Vive無線化キット詳細レビュー 遅延気にならずバック宙や逆立ちも可能に

Vive Xアクセラレーターに参加しているTPCAST社製のVive無線化キットが先月発表されましたが、発表当時から懐疑的な意見が多く、重さや、レイテンシーなどさまざまな疑問がわいています。それらの疑問に答えるべく、TPCAST社がVRメディアUploadVRを訪れて無線化キットのデモをしました。以下がそのレビューの翻訳となります。

デモ準備

今回のデモに使用したのはViveのビジネスエディションでレシーバーはヘッドストラップの上部に取り付け、本体とケーブルで接続します。

ビデオ映像を送信するトランスミッターは2つのLighthouseに並んで置いてありました。これにより160度の範囲に送信できます。Lighthouseの設置場所に適した位置があるように、トランスミッターの設置場所も快適な体験のために非常に重要です。TPCASTによれば、トランスミッタをLighthouseの上に取り付けることで、家具などの干渉を最小限に抑えることができるとしています。理想的には、体験エリアの中央上部に下向きに設置するとのことですが、今回のデモ環境である三脚やライト、ワイヤレスマイクシステムがある状態で使用しても問題は起こりませんでした。今回のデモでは、4m x 2.6mの環境でしたが、理想的な条件下であれば 5m x 5mの範囲をカバーします。

PCに接続されたルーターは、位置データをやりとりする端末ですが、コンシューマー版では、このユニットはドングルサイズになる予定です。

バッテリーは、ズボンのポケットに入れて、ケーブルでヘッドセットとつないでいます。来年中国で発売する予定の製品版では、2種類のバッテリーを用意していて、今回テストしたのではそのうちの長時間タイプで5時間の連続使用が可能なモデルでした。先日予約注文を開始した小型タイプは、ヘッドセットに取り付けることができ、2時間の連続使用が可能になります。

デモ体験の感想

https://www.youtube.com/watch?v=XpmlQLlAw-U

有線時はViveのケーブルによって頭の後ろを引っ張られているように感じますが、無線の場合はそれがなく、レシーバーをヘッドセットに取り付けたとしてもこちらの方が軽く感じました。レシーバーの熱も感じることはありませんでした。

デモをを5時間程度行いましたが、スペック通り連続使用ができました。『Google Earth VR』、『Tilt Brush」、『The Lab』などのVRコンテンツを体験しながらレイテンシーを確認しましたが、有線での接続との違いに気づきませんでした。

私たちは、飛んだり跳ねたり速い動きを含めて、自由に動き回り体験できました。また、体育館へデモ機を持ち込み、かなり激しく動き回るテストもしました。途中でトランスミッターが落ちてしまいましたが、それでも問題なく機能しました。

一瞬だけ、表示画像にアーティファクト(ブロックノイズ)が表示されることがありましたが、全体の体験の中ではほとんど無視できました。何度かアーティファクトを再現しようと動き回りましたが、ほとんど再現できませんでした。

今回デモ体験したメンバーは有線のViveで数百時間を費やしてきましたが、この無線バージョンとの間でレイテンシーの違いには気づきませんでした。コンシューマー版ではよりさまざまなテストを行う予定ですが、現段階でも動作から描画(motion to photon)まで20msで収まっているように見えます。

TPCASTについて

https://www.youtube.com/watch?v=hltCo84dVPY

TPCAST社CEOのMichael Liu氏はシステムについていくつか答えてくれました。彼はこの無線化キットを「双方向通信ポータル」と表現しました。このポータルは、2160×1200のビデオデータを送信する60GHz帯のWIFIを使い、会社独自の圧縮アルゴリズムを使用して送信します。また、頭と手に動きの入力は、ルータ経由で送信され、ビデオ送信はトランスミッターによって処理されます。

しかし、Liu氏は家のなかで多くの電波干渉があると上手く動くとは限らないと述べました。「複雑な技術を用いていますが、最善を尽くします。」

TPCAST社は、5年から7年間ワイヤレス技術を専門にしていましたが、Viveの無線キットのプロジェクトは去年からスタートしました。Liu氏は、「私たちは内部プロジェクトとしてスタートしました。なぜならVRの大きな波がやってくる事が、去年の段階で分かっていたからです。」

また、Vive Xアクセラレータプログラムに参加した最初の企業の一つで、VRベンチャーキャピタルアライアンス(VRVCA)のプログラムを通じてリソース、作業スペース、メンタリング、投資機会を得ています。HTC自体は、同社の初の外部投資家の1人でした。そして、Vive無線化キットはHTC Viveの中国リージョンのプレジデントであるAlvin W. Graylin氏との会合の後公開されました。

無線化キットの先行予約は11月に始まり、すぐに売り切れました。Liu氏は最初のロットで何台発売されたかを明らかにしませんでしたが、来年CESでデモを行い、より拡販していく予定です。

無線化キットは2017年第1四半期に中国で出荷開始を計画していて、現在はFCCの認定プロセスに入っています。米国での販売について、Liu氏は「来年のどこか」と述べていますが、販売価格はまだ明らかになっていません。

TPCASTが無線化キットを他のヘッドセットにも対応する予定であると言いましたが、いつになるか明言するのは難しいとのことでした。

(参考)

Hands-on: TPCAST’s Wireless Vive Kit Really Works – (英語)

https://uploadvr.com/tpcast-wireless-vive-kit-works/

この記事を書いた人

  • あつぽん

    日本でMRシステムの開発に携わった後アメリカへ渡り、VR/MRシステムを企業へ導入するための検討・開発に従事。現在は日本在住。

    人間の能力そのものを拡張させるテクノロジー「ヒューマンオーグメンテーション」のコンセプトに惹かれ、その界隈の動向に強い関心を持っています。その中で実用化フェーズにあるVR/MRの盛り上がりをより広い範囲へわかりやすく伝えていきたいと思っています。

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