ValveとHTCが共同で開発しているHTC Viveは、最大5m×5mの空間での動きをトラッキングする独自システム「Lighthouse」が特徴的です。Oculus RiftやPlayStation VRと比べて圧倒的に広いその範囲は、VR空間内での自由な動きを実現してくれることでしょう。
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ただし、VR空間内で動き回れる技術ができたとしても、それをすぐに実装できるわけではありません。VRHMDを装着した人間が立っている部屋は、木造にしろ鉄筋にしろ物理的な壁に囲まれており、「人間が生身の体で移動できる範囲」が制限されているからです。VRの世界に夢中になるあまり、リアルの体が壁と衝突してしまっては危険です。
コンテンツ制作側もこの問題を解決すべく、試行錯誤が続いています。
今回紹介するのは、HTC Viveに対応するスパイFPSゲーム『Budget Cuts』です。開発しているのはスウェーデンのインディーゲームスタジオNeat Corporationです。
プレイヤーはテレポートのような技術で移動をしています。特殊な銃器によって、床などの目標地点に青い円を打ち込み投影すると、その地点での視界が拡大し、次の瞬間にはその位置に移動しているというわけです。テレポートにより、プレイヤーの生身の体は一歩も動くことなく、VR空間内を移動することができます。
テレポートによる移動は、Oculus Rift(Oculus Touch)向けの技術デモのFPS『Bullet Train』でも見られます。
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FPSをはじめとするVR空間での移動問題は、クリエイターたちを悩ませています。
特にFPSのような視点移動の激しいゲームでは、VR内の”足”で動き回ると、その激しさから重度のVR酔いを引き起こしてしまうのです。テレポートは、その解決方法のひとつです。
他にも、プレイヤーを常に乗り物に乗せることで、実際に動く範囲を制限するという手法もあります。(HTC Vive向け FPS「HOVER JUNKERS」)
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『Budget Cuts』 は現在、2016 Vision Summit にて発表される”Best Game” VR/AR部門のファイナリストとなっています。まだ開発中ということで、続報が待たれます。
対応するヘッドマウントディスプレイ、HTC Viveは2月29日から予約を開始、出荷を四月に予定しています。
(参考)
Budget Cuts’ Uses Portals to Solve Room-Scale Locomotion Problem – Road to VR (英語)
http://www.roadtovr.com/budget-cuts-uses-portals-solve-room-scale-locomotion-problem/
※アメリカのVR専門メディアRoad to VRはMogura VRとのパートナーシップを結んでいます。