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VTuber 2020.04.04

駆け引き? 戦争? 四皇会議? にじさんじARKサーバー出来事まとめ

2020年2月より開設され、多数のライバーが参加している「ARK: Survival Evolved にじさんじサーバー」。開設以来、様々なドラマが起こり、壮大な歴史が紡がれている。しかし、あまりにも目まぐるしく状況が変わるため、全体の流れを把握するのは難しい。そこで、今回はARKサーバーでの出来事を、象徴的な事件を切り取りつつ振り返ってみよう。

1.黎明期 世界を開拓するライバーたち

VTuber内でのARKブームは、ホロライブでのARKサーバー設立からはじまった。勢いに追随するかたちで、にじさんじARKサーバーを開設したのは本間ひまわり。彼女はかつて総プレイ時間8000時間を超えるARKプレイヤーだったのである。

開設後、本間ひまわりと共にラトナ・プティがにじさんじARKサーバーを初訪問。続いて、夜見れな・椎名唯華など多数のライバーが降り立ち、思い思いに無人島恐竜ライフを楽しみはじめた。

もともとARKは「Minecraft」のような建築要素と、「MONSTER HUNTER」のような巨大な恐竜との戦いを組み合わせたゲームである。そのため必然、ゲーム配信も長時間化していく。中でも、ラトナ・プティ、叶、シェリン・バーガンディ、渋谷ハジメの配信アーカイブは膨大に積み重なっていった。

ここで注目したいのはシェリン・バーガンディのプレイである。彼は無人島に出現する様々な恐竜に少年心を刺激され、すっかりゲームの虜になっていた。初配信ではTEK(機械化された見た目の)ステゴザウルスと邂逅し、長い時間の末に捕獲成功し、ファンと喜びを分かち合う。「ゲーミングザウルス」という名前をつけて可愛がろうとしていたのだ。

しかし翌日、テリジノサウルスとの戦いによってゲーミングザウルスは死んでしまう。しばらく深い悲しみに暮れていたが、手をさしのべたラトナ・プティや渋谷ハジメの励ましもあって敵討ちを敢行する。

この頃から、サーバー内では、ライバー同士の協力プレイが流行しはじめる。シェリンは、本間ひまわりと同盟関係を結んだり、夜見れなとプテラノドンを捕獲したりと、友好関係を着々と結んでいった。

そしてシェリンは「頭文字S」というトライブ(集団)を結成。郡道美玲ルイス・キャミー魔使マオが続々加入することに。2月12~13日頃には自身の拠点を完成させる過程で、竜胆尊、星川サラ、イブラヒムらとも交流するようになる。

同時期に、夜見れな、天宮こころ、椎名唯華、花畑チャイカ、神田笑一、シェリン・バーガンディ、鷹宮リオン、郡道美玲らが海上に拠点を建築する大型コラボを開催。これをきっかけに、「頭文字S」は後に「ヨルミナティ」と呼ばれる夜見れなのトライブへと吸収された。

その後も、耐久配信洞窟探検と、ライバーと積極的に交流する彼の姿に多くのファンが引き付けられたことは間違いない。シェリンはライバー同士の結束を強くさせた立役者の一人と言ってよいだろう。

2.文明の萌芽 発達と政治的駆け引きへ

加賀美ハヤト、社築、花畑チャイカは初上陸時から共に行動し、恐竜たちを目にして小学生のように興奮していた。

事の発端は悲劇だった。配信ではTEKステゴザウルスを見つけ「ゾイドだ!」とはしゃいでいた一同だったが、終了直前にアルファ(敵性恐竜)によって全滅させられる。加賀美ハヤトらはその悲しみと憎しみを胸にトライブ「アルファスレイヤーズ」を結成することに。

2月20日、参謀役として夢追翔がアルファスレイヤーズに合流、拠点を建設する運びとなった。しかし問題が発生。開発をするのに必要な水が拠点の近くになかったのである。ARKでは水を地上へと引き上げるための導管を作成できる。ただし、肝心の水源は「コーヴァス帝国」(イブラヒム、メリッサ・キンレンカ、フレン・E・ルスタリオのメイフ3人で活動するトライブ)の拠点を挟んだポイントにあったのだ。

https://www.youtube.com/watch?v=4sl20xbaTcY

このままではアルファスレイヤーズ拠点内に水を引けない。そこで、土地の一部通行許可と引き換えに水源を利用できるよう「コーヴァス帝国」に交渉を持ち込んだ。

この条件提示に頭の冴えを見せたのが「コーヴァス帝国」のイブラヒム。彼は「アルファスレイヤーズ」の置かれた状況をすぐに見抜き、「こういうやりとりで引き下がってはいけない、俺は商人。」と宣言し、加賀美ハヤトとの交渉に挑むこととなった。

