イベント展示でViveの誤干渉を防ぐ方法 ポータブルルームTips

 

VRのイベント展示でしばしば耳にするのが、「HTC Viveのレーザーが干渉してうまく動作しない」という声。今回は、株式会社ハシラス代表の安藤氏に、この干渉問題への解決策を寄稿していただきました。

ハシラスは、健康器具JOBAとVRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)を組み合わせた乗馬レースゲーム「Hashilus」や池袋のサンシャイン展望台て常設されている『TOKYO弾丸フライト』と『スゥィングコースター』などVRアトラクションの企画・制作に関してはトップクラスの実績を持っています。代表の安藤氏は元・手妻師(江戸古典奇術師)であり、そのノウハウを体感型VRエンターテイメントを世に送りだしています


2月25日にベルサール秋葉原2Fにて、2017年冬 Japan VR Fest.(旧OcuFes)が開催されます。

このような展示会において、多くのHTC Viveを使ったコンテンツが一同に集まると、センサーの誤干渉が起きてしまいます。今回は、仮設展示で必要とされる、「安価で持ち運びが容易なVIVEの誤干渉を防ぐ仕組み」の調査をしましたので、共有させていただきます。

 

VIVEの仕組みと誤干渉

HTC Viveは、部屋の対角に設置されたベースステーションからレーザーが常に発信されており、それをHMDとコントローラーが受信することで「空間内のどこにあるのか」を定めています。1つのHMD・コントローラーにつき、1~2台のレーザーを受信する仕様となっているため、他のブースのベースステーションのレーザーが入ってしまうと誤干渉が起きて、正常に体験できなくなってしまいます。

また、この原理上、鏡や光沢のある金属による反射も要注意となります。ベースステーションの範囲内に反射物があると、「(2台のベースステーション)と3台目の別の場所からレーザーを受け取った」と同じ状態になってしまい、誤干渉と同様の現象が起きてしまいます。

 

誤干渉によって何が起きるか

誤干渉を起こすと、VR内で「すーーっ」とコントローラーが飛んで行ってしまったり、自分の視界が「ぎゅん」っと飛んでしまったりします。一方、誤干渉でなくトラッキングが外れの場合は、ガタガタと不安定に揺れて視界が真っ白の状態(アプリが起動していない状態)になってしまいます。似ていますが、「今起きている問題がどちらか」を見分けるのに白くなるかどうかは一つの判断ポイントとなります。

 

ベースステーションの有効範囲

ベースステーションからは約120度の範囲でレーザーが出ている、と解説があります。調査をすると、「正しくセンシングできる120度ほどのセンシング範囲」の外側に、「誤干渉を起こす範囲」があるようです。また、センシング可能な距離は7mほどのようですが、誤干渉する距離は10m程度はあるようです。従って、他のブースのベースステーションが10数mほど遠方にある、またはベースステーションの表面が見えないようになっている、という状態にしておくと良いようです。

オープンエリアでフラップで照射範囲を限定して誤干渉を防ぐ場合、ベースステーションの中心辺りからレーザーが発信されており、そこからフラップの端を結ぶ直線上にレーザーが出るようにアレンジすることで対策ができます。フラップは何でもいいですが、発泡ボードなどはハサミで簡単に加工できるため、イベント時にはお勧めです。特に、上面につけて斜め下を見下ろす角度にしておくと、遠方にまで影響してしまうのを防ぐことができます。

フラップの例

http://item.rakuten.co.jp/mokuzaiya/28273/

 

プレイエリアの囲い

HTC Viveのルームセットアップの推奨エリアは4m×3mほどとされていますが、2台のベースステーションをつなぐsyncケーブルを使うともっと広くすることや、2つを平行に置くなどが可能になります。安定して使用するためにも、極力syncケーブルを使うと効果的です。今回は、対角にベースステーションを置き3m×3mを囲うポータブルタイプとして2種類の囲い方を比較しました。

 

1. 背景幕スタンドを使う方法

背景幕スタンドの三脚を立てて、周囲を囲う方法です。

 

