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イベント情報 2017.07.22

【体験レポ】VRで救命訓練 工夫次第で人形がまるで人間相手に

VRの使いみちの1つに「訓練」に利用できるというものがあります。現実では再現不可能な災害や高所での作業など、よりリアルな緊張感が求められる状況を再現するためにVRは最適です。

しかし訓練をするとき、真剣にやらなければと思っても、相手が訓練用の人形だと笑ってしまったりどうしても人間に思えず真剣味に欠けてしまいがちです。

VRで救助訓練を行うとより真剣に取り組めるようになるかもしれません。

2017年7月『例のカノジョ ハッカソン』と題されたハッカソンが都内某所で開催されました。そこで審査員であるVRエバンジェリストとして名高いGOROman氏が表彰した『さくらドクター訓練室』は訓練のときにあれば真剣に臨めるVR体験です。

人間と思えることが真剣さを引き出す

『さくらドクター訓練室』は人形を女の子に見立て、具合が悪いさくらの心拍をとり、抱き上げて介抱します。

マネキンのような人形は、頭部・腕・膝から下がなく現実で床に寝ている姿を見ても人間とは思えません。しかし、VRヘッドセットをかぶり、VR内で見ると具合が悪そうな女の子が横たわっています。彼女には意識がなく、体験者は人形の太ももの下に腕を入れ抱えた後、人形を椅子に座らせます。

抱きかかえている人形には足がありませんが、VR内では膝から下もあり実際の人間を抱きかかえたように膝が曲がってぶらぶらしています。

椅子に座らせた人形の胸に聴診器のダイヤフラム(胸に当てるとヒヤッとする円盤状の部分)を当てるとドクンドクンという音と共に拍動を手に感じます。

少しすると、女の子の症状が意識が戻り体調が良くなったとのこと。なぜか、女の子を抱いてスクワットをすることになりますが、ここで体験は終了します

VRで体験する前に、頭も腕も足もない人形に聴診器で心拍を聞きますと説明をされても全く現実味がありませんでした。

しかし抱きかかえたときに、腕から感じる重さとボディラインや、足の揺れる様子が人間に近いこと。聴診器を当てたときに音だけでなく振動を感じることで人間ぽく見えてきます。

椅子から抱え上げてスクワットをしたときには、「せっかく元気になったのだし落とさないようにしないと」と、状況は不可思議ながら真剣にスクワットをしてしまいました。

意識を取り戻した後も、スクワットしているときも女の子は動きに合わせて声を出します。重さ、声、振動、動きが合わさることで見た目がリアルな人形でなくとも、人間に接しているような気分で訓練ができます。

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VRを使ってより現実に近い訓練を

筆者は、以前心臓マッサージの講習を受けてみたとき、どうしても人形がのっぺりしていて人間に思えませんでした。人形に見えるとどうしても真剣になれず、講師の指示されるがまま、マッサージや消防への通報の訓練をしたのでこれで、実際に心臓マッサージが必要な状況に遭遇したとき、慌てず対応できるかだろうかと疑問でした。

もし、VRやARを利用してより人間ぽく、実際に起こりえる状況を再現して訓練できたならば、人形でも苦しんでいる人間のように思え、緊張感を持ちつつ、より実践で役に立つ訓練ができるようになるかもしれません。


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