アルファスレイヤーズ側は攻撃態勢を組み立てつつ牽制を続け、結果として無事にコーヴァス帝国と同盟を締結することに成功。ライバー同士が資源を巡ってお互いを牽制し合うという緊張状態に視聴者は息を呑む展開の連続であった。この出来事以降、にじさんじ内で出来上がったグループごとに政治的なやりとりが見え隠れするようになる。

3.トライブ戦争の時代へ 四皇会議開催

ARKがいよいよ盛況になりはじめると、初期から文明を発達させてきたライバーが頭角を現すようになった。特に本間ひまわり、夜見れな、叶、渋谷ハジメの4名は別格の扱いとなり、彼らはいつしか「四皇」と呼称されるようになった。

本間ひまわりはラトナ・プティと共にサーバー開設時から順調に拠点を拡張。一方、夜見れなは毎日配信の中で拠点拡充と恐竜の捕獲を続けていた。叶は単独行動にもかかわらず初期から鉄器文明を発達させ、渋谷ハジメは海上要塞ほか武装開発の研究を進めていた。勢力が拡大していくにつれ、ライバー同士でもプロレスを仕掛けるようなパフォーマンスが見られるようになり、3月6日、火蓋は切って落とされた。

遂に最大勢力の4名によって、にじさんじARKサーバー内における対人戦闘(PvP)のルールが制定され、実質「トライブ間での戦争」が許諾されたのだ。歴史に名高い「四皇会議」である。

ルールは上記のツイートのように制定された。ただし戦争に対する4名の態度はそれぞれで違った。本間ひまわりはグループ間の戦争には中立の立場を宣言。叶は戦争自体に消極的だという態度を表明。一方、渋谷ハジメは戦争には消極的と発言しつつも「手を出されれば準備はある」と周囲を牽制。夜見れなは積極的に交戦を仕掛けていくと話し、今後の展開は誰にも読めない状態となっていた。

4.戦争に向けて動き出す歯車

一方その頃、アルファスレイヤーズが四皇会議に乗じてシェリン・バーガンディ(オフライン)の誘拐を画策・実行した。

シェリン・バーガンディは多くのライバーからARKプレイヤーとして慕われており、四皇会議の中でも「永久中立地帯」として手を出さないように宣言されていた。彼を誘拐したアルファスレイヤーズは四皇に資源を要求。さらに夜見れなの誘拐に成功し、本間ひまわりから大量の資源を引き出したのである。

この一連の誘拐事件から、夜見れなはアルファスレイヤーズに対して宣戦布告を前提とした交渉を要求。同時にトライブ名を「ヨルミナティ」に決定し、「すべてのトライブを夜見れなのもとに統一する」という目的を掲げた。

またヨルミナティによるアルファスレイヤーズへの交渉中、天宮こころが何者かによって誘拐される事件が発生する。これが夜見れなの逆鱗に触れ、正式に宣戦布告を表明。両陣営による戦争が決定した。(ちなみに、勝手に誘拐した犯人は花畑チャイカだった)。

アルファスレイヤーズは即座に行動を開始。コーヴァス帝国・イブラヒムにシェリン・バーガンディの誘拐の責任をを被せようとして決闘を行い、勝利。アルファスレイヤーズキングダム(以下ASK)を結成する。

実は四皇会議の直前、ASKはと取引をしており、ASKは叶に対して「他の四皇(夜見れな、渋谷ハジメ)との戦争」を条件に、叶のトライブ「猟友会」が戦闘する際、人員をASKから補充するという協力関係を築いていたのである。

イブラヒム、叶と同盟を組んだ加賀美ハヤトは、続いて渋谷ハジメとの交渉に動く。渋谷ハジメより秘密兵器(重武装パラケラテリウム)を購入し、「ASK勝利のあかつきには《渋谷コーポレーション》の武装を宣伝する」ことを快諾した。

