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ゲーム・アプリ 2021.01.30

「Microsoft Flight Simulator」は”究極”の空の旅を楽しめるVRゲームだった

2020年にマイクロソフトが販売した、“ド級”フライトシミュレーター「Microsoft Flight Simulator」が同年12月、VRに対応しました。

本作は、BINGの衛星データや航空写真などから作成された、超広大なマップ(文字通り地球規模の)を、航空機で自由気ままに飛び回れるという作品。旅行どころか空港に行くのも難しいこのご時世にリリースされたのは、まさに運命的。

筆者は割とインドア派ですが、さすがにそろそろ出かけたい欲がウズウズ…。というワケで、「Oculus Link」で繋いだOculus Quest 2を着用し、“ひとっ飛び”してきた顛末を報告します。

飛行機操縦の難易度は”ホンモノ”レベル!

早速、メインのゲームモードである「WORLD MAP」(自由に飛行できるモード)をプレイ。レビューの“撮れ高”が欲しかった筆者は、「とりあえず景色のスクリーンショットを撮っておくか」と、気軽な気持ちで遊び始めたのですが、これが大きな間違いでした…。

飛ぶのがめちゃくちゃ難しい…!! 離陸はブレーキ解除から始まるのですが、この時点で、すでにオロオロ。なんとか解除して加速・上昇していくと、機首の向きが急すぎたらしく、アラートが鳴りまくり。それが落ち着いたと思ったら、どういうことか「機体がクラッシュしました」といった表示が現れる始末。

機体に過負荷がかかったのが原因だったみたいです(?)。何度かリトライするも、理由が分からずギブアップ。これまでの筆者の飛行歴は「エースコンバット」シリーズを数作品たしなんだ程度だったので、“シミュレーター”という言葉の意味を甘く捉えていたかもしれません…。

仕方なく、操作アシストを「全開(ALL ASSISTS)」に設定し、素直にチュートリアル講習を受けることに。

チュートリアルは、複数のパートに分割されており、基本的な飛ばし方から離着陸、滑走路へのアプローチなどを学べます。計器(高度計、タコメーター、速度計など)の読み方も教えてくれて、本物の講習を受けているようです。


(メニュー画面では航空機を眺めて楽しめます)

ひとつ問題なのは、教官のセリフが、字幕含めて全編英語であること。慣れない操作を行いながら聞くことになるので、言ってることもなかなか頭に入ってきません…。

筆者は感覚でなんとか乗り切れましたが、もし厳しい場合は、ポーズを挟みながら、内容をかみ砕きつつ進めていくのをオススメします。VRと非VRモードはいつでも切り替え可能なので、練習の間は非VRでプレイするのも良いかもしれません(デフォルトでは“CTRL”+“TAB”でスイッチできます)。


(非VRモードでの撮影。機器の動きを一通り覚えて、ようやく脱・初心者といったところ)

見渡す限りの大絶景

セスナの操縦を一通りマスターした後「WORLD MAP」にカムバック。その後のフライトは中々に上手くいきました。

何気なく選択したJFK空港が、吹雪状態で閉口するハプニングはあったものの、気候設定を調整(好きな天気への変更のほか、実世界の天候への同期も可能)した後は、快適にテイクオフ。基本的な飛ばし方もバッチリ習得したので、前回のような“終了”は起こりませんでした。

やろうと思えばマップの好きな場所からリスポーンも可能。東京都心やニューヨークの上空に、いきなり出現できます。


(スカイツリー周辺を遊覧飛行できました)

飛行機で飛んでいると、写真や映画などで見慣れた名所も、いつもとは違った視点で見られます。これがシンプルにおもしろい! 現実だと、ランドマークや市街地に飛行機が突っ込んできたら大騒ぎですが、ゲームなら気兼ねなく遊覧できます。

