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Windows MR 2019.12.30

片目2Kの実力は? Windows MR「HP Reverb」ハンズオンレビュー

日本HPより発売された「HP Reverb」は、現行VRヘッドセットの中でも上位に位置する片目2160×2160の2K高解像度が特長の、Windows Mixed Reality(Windows MR)ヘッドセットです。

今回、こちらのHP Reverbをお借りし、その実力を体験する機会を得ました。本記事では開封・セットアップからゲームプレイまでのハンズオンレビューをお送りいたします。

内容物確認

まずは外箱から。箱はかなり大きいです。平べったいものの、容積そのものはVIVEの箱と大差ないように思います。

こちらが内容物。本体、コントローラー2基、接続用ケーブル、DisplayPort to Mini DisplayPort変換ケーブルが1本。インサイドアウト方式だけあり、内容物はシンプルにまとまっています。

こちらが本体。ヘッドホン一体型で、マジックテープ式のストラップで頭部に固定します。

後頭部は非ダイヤルロック式。PC本体へつなぐケーブルと、3.5mmオーディオジャックが付随しています。今回は検証しませんでしたが、ヘッドホン部は取り外し可能なので、任意のヘッドホン等へ換装可能とのことです。

可動域はこのくらいです。

こちらはコントローラー。Windows MRの標準コントローラーです。

いわゆるスティック型ですが、各スティック、トリガーボタンなどは、どことなくOculus Touchライクです。

セットアップ

それではセットアップに移りましょう。とはいえ、インサイドアウト方式なので、基本的にはPCと結線するだけでOKです。

本体に要求されるのはDisplayPortとUSB 3.0。DisplayPortは、付属の変換ケーブルを使えばMini DisplayPortでもOKです。今回はMini DisplayPortにて動作させました。また、コントローラーはPC本体とBluetooth接続するため、PC側でBluetoothが利用できるかは要確認です。

デバイスが認識されれば、あとはWindows MR共通のセットアップ手順を実行すればOKです。

全体を通してみれば、セットアップは比較的簡単。手順もソフトウェアが提示してくれるので、迷うことはあまりないでしょう。

実際に動かしてみる

セットアップも完了したところで、いざ装着。
上記の通りマジックテープにてベルト固定を行うため、比較的しっかりと装着できます。フェイスマスクの装着感は普通ですが、密着感は強め。ノーズ部を除けば、外部光はほぼ遮断されます。

装着してまず最初に感じるのは「軽さ」でした。ものすごく軽い!
それもそのはずで、HP Reverbの本体重量は0.43kg。ここまでの軽さは、VRヘッドセットとしてはかなり破格です。
この軽さのおかげで、頭部や首への負担も少なく、1時間ほど着用してもまったく疲れを感じませんでした。

さらに、長時間装着して動きまわっても、装着部がほとんど蒸れませんでした。これはおそらく、ゴーグル部に設けられた、細かい通気孔によるものでしょう。VRで遊び倒した後の、目の周りが汗だくになるあの感じがない、というのはかなり大きなメリットだと感じました。一方で、ゴーグル内部のスペースはやや狭く、眼鏡をかけながら装着するのは、あまりおススメできないかもしれません。

では画質はどうかといえば、非常に良好です。片目で2160×2160(リフレッシュレート 90Hz)の2K高解像度は伊達ではなく、鮮明で、いわゆる“網目”ことスクリーンドア効果もほとんど見当たりません。肉眼に近い映像が広がります。個人の体感ですが、視界の美しさはVIVE CosmosやVALVE INDEXにも匹敵すると感じました。

……というように、ひとまず装着してVR空間を眺める上では、快適そのものでした。デフォルトのホーム画面「Mixed Realityポータル」も360度カメラやWebVRなどのコンテンツに接続できるため、これだけでも十分に楽しめそうです。Windowsベースなので、ブラウザ(Edge)やSkypeもデフォルトでここから起動できるのは、Windows MRの特長と言えるでしょう。