この時点で、ASKはより資源提供、渋谷ハジメより武装提供、イブラヒムと同盟関係を持つこととなった。

一方、夜見れなもから資源提供を受けていたことから、加賀美ハヤトはこれが四皇の代理戦争であると考えを巡らせていた。

その後、ASKは、戦争を望むベルモンド・バンデラスや渋谷ハジメ傘下にいたエクス・アルビオを引き込む。これによって渋谷ハジメとASKが同盟を組み「αUNION(アルファユニオン)」の結成と相成ったのである。相次ぐ裏工作と取引に、ARKにじさんじサーバー全体が緊迫した雰囲気となったのは言うまでもない。

この時点での両陣営の整理をしておこう。

①ヨルミナティ (リーダー:夜見れな)

メンバーは天宮こころ、緑仙、鷹宮リオン、椎名唯華、魔使マオ、奈羅花、神田笑一。葛葉は傭兵として派遣され、支援者としてラトナ・プティが物資支援を、叶が建築支援を行っていた。

②αUNION (リーダー:加賀美ハヤト)

メンバーは夢追翔、社築、花畑チャイカ、ベルモンド・バンデラス、イブラヒム、フレン・E・ルスタリオ、エクス・アルビオ。直前にアルス・アルマルが加入した。支援者として叶が物資支援、渋谷ハジメが装備支援とエクス・アルビオの派遣を行った。

以降、この二大勢力の争いが激化していくことになる。

5.ラトナ・プティ、葛葉の動向

実は、この戦争の裏でもうひとつの動きが起きていた。ヨルミナティが四皇・本間ひまわりと接触していたのだ。「ぷぅとひま(本間ひまわりの所属するトライブ)」のラトナ・プティを資源提供役として、さらにソロで活動していた葛葉を傭兵役としてヨルミナティ派へ迎え入れることを提案する。この交渉に懐疑的だった緑仙に対し、ラトナ・プティと葛葉がヨルミナティを裏切った場合、本間ひまわりがヨルミナティに下ることで交渉を成立させた。

その後「もしラトナ・プティが裏切ったら?」とのコメントに対し、本間ひまわりは「仲が良い以上、更地にするまで潰す」と発言。一方のラトナ・プティは葛葉に対して「四皇の座を取らないか?」と持ちかけており、これが後の第二次トライブ戦争のトリガーになる。

6.第一次にじさんじARK大戦、開戦

3月23日22時、「第一次にじさんじARK大戦」が開幕

両陣営、お互いのフラッグ(ベッド)を破壊した方が勝ち、という勝利条件が設定された。

戦況は当初、ヨルミナティ側に傾いていた。斥候となった葛葉がαUNIONを急襲し、加賀美ハヤトを狙撃する。これに対し、加賀美ハヤトは「全軍前進によるヨルミナティ拠点の制圧」を決行した。

上空では、エクス・アルビオと夜見れなによる制空権争いが発生。夜見れなが撃ち落とされるも、神田笑一によるロケットランチャーでエクス・アルビオがキルされ、彼の乗っていたケツァルストームに乗り込んだ夜見れなが自爆。相打ちとなった。

ヨルミナティ拠点では迷子のフレン・E・ルスタリオが乗り捨てたギガノトサウルスによって強襲を受けていた。奈羅花による狙撃の苦労むなしく、本隊の主力恐竜たちが制圧され、拠点は無力化してしまう。

上空から偵察に赴きヨルミナティ拠点を発見した社築。毒に侵されながらの決死の連絡によって判明した座標へ、加賀美ハヤトが乗り込む。これを察知した夜見れなはアルゲンタヴィス部隊で迎え撃つが、加賀美は夜見を巻き込んで自爆する。

同時にイブラヒム率いる《千鳥部隊》(ディモルフォドン部隊)が突撃、ヨルミナティのアルゲンタヴィス部隊を殲滅するも、鷹宮リオン・椎名唯華の乗るパラケラテリウム《要塞ヨルミナティ》2頭によって壊滅。

リスポーンした加賀美ハヤトがロケットランチャーを鉄壁のヨルミナティ拠点に打ち込むが、葛葉・天宮こころの狙撃によって妨害される。

αUNIONとヨルミナティの総力戦となったヨルミナティ拠点戦。拠点内部では緑仙が修復に駆け回り、外部ではアルス・アルマルがロケットランチャーで外壁と支柱の破壊を進めていた。そこに偶然ロケットランチャーを拾った花畑チャイカが登場し、露出した拠点床下から攻撃、ベッドをすべて破壊し、終戦を迎えた。

新しい秩序と、次の戦争へ

第一次にじさんじARK大戦は加賀美ハヤト率いるαUNIONが勝利を収めた。αUNIONは損害の著しいヨルミナティに対して大量の資源を要求する。

それを見かねた「猟友会」総長・叶がヨルミナティへの資源支援を申し出る。これを快諾した夜見れなは、同時に猟友会として叶の軍門に下ることを決定。また大戦で活躍した緑仙、奈羅花、魔使マオも猟友会へ参加することに。ログイン率と個人の闘志が高いとのこと。

その一方でαUNIONは「ジュラシックワールド」、渋谷ハジメ、「コーヴァス帝国」と正式に同盟し、「ジュラシック・α・コーヴァスキングダム(通称JαCK)」を結成する。だが先の大戦で叶との締約「叶(猟友会)以外の支援を受けないこと」を反故にしたことから、その責任として叶より宣戦布告を受けた。

さらに、葛葉とラトナ・プティは本間ひまわりから離反。しかし、これを見越していたかのように本間ひまわりは猟友会への参加を表明。「ぷぅとひま」「ChroNoir」が解散し、「Lagusafamily」「猟友会」として袂を分かった。「Lagusa Family」は叶・本間ひまわりに対して「四皇を取る」と宣戦布告し、その足で渋谷ハジメに対しても宣戦布告。

Lagusa Family改め「AlleXceed Familia(略称AXF)」はその後、アルス・アルマルや不破湊、三枝明那に加え、桜凛月、ルイス・キャミー、グウェル・オス・ガール、天宮こころなどをトライブに参入させ、戦力を拡充させていく。(グウェル・オス・ガールは後に既婚者であることを理由に戦争を辞退)

こうして、ヨルミナティの敗北に続いて「四皇」のバランスが崩れ、にじさんじARKサーバーの勢力は叶・本間ひまわり・夜見れなの「猟友会」、ラトナ・プティと葛葉の「AXF」、渋谷ハジメ・加賀美ハヤト・イブラヒムの「JαCK」「三国」へと移り変わった。

こういった動向から、にじさんじARK大戦については加賀美ハヤト、ラトナ・プティ、本間ひまわりに注目するのが良いだろう。
また、この大戦は本間ひまわりによって10分程度の動画にまとめられ、概観が出来る。

7.戦争を取り囲むライバーたち

もちろん上記で描かれたような戦争と策謀は、視聴者に向けて分かりやすく紹介されていたことも見逃せない。時々刻々と変化する陣営の速報を、でび山でび男がキャスターを務める「にじARKニュース」が伝えてくれている。様々なゲストへのインタビューも行われている。さらに、第一次大戦直前には、有識者を集めた大討論会も放送された。

グウェル・オス・ガールは、建築物の高度限界に達している「ピースタワー」や、倒すと6倍の規模に増築される「ラブタワー」を建設し、サーバーの恒久的平和を祈っている。また、大戦時も実況を行っていた。

混戦の様相のARKで、次は何が起こる?

今回一連の戦争について、かいつまんで紹介してきたが、戦争だけがにじさんじARKのイベントではない。ARK内の強ボス「ブルードマザー」攻略のため、約20人のライバーがトライブ関係無く結集、討伐に参加するという、普段からのライバーの仲の良さもうかがえるイベントもあった。

またこあくまん(夢月ロアと魔界ノりりむ)が戦争を体験するために、渋谷ハジメを講師として現況の把握と簡単な操作の講習を受ける一幕も。今後の活躍が期待される。

その他、騒ぎ役として竜胆尊率いる「和太鼓倶楽部」や、レヴィ・エリファによる捕獲作戦、そして「永世中立地帯」シェリン・バーガンディも変わらずARKを堪能しており、のびのびと活動するにじさんじライバーの様子も見られる。

どのライバーの配信を視聴するかによって、ARKで起こった出来事の見え方は大きく異なってくる。全てを追うのは難しいだろうが、ライバーそれぞれの活躍を追っていくだけでも十分に楽しめるはずだ。

執筆:Aikawa Hasma (Twitter:@arg_Aikawa_)


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