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VTuber 2021.09.30

弾き語り名手の水科葵、かわいいを武器にする長谷みこと GEMS COMPANYのメンバー2名に注目

正統派かつ最先端なスタイルのアイドルユニットとして活躍中のGEMS COMPANY。歌やダンスのクオリティの高さもさることながら、メンバーの個性が各方向に尖っているのが特徴だ。

個々にチャンネルがばらけているのは、GEMS COMPANYがかなり特殊なきっかけでスタートしているからだ。そもそもメンバーは、最初は自分だけの動画配信活動を行っていた。その面々がいつしか偶然の出会いを重ねるうちに、集まってできたのがGEMS COMPANY。全く交差しなかった彼女たちが一つになっていく様子を、当時のファンはいつ起きるかわからないハプニングに身構えつつ、固唾を呑んで見守った。前回の座談会でも話題になっている「0からわかるGEMSCOMPANY~結成編~」を見ると、赤の他人だったメンバーがどんどんつながっていく様子を見ることができる。この展開が全く新しいアイドルのドラマそのものだった。

今回はGEMS COMPANYの中から、いい意味でネット初のアイドルらしさがあり、個性のインパクトの強い2人、水科葵長谷みことを独断と偏見で紹介したい。「GEMS COMPANYの味の濃さ」を知るにはもってこいなふたりだ。

脱力と情熱、癒やしと笑いの弾き語り主・水科葵

2018年7月、突如としてあらわれた猫耳(にした髪型)の大阪弁少女、水科葵。映像はYouTuberの自撮り風。パーカーには「めざし」の文字。クールビューティーな見た目ではあるが、ものすごく撮影の空気はゆるく、声の脱力感が印象的。かと思いきや、その後にアップされた弾き語りで、彼女の魅力は一気に覚醒する。

キーボードに指が触れた途端、声がころっと変わり、ゆるさは払拭されて上手さがはっきりとわかる、力強い歌声に。普段とのギャップで驚かされるという加点を差し引いても、キーボード演奏はとてもハキハキしていて聴きやすく、声も腹から出ているのがよくわかる響きがある。この演奏で、彼女は一気に話題の存在になった。

水科葵は弾き語りで、演奏の失敗をそのまま見せた。これが画期的だった。

GEMS COMPANYのメンバーたちは自身をVTuber、バーチャルアイドル、などと言ったことはない。ただビジュアルとしては3DCGを活用した「バーチャル」と言っても差し支えはないだろう。2018年中頃はまだ「VTuber」の感覚は一般に浸透しておらず、どこまでがリアルでどこからがバーチャルか、視聴者側がはかりかねていた部分が少なからずあった。

水科葵の「失敗」によって「本人が頑張って生で演奏している」のが明示された。これによってリアルとバーチャルの壁は崩れ、目の前の女の子は実在し、血が通っているのだという感覚がしっかりと視聴者に伝わった。

キーボードを演奏するときに入る、爪の当たる音やグリッサンドのこする音もリアルだ。歌声は回を重ねるごとに迫力を増していくが、ノイズ的な部分は今も消しすぎないようにされており、演奏時の若々しさと生々しさはあえて残されたままで配信されている。

生配信では「○○縛り」としてテーマを決めて何曲か弾き語りを披露している。シティポップ、タイトルに東京がつく曲、昭和アイドルソング、official髭男dismなどかなりジャンルに幅があるので、まずはチャンネル一覧を見て、好みの弾き語り配信を聴いてみるのをおすすめしたい。大体どれも軽やかな水科葵テイストの演奏と歌い方でアレンジされているので、どこから聴いても彼女の音楽性がわかるはずだ。そしてどの回もゆるゆるトークを交えながら行っているので、毎回温度差を楽しむことができる。

最近の弾き語り配信では、メロディをつけたスパチャ読みをしていて最後まで飽きさせないエンタメ性も見せてくれている。

メンバー星菜日向夏によるスタッフへのアンケートで「GEMSで一番スタッフに気配りができるメンバー」として水科葵は堂々の1位に輝いた。誰に対しても気配りができ、業務連絡への返事が早く、もろもろ準備がしっかりしている、と大絶賛される優等生だ。

