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話題 2022.01.25

軽く高性能なメガネ型VRヘッドセット「MeganeX」などShiftallの新製品3つを体験。これが2022年のメタバース装備だ!

株式会社Shiftallが、今年の1月に「メタバース向け製品」を発表しました。メガネ型の軽量&高画質なVRデバイス「MeganeX(メガーヌエックス)」、ウェアラブル冷温デバイスの「Pebble Feel(ペブルフィール)」、音漏れ防止機能付きマイクの「mutalk(ミュートーク)」の3種類です。いずれも非常にユニークなデバイスで、世界最大のエレクトロニクス展示会「CES 2022」の展示も含め大いに話題になりました。

今回、MoguLive編集部は株式会社Shiftallオフィスにて、このユニークなメタバース向けデバイスを先行体験。本記事では、「MeganeX」を中心に、株式会社Shiftallの新製品3種についての体験レポートをお届けします。

「MeganeX」を体験。その軽さと解像度に迫る

まずはメガネ型VRデバイス「MeganeX」の体験からスタート。ケーブルでハイエンドなPCとつないで使用する、いわゆる「PC接続型」のデバイスです。トラッキングについては「インサイドアウト」方式(外部センサーの設置を行わずに使える方式)を想定しているとのことでしたが、今回はベースステーションを設置した「アウトサイドイン」方式での体験です。

こちらが実際に「MeganeX」を装着した様子。装着方式はメガネそのままではなく、後頭部のバンドで締めて固定する方式です。その形状ゆえにメガネをかけたままでは装着できませんが、代わりに焦点を調節するツマミが搭載されており、これによって裸眼のままでも視界を確保できます。筆者は若干の乱視が入っていますが、左右別々に度数を調節可能なため、かなり快適な見え方に調節できました。

まず驚かされたのはその軽さ。約250g(ケーブル部除く)というカタログスペックは伊達ではありません。「Oculus Quest 2」の比ではないほど軽く、顔面へかかる負担は非常に軽くなっています。少し大きめのゴーグルをつけているくらいの感覚であり、首を上下左右に振り回しても、遠心力でブレることはほぼありません。VRヘッドセットから得られる体験としては、とても新鮮で快適です。一方、メガネ型という形状ゆえに、顔面(特に頬骨など)への当たり方は従来のVRヘッドセットとは異なるものであり、多少は慣れが必要そうだなと感じました。

さらに、後頭部にダイヤルやカウンターウェイトが設置されていないため、写真のように仰向けで寝転がることができます。これによって実現が容易となるのが「VR睡眠」でしょう。後頭部を直に枕へ預けられ、軽いので顔面に負荷もかかりにくく、「VRChat」にログインしたままベッドへ横たわり、そのまま寝る……といったこともできてしまいます。「VRChat」のヘビーユーザーはうれしいでしょう。

さて、肝心の映像はどうかといえば相当に良質です。両目5.2K、10bit HDRという解像度は非常に鮮明。網目状の模様が見えてしまう「スクリーンドア効果」はかなり抑えられており、文字もはっきり読み取れます。

なにより色合いの鮮明さがポイント。OLED(いわゆる有機EL)を採用したことにより、LCDでは表現しにくい「暗さ」がちゃんと「暗く」感じられるため、映像体験はかなり心地よいです。暗さがはっきりと映れば、ホラーコンテンツでは恐怖を、睡眠用ワールドでは癒やしを、より強く得られるはずです。

デバイス構造こそ新機軸ゆえに、最初は慣れが必要でしたが、慣れてくると軽さ、映像の鮮明さが実に気持ちよく感じられます。開発段階でありながら普段使いする上でほしい要素がすでに詰まっており、期待の持てるデバイスとなっています。

「Pebble Feel」と「mutalk」も体験。そして……

今回の取材では、「Pebble Feel」と「mutalk」もあわせて体験しました。

「Pebble Feel」は「ウェアラブル冷温デバイス」です。温度調整に用いられているのはペルチェ素子という、直流電流の極性を変えることで冷却面と加熱面が入れ替わる素材です。

