Home » 期待のVR脱出アドベンチャー「Last Labyrinth」、開発スタッフ直撃インタビュー


ゲーム・アプリ 2019.11.12

期待のVR脱出アドベンチャー「Last Labyrinth」、開発スタッフ直撃インタビュー

2016年開催の「東京ゲームショウ」で初お披露目され、大きな注目を集めたあまた株式会社制作のVR専用アドベンチャーゲームLast Labyrinth(ラストラビリンス)。いよいよ11月13日より、PlayStation VR(PSVR)、Oculus RiftやRift S、HTC VIVE、Windows Mixed Realityヘッドセット、そしてOculus Quest向けにリリースされます。

このたび東京・新宿のあまた東京スタジオにて、製品版の体験と、プロデューサー兼ディレクターの高橋宏典氏およびリードアニメーターの福山敦子氏へのインタビューを行う機会を得られましたので、その模様をお伝えしてまいります。

「Last Labyrinth」とは

まず、改めて「Last Labyrinth」の紹介を。本作は「VR時代の新しいアドベンチャーゲーム」をコンセプトとした、VRならではの世界観とパズル(謎解き)、仮想キャラクターとのコミュニケーションが楽しめる脱出アドベンチャーゲームです。

ジャンル名が表す通り、プレイヤーの目的は館からの脱出。ですが、分身たる主人公は手首も含めた全身を拘束具で固定されて車椅子に座らされているため、身動きが取れません。唯一、自由に動かせるのは頭と指先。また、頭にはレーザーポインターが装着されていて、手に持った装置のスイッチを押すと作動。そのまま頭を動かせば、気になるものを指し示すことができます。

この動作を用い、謎の少女「カティア」に気になるものを調べてもらったり、仕掛けを動かしてもらいながら、行く手を阻む謎を解いていく形になります。ただ、単にポインターで示せばカティアがその通り行動してくれる訳ではありません。主に仕掛けを動かす時には「これを動かすの?」と、こちらの判断を仰ぐ仕草を見せます。

もし、そのまま動かして欲しい場合は頭(首)を縦に振って肯定。やめて欲しいのなら、頭を横に振って否定。いずれかの素振りをすることで、カティアがそれに沿った行動を取ってくれます。このようなやり取りも都度、行いながら、二人三脚で謎に挑んでいくのです。

ちなみにカティアは声を発してこちらに話かけてきますが、その言語は日本語でも英語でもない本作独自のもの。ゆえに言葉を交わすことは一切できず、頭とレーザーポインターの指示だけでコミュニケーションを取っていくことになります。さらに本作は一部を除き、文字による情報も排除。ストーリー周りも謎だらけです。

その特色は全体の構成にも。本編は謎を解き、次の部屋に繋がるドアを開錠しながら進めていくのですが、早々に館から外への脱出に成功します。「もうクリアか?」……と思いきや、少しすると視界が暗転してスタート地点に。なんと、また最初から謎解きに挑むことになるのです。しかも、その先には以前と同じようで、細かい部分が異なる部屋が。

いわゆるパラレルワールド(兼ループ)の構造になっているのです。そのため、何度も脱出を繰り返しては新たな謎に挑み、ストーリーを追っていくことになります。最終的に訪れるエンディングも複数あって、時に悲惨な結末を迎えることもあるとか。

このような特徴を持ち合わせた、独特な脱出アドベンチャーゲームに完成されています。ちなみに謎解きは手順を間違えれば、そのまま死(ゲームオーバー)へと一直線。主人公のみならず、カティアに壮絶な仕打ちが行われます

緊張感と不安に襲われ続ける戦慄の脱出体験!

その冷酷無情な設定が衝撃的すぎたのか、2019年開催の東京ゲームショウでは、体験された方から戸惑いの声が多く挙がっていました。かくいう筆者も当日、同行していた編集長から「怖いらしい」との話を聞き、「えっ、ホラーゲームなの!?」と心の中で身構えた次第です。

後日、別の機会で完成前のデモに(おっかなびっくりの心境で)触れることができ、そこで本作の一端を体験するに至ったのですが、いわゆる幽霊が飛び出してくる類のホラーゲームとは趣の異なる雰囲気でした。

