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VR体験施設 2024.05.14

個人VTuberでもVICONに手が届く!「MyDearestモーキャプスタジオ」レンタルサービスを体験してみた 3DライブやMV収録に活用できる

クロノスシリーズや「Brazen Blaze」などのVRゲームを手掛けるMyDearest株式会社が、モーションキャプチャースタジオの一般向けレンタルを行っているのをご存じでしょうか。昨年7月から開始したサービスで、今年3月にはオンラインでモーションキャプチャーができる「リモートモーキャプ」の提供もスタートしました。

VICON(※)カメラ24台を備え、高精度のモーションキャプチャーが可能なMyDearestモーキャプスタジオ。ゲーム開発だけでなく、昨今のVTuber人気からもモーキャプスタジオの需要は高まっています。実績ある企業のスタジオ設備を利用できるとあらば、気になる方も多いのではないでしょうか。

(※VICON:光学式三次元動作分析装置。ゲームの3Dキャラクターのモーション収録などに活用される。大手VTuberグループの「にじさんじ」や「ホロライブ」なども3D配信時に活用している)

今回、MoguLive編集部は「MyDearestモーキャプスタジオ」に潜入!取材を担当するのはVTuberのおむらいす食堂です。個人勢VTuberとして、普段は自宅にてフルトラッキングを活用した動画撮影を行っています。モーションキャプチャースタジオの利用経験はほとんどなく、人生で2度目となります。

現役の個人勢VTuberならではの視点から、「MyDearestモーキャプスタジオ」の体験レポートをお届けします!

モーキャプスタジオってどんなところ?

さっそく都内某所の「MyDearestモーキャプスタジオ」にやってきました。 プライバシーの観点から、モーキャプスタジオの住所詳細は非公開になっています。タレントやVTuberも安心して利用が可能です。

「MyDearestモーキャプスタジオ」では、モーションキャプチャーを活用したライブ配信・アニメーション撮影ができます。ゲームやアニメに使用する3Dモーションの撮影はもちろん、VSingerのダンス・MV撮影にも利用されています。グリーンバックの設備も充実しており、VTuber以外のタレントのライブ配信や撮影も行っているそうです。

モーキャプと言えばこれ! スーツに身を包んで体験開始

「モーキャプスタジオ」と聞いて思い浮かべるのは……そう! モーションキャプチャースーツですよね。

今回のメインとなるのは、スーツに身を包んでの体験レポートです。モーションキャプチャーを実践しつつ、撮影の様子や体験をお伝えします。



ということで、ある程度のメタさは許してください
(※実際はキャップも被っています)

いざモーキャプ体験! 準備~撮影までの流れ

モーションキャプチャースーツを着用しての撮影・配信には、準備が必要です。自前の3Dモデルを使用しての動画撮影やライブ配信を行う場合は、事前にVRMデータやFBXデータ(※VTuberやアバターの3Dモデルデータ)を送ります。当日の準備時間は1時間程度。スーツ着用後のキャリブレーションやマイクの音響チェックも含めると、撮影開始の1時間半ほど前にスタジオ入りすると余裕を持てそうです。



着替えスペースには鍵付きロッカーもあり安心

「なんでそんなに時間がかかるのか?」といえば、やはりモーションキャプチャースーツに理由があります。スーツに装着するマーカーの数は、なんと約60個。そのひとつひとつを体に合わせて付けていく必要があります。自宅での撮影だと、フルトラでも着用するトラッカーは3〜5個程度。比較すると、数の差は歴然です。それだけ多くのマーカーを付けて行うからこそ、高精度のモーションキャプチャーが実現するというわけです。


スーツに装着するマーカー

激しい動きもどんと来い! ハイクオリティのモーキャプに大興奮

準備が完了すると、撮影スタートです。目の前にあるモニターでモデルの動きをリアルタイムでチェックしながら撮影・配信を行うことができます。


モニター内のアバターとシンクロする動き

実際に動いてみると、モーションキャプチャーの精度にびっくり……! リアルタイムで自分の動きがモデルに反映されていく様子は感動の一言に尽きます。自宅では難しい「走り回る」「飛び跳ねる」「寝転がる」といった動きはもちろん、素早い動きもほとんど遅延なくキャプチャーできます。これが、24台のVICONがなせる技……!

