フェイスブック(Oculus)が一体型VRヘッドセット「Oculus Quest(以下Quest)」で実現を試みている「アリーナスケール」のVR。この「アリーナスケール」を、正式実装よりも先に現実のものとしたVRゲームのデモ動画が公開されました。動画では、複数のプレイヤーがQuestだけを使用し、広い空間を歩き回ってVRゲームを体験しています。
「アリーナスケール」は、フェイスブックが2019年の開発者会議Oculus Connect 5で紹介した概念です。部屋サイズの空間を自由に動き回れる「ルームスケール」よりさらに広い、体育館やアリーナのような場所でのVRを実現します。ただし2019年5月時点では実装されておらず、フェイスブックは実装時期を「数年以内」としています。
オフィスを自由に動き回りプレイ
YouTubeでアリーナスケールVRのデモ動画「Oculus Quest ‘Shared Space’ Demo」を公開したのは、VR/ARソフトを手がける米国・テキサスのスタートアップThrust Vectorです。二人のプレイヤーがQuestを装着し、同時に同じVR空間を共有しながらゲームを進めている様子が確認できます。
二名はVR体験施設として知られる「The VOID」や「Dreamscape」で体験できるフリーロームのVR体験と同じように、現実の空間を歩き回り、VRコンテンツ内でもそれに合わせて移動しています。Thrust Vectorの説明によれば、このフリーロームVRの空間は同社のオフィススペースに合うように設計されており、障害物にぶつかる心配なく動けるとのこと。動画でも、プレイヤーが机や荷物の並ぶオフィス内をスムーズに移動する様子が確認できます。
二名がプレイしているゲームは宇宙空間を舞台にしたSFシューティングアクション。ロボットの案内でスペースシャトル内を進み、レーザーガンを使って押し寄せるドローンを撃ち落としていきます。
Questの可能性を示す、画期的事例か
動画の内容はシンプルですが、このプロトタイプは、Questの持つ“制限のないゲームプレイ”の可能性を示した画期的な例と言えます。通常のVR体験施設であれば、まず装置や設備に多額の費用がかかります。さらにプレイヤーは重量のあるバックパックPCを背負って体験するケースが大半です。しかしこのデモ動画では、それをワイヤレスの一体型VRヘッドセットOculus Questだけで実現しているのです。
また、興味深い点として、同じ空間にいる複数のデバイスが同時にトラッキングされています。インサイドアウト方式のQuestでは、外部センサーなしで自由に空間を移動することが可能になりますが、このデモのように同じ・広い空間にいる別々のデバイスをそれぞれトラッキングすることは別の話になるでしょう。
最大6名まで同時プレイ可能
今回のプロジェクトを通じて、Thurst Vectorは“QuestがフリーロームVRにおける、真のゲームチェンジャーである”ことを示したと言えます。デモ動画でのプレイヤーは2名だけですが、同社は2~6名のプレイヤーが同時にゲームを体験できるとしています。
同社はこのVRコンテンツの正式リリースを、2019年夏に予定しています。
(参考)VRScout
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