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VRChat 2022.10.11

【VRChat】総製作費150万円の新作アバター体験ワールド! アバター販売の新スタンダードがここにある

ソーシャルVR「VRChat」にて、10月16日(日)に発売される新作アバター「チセ – chise –」を体験できるワールドが公開されました。現在パブリックで公開されており、誰でも無料で入場できます。

この体験ワールドが、アバター販売業界の次のスタンダードを作りそうなほど力が込められていたものでした。10月9日(日)に実施された「チセ」お披露目会の様子も合わせて、その全容をお伝えします。

好きなカラーリングも探せる! 試着もできるアバター体験ワールド

「チセ – chise -」は、有志製作チーム「VRC合法チート研究会」が10月16日(日)に発売予定の「VRChat」アバター向けのオリジナル3Dモデルです。猫と研究者をモチーフとしたキャラクターデザインのアバターで、オーバーサイズな白衣風コートとメガネがチャームポイントです。

10月9日(日)に公開された体験ワールドは、「チセ」のサンプルが展示されている……だけでなく、アバター商品としての特徴や魅力、様々な販売施策があますことなく紹介されているワールドです。

まずは入口から。すぐ左手に見えるのが、「チセ」のサンプルアバターのペデスタル。4色のカラーバリエーションが用意され、全て試着できます。

ベースになっているデザインは三毛猫とのことで、オレンジ色の髪とオッドアイが特徴的ですが、会場で特に人気だったのは銀髪のカラーバリエーションでした。

近くのボタンを押すと、「チセ」がサンプルアニメーションで動き出します。かわいらしく動き出す姿から、「このアバターを動かすとどう見えるのか」が一目でわかるようになっています。

こちらは、「チセ」に同梱されている追加テクスチャ「例のテクスチャ」の紹介コーナー。「例のテクスチャ」は、葉月ねこさんが手掛ける、リアル感を重視したテクスチャシリーズ。多くのメジャーな「VRChat」対応アバターに向けて製作された人気商品です。この「例のテクスチャ」が、「チセ」には最初から同梱されています。

そして、「チセ」には軽量化対応モデルも複数同梱。基本モデルは約13万ポリゴンとややヘビーですが、7万ポリゴン以内に収めた軽量版、1.5万ポリゴン以内におさめたQuest対応版、さらに1万ポリゴン以内に抑えたより軽量なQuest対応版まで提供されます。

ハイエンド環境で動かす人にも、「Meta Quest 2」単体で動かす人にも、様々な需要に応える作り込みです。これらの軽量版「チセ」もここで試着できるので、実際に使う時の感触をあらかじめ確認できるのはうれしいところです。

前代未聞!? 対応衣装の着用例が一挙集結

アバター単体の特徴をここまでわかりやすく紹介するワールドもめずらしいのですが、この体験ワールドのすごさはここから。なんと、「チセ」発売開始と同時に販売される、対応衣装の「きせかえ例」が展示されているのです。


対応衣装を販売するショップは実に25。カジュアルなもの、フォーマルなもの、セクシーなもの、リアルファッションっぽいものなど、多岐に渡ります。

本格的な改変事例として、VRにも展開するアパレルブランド「XENOGRAPH」と、3Dモデル制作ブランド「IRREGULARS」によるコラボレーション改変モデルも展示されています。バチバチにキマったサイバーパンクな姿に、「ここまで改変できるのか!」とインスピレーションが刺激されます。

アバターの販売と同時に対応衣装を展開する流れは、昨今の「VRChat」向けアバター市場ではスタンダードです。購入アバターのカラーリングを変え、別の衣服に着せ替え、アクセサリーも添えてオリジナリティを出す「アバター改変」文化の存在が、その一因と思われます。

しかし、きせかえ例は衣装の販売ページに掲載された、画像か動画を確認するのが一般的。実際に目で見た時の「感触」は、100%は伝わらないのが実情でしょう。

「チセ」体験ワールドでは、着せ替えた姿を実際にその目で見ることで、画像や映像からは伝わらない細かな雰囲気をも体験できます。「ファッションモデルが常に滞在する服屋でウィンドウショッピングをする」とでも言うべき体験は、アバター販売戦略として非常に効果的であるように感じました。

「誰もやってないことに挑みたい」――かつてないアバター展開の仕掛人に聞く

クリエイター個人制作のアバターはもちろん、企業制作アバター商品ですら、ここまで力を込めた「アバターをプロモーションする場」を作るのは異例です。

そんな驚きの体験ワールドを作り上げた「VRC合法チート研究会」は、アバタークリエイター……ではなく、アバター向けのギミックを制作するグループです。なぜ今回アバターという別カテゴリーへ参入したのか、その目的を尋ねてみました。

そもそも「チセ」はもともと「VRC合法チート研究会」メンバー向けのワンオフアバターとして構想されたとのこと。そのために、ギミックの売上150万円を投じて、報酬100万円で公式アバター制作を手掛けるモデラーを募集しました。

しかしその後、「せっかくいいアバターを作ってもらうのに、自分たちだけで使うのってもったいない」と考え、「チセ」の一般販売を決定。「せっかくならまだアバタークリエイターが誰もやってないことに挑みたい」と、衣装対応や肌テクスチャ対応など、売り方や広げ方まで意識した施策とともに、今回の「チセ」の発売にチャレンジしたとのことです。

実際に、ワールド内には「VRC合法チート研究会」が制作したギミックの適用例が「チセ」で紹介されているほか、「チセ」のサンプルモデルには、「VRC合法チート研究会」が制作したギミックの数々もサンプルとして搭載されています。オリジナルアバターを通したギミック宣伝という手法も、プロモーションとしては非常に戦略的です。

今後、「VRC合法チート研究会」は「チセ」の売上次第で、第2弾以降のアバター制作を検討したいとのこと。さらに、進行中の企画もいくつかあり、近々発表予定とのことです。

「自分たちが楽しいからやる」をモットーとしつつも、企業顔負けなプロモーション基盤を本気で作り上げるクリエイティブな姿勢に、筆者は息を呑みました。そして、アバターのスペックのみならず、対応衣装も作例とともに、魅力たっぷりに紹介する戦略は、今後のアバター販売業界におけるスタンダードになっても不思議ではないと感じました。

「VRC合法チート研究会」が仕掛けた、アバター販売の未来がどのようになっていくのか、ぜひ体験ワールドから熱量を感じ取ってみてください!

ワールドへのアクセスはこちら(Meta Quest 2、またはPC接続型VRヘッドセット、高スペックPCが必要です)。
https://vrch.at/uvk08f2j

「チセ – chise -」販売ページはこちら(10/16(日) 14:00から販売開始)。
https://goho-cheat-vrc.booth.pm/items/4123536


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