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イベント情報 2016.03.02

新型VRHMD LG 360 VRの海外メディアによる体験レポート

2月22日から25日まで、スペインのバルセロナにてMobile World Congress 2016(MWC2016)が行われました。そのMWC2016の中で、ひとつの新しいHMDが披露されました。韓国のLGエレクトロニクスが開発したスマホ向けHMD「LG 360 VR」です。

LG  360 VR

LG 360 VRは、ハコスコやGear VRなどの既に発売されているスマホ向けHMDとは異なり、スマートフォンをHMDに装着しません。LGの最新型スマホG5をUSBケーブルで接続して使いますが、スマホはあくまで処理や操作用です。ディスプレイは本体に最初から搭載されています。

MWC2016にて体験できたLG 360 VRについて、Road to VRのライターのスコット氏がレポートをしているので、元記事を引用しつつ、LG 360 VR を紹介していきます。

良い点

LG 360 VRは、2つのスクリーンを搭載しており、Snapdragon 820 プロセッサーを備えているLGの最新スマホ、LG G5に接続して使います。Scott氏は、「LG 360 VRは新しい種類のVRHMDである」とした上で、その特徴を述べています。

彼はまず、「軽いので、長時間装着していることができる」ことを挙げています。実際、LGの公式サイトによると、LG 360 VRの重量は118g。他のHMDのほとんどが300g台なので、およそ三分の一の重さとなっています。(参考:Oculus Riftは380g程度、Gear VRは310g。)

また、メガネのように掛けるだけで使用できるため、バンドなどの頭部固定を必要としないのも特徴的です。

次に「たためるので、小さなリュックサックのポケットにもしまえる」点にも触れています。形状のスリムさに加えて、メガネでいう”つる”の部分をたたむこともできます。これによってカバンにも入るサイズとなり、持ち運びがとても簡単です。

悪い点

一方イマイチだった点です。Scottは自身の体験を「頭の動かすと、明らかに画像描写が乱れ、不快感がある」と報告しています。

「ほとんどのコンシューマーHMDでは、ディスプレイパネルの素材に有機ELを用いているが、LG 360 VR では液晶を使用している。有機ELは描写の遅延を軽減することができるが、液晶ではそうはいかない」と彼は説明を加えています。確かにOculus Riftの開発者版の第一弾であるDK1は液晶でしたが、有機ELが採用されたDK2以降のモデルと比べると遅延はかなり異なります。

また、視野角や画素数については、「液晶パネルの大きさは960 x 720(×2枚)。視野角は80度なので、狭くはあるがGear VRと同程度の画像描写」と述べています。
(参考:Gear VRは視野角96度で、2560 x 1440のディスプレイ一枚)

さらに展示されたデモでは、LG 360 VR 接続時のスマートフォンの扱いについても注意が必要だったようです。彼が報告した問題の概要をまとめると、次のようになります。

「LG 360 VRは本体内蔵の角度・加速度センサに加えて、USB接続されているスマホをタッチパッドとして使用する。そのためか、VR体験をしているとき、スマホは安置される必要があり、不用意に動かすとセンサーが反応してしまって見え方に影響が出る。これはVR酔いを引き起こす一因となる。

Scottはこのことについて、「もしも今回展示されたLG 360 VRが製品版なら、使用中はずっとG5(スマホ)を平らなところに置かなければならず、バスの中などでは快適な体験ができないだろう」とコメントしています。

また、LG 360 VR で両目の間の距離を調整することはできません。こうした点についてLGは今のところ今回展示されていたモデルが開発中のものか、製品版かを言はしていません。

その他

その他のポイントとして、彼はまず、コンテンツに言及しています。

「LG 360 VR は、Google Cardboardのアプリと360度動画に対応しており、体験できるコンテンツが既に大量にあるのは良いこと。一方で、Gear VR向けにOculus StoreがあるようにLG 360 VR 向けに作られたソフトが今後出てくるのか注視したい」

LG  360 VR

最後に、装着感について報告しています。

「外部の光が、側部や下側など、顔とHMDの隙間から簡単に入ってきて、レンズに反射する」

外部の光が入ってくることは、VR体験の没入感を低めてしまうものです。結局、顔に密着させたりしても「後でスタッフが照らす、緑のネオンの光の反射は防げなかった」そうです。

最後にScottは、「LG 360 VRはモバイルVR界にハイエンドなVR体験をもたらすだろうか?今回の展示では、そうは思えなかった」と言って締めくくっています。

(参考)
The Good, the Bad and the ‘Meh’ of LG 360 VR – Road to VR
http://www.roadtovr.com/good-bad-meh-lg-360-vr/

LG DEBUTS THE G5, ITS FIRST EVER MODULAR SMARTPHONE – LG Newsroom
http://www.lgnewsroom.com/2016/02/lg-debuts-the-g5-its-first-ever-modular-smartphone-2/

※アメリカのVR専門メディアRoad to VR、UploadVRはMogura VRとのパートナーシップを結んでいます。


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