Home » スター・ウォーズのVRコンテンツ制作に本腰を入れて挑むILMxLAB【Oculus Connect 2レポ】


イベント情報 2015.09.24

スター・ウォーズのVRコンテンツ制作に本腰を入れて挑むILMxLAB【Oculus Connect 2レポ】

9月23日から25日まで、ロサンゼルスではOculus VR社の公式イベントOculus Connect 2(OC2)が開催されています。
Mogura VRでは、現地にてOculus Connect 2の取材を行っています。

セッションでは、世界中の開発者による開発のノウハウ等が共有されています。
今回は、ILMxLABによるセッション「The Force of Virtual Realty」の様子をお伝えします。

ILMxLABは、『スター・ウォーズ』シリーズを手がけているルーカス・フィルムとILM(Industrial Light &Magic)、そしてスカイウォーカー・サウンドが設立したVRなどの新技術専門スタジオです。今回の講演は、このILMxLABに所属するRob Bredow氏が行いました。

image06

image04

Rob氏は、40年以上の歴史を持つILMが、これまで20年にわたってモーションキャプチャーなどを通じてVRに繋がる技術を映画製作に使ってきたことを紹介しました。

image01

モーションキャプチャーを使い、その動きにキャラクターを被せるバーチャルな制作手法は現在も使われています。

image05

そして、氏が属するアドバンスド・デベロップメント・グループでは、映画などのように既に描画されたものを映し出すのではなく、VRの中でリアルタイムに描画するグラフィックで新たなエンターテイメントを生み出すことに挑戦しています。その中には、VRヘッドセットを使うものも含まれています。

image07

リアルタイムに描き出される世界の中で、360度を見渡すことができるコンテンツを制作してみたということです。

Rob氏は、ILMxLABが製作時に使った方法として、「V-Scout」というツールを紹介しました。この「V-Scout」は、実際にコンテンツをビルド(一時的に出力する)前に、シーンをタブレット端末などで見回すことができるツールです。

image00V-Scoutの実演。VRモードもあるとのこと。

そして、VRの中でストーリーをどう語るかについての話の中で、Rob氏は、VRでのストーリーテリングを、「ディズニーランドのメインストリームを歩くようなようなもの」と例え。環境そのものが世界観につながっていることを強調しました。

既にILMxLABsでは、Gear VR向けのコンテンツとしてジュラシック・ワールドの世界を再現したコンテンツを配信しています。

そして、Rob氏はスター・ウォーズのデモを紹介しました。このデモはこのOC2の講演で初めて具体的に言及されたものです。

このデモは、スター・ウォーズの舞台の1つである砂漠の惑星タトゥイーンのシーン。おなじみのドロイドであるC-3POとR2-D2が、自分たちを探す敵の帝国軍の兵士たちから隠れているが、思わぬ戦闘に遭遇してしまう、というオリジナルのシーンです。

image102体のドロイドを探す帝国軍

image09ドロイド達は戦闘の現場を目撃する

このコンテンツの面白いところは、この一連のシーンを、自分の位置を変えて楽しんだり、様々なキャラクターの視点で切り替えて楽しむことができるところです。

image03帝国軍兵士が集まっているシーンの裏で、隠れている家の中に入ると2体のドロイドがレイア姫からの通信を聞いている。

image02賞金稼ぎのボバ・フェットの視点に切り替えると、2体のドロイドを追いかける。

image08戦闘シーンで登場する戦闘機Xウィングに搭乗することも

一つのシーンを多面的に見ることで、関係するキャラクターのそれぞれのストーリーを、そして全く異なる性質の体験を楽しめます。

ILMxLABが今後、どのようなコンテンツを世の中に提供するか、現時点では未定です。しかし、今年に入って新たにVRを意識したILMxLABSを設立し、名作スター・ウォーズをテーマとしたVRコンテンツの制作が明らかになっています。有名映画のVRコンテンツが制作されることに期待しつつ、映画業界を代表するスタジオのVRへの本格的な取組として注目したいところです。


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード