5月16日、Oculusは新たな提携プログラム「VR for Good」を発表しました。
OculusはVRがゲームやエンターテインメントの分野だけにとどまらず、特に360度で体験するVR映像は非常に強い印象をあたえるとしています。いわゆるソーシャル・グッドと呼ばれる、NPOが主体となって活動している分野でもVRを活用してほしいとのことで新たなプログラムを立ち上げました。
この「VR for Good」には2つのプログラムが発表されています。
高校生による「360度動画制作へのチャレンジ」
Oculusが立ち上げた「VR for Good」プログラムは、サンフランシスコ・ベイエリアの9つの高校、そしてプロの映画製作者と協同して行う6週間のプログラムです。各高校のコミュニティをテーマに、3~5分の360度映像を制作するというもの。学生たちには制作のために必要なGear VR、Galaxy S6、Ricoh THETA Sなど様々なツールが配布されます。
制作された作品は、Facebook、Oculus Videoなどで配信される予定です。
NPOと映像制作者の連携
NPO向けには、2016年夏より、10のNPOと10名の映像制作者がチームを組み、制作を行うブートキャンプを実施するとのこと。
6月27-28日に実施されるFacebook本社でのブートキャンプからプロジェクトがスタートします。
各チームはNokiaのOZOなどプロフェッショナル向けの撮影機材等を使うことが可能。NPO、映像制作者の応募は5月30日までとなっています。
強い印象をあたえるVRのソーシャル分野での可能性
Oculusは印象深いVR映像の例としてVRSEが制作した『Clouds Over Sidra』を挙げています。この作品はヨルダンに逃れたシリア人の難民の少女を360度で撮影した短編ドキュメンタリー作品です。この作品は少女の日々の生活を克明に体験者に訴えかけた作品です。ダボス会議等でもこのVRコンテンツは主要国の主要が体験し、UNICEFは難民キャンプへの38億ドル(約4000億円)の支援を行っています。
360度を撮影したVR映像の制作は北米だけでなくヨーロッパ、アジアなど世界中で行われており、活用方法を含めた今後の動向に注目したいところです。
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