アシスタントに頼りながらも、スムーズに飛んでいると自分の実力が上がっているのが分かり、確かな達成感を感じました。機体に関してはセスナから大型ジェット機までバリエーション豊か。VRモード的にはコックピットからの視界が広く、まったりと遊覧できるプロペラ機が一番良いと思います。

着陸のスコアを競う「Landing Challenge」といったモードもあるので、腕に覚えのある人は挑戦してみてください。


(VRモードでも、3人称視点に切り替え可能。)

また日本とアメリカに関してはマップのディテールが向上する公式アップデート(無料)も配信されています。ゲーム内マーケットプレイズから導入しておくのがおすすめです(本記事では両方導入済)。


(マーケットプレイズでは、さまざまな拡張用のアドオンが配布されています)

自由に遊ぶためには高スペックPCが必要

VRゲームとしては、ずっとプレイしていても飽きないレベルの完成度です。ただし、ひとつだけ触れておくべき問題があります。それは、VRモード時のパフォーマンス問題です。

「Microsoft Flight Simulator」は、通常でも、快適に遊ぼうと思うと、それなりのマシンパフォーマンスが要求されるヘビー級タイトル。VRモードではディスプレイモード以上にPC性能が試されます


(自由の女神像。その背後にはマンハッタンの街並みが広がっています。その分、動作は少し重めです)

筆者のPCスペックは「GeForce RTX 2070」「Core i7-9750H」にメモリ32GBという構成でした。この環境でのVRモードでは、グラフィック設定を低めにしても、軽い場所(街から遠く離れた森林地帯など)で40FPS。ニューヨークなどの高負荷地帯では15~25FPSがやっとでした。

グリグリと頭部を動かす作品ではないので、VRFPSほど影響は出ませんが、それでもカクツキが生じるのは事実。公式フォーラムを見てみると、ハイエンド構成であってもFPSに悩んでいる投稿がチラホラ。快適なゲームプレイのためにも、ここは早めに解決してほしいところです。

総評:間違いなく体験する価値あり!


(フランス西海岸のモンサンミッシェル。ユネスコの世界遺産です)

「Microsoft Flight Simulator」のVRモードは、高めのスペックのPCが要求されるものの、間違いなく体験する価値のある作品です。筆者は同ジャンルにあまり詳しくない身であるものの、フライト系ゲームの1つの到達点であると感じました。これを超えるゲームは、同ジャンルでは今後しばらくは出てこないでしょう。

スペックを抑えたそれなりの設定でもグラフィックは十分に美しく、調べた観光地の周辺を飛び回っているだけでもかなり楽しめます。旅行が趣味な人は、行ったことのある国やロケーションを巡ってみるのも面白いはず。ちなみにマルチプレイヤーにも対応しています。


(遠くからでも富士山の姿ははっきりと見えました)

注意ですが、本作のゲームファイルは、サイズが約100GB(ゲーム初起動時に別途DL)となっており、よほど高速な回線と契約していない限り、ワクワク感MAXで1度目の起動をした直後、インストールバーを真顔で眺める時間が待っています。個人的には、寝る前や外出前などにインストールを始めておくのを推奨したいところ。筆者も文字通り“一晩寝かせて”から、プレイを開始しました。

また日本語化MODが有志の手によって作成されています。導入は自己責任ですが、チェックしてみるのも一つの手。正式な日本語対応も2021年2月に行われるそうです。

「Microsoft Flight Simulator」はSteamとMicrosoft Storeで販売中です。ぜひ”究極”の空の旅を体験してみましょう、

ソフトウェア概要

タイトル

Microsoft Flight Simulator

開発元

Asobo Studio

パブリッシャー

Xbox Game Studios

対応VRヘッドセット

Oculus Rift、Oculus Quest(Oculus Link使用)、HTC VIVE、VALVE INDEX、HP Reverb G2など

価格(スタンダード版/税込)

7,452円(Steam)、7,450円(Microsoft Store

公式サイト

https://www.xbox.com/ja-JP/games/microsoft-flight-simulator

執筆:井文


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