ただ、手順を誤れば“ヤバいもの”が作動しそうという「目に見える恐怖」がある関係で緊張感・不安感共に抜群!ゆえにイタズラに周囲のものに触ったり、動かすのは止めよう、慎重になろうと体験した形でした。その心がけもあって、当時は無事に脱出……という名のループへの突入に成功。

今回の製品版の体験でも、その経緯から慎重プレイで臨みました。基本的に本作、プレイヤー側が何かをしない限り、危険が襲ってくることはありませんので、謎解きには安心して挑めます。「今、動かしたら絶対ヤバいことになる」と、あらかじめ危険を予期してくれる“サイン”もありますので、その手のものは比較的心中穏やかな気持ちで突破できました。

しかし、今回初体験の電車の謎解きにはそのサインがなく、仕掛けの構造も読み取れず長期戦に。周囲の“紐”、スイッチの置かれた台座の作りから、「これ、どう見ても以前、MoguLiveにもレポートが載ったアレだよな……?」と嫌な予感がしつつも、これでは埒が明かないからと、カティアにスイッチを押す指示を飛ばしました。結果は……案の定でした。やっぱり想像通り、件の台座はアレで“ザックリ”でした。あまりの容赦なさに、つい目を背けてしまったのは言うまでもありません。しかも、それで終わりと思っていたら実は……という展開にもなりまして……これ以上はお察しください。

その後再トライしましたが、結局、仕組みが分からずギブアップ。プロデューサーの高橋氏からアドバイスをいただき、答えを知りましたが、それを見て「さっき、失敗した時の様子を見ておくんだった」と後悔。仕掛けがどう動くかがちゃんと映っていたのです。結局、筆者は残酷な光景に気を取られ、その様子から目を背けてたがため、要らぬ苦戦をしたのでした……。

なので、製品版を体験する方には例え最悪の結末を迎えても、仕掛けの動きから目を離さないように……と、忠告を送らせていただきます。また、改めて壮絶な結末を見て思ったのが、こんな事態を迎えるなら、迂闊な行動は自重したくなる、ということ。

何せ、手順の誤りが一切の慈悲もなく最悪の結果へと繋がり、カティアも残酷な仕打ちを受けるのです。経験する度に使命感が強まります。実際に長時間体験できる試遊会では、多くのプレイヤーが長考するようになっていく様子が見て取れたようですが、それも納得と言わざるを得ません。同時に長考するからこそ、頭の体操にもなる。

ある種、脳を鍛えるゲームとして挑んでみるのも一興かもしれません。判断力を鍛えるトレーニングにもいい印象です。

また、基本的に主人公は設定の関係で身動きが取れず、頭と手しか動かせない関係で視点が激しく動くことも少なく、VR特有の酔いに襲われる心配はほぼ皆無。
終始、座ったままという点で、この遊び方を推奨するPlayStation VRとの親和性は抜群です。その点から見ると、同ヘッドセットの方向性と制約を巧みに活かした作品が誕生した、と言ってもいいかもしれません。

発売直前インタビュー:高橋宏典氏、福山敦子氏

製品版の体験は、本作の登場キャラクターのひとり「ファントム」が登場するイベントが展開されたところで終了。その後、プロデューサー兼ディレクターの高橋氏、リードアニメーターの福山氏に本作に関するお話を伺いました。

――いよいよ発売直前ですが、現在の心境はいかがでしょうか。

高橋宏典氏(以下、高橋氏):

今はもう、プロモーションモード全開ですね。本作のプロデューサーとして、頑張ってできるだけ多くの方に本作のことを知っていただき、一人でも多く手に取って遊んで欲しいと思って、色んな活動をしています。

福山敦子氏(以下、福山氏):

皆さんの手元に届いた時、ガッカリされなかったらいいな、カティアが受け入れられたらいいなとドキドキしています。イベントで体験されたユーザーさんからはいい意見をいただいたりしていますが、製品版が発売されてもっと広く行き渡った時、ガッカリする意見が出てくるかもしれない……ということで、まだ喜ばないようにと自分を律してます(笑)。

高橋氏:

先日、公式でリリースを出しましたが、Microsoft Storeのみ少しずれた日になる形です。他は予定通りですが、プラットフォームごと時差がありますので、日本時間で日付が変わって間もなく遊べるとはなりません。けど、13日中にはちゃんと出ます……と、そこは念を入れてお伝えしておきます(笑)。

――2016年の東京ゲームショウでお披露目されてから3年が経ちましたが、あの時から製品版で変わった箇所はあったのでしょうか。

高橋氏:

あれは東京ゲームショウだけに出したプロトタイプだったのですが、レーザーでポイントして女の子と共同で謎解きに挑む、という基本のゲームデザインはできていました。福山もその頃から制作には参加していましたが、カティアの動作は少なめで、声も少し発する程度で、製品版ほど沢山喋ったりもしませんでしたね。

今回の製品版としての正式なプロジェクトが始まったのは去年の春ぐらいのことでして。そこから改めてチーム編成を行って、プログラムからキャラクターモデル、アニメーションに至るまで、プロトタイプから全て作り直しています。

福山氏:

プロトタイプの時は手伝いみたいな感じでした。ただ、「久しぶりに女の子のアニメーションを付けられる!」と思っていて。前に担当した「ICO(イコ)」のヨルダから結構時間が経っていたのもあって、久しぶりに腕を振るいましたね。

製品版におけるカティアのデザインはプロトタイプの時から変わっていませんが、モデルは完全にリニューアルしています。最初はアニメーションテイストが強い……絵画っぽい雰囲気があったのですけど、本制作に移るに当たって、もう少し色んな表現ができたらいいなと思いまして、今の形になりました。

――カティアの声は「METAL GEAR SOLID V」で女性狙撃手クワイエットを演じられていたステファニー・ヨーステンさんが担当されていますが、どのような経緯から起用に至ったのでしょうか。

高橋氏:

実は私の弟の繋がりで……というと身も蓋もないですが(笑)、まず、コミュニケーションやディスコミュニケーションを題材にしたいというのがありました。ただ、言葉を交わすコミュニケーションは私自身、過去に「どこでもいっしょ」シリーズでやっていまして。今回、VRというデバイスを活かしてコミュニケーションを改めて描きたいと思った時、非言語コミュニケーションだと面白いものが描けるのではと考え、どこかの国の言語でその話者の人とのコミュニケーションが成立しないよう、ゲームデザインの側から独自言語で喋らせる形となりました。製品版のプロジェクトが始動した頃にも、ちゃんと喋らせようという構想がありました。

それで声優さんを起用することになりましたが……たまにアニメであったりしますけど、例えば日本の声優さんがドイツ語を読んだりすると、日本人っぽさが出てしまいますよね。「日本人がドイツ語を片仮名のように読んでいるぞ」と。それだと日本人なら聞いた瞬間に分かってしまいますので、あまりそういう日本語にない音の成分が入っているのがいいなと思い、海外の方にお願いできないかなとなりました。それで私の弟の繋がりで4~5年前にヨーステンさんとお会いしまして。その時に透明感のあるたたずまいがあるなと感じ、しかもモデルに歌手、声優までやられているので、できれば歌もフィーチャーしたいと思い、打診して見た結果、乗り気で引き受けてくれました。
ただ、こんなに叫び声とか、息切れするとは思っていなかったかもしれません(笑)。

――トラップに巻き込まれた時はまさにそんな感じですね(笑)。謎解きは手順を誤ると、そのままゲームオーバーへ一直線というシビアな設定になっていますが、これはどのような経緯から決まったのでしょうか。

高橋氏:

納得感のある、分かりやすいゲームオーバーができないかと考えていた時に決まったものです。本作は脱出アドベンチャーということで謎を解いていくのがメインとなりますが、プレイ時間が長くなるほか、区切りやクリアが曖昧になってしまう所がありまして。リアル脱出ゲームが分かりやすいですが、ゲームオーバーって基本、時間切れなんですよね。何分までにここのゲートを通過していないと失敗、という具合に。システムとしては分かるんですけど、デジタルのゲームでそれが納得感あるかと言われると言いがたい感じで、もっと分かりやすいゲームオーバーが無いかと考えていたんです。それで「ミスしたら死ねばいいんじゃん!」……と思ったら、色んな所の問題が解決しまして(笑)。それがプロトタイプの頃からありましたね。

――死に様は東京ゲームショウを始め、デモを体験された方々からも語り草になってますね。やはりカティア絡みの見所としてはこちらになるのでしょうか。

福山氏:

見て欲しいな、という気持ちはすごくあります(笑)。けど、他の移動しているカティアも可愛いものになっていますので、そちらも重ねてご覧いただければと!

