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ゲーム・アプリ 2019.03.30

ケーブルから解き放たれたプレイは一味違う Quest版「Beat Saber」ハンズオン


3月19日からサンフランシスコで開催されたGDCにて、Oculusは新型VRヘッドセットOculus Quest(以下、Quest)向けに人気ゲーム「Beat Saber(ビートセイバー)」がローンチタイトルとして登場することを発表しました。

Questは、2019年春に発売予定の一体型VRヘッドセットです。PCやスマートフォンを使わずに単体で動作しながらも、PC向けのVRヘッドセットのように動いたり手を動かしたりして没入感の高いVR体験が可能です。価格は399ドル(約44,000円)と安価で手軽に高品質なVR体験ができるデバイスとして期待が集まっています。

本記事ではQuest版「Beat Saber」のレビューをお送りします。

すぐに体験できる良さ

2018年5月の発売以来、人気を集めているVRリズムゲーム「Beat Saber」。青と赤の光る剣を持ち、こちらに向かってくるキューブをリズムに乗って斬っていきます。その爽快感とプレイしている様子の格好良さが多くの人を魅了し続けています。

すでにPC向けのHTC VIVE、Oculus Rift、Windows MRに対応しており、PlayStation VR(PSVR)にも対応している本作。手軽に持ち運べるQuestへの対応は、どこでもBeat Saberが遊べることを意味します。

ヘッドセットに内蔵されている耳元のスピーカーは音質がずば抜けていいわけではありません。しかし、VRヘッドセットを装着したあとにヘッドホンやイヤホンを装着する手間がなくなったことは感動に値します。「やろうと思った1秒後にはBeat Saberが起動できている」のです。一体型VRヘッドセットによるアクセスのしやすさが本領を発揮します。

一体型とは思えない出来の良さ

一体型のQuestでは、PCやPlayStationにつながるケーブルがありません。いざ体験してみると、ケーブルのない開放感は爽快そのもの。慣れてきていてもどうしても頭の片隅にケーブル残り続けていたことを実感します。

Beat Saberといえば激しく剣を動かすプレイが特長です。楽しむためにはコントローラーを激しく豪快に振っても、場所がずれることもない、そして遅延のない正確なトラッキングが不可欠です。

これまでHTC VIVEからPSVRまで各デバイス版を体験してきた筆者がプレイしてみたところ、そのプレイ感には驚かされたほど。HTC VIVEで体験したときのプレイ感に近いものでした。そのトラッキング精度はPSVR版以上に高く、範囲はWindows MR以上に広く安定しており、グラフィックはPSVR版よりPCVR版に近くクッキリとしていました。

Questが誇る広いハンドトラッキング範囲の恩恵を受けて、非常に安定してプレイが可能でした。一言で言うと、非常に出来がいい。Expertまでしかプレイできない程度の筆者ですが、Expertはほぼストレスなく曲をプレイできました。(※)

それもそのはず、Questのトラッキング精度をチェックするためにOculusのチームがBeat Saberを使っていたという話が明らかになっているほど。Beat Saberはベンチマークになっているのです。

※何曲かプレイしたときに1回だけ下方向のトラッキングが外れる事態が発生しました。GDCでは、Beat Saberを含め4タイトルを合計1時間半以上プレイしてトラッキングが外れたのはこの1回のみでした。Oculusによればソフトウェアの改善は続けており、精度は引き続き高めていくとのこと。

快進撃が続く予兆

グラフィックのクオリティに関して、QuestはPCと異なりモバイル向けのプロセッサが搭載されているため、圧倒的に非力です。PCで遊べるタイトルがどれくらいのプレイ感になるか不安でしたが、Beat Saberに関しては何ら物足りなさを感じませんでした。開発チームBeat Gamesでグラフィックを担当しているVladimír ‘Loki’ Hrinčár氏によれば、最適化は「チャレンジングだった」と苦労を滲ませつつも、「Beat Gamesの前身のスタジオではモバイルゲームを作っていたから、VRではないけれどUnityのゲームをモバイルに最適化するノウハウがあった」と力強い回答が返ってきました。

Questへの対応には快進撃を続けるBeat Gamesの面々も興奮気味。Vladimír ‘Loki’ Hrinčár氏は笑顔でこう語りました。

「もうBeat SaberをやってもらうためにPCを持っていったり、友達のPCに時間をかけてインストールしたりしなくていいんだ」

VRゲーム初のキラータイトルとの呼び声も出始めているBeat Saber。Questでも多くのユーザーが2本の光る剣を振り回すことは間違いないでしょう。


(GDCにて、GDC前に全世界100万本の売上達成も発表したばかりのBeat Gamesのメンバー。左からCEOのJaroslav Beck氏、共同創業者でグラフィック担当のVladimír ‘Loki’ Hrinčár氏、マーケティング担当のMichaela Dvorakova氏)


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