では、VRのメインコンテンツであるVRゲーム・アプリにおいてはどうでしょうか。今回は3つのゲームやアプリで遊んでみます。ちなみにVR対応タイトルはMicrosoft Storeからも入手できますが、うれしいことに「Windows Mixed Reality for SteamVR」を導入すれば、SteamVRタイトルも自由に遊ぶことができます。

theBlu

まずは定番のVR鑑賞アプリtheBluから。シーンも定番の「Whale Encounter」をチョイスしました。

高解像度のReverbとの相性はバツグンです。近景遠景ともに、非常に鮮明な光景が眼前に広がります。本体も軽いのであたりを見回しても疲れず、このアプリから得られる体験としては間違いなく最高クラスです。

ソード・オブ・ガルガンチュア

続いてVR剣戟アクション「ソード・オブ・ガルガンチュア」をプレイ。画質はもちろん、コントローラーを用いた「握る」「振る」「構える」といった複合操作が関わるゲームへの適性を確認してみました。

まず、本作で操作する上でのトラッキングは問題ありませんでした。剣を振り、盾を構える、といった動作は違和感なく行えます。一方で、スティック型とOculus Touchの中間のようなデザインのコントローラーは、人差し指と中指がボタンに割り当てられて浮くため、「強く握る」には若干不向きと感じました。ただし、ボタン感度は良好だったためか、「つかむ」操作はやりやすかったです。投げナイフがものすごく投げやすかったのが印象的です。

Beat Saber

そして、VRゲームの代表作「Beat Saber」もプレイ。とにかく激しい動作が求められるため、トラッキング感度が求められるゲームでもあります。

ある程度プレイしてみたところ、Normalくらいなら問題なく追いつきますが、Extreme以上になるとトラッキングが外れて空振り……ということがたまに起こりました。似たような現象は他のインサイドアウト方式のデバイスでもたまに起こるので、Reverb固有の問題ではないとは思います。とはいえ、非常に激しい動きには対応しきれない可能性については留意するべきかもしれません。

お値段以上のパフォーマンスを見せてくれる一台

総じて、片目2Kの高画質に、十分な操作性、そして軽くて蒸れにくい快適なつけ心地が備わっており、Windows MRヘッドセットとしては非常に高いレベルでまとまっていました。

「Reverb」はコンシューマーエディションとプロフェッショナルエディションが展開されており、今回体験したのはプロフェッショナルエディションです。

価格はコンシューマーエディションが通常価格で54,800円(税抜)。執筆時現在の直販サイトでのキャンペーン価格は49,800円(税抜)とOculus Rift Sと同価格です。プロフェッショナルエディションは価格は63,500円(税抜)で販売されています。

各エディションによる違いは、顔に接する部分の素材がクッションがコンシューマ版ではクッション素材、プロフェッショナル版では交換可能な合皮素材を採用しています。また、プロフェッショナル版はオプションアイテムの販売予定があります。なお、コンシューマ版はショートケーブルが同梱されていません。

アプリについても、SteamVRに対応しているため選択肢は十分にあります。デバイスの特性を鑑みると、「Tilt Brush」のようなクリエイティブツールなどを長時間使用したい、といった要望に対して、本機は特に応えてくれるでしょう。もちろんコンシューマー向けのゲームのみならず、様々なビジネスシーンにおいても、その快適な装着感ゆえに活躍できるはずです。

HP Reverbは、お値段以上のパフォーマンスを見せてくれる一台として、群雄割拠のVRヘッドセット戦国時代に名乗り出るだけの実力が備わっています。Windows MRヘッドセットもここまで進化を果たした、と言えるでしょう。

関連リンク
HP Reverb Virtual Reality Headset プロフェッショナルエディション製品詳細(日本HP)
HP Reverb Virtual Reality Headset コンシューマーエディション製品詳細(日本HP)
HP Reverb Virtual Reality Headset 販売ページ(Mogura VR Store)


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