Home » 【Unite2017】社内ゲームジャムから製品化へ 異色のVRゲーム『DeadHungry』配信までの道


ゲーム・アプリ 2017.05.12

【Unite2017】社内ゲームジャムから製品化へ 異色のVRゲーム『DeadHungry』配信までの道

5月9日から2日間にわたって開催されたUnite2017ではVRに関するさまざまな講演が行われました。

今回は「”Game Jam × VR × Unity”『DeadHungry』のレシピ」についてレポートしていきます。
登壇者は京都のインディゲームスタジオQ-Gamesのリードプログラマーホセ・ルイス・オルティス・ソト氏、リードアーティスト倉橋 豊氏の2名です。

 

『DeadHungry』は、お腹を空かせたゾンビが来るのでプレイヤーがハンバーガーを作り
それを食べさせて人間の心を取り戻させせていくVRゲームです。いわゆる一人称のゾンビゲームながら、銃を撃って撃退するのではなく、ハンバーガーを食べさせてというコミカルな設定と、ハンバーガーを次々作らなければいけない忙しさがあいまって思わず笑いのこぼれるVR体験に仕上がっています。

社内ゲームジャムから始まった開発

社内で初めて開催されたゲームジャムが『DeadHungry』の開発のきっかけとなりました。そのお題は「UnityとVRを使うこと」、今後の展望や製品化などは深く考えていなかったと倉橋氏。

ゲームジャム版のコンセプトとしては料理ゲームが好きであったため「VR空間でのクッキングゲーム」というジャンルにして、VRでコンパクトに楽しめるものにするため、ステージを「屋台を舞台にしたファーストフード」というコンセプトにしたとホセ氏。

ただ料理を作るだけではゲームジャムには合わないと考えアクション要素を追加することに。90年代アーケードのような「ノリ」でテンポのよいハイペースなアクションとして過去にあった「タイピングでゾンビを殺す」というゲームを参考に別々のジャンルを組み合わせる発想を思いついたとのこと。


プロトタイプを制作するにあたり、プログラマーだけでは地面の上でキューブ状の物体が動いているという物しか作れなかったのがUnityのEditorやアセットストアという仕組みを利用することで実際のゲームのイメージに近い物を作ることができたとホセ氏。


ゾンビのデザインに関してはハイクオリティ、ポップといったどの見た目でも料理との相性が悪かったため色々と考えた結果レトロなファッションのゾンビにすることでちょうどいいグロテスクさになったとこのと。


ゲームジャム版の最終的な仕様としては、開発者版であるOculus Rift DK2とゲームパッドを使用して目線で食材を選択して掴む・置くといった動作でハンバーガーを作っていくというものでした。

大盛況だったBitSummitへの出展、そして製品化へ


ゲームジャムからしばらく経過し、京都で毎年行われているインディーゲームのイベント「BitSummit」に社長の一声で出展することになりました。まだこの時はインパクトはあるもののゲームとしてはまだ荒削りな部分があり、社内でも不安の声が多くあったとのこと。ゲームパッドからOculus Touchに対応することで一気に没入感が向上。全てのアイテムを食材にできるようにしてゾンビ自体もオーダー制を廃止したことで、ゲーム自体の面白さも急激に向上したとホセ氏は語りました。

実際にBitSummitに出展したところ、大行列ができるほどの大盛況になり、同作は入賞しています。


BitSummitでの反響を受け製品化を目指して新たなスタートを切ることになりました。BitSummitで体験しているユーザーを見て思ったのは体験者だけはなく見ている人も楽しめるパーティゲームに向いているのではないかと倉橋氏。

この時点から倉橋氏が合流し、開発を進めて行きました。ゲームの根本的な部分はできていたため製品化に向けてのボリュームアップをしていきました。

[wc_row][wc_column size=”one-half” position=”first”]

[/wc_column][wc_column size=”one-half” position=”last”]

[/wc_column][/wc_row]

具体的な内容としては「ステージを日本風に変更」、「ゾンビのバリエーションの追加」、「素材にできるアイテムの追加」という3点を中心にボリュームアップを行っています。

質感としてはリアルな物ではなく食品サンプルのような偽物だけれども可愛くて美味しそうという少しチープなクオリティを目指したとのこと。また、VR空間ではマットなものよりもツヤツヤした質感の物の方が立体感があり本当にそこにあるように感じることができると倉橋氏。

最後に『DeadHungry』の成功ポイントとして「ゲームジャムという自由な発想から生まれたアイディア」、「標準機能のみでの使用でもすぐに具現化できるUnityの手軽さ」、「体験してもらうことで得られるフィードバック」そしてQ-gamesならではのものとして「ノリと勢いとチームワーク」という4点を振り返っていました。


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード