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VR動画 2020.08.08

【VR映画ガイド第10回】シルク・ドゥ・ソレイユ VRでは何が違うか?

Felix & Paul StudiosのCirque du Soleilシリーズの第6弾

世界的にも著名な舞台上でパフォーマンスを行うエンターテインメント集団「Cirque du Soleil」(シルク・ドゥ・ソレイユ)。彼らのパフォーマンスを2015年からVR映像化し続けているのが、Felix & Paul Studiosです。今回その新作が遂に登場しました。

Cirque du Soleilシリーズの第6弾『Alegria – Spark of Light』は、単純にCirque du Soleilのパフォーマンスを360度カメラで撮影しているだけではなく、演目のテーマやコンセプトもVR用に再構築しています。

調べてみると、今回の演目『Alegria – Spark of Light』の世界を作るために100台以上のカメラを使用し、様々な角度に鏡を配置することによって幻想的な世界観を作り出しています。

オススメのポイント

1. 幻想的な空間

Cirque du SoleilのVRシリーズは、ヘッドマウントディスプレイを被った瞬間に、一気にその世界観に引き込まれます。世界観や空間が本当に素晴らしいです。

今作は真っ暗闇の中心に置かれている心臓のようにも見える光る石が象徴的に使われています。この光る石の外側の暗闇の空間と中の鏡の空間を巧みに使い分けて、『Alegria – Spark of Light』の世界観を作っています。

光る石の中の鏡のシーンはどうやって撮影されているの分からないほど、不思議な演出になっています。

2. パフォーマンス

VR用にパフォーマンスの構成を変えているため、より演目のコンセプトが伝わるようになっていると思います。

冒頭のシーンでは数人のパフォーマーが固まったように静止しているのですが、このシーンの間は映像を止めているのかと錯覚するほど。もう1つ印象的なのは映像をスローモーションしたようにゆっくりと動くシーンです。その身体コントロールに驚かされました。

3. ストーリー

暗闇の中で固まったように静止している様々なパフォーマーたち、その中心に置かれている光る石。そこに小柄で太っちょな変な髪の男が現れた時に、光る石の光が消えてしまいます。石の光を取り戻すために、男は旅に出て様々なパフォーマーたちに出会い光を得ていきます。

このシリーズには詳細なストーリーがなく、主に世界観とコンセプトをパフォーマンスで見せる作品です。セリフもありませんが、パフォーマンスや役者の表情によって状況やテーマが伝わってきます。ラストシーンも感動的でした。

2020年6月29日にCirque du Soleilは経営破綻したことが報じられ、今後の活動に関しては何も発表されていません。Felix & Paulが作り続けているCirque du SoleilシリーズはVRにとって非常に貴重な作品だと思います。私自身、Felix & Paulの作品は全て体験していますが、どれも刺激的な挑戦的です。彼らの作品を参考にしながらもいつか、それを超える作品に携わりたいと思っています。

作品データ

タイトル

Alegria – Spark of Light

Production

Felix & Paul Studios

公開

2020年

本編尺

13分53秒

製作国

カナダ

体験可能な場所

オンライン:Oculus Store, auスマートパスプレミアム

Trailer

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