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Oculus Go 2018.05.20

VRが対面に匹敵 Oculus Goで簡単に“会える”「Rooms」

一体型VRヘッドセットOculus Go。2018年5月にOculusが発売し、その手軽さと価格が話題を集めています。

これまでもMogura VRでは、Netflixやブラウザなど、「VR内で観る」ことを中心に紹介していました。

徐々に購入者が増えるにつれて、注目を集めて始めている無料アプリが、Oculusの提供する「Oculus Rooms」(以下、Rooms)です。Roomsは、VRの中で自身のアバターを使い、友達と部屋でコミュニケーションがとれる「ソーシャルVR」と呼ばれる分野のアプリです。

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Roomsでできることは、

・アバターでの会話
・テーブルゲーム
・写真、動画等の閲覧
・音楽を聴く

など。できることのバリエーションが多いわけではありません。

しかし、話しているだけでも十分と思えるほどにコミュニケーションで最も根幹を占める「一緒にいる感覚」が非常に強く、「直接会うことに匹敵する」という声もあがっています。これまでビデオ通話が超えられなかった、「やっぱり会うほうがいい」というレベルを上回ったコミュニケーションが成り立っています。

本記事では、このRoomsの紹介をしていきます。実際にRoomsを使って話したのは、株式会社桜花一門の高橋健滋氏とMyDearest株式会社の岸上健人氏です。

部分的なアバターと立体音響で感じるソーシャル・プレゼンス

Roomsでは、自身のアバターで部屋に入って行います。アバター作成は、髪型や顔、眼鏡など選択肢はあまり多くありませんが、自分の好みのアバターを作ることができます。


(アバター作成はRoomsではなく、メインメニューの「参加者→プロフィール」から、「アバターを編集する」を選択)


(アメリカ風のタッチが日本人の筆者の好みには合わないが、普段作らないような雰囲気のアバターを作成)

Oculus Goでは、リモコン型のコントローラーは手の動きを再現できません。そのため、アバターは上半身とコントローラーを握る片手だけが表示されています。全身が表示されておらず、頭の動きに合わせて上半身が動きます。非常に限定的ですが、首をかしげたり、話しているときに口が開いたり閉じたり、時にのけぞったりといったアクションが再現されます。さらにコントローラーは「手がこうなっているのかな」と思わせる程度に自然に動きます。不自然な挙動もあまりありません。

また、立体音響により、相手がいる方向から声が聴こえてきます。声の大きさも調整されるため、近くに移動すると声は大きくなりますし、左にいる人の声は左から、右にいる人の声は右から聴こえます。

Roomsを体験すると真っ先に気づくのが、アバターには身体の非常に限られたパーツしか反映されていないのに感じる「相手がいる」感覚です。この感覚はソーシャル・プレゼンスと呼ばれています。対面であればもちろんソーシャル・プレゼンスは完璧なわけですが、Oculus RiftやHTC Viveなどのようにハンドコントローラーを使わず、手が動いていなくても、それなりにソーシャル・プレゼンスが感じられます。

ゲームをしながら話すもよし、写真を観ながら話すもよし

Roomsは、ホスト役のプレイヤーの部屋に他のプレイヤーが訪問するという仕組みになっています。ホスト役は招待を送り、プレイヤー側はその招待を承諾するとすぐに部屋に行くことができます。

記事執筆時点では、カーペットの種類や空の様子を変更できるほか、壁にかかっている写真や絵は別のファイルに切り替えることができます。


(Oculusの創設者パルマー・ラッキー氏の写真を壁に飾っていた高橋氏の部屋)

さほど大きくない部屋は大きく分けて3つのエリアに分かれています。

・設定エリア
・ゲームテーブル
・メディアエリア

部屋に入室するとまずは設定エリアからスタートします。ホストはできることが多く、手元のパネルで部屋に関する設定や他のプレイヤーの招待を行います。


(初期画面。英語だが左から、ゲームテーブル、メディアエリア、友達を招待する、部屋をカスタマイズする、ホームに戻る)


(エリア移動は、アイコンにコントローラーを向けてワープ移動)

ゲームテーブルでは、オセロ(リバーシ)や神経衰弱などを遊ぶことができます。ゲームをせずに卓を囲んで話してもいいかもしれません。

メディアエリアでは、各人の写真や動画を観たり、音楽を聴くことができます。読み込み元は、カメラロール(Oculus Goを接続しているスマホのフォルダ)とFacebookです。通常のコンテンツは目の前の大画面に、360度写真や動画は、部屋が消えて全天球で再生されます。


(インド滞在中の高橋氏は現地の様子を、岸上氏と筆者に説明)


(試しに360度写真を再生。直後に挙動がおかしくなったため、このあたりにはバグが残っていそうだ)

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そこそこのソーシャルVR体験が手軽にできる

ソーシャルVRのアプリは、「VRChat」や「Cluster.」、「AltspaceVR」など様々なものが提供されています。こうしたサービスと比してRoomsは機能が多いわけではありません。移動も自由にはできないばかりか、アバターも限定的です。

Oculus Goという「手軽なVR」が最大の特長であるデバイスで、「VRで会う」ことまでも圧倒的に手軽に実現してしまったのがRoomsだと筆者は考えています。

「これならもう簡単な打合せはVRでいい」と思わせるだけの「そこにいる感覚」が実現しているRooms。

筆者が初めてRoomsを体験した際は、インドにいる高橋氏の時差に合わせて深夜0時から通話がスタート。気づいたら、まるで修学旅行のときのごとく話が尽きず、当初予定の30分を大きく上回る1時間半近く話し込んでいました。最後は、開始前に100%近かったバッテリーがなくなり、お開きとなりました。

長時間の駆動かつ高負荷により、Oculus Goはかなり熱くなっていましたが、1時間程度は熱暴走することなく快適に通話できていました。充電中の使用などは試していませんが、1時間以上話す場合は、熱に気をつけたほうが良いかもしれません。

Oculus Goは鼻の部分が高く設計されており、外を少し観ることができます。没入感を損ねると考えられがちですが、長時間の利用ではこの欠点が幸いします。スマートフォンを観たり、飲み物を飲んだりといった所作もヘッドセットをはずすことなくできてしまいました。

なお、通話は実はRoomsアプリ外でも動作します。Rooms以外のアプリを起動すると話しながらVRコンテンツを遊ぶことができるほか、ヘッドセットを外してもスピーカーとマイクで継続して話すことができる点は、利便性重視の設計で魅力的です。

これからも期待したいRooms

Roomsは今後の展開が楽しみなアプリです。

Oculus Goでも自分の部屋を変えていく機能は充実していくかもしれません。Oculus社が提供するPC向けのハイエンドVRヘッドセットOculus Riftでは、部屋に様々なオブジェクトを置いてカスタマイズできたり、3Dモデル作成ソフトで作った3Dモデルを読み込んで置くことができたりと、さらに自由度の高いリッチな機能が展開されています。

また、現在は最大接続人数が4名のところ、増える可能性があるのか気になります。

アバターシステムの充実にも期待したいところです。Facebookが提供するソーシャルVRアプリ「Spaces」では、自分の写った写真からアバターを作ることができます。日本人としては、カスタマイズ機能もより馴染んだ形になってほしいところです。

VRを使うことで、物理的な距離をものともせずに「会う」ことが可能になっていきます。「今後はVRで会うことが増えていく」その実感を得ることのできる「Rooms」は全Oculus Goユーザー必見のアプリです。

今回、一緒にRoomsを体験した2名は、それぞれOuclus Go向けのコンテンツを展開しています。

VRアーチェリーゲーム「Modern Archery VR」(株式会社桜花一門)
VRマンガ「夢の相談所」、VR小説「Innocent Forest」「Innocent Forest 2」(MyDearest株式会社)

(参考)ストア公式サイト(無料)


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