――ちなみに死に様を描く際、福山さんとしては良心が痛むみたいなことはなかったのでしょうか(笑)。

福山氏:

なかったです(きっぱり)。作っている側としてはカティアは女優さんなので、いかにユーザーが悲惨な気持ちになってくれるかという所に気持ちを込めました。チーム内でもそのシーンを見るたび、色んな反応があってそれが面白かったので……語弊があるかもしれませんが(笑)、どのように感じてくれるのかが楽しみですね。

高橋氏:

制作中には「死に様アイディアだしシート」なんてのをGoogleスプレッドシートに作ったりしましたね。そこにチームメンバーが寄ってたかって、こんな死に方ありじゃないとか、それはもう色々と……。
部屋ごとの謎解きを考える際にも先に死に様があってそこから仕掛けの方を考えたり、逆にパズルの方から死に様を考えたり、バラバラに考えたものを合体させてみたりなど、様々な案が出ましたね。

――ネタ出しの際にリアル脱出ゲームのリサーチは行われたりしたのでしょうか。

高橋氏:

私は少し行きましたが、チームメンバー全体で行ったことはなかったです。理由としてはリアル脱出とこちらのゲームが違いますので、そのままだと参考にはならないなと。今回、言葉がないという縛りを設けましたので、数値、アルファベット、記号などを用いた種類の多いそちらは直接参考にならないかな、と。自分たち独自のものを考えていこう、という感じでしたね。

それに主人公は拘束されていて、カティアにお任せすることになりますので、なおのこと既存のものが当てはまらなくて。彼女をどう活かし、いかに可愛く見えるかもポイントですから、企画側からも結構配慮がありましたね。

――となると、難易度の設定や調整周りでも気を配った形に……?

高橋氏:

そもそも難易度が事実上、ないんですよね。詰まるときは詰まる感じです。

また、本作は一般的なゲームとはやや違った作りをしていまして。普通は同じ仕組みを使って難易度を設定していくんです。アクションゲームを例にすると、箱を押すというのがあったら、その次は箱を押してその上に乗っかると言った応用の流れですね。本作はそういうのが凄く少ないんです。謎解きの全てが新作で、毎回、新しい何かが出てくるんです。なので、前回の経験がほとんど役立ちません。

VRって、不思議とネタを使い回したり、応用を入れるとガッカリされやすいようなんです。VRでゲームを遊ぶユーザーは、新しい体験をどんどんしたいというマインドが強い傾向にあるとのことでして。なので、先に行く度に新しいものが出てくる構成にしようとなりまして、その手のネタがほとんどありません。ただ、その影響でモーションを作っているメンバーの作業負担が大きくて。折角作ったモーションも、ひとつの部屋で使ってそのまま終わっちゃうんです。

福山氏:

木箱を押す動作とかは最初の方に作ったんですけど、あまり使われなくて……。

高橋氏:

なので、福山からは度々クレームがありました(笑)。

――本当にお疲れ様です……!モーションに関しては、カティアの雰囲気も相まって、「ICO」の印象を抱く方も多いですよね。

高橋氏:

ただ、皆さんリリカルなものを想像されている気がして、体験したら相当なショックを受けるんではないのかと……。アニメーションを作っている人は同じですけど、あまり意識はしていないですね。

福山氏:

唯一、あるとしたらウロウロする動きは私自身がICO、ワンダ(ワンダと巨像)から影響を受けているので出ていますね。ただ、作っている側としてはあまり意識しませんでした。けど、首を振る動作はヨルダもカティアもほぼ一緒ですね。
あと、肘をかくことだけは絶対にさせないと心がけました!(笑)本当は肘を気にしているだけなんですが!かいていませんよ!(力説)

高橋氏:

(笑)。あと、海外でも同様のことは言われるんですが、「クロックタワー」の名を挙げる方もいらっしゃいますね。クロックタワーは私個人としても影響を受けてます。あと最近、アメリカのPlayStationのYouTubeチャンネルでトレーラーを出してもらったんですが、そこにPS2の古いホラーゲームのテイストが出てていいね、というコメントがありまして。正直、褒められているのか、貶されているのかよく分からない心境です(笑)。確かにPS2時代の人間が作っているから、そういう雰囲気が出ているのかもしれませんけどね……。

