「Spheres」がついに日本語対応
2018年にサンダンス映画祭にて1億円で落札され、ベネツィア国際映画祭のVR部門Venice VRではBest VR Awardsを獲得した「Spheres」がついに日本語対応しました。
日本語版の制作は、VR映画祭「Beyond The Frame Festival」運営の株式会社Cinema Leapが行っています。注目したいのは日本版のナレーションです。
第1章「宇宙の合唱」を玉城ティナ(モデル/女優)さん、第2章「時空の歌」を篠原ともえ(デザイナー/アーティスト)さん、第3章「青白い点」を夏木マリ(女優/歌手)さんが担当しています。
1億円で落札された話題ばかりが先行している「Spheres」ですが、VR映画として非常にクオリティの高い作品です。宇宙の現象を探究するインタラクティブなVRドキュメンタリーで、3つの章に渡ってビッグバンからブラックホールまで宇宙の様々な現象を、宇宙の一部になったような感覚で体験できます。
オススメのポイント
1. 豪華絢爛な日本語版ナレーター陣
「Spheres」は世界各国の言語対応を積極的に行なっており、英語版ではミュージシャンのパティ・スミス、フランス語版では女優としてカリスマ的な人気を誇るジェーン・バーキンなどの著名人がナレーションを担当しています。
海外のナレーター陣も豪華なのですが、日本もかなり豪華なナレーションになっています。第1章を担当した玉城ティナさんは女優としての評価が高いということもあり、今回のナレーションでも囁くようなピュアでありながら意志のある声が宇宙空間とぴったり合っていたと思います。
第2章の篠原ともえさんはしっとりとした大人な雰囲気のナレーションでした。そして、第3章の夏木マリさんは第一声から魅惑的な声に一気に引き込まれます。ヘッドホンで聞くと耳元で語りかけられているようなナレーションは本当に素晴らしく、声だけでも十分楽しむことができます。
ちなみに夏木さんは「宇宙の一部になったような新体験。天体たちが奏でる幻想的な音楽と宇宙をめぐるサイエンスエンターテイメント!体験してみて」と自身のブログで語っていました。
そもそも作品のナレーションの内容が詩的で、出演者のそれぞれが自分たちのキャラクターを生かしながら、詩を朗読しているような感じで語りかけるため宇宙の物語を音声でも堪能することができます。
2. 視覚、聴覚、インタラクションの融合
VRでも宇宙をテーマにした作品は数多くありますが、ここまで宇宙を体感するような作品はなかったかもしれません。視覚的に360度に広がった宇宙空間を体感できるのはもちろん、空間音響を使って宇宙で奏でられる様々な音を感じることができます。
要所要所で用意されているインタラクションでは、地球が発する電磁エネルギーに触れるとコントローラーが振動し、エネルギーを体感しているかのような気分になれます。
また体験者自らがブラックホールとなって惑星を引き寄せるような体験もありました。空間に浮いている点に触れることによってビッグバンを起こし、宇宙が作られていく物語を体験できます。
3. 宇宙が奏でる音をテーマにした作品
私自身、この作品に出会うまでは宇宙は音がない静かな世界だと思っていました。実際、過去見てきた宇宙をテーマにした映画ではとても静かな作品が多かったような気がします。しかし「Spheres」では宇宙の様々な事象や惑星から聞こえる音をテーマにしており、こんなに宇宙は音に溢れているのかと新しい発見でした。
一番驚いたのが太陽系の8つの惑星それぞれも音を発しているということを知った時でした。作中、自分の目の前にある惑星に顔を埋めてみると惑星の内部が見えるのと同時に、その惑星の音をじっくり聞くことができます。
それぞれ違った音が鳴り響いているのを聞くのはとても楽しい体験でした。その中でも1つだけ他の惑星にはない、珍しい音が聞こえてきました。それは人間の声や雑踏の音で、私たちが住む地球の音でした。
作品データ
タイトル |
Spheres |
ジャンル |
ドキュメンタリー |
監督 |
Eliza Mcnitt |
制作年 |
2018年 |
制作国 |
アメリカ、フランス |
本編尺 |
第1章「宇宙の合唱」約13分(ナレーション:玉城ティナ) |
視聴が可能な場所 |
Oculus Store: |
Trailer
この連載では取り上げてほしいVR映画作品を募集しております。
自薦他薦は問いません。オススメ作品がありましたら下記問い合わせ先まで送ってください。よろしくお願いします。
VR映画ガイドお問い合わせ:[email protected]