実際に体験してみたところ、身体に接する金属の面が、一瞬でカイロのように温かく、また保冷剤のように冷たくなり、率直に「これは便利だ……」と思わされました。温度調節の速度も、ゆっくり温かくなったり、急激に冷たくなったり、自在にいじれるようでした。

このデバイスの主な用途はメタバースを体験する際に「温度」を人へ反映させるというもの。専用のSDKをワールドに埋め込むことで、「焚き火に近づいたら温かい」「雪山に来たら寒い」といった体験を実現することができます。なお、その想定運用ゆえに長時間稼働が必須要件であるため、内蔵バッテリーではなく、モバイルバッテリーからの給電で稼働する構造になっています。

「mutalk」は音漏れ防止機能付きのBluetoothマイクです。こちらはメタバースのみならず、オンラインゲームや、パプリックスペースでの会議など、様々なケースが想定されているデバイスです。口元を覆う形で装着することで、音声を外部へ漏らさず、内部のマイクで拾うという構造になっています。

実際に体験してみた感想としては、遮音性はそこそこ、音質は普通といったところ。マイクは呼吸音なども拾ってしまうため、実際に運用する上では「NVIDIA Broadcas」などでノイズキャンセリングをかけておくのがベターでしょう。

とはいえ、距離を開けたり、別の部屋へ移動したりすれば、話し声はほとんど聞こえなくなるかもしれません。そう感じる程度には遮音されており、真夜中に思わず笑ったり叫んだりした際に、同居人やご近所さんへ迷惑をかけることは防げそうです。

さて「MeganeX」も「mutalk」もそのフォルムがとてもユニークなデバイスです。今回ご厚意で、「MeganeX」「Pebble Feel」「mutalk」そして「HaritoraX」をすべて装着した、「Shiftallフルセット」ともいえる装備を体験してみました。

……こちらが「Shiftallフルセット」を身にまとった筆者です。2022年1月時点では異様な外観です。しかし、これが2022年のメタバースユーザーのスタンダードになる……かもしれません。

ニッチでユニークだが、確実に求められているデバイスたち

株式会社Shiftallが今回発表した3種類のデバイスは、いずれもユニークです。VRヘッドセットとしてはかなり尖ったコンセプトといえる「MeganeX」に、限定的な用途の「Pebble Feel」、性能はたしかだけど見た目にクセのある「mutalk」と、どれもインパクトが強く、そして用途もある程度限定的なデバイスであるといえるでしょう。

しかし、その限定的な用途はコロナ禍でリモートワークが浸透し、そしてメタバースが大きく流行を見せ始めたいま確実に求められています。とりわけ「MeganeX」は、軽くて高画質なメガネ型という、VRメタバースのヘビーユーザーであればあるほどほしいスペックと機能が備わっています。ピンポイントながら強い訴求力を持つ新機軸のVRヘッドセットと言えるでしょう。メガネのように折りたたみもできるため、机の上に置いてもあまり邪魔にならないのもポイントです。「Pebble Feel」と「mutalk」も、そのニッチな用途ゆえに、欲する層は確実に存在するはずです。

こうしたデバイスが、メタバースを使い倒しているユーザーが多いであろう日本から生まれたことは、注目に値します。株式会社Shiftallの代表取締役の岩佐琢磨氏もまたVRChatヘビーユーザーとして知られており、「MeganeX」を筆頭としたこれらのデバイスは、まさにユーザー目線での開発が生み出した画期的な製品といえるでしょう。

今回体験したのは開発段階ということもあり、視野角や接眼部クッションなど、まだまだ改良の予定があると取材の中で耳にしました。今後もMoguLiveでは、ユーザー目線が生み出すこの「ニッチかもしれないが、絶対に必要」なデバイスたちの最新の動向をお伝えしていきます。

公式プレスリリース等はこちらから。
https://ja.shiftall.net/news/20220104

執筆:浅田カズラ


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