北極を舞台にした今までにないVR映画
フレンチエレクトロの鬼才モールキュールが北極の自然の音を録音して、アルバム「-22.7℃」を制作する様子を、北極の美しい景色を舞台とともに撮影した新感覚の音楽VRドキュメンタリーです。
監督は、過去の連載でも取り上げたVRトリップ映画「AYAHUASCA -Cosmic Journey-」を制作したヤン・クーネン。前作ではフルCGで6Dofのコンテンツを制作していましたが、今作では実写に挑戦しています。
オススメのポイント
1. 音が主役の体験型ドキュメンタリー作品
この作品は静かな部屋で、イヤホンやヘッドホンをつけて体験してください。冒頭、目の前に北極の真っ白い氷原が広がるシーンから一気に引き込まれます。静寂の中、自然の音に集中していると氷がバキバキと割れる音や流氷がぶつかり合う音が…。
風の音が自分に迫り、徐々に音に囲まれる感覚になると、北極の自然の音が少しずつ心地良く感じます。自然の音とセッションするようにモールキュールの電子音楽が調和していき、不思議な音楽体験になっていきます。
2. 北極の美しい風景とCGの幻想的な映像
昼は見渡す限りの白い世界、夜は空にオーロラが出現。本当にこんな風景が見られる場所が地球上にあるのかと思うほど北極の美しさを体験できます。
CGでの演出では氷が突然割れ、体が落ちていくシーンがあります。耳に残る電子音と共に暗い穴に落ちていき、少し恐怖を感じました。色々と調べてみたのですが、このシーンでヤン・クーネン監督が何を表現したかったのかは分かりませんでした。北極の美しい風景とは逆の自然の恐ろしさを表現したかったのかもしれません。
3. VRならではの演出の模索
ヤン・クーネン監督は前作からフレームの映像とは違うVRならではの新たな映像表現に挑戦していると思います。
暗闇の中で、真っ白い氷山がポッカリ浮かんでいる様子やオーロラのシーンでの空の表現、ラストシーンのリトルプラネットの使い方など、今まで見たことのないVR映像表現を見せてくれています。
今後も新しいVR映画作品に挑戦するのを楽しみにしたいと思います。
作品データ
タイトル |
-22.7℃の世界 ~北極の音~ |
ジャンル |
ドキュメンタリー |
監督 |
ヤン・クーネン |
制作年 |
2019年 |
本編尺 |
約10分 |
制作国 |
フランス |
体験できるサイト |
VR Square |
Trailer
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