VRヘッドマウントディスプレイOculus Riftとは何か?

その世界にいるような感覚「没入感」

Oculus Riftはゴーグル型のディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)です。ゴーグルの中には、多数のセンサーとディスプレイ、そしてレンズが入っています。PCと接続し、頭に装着して使用すると眼前にはVR(バーチャル・リアリティ)の世界が広がります。

 

かけた人誰もが実感するその最大の特徴は、「没入感」。頭を動かすとその通り自分の視点が移動します。そして110度という非常に広い角度で見ることができるため、視界いっぱいにVRの世界が広がります。その世界にいるかのような感覚のことを没入感と呼んでいます。

 

初期型では、粗かった解像度も徐々に高くなってきており、非常に美しい映像を見ることも可能になってきています。

 

どういったデバイスなのか、なぜ盛り上がってきているのか、ご紹介しましょう。

手軽で高性能なデバイス

任天堂のバーチャルボーイなどこれまでもVRを実現しようと様々な試みがありましたが、Oculus Riftが契機となって一気に普及の可能性が見えてきました。

 

Oculus Riftが登場したのは、2012年8月でした。アメリカのクラウドファンディングサイトKickstarterで当時、弱冠19歳のパルマー・ラッキーが考案したOculus Riftは当初25万ドルの目標金額をわずか数日で達成し、最終的には10倍近い240万ドルもの資金を集めました。

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その後、2013年夏にはプロトタイプである開発者版が全世界に出荷開始、価格は300ドル(当時の為替レートでは3万円相当)とこの手の最新型デバイスの開発版にしては非常にリーズナブルな値段で、全世界の開発者が等しく購入することができました。累計7万台以上が出荷されたようです。性能は解像度が1280×800と低いものの、広がりを表す視野角は110度、遅延もほとんどなく、VRを体験するデバイスとしては十分な性能のものでした。

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次々と発表される新型Oculus

昨年2014年3月には性能が上がった開発者版第2弾(DK2)が発表されました。解像度は1920×1080と向上し、遅延のさらなる低減と、頭の位置を認識するトラッキング用の外部カメラが付属しました。これにより、頭の回転だけでなく、前後左右上下の動きも読み取るようになりました。

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Oculus Rift DK2の購入方法ガイド 公式サイトも日本語に対応! -もぐらゲームス

 

7月には1台350ドルで出荷を開始し、2015年2月には出荷台数が10万台を越えたようです。コンテンツも本格的なものが多く現れてきており、まだ開発者版ではあるものの、大きな盛り上がりを見せています。

 

そして昨年9月には、いよいよ一般発売される製品版のプロトタイプと思われる「Crescent Bay」が発表されました。正確なスペックは明らかになっていませんが、2K程度のさらなる解像度、映像のなめらかさにつながるfpsはDK2で75だったところが90程度、トラッキングカメラの範囲もさらに広がり、ヘッドホンも一体型へと、さらに没入度を深める改良が施されています。

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公式開発者会議「Oculus Connect」参加レポート。明らかになった新型Oculus Rift「Crescent Bay」の実力とは?- もぐらゲームス

集まる資本と人材、技術力

Oculus Riftの開発を行っているアメリカのOculus VR社は発案者でもあるパルマー・ラッキーを中心に創業したベンチャー企業です。

 

「 Oculus VR 」の創業者パルマー・ラッキー氏はなぜ日本の開発者に魅了されたのか? ― Unite Japan 2014 レポート – もぐらゲームス

 

2014年3月にはザッカーバーグ率いる米Facebook社が20億ドルでの買収を発表し、開発資金を確保しました。また、Oculus Riftのノウハウを活かして、韓国のSamsung社と共同でスマートフォン向けHMD「Gear VR」を開発するなどの連携も行っています。

 

FacebookがOculus VRを20億ドルで買収、OculusとMinecraftの交渉は決裂 – もぐらゲームス

 

集まったのは資金だけではありません。伝説的なプログラマー、ジョン・カーマックやマイケル・アブラッシュを始め、VRの可能性に注目する優秀な人材がOculus VRに集まっています。

個人開発から大作へ、本格化するソフト開発

こうしたトップレベルの人材が開発しているOculus Rift。ハードウェア側での高性能化はともかく、実際に装着して遊ぶソフトウェアの開発も重要になります。

開発者版の販売が行われている通り、入手した世界中の開発者がOculus Riftが実現するVRの特性を活かそうと、次々とコンテンツ開発に勤しんできました。

FPS、シューティング、ホラーなどのゲームだけでなく、ジェットコースターなどのアトラクション的なもの、キャラクターと目を合わせたり実際に触れることができるものなど様々なコンテンツが開発されています。

 

姉妹メディアであるもぐらゲームス、また筆者がレビューを執筆している窓の杜の連載「杜のOculus部」でこれまで紹介してきたものはこちらから御覧ください。

 

Oculus Rift DK2 ソフト紹介 – もぐらゲームス

杜のOculus部 -窓の杜

 

日本では、個人開発者のコミュニティが活発です。開発者団体である「Ocufes」は日本各地のイベントと連携し、開発者のコンテンツの体験会を開催してきました。

開発者の声をまとめたインタビュー等はこちらからもご覧いただけます。

 

VRになぜ注目が集まるのか?開発者が考察するVRの今後 -もぐらゲームス
憧れのキャラに魂を実装する作り手に―Oculus rift ソフト開発者 金魚草さんインタビュー -もぐらゲームス/
100万人に Oculus Rift を被せたい~ニコニコ超会議で話題になった超Ocufes にインタビューしてみた -もぐらゲームス

 

また、「現実にはできないことを実現してしまう」VRの特徴を活かし、「ソードアート・オンライン」「進撃の巨人」「シドニアの騎士」「翠星のガルガンティア」などのアニメや「初音ミク」といったボーカロイドなどのキャラクターを再現するコンテンツが各種イベントで展示されています。

 

OculusでSAOの世界を体験して感じるアニメとVRの相性の良さ-もぐらゲームス

課題と製品版への期待

ここまで、盛り上がりを紹介してきたOculus Riftですが、課題も色々とあります。

例えば、手元が見えない中、どういった操作方法が望ましいのか。ゲームのコントローラーや様々な周辺機器の活用が模索されています。

手のジェスチャーで操作するLEAP MOTIONとOculus Riftを組み合わせたおすすめソフトを一挙紹介-もぐらゲームス
仮想空間に現実の手や腕の動きが反映できるグローブ型コントローラー「Control VR」とは?-もぐらゲームス
VRの世界でライトセーバーを振り回せる!コントローラー『STEM』の最新開発映像が公開-もぐらゲームス

 

また、あまりにリアルであるが故に三半規管に影響を及ぼし「VR酔い」と呼ばれる現象を引き起こしやすいことが分かっています。また、ハードウェアの高性能化に伴って、快適に動かすためのパソコンのスペックも上がっています。グラフィックに特化していない通常のPCでは十分な描画ができないため、不快な体験になってしまいます。

 

Oculus Rift DK2を買ったら注意したいTips集-もぐらゲームス

 

他にも、接続するコードの数が多く混戦する、外部カメラがあるとはいえ、座ってプレイすることがほとんどになる、解像度が上がったとはいえまだ画面の網目が気になる、など山積する課題が製品版でいかに解決されていくか注目したいところです。

 

製品版のプロトタイプであるCrescent Bayが発表されてから早くも半年。そろそろ製品版の全貌が明らかになる時も近いと予想され、期待が高まっています。

 

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