三脚とケースのセットを2つ購入し、ひとつのバッグに4本の三脚をまとめます。

 

4本の三脚を伸ばして上部にベースステーションを据えます。

 

三脚は、大きく広げると倒れにくいものの、通行人やプレイヤーが躓きやすくもなります。ほどほどに広げ、足元に重りをつける方法の方が良いと思われます。この際、幕を貼ると内側に倒れるので、転倒防止の重りは外側に取り付けるようにします。現地調達できるペットボトルはお勧めですが、500ml×2本ではちょっとした衝撃で倒れてしまう可能性があります。アクティブなコンテンツの場合、本数を増やすことをお勧めします。

 

四隅の対角の位置に、ベースステーションを取り付けます。

 

 

マルチシートは、薄手のポリエチレンです。これは非常に遮光性が高く、レーザーが貫通しません。これで周囲を囲います。前面の一箇所を、スタッフが持ち上げて出入りできるようにします。覆う際に、足元まで覆った方が安心ではありますが、外部に体験の様子が全く伝わらないより、少し伝わる方がいいかもしれません。(95cm幅と135cm幅があり、この写真は135cmです)

 

1セットに1本付属の連結バーを使ってよりしっかりしたブースエリアを作ることも可能です。ただし、連結バーは約70cm刻みでしか調整できないことに要注意です。

 

2. ポータブルテントを使う方法

ポータブルテントを使うと、転倒しない立派なブースが作れます。

広げて足を伸ばして、自立させます。2人でやるのが推奨ですが、慣れると1人でも組めます。

 

スタンドと同様に、マルチシートで周囲を覆います。出入り口は、二重にしておくのも容易です。

 

撤収時に、マルチシートを捨てる場合かなり小さくできます。上の写真は、3m×3mを覆ったものです。

 

2つの方法の比較

背景幕セット

内容:

 ・背景幕スタンド ×2  10,000円

 ・ペットボトル ×8  900円

 ・ベースステーション固定具 ×2  800円

 ・マルチシート ×1  600円

運搬重量: 約5kg

費用目安: 約12,300円

特徴:

 ・持ち運びが軽量で容易

 ・広さを調整できる

 ・三脚を広げる分、ブースを狭くしてしまう

 ・転倒しやすい

 

テントセット

内容:

 ・テント ×1  7,500円

 ・ベースステーション固定具 ×2  800円

 ・マルチシート ×1  600円

運搬重量: 約13kg

費用目安: 約8,900円

特徴:

 ・持ち運びは大きく重く、ケースも別注となる

 ・広さは調整できない

 ・見た目がきれいで看板装飾もできる

 ・ブースを無駄なく広く使える

 

展開時間はいずれも15分ほど、撤収時間はどちらも5分ほどで大きな差はありませんでした。

結論として、車で運搬できるならテントセット、電車で運搬なら背景幕セットがお勧めです。また、マルチシートがゴミ袋っぽくて印象が悪いと思われる場合、カーテン等でもOKなのですが、布は遮光性が強いタイプでないとレーザーが貫通して影響してしまう場合があるのでご注意です。

 

 

補足 -レイアウトで考慮する-

多くのブースが並ぶ場合に、運営または出展者同士で事前に調整できると、お互いにとってメリットのある出展ができます。下図のように事前に取り決めていれば、ブースの入口が常時開いていても、レーザーが干渉しないようにレイアウトすることは可能です。

いつも開いている、というのはすなわち通行人からプレーの様子が見え、体験映像がメディアに載る可能性があるということで、とても大事なことです。VRの展示では体験している様子がひと目を引くものも多く、本当はぐるっと囲うという対策は、できれば避けたいところです。

まず自分のブースで安定したデモができるだけの防衛準備をした上で、さらに外にレーザーが漏れないように留意し、お客様にとって快適なデモ体験になるといいですね。

 

この記事を書いた人

  • (株)ハシラス代表取締役にして、元・手妻師(江戸古典奇術師)。VRアトラクションのプロデュースを得意としています。

    Twitter:@tezumashi

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