことですね。
- Minya:
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そうですね。
みんなが戻ってくるホームみたいになってくれたらいいな
――Minyaさんは現在、日本語と英語の両方を用いて配信をされていますが、初期配信は日本語のみの配信でした。いつ頃から英語で喋ろうと意識するようになりましたか?
- Minya:
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Twitchの海外視聴者って、どんなに日本語を喋ってる配信でもやっぱり来るんですよね。どこのお友達の配信とか見ても、海外の人が日本語を聞くのが好きと言ってくるんです。
メインのリスナーさんは、みんな日本人だったから基本的に日本語喋ってたんです。ただ、まだモデルも何もついてない声だけで配信していたときにも海外の人が来て、チャットを返すときに英語を使っていたんですね。
あるとき、レイドで海外リスナーが2〜300人ぐらいばっと来たんですよ。それが海外VTuberのストリーマーのレイドだったので、そこから海外のVTuber繋がりで人が集まるようになったんです。視聴者の数が日本語より英語の方が上回ったみたいな状況になった時は、8割英語で喋ってましたね。
――Minyaさんの配信はファンがしっかりついている印象を持ちました。ファンとはどういったコミュニケーションを意識していますか?
- Minya:
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色んな国の人がいるので、なかにはチャットで自分について語って来る方もいるんですよ。「今日は何してきた」とか「自分はどこの出身です」とか、そういった内容を大体覚えておいて、それぞれの国の言葉のあいさつで全部返すようにしてますね。ハワイだったらAlohaって言って、ロシアだったらПриветって言って、中国だったら你好ですね。そんな感じ(笑)。挨拶の言葉が分からないときは「なんていうの?」って聞くようにしていますね。それで覚える感じです。
みんなとの付き合いも1年以上ある人が多いので、だいたいみんなの身の回りのことは分かっています。学生なのか、社会人なのか、だいたい何時頃まで仕事している人なのか、どんな家族がいるのか、趣味がなにか、今夢中のゲームや頑張っていることまで、勝手に覚えてますね。
その上で、コメント来たら対話します。「そういえば、こないだ〇〇に行くって言ってたけど、どうだった?」とかって感じで。もしかしたらそれが、自分のコミュニティのベースになっているのかも知れないですね。
(自分の配信チャンネルが)みんなが戻ってくるホームみたいになってくれたら、いいですね。
――視聴者のメインの年齢層は分かりますか?
- Minya:
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10代の学生は感覚的にあまりいないかもしれないです。よくみんな「今から仕事行ってきます」とチャットしてるので。その原因は私の配信を成人指定にしてるからですね。あの(Twitchの音声自動)翻訳がエッチなんですよね(笑)。VTuberだから子供に見せようと思ったお母さん方にエッチな話題や残酷な話が聞こえてしまうのも、ちょっと心配なので。
――ユーザー層は英語圏が多い印象ですか?
- Minya:
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英語圏が多いけど、結構バラバラな気がしますねぇ…。ノースアメリカがやっぱり多いけど、ヨーロッパもだいぶ多いですね。私の配信時間は結構深夜になるので、時間帯のせいだと思うんですよね。
――本当に多国籍な視聴者の方々と一人ひとりファミリーのようにコミュニケーションをとっているんですね。
- Minya:
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そうですね、そんな感じですね。「クリスマスにみんな何するの?」とか「伝統行事みたいなの何かあるの?」とか、それぞれの国の習わしを話すこともあります。
例えば、ドイツがちょっと特殊なクリスマスだったりして、食べ物の写真などをみんなで見て「うわぁ…!」って反応したりとか。他にも、色んな国の人同士でバレンタインについて話すといったこともあって、めちゃめちゃ面白いですね。日本人はクリスマスの日に恋人がいないと涙を流す感じですが、海外の人は「え? 家族の日だけど? もう正月正月」みたいな感じで、温度差があるのも面白いですね。
文化を分かりあえないときに必要なこと
https://www.twitch.tv/videos/688147843?t=0h53m4s
――文化の違う視聴者たちと自然にコミュニケーションができる時点で驚かされているのですが、会話をするうえで心がけていることはありますか?