――最終的に製品版が出来上がっての手応えはいかがでしょうか。

高橋氏:

これまでにない体験が得られるゲームにできたかな、と思っています。特にノーヒントで進めていますと、脳味噌の普段使っていない所を酷使するせいで、チリチリした感じになるんです。
理由は幾つかあって、普通のモニターで遊ぶゲームの謎解きだと結局、メモをしちゃったり、ちょっと詰まったら攻略Wikiを見てしまうと思うのですが、本作はVRの空間内に没入している関係でいずれもできないんですよね。メモなんて、筆記具もなければ主人公は全身を拘束されていますから。そういう便利な道具に頼ってしまっていることを感じられ、考えさせられるゲームにできた手応えを感じてます。元から意図したものなので、便利さに頼ってしまっている自分自身というのを感じ、考えてもらえれば嬉しいですね。

あと、カティアの可愛さ……健気さですね。いわゆるツンデレキャラみたいな、言葉遣いでキャラクターを立てるという手法がないので、動きを通して彼女の雰囲気が伝わっていくように仕上がったと感じてます。福山がこだわった部分でもありますね。

福山氏:

去年の春から1年半ほどで、よくここまで盛り込めたなと思っています。特にカティアの可愛さは十二分に出しました。ただ、それを評価するのはユーザーの皆さんですので、ドキドキですね。

動きに関しては猫が寄って来てくれたり、自由に歩いている雰囲気が個人的な理想なんです。猫は喋りませんけど、コミュニケーションは取れますよね。猫に限らず、動物はほとんどそうですが、ああいう感じを沢山詰め込めたと思っています。制作の時もよく、猫のYouTube動画とかを見ていましたし(笑)、この東京スタジオの近辺は野良猫が結構いて、買い物に行く時にも猫が自由に歩いていて、しなやかさや愛くるしさをいい感じに醸し出すんです。あのようにできないのかなと、色々思ったことがカティアの動きに反映されていますので、楽しんでいただければと思います。

高橋氏:

VRだとゲームをプレイというよりも、体験するという感じなんですよね。モニターで遊ぶのとは違い、自分自身がその世界にいる、カティアと一緒に館からの脱出を体験したという気持ちになりやすくて。本作ではエンディングが複数あるのですが、どのエンディングも体験の延長線上にあって、この世界の中でこう動いた結果、その結末を迎えたというものになっています。どういう意味かも言葉で説明されないので、映像を見てプレイヤーごとにこういう意味なのかと想像してもらう形になります。なので、人によってはハッピーエンドと思えば、バッドエンドと感じたりもしますし、カティアにどれだけ気持ちを入れられるかでも印象が変わります。その体験の次第で変わる解釈も注目いただければと。発売後には賛否両論(否寄り)を呼ぶかもしれませんが……。

――今後もVRには積極的に取り組んでいく形でしょうか。

高橋氏:

VRのポテンシャルは凄くあると言いますか、特にキャラクターとのコミュニケーションには可能性がまだあると思っています。チャンスがあったら挑戦してみたいですね。そのためにも、ラストラビリンスが大ヒットしてくれればと(笑)。
実際、これまでのゲームの文脈では伝えにくい作品だと思っていますので、既に先行体験されている方もいるのですが、VTuberさんやYouTuberさんの口コミによる広がりがあるといいな、と期待しています。

――最後に、本作に期待している方へのメッセージをお願いいたします。

高橋氏:

ぜひ、買ってください!緊張感からくる怖さと不安はありますけど、その先にこのゲームでしか体験できないカティアとのコミュニケーション、その関係性を深めていく体験が詰まっていますので、VRをお持ちの方はもちろん、VRをお持ちでない方もVR機器を買ってでも体験いただければと思います。それだけの価値があるものになっていると自負しています。

福山氏:

「今日もカティアに会いたいな」という感じでVRを被って、会いに行きたくなるような、そんな風にユーザーの方々が遊んでくれると嬉しいです。被らないと感じられないことが結構多いゲームにもなっていますので、それがうまく伝わったらいいなと。持っていない人にも伝わってくれると嬉しいです。

――ありがとうございました!


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード