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VIVE 2017.08.22

HTC Viveの新型は2018年に登場するのか


先日、HTCは同社が提供するVRヘッドセット『Vive』に約2万円の価格改定を行い、8月21日より税込84,110円にて提供を開始しました。今回HTC Viveの価格が下がったことによって、同製品の競合であるOculus Riftとの価格差が縮まりました。Oculus Riftはサマーセールを行っており、ヘッドセットとコントローラーの同梱版を50,000円で購入できます。

HTC Viveは現在のところデバイスのスペックや新機能に関するアップデートは行われておらず、またPC接続による新型デバイスは2017年中には登場しないことも明らかになっています。しかし、同デバイスのキットは現在様々なものが開発されており、いくつかは2018年中に正式リリースする可能性があります。

本記事では特にトラッキングシステムを中心に、新型の動向を探ります。

新型トラッキングシステムの行方

現行のHTC Viveキットに使用されているトラッキングシステムは『Lighthouse』という技術を使用していますが、これはViveの開発パートナー企業であるValve Softwareが開発した技術です。Valveはゲーム配信プラットフォーム『Steam』の運営企業としても知られており、ハードウェア・ソフトウェア共にVRに関する積極的な開発を行っています。

同社は現在、新型トラッキング技術『SteamVR Tracking 2.0』を開発しており、これの開発者向けキットが近々、早ければ今年11月に公開される予定です。SteamVRはHTC Viveが対応するシステムであり、ValveはHTC Viveの開発にも携わっていました。この新型トラッキングセンサーはHTC Viveにも採用される可能性があります。

『SteamVR Tracking 2.0』の大きな特徴として、複数(3個以上)のベースステーションをサポート可能であることが挙げられます。現行のHTC Viveでは2つのベースステーションを用いて3m×4mのトラッキングが可能ですが、『SteamVR Tracking 2.0』では複数のセンサーを用いて、様々な方向から、より広範囲なトラッキングが可能になります。

現行のトラッキング方法では計測できる範囲が限られるため、バーチャル空間内で歩き回れる範囲が限られますが、複数のセンサーを用いることによってトラッキングできる範囲が拡大します。それによって、バーチャル空間内で移動できる範囲が拡張し、従来よりも自由度の高いVR体験が可能になります。(ただし、広範囲のバーチャル空間で歩き回るには、広い部屋でトラッキングを行う必要があります)

精度向上により、『Viveトラッカー』の活用の幅も広がる

新型トラッキング技術によって活用できるデバイスに『Viveトラッカー』があります。Viveトラッカーはトラッキングセンサーで、身体や、実物のオブジェクトに取り付けて使用します。ルームスケールの位置トラッキングが可能で、トラッカーを取り付けたオブジェクトの位置を、ベースステーションのトラッキングと併せることでバーチャル空間に正確に反映できます。バーチャル空間に、現実の様々なアイテムを持ち込むことができるデバイスです。

たとえば銃型コントローラーの先端や、野球のバット、消防用ホースなどにViveトラッカーを装着したり、もしくは身体に装着して全身の動きをトラッキングして、バーチャル空間内のアバターに反映することもできます。

このViveトラッカーを使用する際、たとえばサッカーゲームをプレイする際に足に装着して激しい動きする時など、2つのセンサーを用いたトラッキングではロスが発生しやすくなります。しかし、複数のセンサーを用いることでトラッキングの精度が向上し、ロスレスで、より多くの動作や、様々なアイテムをVR環境で使えるようになります。

Vive新型キットが2018年に登場する?

新型トラッキングセンサーのその他の特徴として、現行のセンサーよりも低価格で生産できるようになる、と言われており、2018年中に正式リリースされると言われています。

この新型センサーを同梱したViveキットが登場する可能性があり、現行のViveと同じか、もしくはそれ以下の価格で購入できるようになるかもしれません。

この点を踏まえると、現在、価格改定が行われている現行のViveを購入する他に、高性能センサーを備えた新型キットの登場を待つ、という選択肢もあります。

とはいえ、新型センサーが2018年のどの時点でリリースするのか、ValveおよびHTCはアナウンスしておらず、また、現在数多く出回っているVive対応のコンテンツは現行のViveキットでも十分に楽しめるもので、価格改定された現行バージョンを購入するメリットもあると言えます。

Valveはこの他にも新型コントローラー『Knuckles』 の開発も行っており、複数の周辺機器が、2018年にコンシューマー向けにリリースされる可能性があります。

(参考)
UploadVR / Editorial: Why You Might Want To Pause Before Buying HTC Vive(英語)
https://uploadvr.com/might-want-pause-buying-htc-vive/


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