- Minya:
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そうですね……。1つは本音しか話さない。良くも悪くも本音しか話さないし、わだかまりは絶対残さない。何かあった時に言わなくてもいいかもしれないけど「自分の考えはこうですよ」と伝えることで、コミュニティの中での共有認識をつくっています。
例えば、人種問題や同性愛についての質問がポンと飛び込んできた時に、うやむやにするんじゃなくて、「私はこういう風に思っているよ」と話して、安心してもらう。何か問題があったり、皆が「あれ?」っていうようなことがあったら、ちゃんと話すようにもしてますね。
まあ配信って好きな人だけ残って、嫌な人は消えていくし、私の作っているムードが好きな人は穏やかな人が多いので、もめ事は無いですね。
たまに「このゲームは面白くない」って個人の意見を押しつける人がいますけど、それで揉めそうなときは私は制裁……じゃない、仲裁をします(笑)。「うんうん、分かる分かる」って言いつつ「それはあなたの一意見にすぎないし、面白い人がいても良い。自分が面白くなかったから、人が面白くなかったっていうのは、また違うよね」って言ってまろやかに仲裁します。やっぱり国が違うと、主張の仕方に違いがあるんですよね。
ちょっと関係ない話になってしまうんですが、日本人はなんかこう「リア充爆発しろ」っていうじゃないですか。海外にはその爆発する文化がないので「爆発しないでください」と書き込まれたんです。それが面白くて(笑)。
他にも日本人って「ああ……もう私の馬鹿!」と言うじゃないですか。海外だと馬鹿って結構重たい言葉なので「minyaは馬鹿じゃない」って真剣になる人がでてきたりも(笑)。
そういった文化の違いで「ちょっと違うな」っていう時は、いちから説明します。「日本ではね、リア充を爆発させるもんなの」って言いつつ、本当に悪意を持って「お前たち、爆発してしまえ!」なんて、みんな思ってないからって。
日本人も勘違いしたりするし、海外の人も勘違いしたりする。辞書を持って言葉が通じても、文化が違うから分からないときがある。
くしゃみ1つしても、海外はみんな「大丈夫? お大事に」みたいな感じなんですよ。日本人はみんな総じて「助かる」とか言うんですよね。海外の人は「何が助かるの?」「何で助かるの?」みたいな。そしたらまた説明しますよね。「日本ではね、助かる文化があるの」って言って。
――デビュー以前から人と交流するのがお好きでしたか?
- Minya:
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どっちかと言うと、人はそんなに好きじゃないんです。ストリーマーになる前に海外の人と関わる出来事があってから、自分自信がちょっと一皮むけたおかげかもしれません。
例えば海外に行った時に、洋服屋さんで「あなたの服いいわね!」とか「あなたの髪素敵ね!」とか、みんなしゃべってくるんですよ。スタバに行けば、全身タトゥーのおじさんに「君のそのジャケットはとても良いね…」と言われたり。
最初は恥ずかしくて黙っていたんですよ。でもなんかやっぱり失礼だなって。そういう人とちゃんと会話ができるようになりたいと思って、ある程度英語が喋れるようになってからは陽気にコミュニケーションを取るように変わりましたね。
恥ずかしいというものを捨てました。今は誰でももうウェルカムです!
