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PlayStation VR 2020.12.01

PS5でPSVRのゲームはどう変わるのか?実際に使って確かめてみた

2020年11月12日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)より次世代家庭用ゲーム機「PlayStation 5(PS5)」が発売されました。

PS5はPlayStation VR(PSVR)への対応についても早い段階から明らかになっていましたが、接続には専用のアダプターが必須、あくまでも後方互換デバイスとしての扱いになる、PS5向けのアップデートを実施されたゲームが現れたなど、気がかりな情報が飛び交いました。こうなると気になってくるのが、実際にPS5本体にPSVRを接続して使ってみた時の手応えや印象です。

そんな訳で、MoguLive編集部はPS5本体を緊急確保。PSVRを接続し、気になるあれこれを確かめてみました。

PSVRの接続手順はPS4とほぼ変わらず

まず既報通り、PS5本体にPSVRを接続するには「PlayStation Camera(PS Camera)」を接続させる専用アダプター「PlayStation Cameraアダプター」が必須となります。もちろん、編集部はこちらのアダプターも入手。

実物がこちらですが、PS Cameraのケーブルを接続させる端子部が装着されたUSBケーブルという感じです。その名とは裏腹にコンパクトなものになっています。

これの接続部にPS Cameraのケーブルを上記写真のように接続。綺麗に「カチャッ」とはめ込まれます。その後はPS5本体のUSBポートに差し込むだけ。

PS5本体を横置きした場合になりますが、USBポートは後方に2か所存在。このどちらかに接続すれば、PS Cameraのセッティングは完了となります。これと言って複雑な手順を踏む必要はなく、あっさり準備できました。

以降はPSVR本体の接続へ。手順についてはPS4同様、「プロセッサーユニット」をPS5側に繋げる形です。YouTubeで公開されている「チュートリアルビデオ」に沿って進めれば、PS5でも全く同じ流れで接続できます。

前方部分にも1か所ポートがありますが、DUALSHOCK 4とPlayStation Moveモーションコントローラーを認識させる際に使用することになりますので、後方部への接続が無難でしょう。

より整理されたホーム画面と、決定キャンセルの変更

準備ができましたので、いよいよPS5の電源をオン。DualSenseの接続、言語選択、PlayStation Networkアカウントへのログインと言った手順を一通り終えると、ホーム画面が表示されました。

ホーム画面はPS4のものと一見似ていますが、全体的に表示されるアイコンなどが少なく整理されています。トロフィー情報、電源OFFおよびレストモード(スタンバイ設定)への移行設定、ダウンロード中データの進捗などに関しては、DualSense中央のPSボタンを押した時に表示される専用のメニュー側へと移されていることに起因している印象です。また、キー操作のレスポンスもより早くなっています。

既に様々な場所で報じられて物議を醸している通り、最大の変更点は決定とキャンセルボタンの逆転です。○ボタンで決定、×ボタンでキャンセルではなく、×ボタンで決定、○ボタンでキャンセルの海外基準に改められています。この大きな変更を踏まえてか、設定中においても「PS5では決定する時に×を押してください」との案内も出るようになっています。

一応、ホーム画面右上にある設定から「アクセシビリティ」を開き、「コントローラ」のタブ選択後に出る「ボタン割り当てをカスタマイズ」を選び、○ボタンと×ボタンの機能を入れ替えてしまえば日本基準の設定にはできます。しかしながら、ゲーム側の画面内ヘルプの表示までは変更できない上、後述する「ライアン・マークス リベンジミッション」プレイ時に余計な混乱が生じることになりますので、この設定に慣れてしまうのが良いように感じました。

ちなみに今回の検証では5つのPSVR対応タイトルを本体にインストールしましたが、PS4タイトルの場合はアイコン右隣のゲーム名に「PS4」と表示されます。この後紹介する「No Man’s Sky」はPS5版も提供されていて、PS4版からアップグレードすることも可能となっていますが、そのどちらが本体に入っているかはこの表記で確かめることができます。

