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VTuber 2019.09.30

【VTuberデータ分析】2019年上半期・VTuber生配信ランキング

こんにちは。myrmecoleonと申します。前回はVTuber動画全体の上半期のランキングを紹介しましたが、今回は特にライブ配信に注目して、人気の高いものを紹介してみます。

前回と同様、2019年9月1日0時時点でのVTuberの動画のうち、アーカイブ視聴可能なライブ配信のトップ30は以下。こちらから代表的な配信をピックアップしてご紹介いたします。


(ピックアップしたものは色付けしています)

上位はにじさんじ 格付けチェック1位 ド葛本社2位

にじさんじ格付けチェック

2019年上半期第1位は5月に行われたにじさんじの大型オフコラボ「にじさんじ格付けチェック」でした。2018年2月からスタートしたにじさんじは、3DでなくLive2Dのキャラクターを使ったライブ配信に特徴があり、現在まで80名以上のバーチャルライバーが活動しています。

この配信は17名のライバーが参加する大型コラボで、内容は既存のテレビ番組を参考にしたもの。開幕、人気トップの月ノ美兎の所属する「チームみかえる」が、超一流ライバーから転落するなど2時間の全編に渡って撮れ高だらけ。同時接続4万人を越え、現在までに2万人以上が高評価を押しています。

にじさんじのライバーは2018年中、「にじさんじ」「にじさんじゲーマーズ」「にじさんじSEEDs」といった複数の所属に分かれていましたが、2019年に入ってグループ統一化しました。これに前後してこれまで別グループで関わりが薄かったメンバー同士の公式コラボ「にじさんじMIX UP!!」を1月からほぼ毎週配信していました。

格付けチェックは旧グループ横断的なこうした取り組みが成功した様子が感じられる企画といっていいでしょう。「にじさんじMIX UP!!」やそのアフタートークも上位にランクインしています。

【公式番組】にじさんじMIX UP!!【#7】
【公式番組】にじさんじMIX UP!! アフタートーク【#7】
2月3日を「にじさんじの日」ってことにしました。【緊急特番】

この配信で特筆すべきは司会・夢追翔の実力。彼はにじさんじSEEDsとして、2018年9月にオリジナル曲動画を投稿し、デビューしたバーチャルシンガーソングライターです。2019年に入ってからは歌だけでなく司会としての才能が開花し、大型コラボの司会進行役が多くなりました。彼の才能を活かしたコラボ企画の人気は高く、以下の配信が上位に入っています。

【マスコットコラボ】#にじさんじマスコッツ 第一話「慟哭」【ほのぼの】
【再び邂逅せし】#にじさんじマスコッツ 第二話「軋轢」【ほのぼの】
【平成最後の】大喜利人狼 #にじさんじスベ狼【地獄配信】

【ド葛本社】家族の絆を取り戻せ~鍋バトル!【オフラインコラボ】

ド葛本社はにじさんじのドーラ、葛葉、本間ひまわり、社築の4人のグループ。2018年11月の結成以降、積極的に活動しており、2019年に入って大変人気が高く、ランキングにも複数の配信が上位に入りました。父母姉弟の家族を模したアットホームなやりとりが特徴です。

この配信はド葛本社初のオフラインコラボ回。前半は鍋の具をかけてのクイズ対決で、後半は鍋を囲みながらの雑談配信です。これまでの振り返りや今後の展望などが話されました。配信中に「将来のやりたいこと」として語られていたオフラインのトークイベントも8月に開催。ファンの支持が大変高いグループといえます。

【春満開】花より団子!ド葛本社スペシャル【オフラインコラボ】
【ド葛本社】超会議のちょっと早めの前夜祭~GWSP~!【オフラインコラボ】

にじさんじの「ド葛本社」、初のリアルイベントが開催 ゲーミングモニター購入でイベント招待も

4名の中でも特に人気が高いのが本間ひまわり。ド葛本社の勢いもあって2019年に急成長。4月に3Dモデルをお披露目し、チャンネル登録数はにじさんじ内で月ノ美兎につぐ約27万人です。関連配信も複数ランクインしています。

【3D初お披露目】夢が叶った配信。【本間ひまわり/にじさんじ】
【20万人記念】衣装お披露目と感謝の気持ちをお伝えする!【本間ひまわり/にじさんじ】

にじさんじの人気配信

にじさんじはライブ配信の人気が高く、上記のほかランク上位のほとんどがにじさんじのバーチャルライバーの配信でした。

【FGOガチャ】殺生院キアラ爆死(したくない)配信

3位はにじさんじの郡道美玲の地獄のガチャ配信です。郡道美玲は2019年1月にデビューのバーチャルライバー。4月にソーシャルゲーム「Fate /Grand Order」で彼女が好きなサーヴァント・殺生院キアラがピックアップされたため、ゲットするまで自腹で3時間ガチャを回し続ける様子が配信されました。

にじさんじから交友の深い神田笑一が聞き役に参加。ほか叶、ベルモンド・バンデラス、春崎エアルが突発でゲスト参加しています。服を脱いで乳首でガチャを押したり、身体の各部でガチャを試したりと、回数を重ねるほど郡道美玲の言動が壊れていく大変ひどい内容で、彼女の魅力がよく分かる配信です。

その他2019年に入ってからデビューしたライバーの人気も大変高く、鈴原るる、御伽原江良、リゼ・ヘルエスタとアンジュ・カトリーナのコラボ配信などが上位に入っていました。

【#すずはライブ】初歌枠。【鈴原るる/にじさんじ】
【みんなのリズム天国】耐久!リミックス10目隠しノーミスプレイできるまで終われない【御伽原江良/にじさんじ】
【雑談】リゼとアンジュから重大告知【にじさんじ/リゼ・ヘルエスタ】

でびっちの初配信~まったり雑談(*´ω`)~

https://www.youtube.com/watch?v=W65DKLhfLmY

4位にはにじさんじのでびでび・でびるが新たに作ったセカンドチャンネルでの開設初配信がランクイン。でびでび・でびるは2018年8月ににじさんじSEEDsとしてデビューしたバーチャルライバー。長らくYouTubeの収益化が通らなかったことから、その対策として新チャンネルを設置。チャンネルスタート直後「でびっち」を名乗る女性配信者によりニコ生を模して配信が行われました。配信の凸待ちにはにじさんじ内外で聞いたような声の凸も多数参加し、話題となりました。

「でびっち」はその後配信がありませんが、でびでび・でびるはこの配信の同月、無事収益化が通りました。

その他にじさんじライバーの単独配信も多数ランクインしています。3Dお披露目や10万人チャンネル登録記念、月ノ美兎の企画配信などがよく入っています。

【3Dお披露目!】みんなほんまーにありがとう。【笹木咲/にじさんじ】
月ノ美兎 にじさんじ初・彼氏持ちVtuber配信
勇気ちひろ 100,000人とっぱありがとうきねん【大好きがいっぱい】

第一回にじさんじ合唱コンクール

5位はにじさんじから22名が参加した合唱企画がランクイン。学校のクラスに模して2組に分かれたにじさんじのバーチャルライバーが合唱コンクール風に本気で歌った企画です。
歌動画としてクオリティが高く、ネタ企画としても笑える配信でした。18分と短いので気軽に見られるのもおすすめ。

発案した緑仙は2018年6月ににじさんじSEEDsとしてデビューしたバーチャルライバー。歌ってみた動画の投稿が多い一方で、企画配信も多数手がけています。

本人のチャンネルで配信したものでは、同じくにじさんじの飛鳥ひなと手がけた「第一回にじメンズプロデュース企画」などが上位にランクインしています。

第一回にじメンズプロデュース企画

その他にじさんじのバーチャルライバー中心の配信企画は多数行われており、下記などが上位にランクインしています。

【おとなのじかん】格付けしあう女たち【課外授業編】
禊!禁酒配信~誘惑に耐えろ~【でびでび・でびる/御伽原江良/社築】

にじさんじ以外の人気配信

にじさんじ以外のVTuberの配信でも人気の高いものがあります。

【ASMR】美味しそうな匂いはどこからかしら?【囁き、吐息、耳かき、シチュエーション】Ear Cleaning/Ear Blowing/Whispering

https://www.youtube.com/watch?v=c_k3gP5mkaM

12位にはホロライブから癒月ちょこと白上フブキのASMRコラボ配信がランクイン。
白上フブキはホロライブ1期生として2018年6月にデビュー。癒月ちょこは2期生として同8月にデビューしています。ホロライブは、ときのそらを代表とする多数のVTuberが所属する事務所のひとつです。中国での公式配信なども先駆的に実施し、2019年に入って大きく飛躍しました。

VTuber界隈では「ASMR」と称して、バイノーラルマイクを使ってささやき声や耳かきの音などを動画・配信する企画がよく行われています。癒月ちょこはこれを得意とするVTuberのひとり。彼女得意のASMR、しかも大変人気の高い白上フブキとのコラボとあって、上半期でアーカイブが残っている中ではにじさんじ以外でもっとも高評価の多い配信となりました。ちょこ先生のささやき声に加え、かわいいフブキちゃんの声が楽しめる配信です。

耳かき音等のASMR配信はVTuberの文脈に限らず視聴される傾向があり、歌動画と並んで独自の人気があります。ライブ中心の配信者でも相対的にチャンネル登録数が高めになる傾向があるようです。上半期では31位にハニーストラップ・周防パトラのASMRが入っています。

【ASMR】完全寝落ち用。オイル綿棒で耳奥ゴリゴリ。吐息、囁き、マッサージ(Triggers For Sleep & Relaxing、Whispering)【周防パトラ / ハニスト】

白上フブキ・癒月ちょこらホロライブ1期生2期生はこの上半期に3D化のお披露目をしており、白上フブキは新3Dのお披露目が28位、癒月ちょこの3D化お披露目も上位に入りました。

【#白上フブキ新3D】お披露目&重大告知発表
【#癒月ちょこ3D】悪魔の保健医の3Dお披露目生放送【3D生放送】

【第2回学力テスト】新春!女だらけの #VakaTuberは誰だ【因幡はねる / あにまーれ】

17位にはあにまーれの因幡はねるによる第2回学力テストがランクイン。彼女は有閑喫茶あにまーれの店長として2018年6月デビュー。1年間欠かさず毎日ライブ配信し続けた経験のあるVTuberで、また配信の企画力にも定評があります。

VTuber学力テスト、通称「#VakaTuberは誰だ」は彼女の看板企画。参加するVTuberに彼女が作った学力テストを解いてもらい、その回答を見ながらトークしていくものです。第2回では上記の白上フブキ、バーチャルシンガーのYuNiなどさまざまな所属のVTuber9名が参加しました。さまざまな珍回答が飛び出す一方、それぞれの普段は見られない側面も見られます。

「#VakaTuberは誰だ」はこれまでに4回が開催され、いずれも好評です。関連では個人VTuberの天開司により、VTuber男子校学力テストも開催。上半期では30位に第2回VTuber男子校学力テスト、39位に第3回学力テストがランクインしていました。

【#第2回Vtuber男子校学力テスト】マスターよりVakaなVに会いにゆくスペシャル
【第3回学力テスト】GW最終日!男女チーム対抗 「#VakaTuberは誰だ」【因幡はねる / あにまーれ】

【#大空スバル3D】大空スバル3Dお披露目生放送するッス!!【3D生放送】

https://www.youtube.com/watch?v=8XNaetZpUtU

22位にもホロライブから大空スバルの3D化お披露目配信がランクイン。彼女は癒月ちょこと同じくホロライブ2期生として2018年9月にデビュー。ボーイッシュでいつも元気な女の子です。前述のとおり上半期ではホロライブ1期生2期生の3D化お披露目がそれぞれ行われましたが、その中でもっとも高評価が多かったのがこの配信でした。

大空スバルではにじさんじの舞元啓介とのコラボの「舞スバ」、さらに大空スバルのキャラクターデザインを担当したイラストレイターのしぐれういを加えた「大空家」の人気が高く、下記の動画も29位に入りました。お披露目配信には2人も通話参加しています。

【#大空家】大空家で行くドリームクラブ【地獄】

にじさんじ以外では上記で紹介したほか下記の動画が上位に入りました。

1周年!ヒメヒナ大感謝祭2019
【祝3D化】湊あくあ3Dお披露目生放送【#湊あくあ3D】
朝ノ瑠璃 【頂上】Vtuber赤ちゃん泣きまね選手権!【決戦】

また企業所属以外の個人勢では、のちににじさんじネットワークに参加する天開司、3D化した名取さななどの配信が比較的上位に入ります。

天開司 実況パワフルクズ野球 ~栄冠ナイン一本勝負~【#パワクズ】対戦編
はじめまして!3D名取さなです!!!!!!!!! #名取さな3D

2019年上半期の傾向とVTuberのライブ配信の現在

2019年上半期のVTuberの配信はにじさんじが目立ちました。動画で人気の強いキズナアイらより、にじさんじのようなライブ配信中心のVTuberの方が評価が高い傾向があります。

2018年は月ノ美兎の人気が非常に突出していた一方(2018年の同様のランキングでは大半が彼女の配信です)、2019年上半期は複数のバーチャルライバーがそれぞれに人気があるのが特徴です。

こうした変化から、多数のライバーがそれぞれの持ち味をだせるようなコラボ配信に人気が出てきており、今回1位の「にじさんじ格付けチェック」はその代表的な配信といえます。

2位のド葛本社のような、疑似家族的な関係のグループに人気が集まっているのも興味深い点です。大空スバルらの大空家も近い例かもしれません。男性VTuberが父親のようなポジションで関わることで新しい面白さが生まれている印象があります。最近では7月デビューの「SMC組」が疑似家族的な関係性で楽しまれています。

【VTuberデータ分析】「葉加瀬冬雪」「加賀美ハヤト」「夜見れな」にじさんじ新人の一ヶ月を数値で追う

ホロライブが目立ってきた点も2019年の動きです。bilibiliとの契約により中国展開を開始し人気を得たこと、メンバーの3D化を進めたことなどで注目される機会が多くなった印象があります。

ホロライブ、bilibiliと正式契約 VTuberの中国展開を開始
中国の動画サイト「bilibili」でホロライブの白上フブキさんや湊あくあさんがランキング上位に

因幡はねるのように、所属を越えた同士のコラボ企画を得意とするVTuberの存在は、上記のようにVTuber人気が多極化する中でさらに大きくなっています。最近では因幡はねるとにじさんじの緑仙が積極的に共同企画を進めているのが興味深いところです。

なお今回はアーカイブが視聴可能な配信のみを取り上げたため除外していますが、現在非公開となっている5月のハニーストラップ・蒼月エリの引退配信は1万5千を越え、ランキングでいうと3位に入る高評価数でした。同様の例では4月のにじさんじの海夜叉神、最近では久遠千歳の引退配信も1万を超える高評価で見送られています。

VTuberの引退が配信ランキング上位に匹敵するインパクトとして受け入れられている、あるいはそのようなVTuberでも引退を選択する状況がある点も2019年の傾向として挙げられると思います。

今回ご紹介したライブ配信は人気のあった配信というだけでなく、2019年上半期の動きをそれぞれ反映した配信であるといえるかもしれません。長時間の配信が多いためすべてを見るのは難しいですが、興味のわいたものをご覧いただくのがよいと思います。

執筆:myrmecoleon


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