リスナーたちが集まれる場所を作ってあげたい
(https://twitter.com/Minya_923/status/1381992181385207811)
――あらためて、Minyaさんのように視聴者の一人ひとりに向き合うような配信スタイルは珍しいと感じています。
- Minya:
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私がそうやっているのは、自分の配信のきっかけが原因かもしれないですね。ストリーマーになる前、一緒にゲームで遊んでいた仲良しグループのひとりから「外に出ている間スマホでゲーム画面が見られないから、配信を垂れ流してくれないか」と言われたんです。当時はDiscordのゲーム画面共有機能が無かったんですよね。それでゲーム配信をはじめたのが最初だったんですけど、ちょこちょこやっていたら、リスナーが集まるようになったんです。
その時は、ただ仲間内で「タルコフ」が楽しくてプレイしていただけだったんですけど、次第にゲームのアドバイスをする人たちも来るようになって、友達にとってはそれがだんだんプレッシャーに感じちゃってたみたいです。
それで配信とプライベートを分けようという判断になったんですけど、その時点でチャンネル内に小さいながらもコミュニティができていて、それを捨てていつもの生活に戻るのは寂しいと思ったんです。すでにリスナー同士で仲良くしている人たちもいたので、「この人たちが集まれる場所を作ってあげたい」なって。
私もこれまで人から居場所を作ってもらってたタイプだったんです。自分の家庭環境が微妙に思っていたときも、外側にいる人たちはとても優しく大事に接してくれたから。だから、私も寂しい人とか行き場がない人が「お帰り」「お疲れ」と関われる場所を作りたいなって。それでコミュニティを作ろうと思ったんです。
みんながなんとなく集まって仲良くしてくれればと思っています。リスナー同士が仲良くしてなくても、私が「こないだのテストどうだった?」「仕事お疲れ」「この間〇〇って言ってたけど大丈夫?」と、それぞれの人たちとの関係性をつくっていく、そういう感じになれば良いですね。
――いわゆる、タレントやアイドルを志してデビューをするYouTube主体のVTuberとは、根本的な動機が異なっているように感じました。
- Minya:
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へぇーー。他のところはよく分からないけど、そうなんだ! なんでYouTubeではなくTwitchを選んだかっていうのも、(友達から)「遅延が少ないから」って聞いたからだったんです。
――例えば、ファンを獲得して、チャンネルをどんどん拡大していきたいといった気持ちはありませんか?
- Minya:
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全然ない! 全然ない! たしかに周りのVTuberの真剣にやってる子達とかは、「minya…!Dead by Daylightばっかりやったって人は増えないよ」とかアドバイスしてくれるんですよ。私もそれで渋々マイクラをやったりとかしていたこともありました。
でも去年の初めに病気になったのをきっかけに「好きなことしかしない」と決めたんです。
好きなゲームを2ヶ月延々とやったりとか、英語ばかりでなく日本語も使うようになったりとか。それと異性コラボもですね。仲良い女友達はみんなに認められて、仲良い男友達はみんなに認められないって、なんか不公平だなと思って。海外ではそういうコラボって認められているんですけど、日本だと「うわ~異性がいる」みたいなんですよね。気持ちは分かるけど。でも、そのおかげで面白い人やゲームを頑張っている人とコラボできるようになったし、面白い話もたくさん聞けるようになりましたね。
「コラボしませんか?」のワンステップが必要ない
https://www.twitch.tv/videos/1068176938
――ちなみに、Twitchで交流しているストリーマーはどういった方々でしょうか?
- Minya:
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女性ストリーマーでは、bananya(ばんあにゃ)やLeaflit(りぃーふぃっと)ちゃんですね。
bananyaはイスラエル人なんですけど、日本語100%で喋ってくれる。ちょっと通じなかったら、英語が喋れるので2人で英語で喋ったりとかして。Leaflitちゃんは、1番最初にできたVTuberのお友達だから、時間が合えばコラボをやったりしますね。
https://twitter.com/Minya_923/status/1325834265385316352
男性だとけっつんさんとはよく遊びますね。あとTwitchで頑張ってる緑くん。私が初めて出た大会で一緒のチームになって、結構長い間仲良くしてくれてますね。
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仲良くなるきっかけは大会とレイドが多いです。もしくは「友達の友達は友達」みたいな感じで、ストリーマーからの紹介きっかけで交流がはじまることもあるかもです。気が合うかどうかが大事で、私が好きなものを配信してたり、人間性に魅力を感じたりする人との縁が長く続きやすいです。
――どういった方法でTwitchストリーマーと交流されますか?
- Minya:
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基本的にはお互いの配信を行き来して(チャットに)コメントをします。誕生日や記念日になると、ストリーマーのアニバーサリーにギフトを送ったり、ビッツ(※Twitchで購入できるバーチャルグッズ)を渡したりします。そんな感じで祝ってくれると、心が近いような気持ちがします。
あとは、先程話したレイドで、ファンを他のストリーマーにどんどん橋渡ししていきます。そこで絆がどんどん蓄積されていくイメージです。そこから関係が深まると、突然コラボとかが始まるぐらい仲良くなりますね。
――YouTubeで活動している一般的なVTuberと比較すると、ストリーマー同士の距離感が近いように感じます。通常であればコラボの予定を事前告知したりする方が多いかと。
- Minya:
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たしかに大きな企画のときは告知するかもしれないですが、あんまり無いです。そういった企画をきっかけに仲良くなる人ってそんなに多くないかも。本当に仲が良かったら「コラボしませんか?」のワンステップが無くてもいいんです。お互いの配信をいつも見ているから、その場で「じゃあ、明日〇〇やる?」「やろう! やろう!」みたいな感じで成立するんです。
私があんまりビジネス的に配信をやってないことも大きいですね。もし、ビジネスとして配信するなら、配信時間やコラボをきっちり決めて、事前告知を必ず行うのでしょうけど、私がそこを気にしないので。
Twitch Japanが好きな理由
――今後、ビジネス的にチャンネルを運営して、後々YouTubeなどの他プラットフォームに進出するといった構想はありますか?
- Minya:
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ないですね! Twitchのストリーマーがみんな好きだから、引っ越すことは考えてないですね。もちろん、そういう選択をする人もいて、それを自然に受け止めるファンもいることは知っています。
でもやっぱり私、Twitch Japan が好きなんですよね。スタッフさんみんな優しいし、企画も面白いし。
以前、英語をメインに配信していた頃は、今より視聴者の数字もあって収益も伸びていたんですが、「ただ伸びるだけ」って感じで、それがすごくつまらないなと思っていました。やっぱり日本のストリーマーとして日本のコミュニティに属したいなって気持ちがあって。そんなときにTwitch Japan さんが頑張ってくれて、日本人のストリーマー界隈がとても活発になったんですよ。
――Twitch Japan運営自体の企画提供やサポートがとても手厚いということですね。
- Minya:
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そうですね。本当に数字が伸びるだけって、つまんないですよ、毎日。お金が先月より何万円増えたってなって、別に欲しいものないし、楽しみがない。そんな状態でYouTubeに行ったとしても、ただ配信して人が伸びるか減るか、収益が増えるかどうかだけになる気がします。今はTwitch Japan界隈のコミュニティが楽しいから、Twitchを続けているんだと思います。
――他にTwitchならではの魅力としては、どういったものがあるでしょうか?
- Minya:
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やっぱり、レイド文化ですね。YouTubeには無いと聞いたので。先ほども話しましたが、レイドが他ストリーマーと仲良くなるきっかけとなっています。例えば、私の好きなゲームをプレイしている知らないストリーマーがいた場合、その配信先にレイドで推薦して、それをきっかけで交流がはじまることもあります。
それからTwitchの検索用のタグを使えば、ちゃんと検索タグ関連のテーマの配信が一覧で表示されるのも大きいですね。「ポケモンユナイト」って検索すれば、リアルタイムで配信する人たちが表示される。YouTubeってそれが難しいと聞いたんですよね。
――たしかに現状のYouTubeはキーワード検索を実施しても、関連しないチャンネルや動画がサジェストされることが多い印象ですね。特にリアルタイムの生放送を検索だけで見つけて辿り着くのは難しいイメージです。
- Minya:
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Twitchであれば、ゲームタグ検索で見つけてレイドした人とすぐ仲良くなってコラボして、世界がブワーって広がっていくので、そういうところが良いですね。
それと、自分のチャンネルのスタンプを使って交流するスタンプ文化があるのも大きいです。私が好きな配信者さんのところに参加すると、みんなが「こんにちは!」ってスタンプをバッて流してくれたりするんですよ。
私のリスナーが私のスタンプをそこで使ってくれて、それでストリーマーが「この人はminyaのリスナーなんだな」と分かってくれたりします。ストリーマーさんも私のスタンプで答えてくれるんです。レイドのときにもよく使います。
――YouTubeのスタンプ機能はそのチャンネルのメンバーシップ入会が必要なので、Twitchと比べると気軽に利用できないかもしれません。
- Minya:
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Twitchはその配信を見ていればすぐに使えるスタンプが用意されていますね。
――お話を聞いてると、Twitchはストリーマーや視聴者との距離を縮めやすい仕組みがそろっており、それによって他チャンネルとのコミュニケーションが活発なのかと思います。
- Minya:
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うんうんうん! そうなってるかもしれないですね。配信するゲームや趣味がバラバラであっても繋がって仲良く出来るのはTwitchだからこそかもしれないですね。私の場合は、
Twitch Japanがなければ「スマブラ」メインのストリーマーと知り合うなんてこと無かったかもしれません。スマブラ自体は全然分からないのに(笑)。
大手ストリーマーの形成した「村」というモデル
――Twitch配信者の中で尊敬していたり影響を受けた方はいらっしゃいますか?