また、PS5向けのアップデートが実施された「ライアン・マークス リベンジミッション」、「Firewall Zero Hour」はホーム画面での選択時、後者に限りテーマ曲が流れる仕掛けがありました。逆に前者は選択してもそのような変化は起きず。PS5向けのアップデートが行われたタイトルに限って仕込めるようになるものなのか、その真偽は今後アップデートされたタイトルが増えてきてからの判断となります。

気になるPS5向けアップデートが行われた2タイトルの詳細

そんな気になるPS5向けアップデートが行われた2タイトル。実際にプレイし、どのように変わるのかを確かめてみました。

ライアン・マークス リベンジミッション

高解像度対応になるとの事前の発表に違わず、グラフィック全体が鮮明に表示されるようになります。PS4でプレイした時は特に遠方の背景、小物類がややボヤけて表示されるようになっていましたが、PS5でのプレイ時はそれが一切なくなり、ハッキリと建造物、小物類の細部が視認できるようになります。

特に違いが際立っていたのは地下アジトのシーン。小さなホコリが舞うようになっています。さらにストーリーの合間に挿入される取調室のシーンでも、ホワイトボードに貼られたマークス・ファミリー、シャープ兄弟の顔がよく見えるように。

筆者はシャープ兄弟の弟「キーチ」の写真が、トボけた顔のものだったことをこの瞬間に初めて知り、少し笑ってしまいました。

他には光の表現も美しくなっており、高フレームレート(90fps)への対応もあって遊び心地も向上していました。反面、PS4版の時のVR酔い対策を兼ねていた移動中の視界制限(黒枠表示)が削除されているという気がかりな変更点も。


(PS4版オープニングの空港シーンより)


(PS5版のオープニングより。ご覧の通り黒枠が消えています。)

この影響か、PS4版よりも移動シーンでやや酔いやすくなっているように感じました。また、DUAL SHOCK 4操作時における決定、キャンセルボタンの設定はPS5仕様へと強制的に変更されます。PS4版のDUAL SHOCK 4操作に慣れている人の場合は混乱する可能性も。

さらにタイトル画面に限り、DualSenseの操作も受け付けるようになっていて、実はこれで遊べてしまうのではとの誤解を与える部分もありました。

残念ながら本作はDualSenseでは遊べません。元々DUAL SHOCK 4、もしくはPS Moveコントローラー2本のいずれかに限定されているだけに、ここは操作を受け付けないようにしておいた方がいいのでは、と思ってしまいました。

それら気になる箇所もありますが、PS5向けアップデートの一例としては申し分のないインパクトです。特に地下アジトのシーンはPS5向けアップデートの恩恵を最も感じられるシーンなので、ぜひチェックしてみていただきたいところです。

Firewall Zero Hour

開発を担当したFirst Contact Entertainmentいわく、PlayStation 4 Pro(PS4 Pro)の「スーパーサンプリングモード」使用時を上回る画面密度の向上、ロード時間短縮、グラフィック全般の強化を実現するアップデートであると事前に報じられていました。ただ、実際にプレイして確かめると、前述のライアン・マークスほどではないという印象でした。

確かに画面密度は向上し、遠方部分がハッキリ視認できるようになっています。光の表現がパワーアップしており、メニュー周りのテキストも高解像度で表示されるため、全体的にクッキリした印象を強く与えます。ただ、ライアン・マークスの地下アジトに象徴されるグラフィックの強化はあまり感じられず、先に同作から確かめてしまった影響もあって、それほど驚きは味わえませんでした。

しかし、ロード時間の短縮はPS4版をプレイした時との明確な違いを感じられたほか、視認性の向上はVRFPSである本作にとっては、目標を正確に捉えられる点で大きなメリットとなっています。よりスピーディに、そして相手の姿や動向を捉えられる環境下で戦ってみたい思いがあれば、一度は体験してみるだけの価値がある仕上がりなのは間違いありません。

現時点でPS5向けアップデート未実施の3タイトルの場合

以上2本に加えて、PS5向けのアップデートが実施されていない3タイトルをPS5でプレイした時の違いについても確かめてみました。

マーベルアイアンマン VR

広大な箱庭空間を滑空しながら戦闘する特徴もあって、ゲーム開始前に長いロードが挟まれるのが難点となっている本作。PS5では大体30~50秒程度でロードが完了するほど高速化し、すぐにゲームを始められるようになっています。完全にロード時間を無くすまでには及んでいませんが、テンポ良く本作を遊びたい時はPS5でのプレイが推奨されるでしょう。

また、ライアン・マークスの視認性向上を体験した後だと、本作も同様のアップデートが行われればさらに空を飛ぶ気持ちよさが増すのでは、との思いも抱きました。現状アップデートが実施されるかについては明らかになっていませんが、期待したい所です。

No Man’s Sky

ゲーム起動時に比較的長いロードが挟まれますが、PS5では少し早くなっている程度で、明確な進化を感じるほどではありませんでした。

また、VR部分も基本的にPS4版と大差ないため、グラフィックは粗め。正直な所、PS5ではなく、PS4で体験するだけで十分なように思ってしまいました。

むしろ、フレームレート向上とグラフィック全般の著しい強化が図られる非VRの通常パートの方が勝る印象です。PS5版であればさらにこの部分がパワーアップするとのことですが、話題の脱線が著しいため今回は省略します。

Wipeout Omega Collection

PS5のDualSenseコントローラーでも問題なくプレイ可能であると、「バイオハザード7 レジデント イービル」に並んで例に挙がっていた反重力レースゲーム。

実際に使えるのかどうか試してみたところ、問題なく遊べました。報道通り、DUAL SHOCK 4内臓のジャイロセンサーを使わず、方向キー、ボタンのパッド操作主体で遊ぶタイトルはDualSenseを代用コントローラーとして使えます。

ただし、PS5向けのアップデートがされたタイトルではないため、DualSense特有のハプティックフィードバックは動作せず。また決定とキャンセルボタンの配置はPS5準拠のものではなく、日本基準のままですので、若干混乱を招きやすい点には注意が必要です。

より鮮明な映像で楽しめるようになるのがPS5向けアップデートの特色

以上、5タイトルをPS5で遊んでみた簡単なレポートとなります。

総じて特に印象的だったのは、PS5向けアップデートが行われた「ライアン・マークス リベンジミッション」。遠方までくっきり鮮明に表示され、細かい表現まで映し出された映像と高フレームレートで遊べる点で、同作に関してはこれから遊ぶ人に対してPS5でのプレイをおすすめしたくなる驚きがありました。もうひとつの「Firewall Zero Hour」もロードの高速化、ライアン同様に遠方まで鮮明に見える形でプレイできる点では、PS5でのプレイがおすすめかも、と思える手応えを抱いた印象です。

残る3タイトルに関しても、事前の報道にあった幾つかの情報が事実であると確かめられた点では検証の意義があったと同時に、「マーベル アイアンマンVR」の対応アップデートが行われていない現状を惜しく感じた次第です。

PS5本体へのPSVR接続も特に煩わしさを感じた点はなし。整理されたホーム画面も使いやすく、概ねの感触としてはPS4の発展系になっています。ただ、今なお物議を醸している決定が×ボタン、キャンセルが○ボタンで統一される点は賛否が分かれそうです。「ライアン・マークス リベンジミッション」のようにPS5向けアップデートで元の仕様が逆転するのも、統一のためとはいえ少々困惑するものがありました。

執筆時点でPS5向けのアップデートが実施されているのは「ライアン・マークス リベンジミッション」、「Firewall Zero Hour」の2本のみで、続く3本目に関しては未だ登場していません。

今後、どのPSVR向けタイトルが鮮明な映像と高いフレームレートで遊べるようになるのか。そしてこれから先発売されるPSVRタイトルには「ライアン・マークス リベンジミッション」のように、PS5専用の仕掛けを備えることが標準となるのか。今後の展開が注目されるばかりです。


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