水科葵がしっかりもので気が利くのは、特にコラボを見ているとよくわかる。会話の中での配慮がうまく、相手をフォローしつつ自然にまとめる司会まわし的トーク術に長けている部分が多々見られる。

彼女のアイドルとして、またアーティストとしての実力が表現されたのが、ソロオリジナル曲「メロウ」のMVだ。作詞は水科葵本人によるもの。彼女の優しく温和な性格や、音楽で表現することの楽しい気持ちが、弾き語りのときに披露している歌唱力でしっかり表現されている。この曲を聴いてから改めて弾き語り配信を見ると、彼女が個人の配信で視聴者と共有したい思いがなんなのかが、改めて感じられるはずだ。

彼女の才能は曲作りにも出ている。この不安のある現在に向けて、希望と励ましを送る作品「いつもココニイル」は水科葵による作詞・作曲の作品。GEMS COMPANYが歌って動画をアップし、「公開曲『いつもココニイル』(以下本楽曲)を使用し、歌、コーラス、伴奏、ダンス、イラストなど自由に創作活動を行うことが可能です」として素材公開もしている。

アーティストとしての実力と音を楽しむ才能、そしてふんわりしたマイペースさをしっかり保って、水科葵はGEMS COMPANYのメンバーとして、1人のミュージシャンとして、軽やかに前に進み続けている。

姫感高めのいじりいじられインターネットガール・長谷みこと

キラキラお姫様っぽい黒髪ロングに、ガーリーキュートなファッションセンス。部屋はゴス感満載。心を射抜かれた人も多いであろう見た目でデビュー時から話題になっていた長谷みこと。最初の頃はおっとり清楚系ともコメントで噂(うわさ)されていた。
しかしGEMS COMPANY結成前に、とんでもない爆弾少女であることを自らさらけ出した。彼女の初期の尖りっぷりを知るには、デビューしばらくたってからアップされたこの一連の耐久動画シリーズが一番わかりやすいと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=eajyPs0VH40
https://www.youtube.com/watch?v=Gp6Y–u5kV8

この企画は罵り系が多く、全体的にドSスタイル。ただネタ感やかわいさもうまくバランスを保って見せているのが面白い。このあたりから長谷みことは、インターネット感覚に長けた、ファンをいじる人物としてグンと目立ちはじめた。

はにゃ~♡僕たちをすこれよう♡オタクくん」「フリルの下は闇世界?ジェムカンぶりっ子担当みこみここと長谷みことです❤︎など、彼女の概要欄は今でも大体、オタク文化及びインターネット慣れしている人間ならではの文章力を持っている。

座談会でも話題になっていたが、この言語センスを活かしまくった彼女のTwitterはテクニカルなので是非見てほしい。その他にも他人に「箱の中身はなんじゃろな!?」をやらせてそれを横で見守る、といった企画配信のように、長谷みことワールドは絶妙に斜めな切り口のネタが多めだ。

「こいつヤバイぞ」的な愛され方をしていた彼女。結成後はあっという間に彼女のキャラ性が定着。なんせ、いじりやすい。「いじり」キャラが逆に「いじられる」というプロレスになるのは、ある意味インターネットの流儀だ。ファンやスタッフを煽る長谷みことに対して、長谷みことをネタにしていじるファンやスタッフ、という構図ができた。

先程もあげた星菜日向夏の企画配信では、スタッフによる「GEMSで1番結婚できなさそうなメンバー」投票で不名誉な堂々の1位を獲得。「「結婚ってする意味あります?」とか言いそう。」と評されているあたりに、周囲の人からのいじられ度合い・愛され度合いが見える。

ただ「GEMSで一番スタッフに気配りができるメンバー」「GEMSで1番最初と印象が変わったメンバー」の2位にもそれぞれランクインしているのが興味深い。

彼女がパッと見で尖った部分が多く目立つのは、エンターテインメントすることを常に考えているからだ。「本質を色々捉えて考えているのに言ってない事が多い」というスタッフの評もある。いじりいじられつつ、ファンをどう盛り上げるかを考え続けている人物なのが、配信やコラボの端々で見ることができる。

長谷みこと自身が関係者に褒められるエピソードを読む、という幸福を一周して地獄めいた企画では、彼女が裏で周囲にどう見られているかがよくわかる。「表ではあまり努力していないように見せかけて、実は裏ではめちゃくちゃ努力してる!」というボーカルインストラクターの発言は、エンターテイナーとしての彼女の理念がよく出ているエピソードだ。

また「自分の可愛さをよくよく理解している」「自分の意見で自分なりの「かわいい」を貫いていてかっこいい」という発言は、彼女の持ち味を鋭く見抜いている。長谷みことは見た目も声も喋り方も動きも可愛い。それは自分の可愛さの賜物を研究してわかっているからこその、意識を伴った武器の使い方から来ているものだ。アイドルとしてこれは確実に強みになる。トリックスター的に破天荒なのも、もしかしたら……。

「賞味期限がバチバチに切れたドーナツをくれました」などのスタッフの暴露発言も。それはさすがにアウトでは?という、確実にネタにされる行動を見えないところでやってしまう彼女は、どこでもサービス精神旺盛だからなのかもしれないが、果たして?

かばんの中身を見る自身の企画で晒した彼女の持ち物は、カオス度満点。もずく酢やHDMIケーブルなど、本人も把握できていない持ち物がごちゃごちゃ。アンティーク風のノートブック型のかばんのセンスの良さから、長谷みことが「かわいい」にこだわりを持っているのがよくわかる。

なおこの企画配信は他のGEMS COMPANYメンバーの個性も非常によく出ており、長谷みことからみんながどう見えているかも語られており、わかりやすいのでおすすめだ。

そんな彼女が、ファンがほしかったかっこいいものを詰め込み、完璧なパフォーマンスで見せてくれたのがソロ曲「少女聖戦パラドクス」。長谷みこと本人が作詞に関わっている曲だ。戦う少女の姿を力強い歌声で表現し、ファンタジーのワクワク感が盛りだくさん。彼女が自身の美学を持ち続けた結果うまれた作品だ。

配信や動画やTwitterで見られる長谷みことワールドは、カオスながらも一貫したエンタメ性がある。「かわいい」を武器に彼女は、努力をこっそり隠しながらぐいぐい成長しているようだ。

なお「長谷みことかわいいフェスティバル」や水着全身撮影会では、際どすぎる水着衣装なども含め長谷みことの「かわいい」感がたっぷり味わえるので、会社の上司や先生にバレないように見てほしい。

今回紹介した水科葵と長谷みことはコラボで「Gimme×Gimme」のカバーMVを公開している。流暢なラップを披露し技術の幅を見せてくれた水科葵と、歌唱力が高まりより広がりのあるディーヴァ(歌姫)的な歌声になった長谷みことのコラボレーションは、ふたりのアイドルとしての歩んできた道がはっきり見えたものになった。

GEMS COMPANYになる前のふたりの最初の出会いは、楽器屋で弾き語りしていた水科葵を長谷みことが盗撮する、というこれまたふたりの性格がよく出ているものだった。出会いは偶然じゃなく、必然だったのかもしれない。

インターネットの申し子

今回紹介した水科葵、長谷みことと、星菜日向夏、赤羽ユキノのユニット「Http:」「ネットのかみさま」はネットの混沌さを楽しむ作品。桃井はるこによる作詞と、インターネットの歴史を表現したMVは、清濁合わせのんだネットの交流のごちゃっとした空気感と、そこから生まれる出会いを表現している。まさに4人の活動のノリにピッタリだ。今回紹介しきれなかったが、BLが好きな星菜日向夏摩訶不思議大好きな赤羽ユキノもかなりネット力の強いアイドルで面白いところだらけなので、興味があったら是非注目してほしい。

各々の個性を歪めること無く自由にチャンネルごとに広げ、それでいて集まるときにはぴしっとそろって高みを目指す、それがGEMS COMPANY。混沌としたネットのかみさまに導かれたゆえに生まれた、YouTube時代ならではの自由度のあるユニットだ。

ライブやMVでのそろい方が見事なので、一度はまったら全推しになりやすいアイドルユニットではあるが、チャンネルごとに空気は全く違うので、単推しもしやすいと思う。是非今回紹介したふたりをはじめ、グッと来るメンバーを見つけてみてほしい。

執筆:たまごまご

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