- Minya:
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いやーもうそれ事前に決めてきたんですよ! ガクトさんっていう、スマッシュブラザーズのストリーマーさんがいるんですよ。先日あった大会とかも出ている競技者ですね。お勧め~!!
私の理想はビジネスじゃないストリーマーなので、自分が好きなことをするのが一番かっこいいと思っている。言ってしまえば自由なので、競技者のような緊張を持つこともないんです。
だけど、ガクトさんは競技者っていう立場で、プレッシャーを感じながら結果を残さないといけない。一戦ごとの意味が重いし、そのなかでリスナーの気持ちにも答えないといけない。そういった背負っているものが私には無い部分なので、凄いと思っています。
それに、彼のコミュニティって村のようなかたちで形成されているんですよ。本人がいなくても、リスナーみんながDiscordを使って一緒に遊んだり、仲良く会話をしたり、情報交換したりとか、もう村なんですよね。で、配信に行くと村人たちが集まって、みんなで応援して楽しんでいる。
ガクトさん自身は村人たちの会話をスマブラしながら見て、ずっとコメント返してるんですよ。みんなに寄り添っています。こういう部分が私のポリシーにとても近いと思うんです。
みんなのコメントに一個一個丁寧に答えて、一緒にいるっていう感じを与えているんです。リスナーさんの数も非常に多いのでカバーしているところもすごいですね。ときどき、ガクトさんの寝ている姿をみんなで見守ったりしていることもあって、愛されていますね。競技者でありながら、自由なストリーマーで、自分が作ったコミュニティがあって、自分のポリシーをちゃんと持っていて、その中で周りのリスナーさん達にずっと愛されてるし、みんなの気持ちにも寄り添っている。
――ご自身のコミュニティを形成する上でのお手本になっているわけですね。
- Minya:
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そうですね! 私はまだ村がないんですよね。ガクトさんはスマブラっていう共通点があるから、一致団結できてるかもしれないですね。配信者の究極系ですね。
チャリティ企画に挑戦して、世界をより良くしていきたい
――Twitchで活動しているVTuberのなかで、とくにオススメしたい方はいますか?
- Minya:
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やっぱり、bananyaとLeaflitちゃんの2人はおすすめです。bananyaは、1,000人ほどが参加するヨーロッパ大会を企画運営していて、インフルエンサーとして人を巻き込める人は尊敬できますね。
https://twitter.com/Minya_923/status/1407030669046288386
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Leaflitちゃんは日本人のお母さんと配信していて、親子配信をあれだけ長くコツコツできてるのもすごい。日本愛好家で、痛車に乗ってたり、コスプレしたりもしています。それから、リスナーの名前をつけた花火を日本の花火大会に提供して、打ち上げた様子をライブ配信してたりもしますね。普通の人がまずやらないだろうことをやっています。
https://twitter.com/Minya_923/status/1412982466311200768
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私が知っているVTuberは継続し活動できていることがすごいと思っています。多くの人は途中で諦めてしまったりもすると思うのですが、長く活動できているというところが尊敬できますね。
――ありがとうございます。最後にMinyaさん個人の今後の目標をお聞かせください。
- Minya:
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やっぱり私の尊敬する人たちって世界を動かせるような凄さがあると思うんですよ。だから遠い先の目標を考えてみると、ただ「配信が楽しいな」ではなく、それをもっと面白いことに繋げたいなって思います。
例えば私のストリーマー友達たちを巻き込んで、チャリティ企画を実施したりしてみたいです。日本ではチャリティー文化ってあまり根付いていませんが、海外では結構行われているみたいですね。もしチャリティ企画が定期的に安定して運営できるようになれば、世界で緊急の何かが起こったときにもすぐに動けるじゃないですか。人を巻き込んで、世界をより良く変えていく。そんな風な配信者に近づけると良いですね。
――ありがとうございました。
Minya SeptemberさんのTwitchチャンネルはこちら。
https://www.twitch.tv/minyaseptember
執筆:すら
(参考)Twitch