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メタバース 2021.08.23

お手軽フルトラッキングデバイス 「HaritoraX」を体験! VRChatで試してみた

外部センサー不要で動作するトラッキングデバイス「Haritora」。当初は、開発者のizm氏を含む有志が手掛ける、いわば「インディーズデバイス」とも言えるデバイスでしたが、今年2月に株式会社Shiftallと後継機種「HaritoraX」の共同開発が発表され、5月に正式に製品として登場しました。

量産改良によって、性能は全体的にブラッシュアップ。それでいて、価格はHaritoraよりも安価な27,900円(税込)です。特に「VRChat」ユーザーの中には購入を検討されている方も多いのではないでしょうか?

本記事では、量産改良を果たし、大きく様変わりした「HaritoraX」の実力を、組み立てからレビューしていきます。

組み立てはかんたんで楽しい

まずは開封です。元祖と比べ、しっかりとした箱に収められた製品然としたデバイスになりました。


箱から取り出したものがこちら。メインユニット1つとサブユニット4つ、各ユニットを装着するベルトに、各種ケーブルが主な内容物です。これらを組み立てることで、自分だけの専用フルトラッキングスーツが完成します。

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公式オンラインマニュアルにしたがって組み立てていきましょう。メインユニットを固定用パットに装着します(この作業を行う前に、メインユニットの裏側にあるプロダクトコードを控えておきましょう)。


パット側のポケットにメインユニットのツメを差し入れて取り付けます。少しだけコツがいりますが、そこまで難しくはありません。



次にサブユニットを固定パットへ取り付けます。こちらはよりかんたんに取り付けることができました。

各ユニットと固定パットの合体が完了したら、次はベルトへの装着に移ります。



メインユニットからベルトをつけていきます。固定パットの裏はマジックテープとなっており、ベルトへの脱着はとても容易です。写真のように左端へ取り付けたら、さらにストラップを取り付けていきます。そこまで難しくはありませんが、正しい取り付け方向があるため、マニュアルを見ながら気をつけて取り付けを行いましょう(筆者は一度間違えました)。



サブユニットも同様にベルトへ装着し、さらにストラップをN字になるように取り付けていきます。

各ユニットとベルトの合体が終わったところで、ユニット同士を付属のLANケーブルで接続していきます。


接続が完了した状態。このとき、ケーブルが断線するのを防ぐため、最大まで引っ張った際にケーブルではなくストラップが張るような状態にするのがポイントです。


あとはケーブルを付属のクリップでストラップに固定していきます。

完成です! マニュアルと組み立て動画を見ながら組み立てた結果、パッケージ開封から1時間程度で組み立てが完了しました。手慣れている人であれば、30分くらいで組み上がりそうな印象です。

実際に装着してみた様子がこちら。ベルトは伸縮素材で、マジックテープで固定できるため、装着は非常にかんたんです。なお、安定動作のために、ベルトはそこそこキツめに巻く必要があります。

一通りの組み立て作業を終えた感想は、「ちょっとだけ時間はかかるが、とてもかんたんになった」でした。元祖のHaritoraは、ベルトやケーブル、さらにはメインユニットに装着するマイコンまでユーザーが自前で調達する必要があり、事前準備のハードルはかなり高いものでした。それと比較すれば、すべてが準備されたHaritoraXは、ただ組み立てていけばよいため、準備のハードルは劇的に下がっています。

組み立て工程の多さもほどほどで、「組み立てる楽しさ」として味わえるレベルです。製品化にともなって、大きく改善された点と言えるでしょう。

トラッキングの調整は動画を見ながら

さっそくHaritoraXを用いたフルトラッキングを体験してみましょう。初回設定のチュートリアル動画を見ながら、初期セットアップを実施します(ナレーションは、Avatar2.0 Project所属の巻乃もなかさんでした)。

基本的な流れは、専用ソフトウェア「Haritora Configurator」にしたがって進めていけばOKです。非常にわかりやすく、SteamVR設定も、HaritoraX本体とPCの接続も、キャリブレーションも、このソフトから一発で実行可能です。


(「HaritoraX初回設定チュートリアル」動画内より)

トラッキングは「Haritora Configurator」の画面上からも実行できますが、画面を介さない「クイックキャリブレーション」という方法も使用できます。これはコントローラーの片方のトリガーボタンを5~7回連続で入力すれば、即座にキャリブレーションを実行できるという機能です。手早くかんたんにできることはもちろん、「VRChat」などのアプリケーション起動中でも実行可能なのが特徴で、「ちょっとトラッキングずれたかな?」と思ったら即座に補正できるため、非常に便利です(※一部アプリケーションでは非対応)。

VRChatで使い心地を検証!

セットアップが完了したところで検証に移ります。今回の検証では、VRヘッドセットはOculus Quest 2を使用。さらにOculus Air Linkを用いて、PC版「VRChat」を無線ストリーミングするかたちで「完全ワイヤレスでフルトラッキング」が可能かどうか検証を行いました。

アバターは筆者が最近愛用している子(「Miroir -ミロワール-」の髪色と衣装の改変アバター)でいきます。

まずは軽く立った状態でバランスポーズ。両脚ともに自由に動きます!

そしてこんな感じで床にぺたんと座れます! なんなら寝転べます!

トラッキング性能は上々。基本的な可動範囲は元祖Haritoraと同じはずなのですが、デバイス本体の性能が向上したのか、それともベルトによる固定が安定しているためか、トラッキングの安定感がとても良好になっています。

その場で何度かジャンプしてもトラッキングが外れることはほぼなく、ちょっと違和感があるならその場でクイックキャリブレーションで補正可能。非常に使い勝手が良かったため、ついつい取材を忘れて自撮りをしてしまうほどでした……!

フルトラッキングデバイスの新定番!

元祖Haritoraは、インディーズデバイスということもあって「ハードルは高いが可能性がある」というものでした。そのHaritoraが商品化される形で開発されたHaritoraXは、もともとのポテンシャルをそのままに、組み立ての容易さと動作の安定感を実現しており、見事に正当進化を果たしています。

これだけの性能でありながら、バッテリー稼働時間は約10時間と長く、なにより27,900円(税込)というリーズナブルな価格がとても魅力的です。同じくリーズナブルなOculus Quest 2 128GBモデルが37,180円(税込)で、あわせて購入しても実に65,080円(※動作に必要なWindows PCは別個必要)。この価格でフルトラッキングが実現するのは、数年前まで考えられなかったことです。

運用面と価格面のハードルの低さは、デバイスの普及においてなにより重要です。その両方を実現しているHaritoraXは、フルトラッキングデバイスの新定番となる、といっても過言ではないかもしれません。

予約サイトはこちら。
https://ja.shiftall.net/archives/product_page/haritorax/

執筆:浅田カズラ


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