今回の取材では、モデル側の映像だけでなく、演者側の映像も同時に収録いただきました。2つの映像を見比べると、より一層モーションキャプチャーの精度の高さが感じられるはずです。

激しい動きでも、リアルタイムで体の動きがそのままモデルに反映されている

モーキャプの精度は映像でご確認いただくとして、スタジオならではのメリットといえば、やはり「広さ」です。5.5m四方の広いキャプチャーエリアでは、最大4人までの撮影が可能とのこと。天井高は2.9mあり、長物を振り回すこともできます。

「できない動きはないのでは」というほどに高精度なモーキャプの一方で、今回のレンタルサービスの場合、「指」と「表情」だけは制約があります。「指」については、親指・人差し指・小指の3点にマーカーが付いています。マーカーのない中指・薬指についてはトラッキングがされないため、「ピース」や細かい指の動作はモデルに反映されません。ただし、将来的には、5本全ての動きを撮れるようになるとのことでした。

「表情」については、取材時にはノーマル顔のみ・口パクなしでした。もともと、VRゲームのモーション制作を主軸としたスタジオでもあることから、撮影のメインとなるのは体の動きです。なお、担当者の方は、表情操作~口パクの導入についても近々対応予定と話されていました。


指のマーカーは親指・人差し指・小指の3点

あらゆるシーンを想定した充実のスタジオ設備

体験以外にもお伝えしたいのは、スタジオの設備について。慣れないスタジオでのパフォーマンスとなると、どんな環境なのかが気になるポイントです。MyDearestモーキャプスタジオでは、VRゲーム開発での経験から、細やかな気遣いが感じられる設備も多く見られました。

まず、スタジオの室内について。機材の都合から、スタジオ内は年間を通して20℃に保たれています。季節や利用時間によっては「肌寒いのでは?」と心配になる方もいるでしょう。そのためスタジオには、スーツを着用する演者の為にベンチコートの用意があります。



控え時間も安心のトレンチコート

そして、モーションキャプチャー時に使えるアイテムも発見! 人の動きだけでなく、剣などの動きをキャプチャーできる長物もありました。また、アクションシーンでは地面を転がるなどの激しい動きも想定されます。そういった場面でも演者がダメージを負わないよう、マットも完備されています。


撮影の幅が広がるアイテムの数々

スーツを着ての撮影は、想像以上に体力を使うもの。大切な休憩時間に活躍するのは、メッシュチェアです。スーツの通気性を考慮したメッシュ生地ということで、座っていても蒸れにくいのが嬉しいですね!



反射がトラッキングに影響しないよう、時計はガラス面が外される配慮も!

個人勢VTuberに朗報! 業界最安を目指すMyDearestの意気込み

担当者は「業界最安かつ利用者の様々な要望に応えたい」と語ります。「他のスタジオで断られた内容でも、まずは相談してほしい」という言葉からも、幅広い需要に応えようとする姿勢が感じられました。

特に今回の取材は、スタジオの案内〜撮影に至るまでスタッフによる丁寧なサポートがあってこその内容でした。取材当日、音声収録のための急なマイク準備にも臨機応変にご対応いただきました。VTuber需要にも関心が高く、フェイストラッキングの要望にも真摯に耳を傾けて下さったのも印象に残っています。

これまで、モーキャプスタジオは「企業が所有するもの」として、一般には利用できないイメージがありました。それが今回の取材を通じて、個人勢VTuberでも手が届く場所としてより身近な存在に感じられました。

サイトに記載のプラン以外の内容でも、「モーキャプスタジオでこんなことやってみたい!」という要望・相談は歓迎だそう。興味はあるものの一歩が踏み出せない! という初めてモーキャプに挑戦する方こそ、MyDearestモーキャプスタジオの利用を検討してみてはいかがでしょうか!

「MyDearestモーキャプスタジオ」公式サイトはこちら


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