スタンフォード大学は、近年問題となりつつある”海洋酸性化”の危険性を伝えるため、VRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)で視聴できる360度映像を制作しました。映像はYoutubeなどの動画サイトより視聴が可能です。
360度映像で環境問題を伝える
“海洋酸性化”とは近年指摘され始めている環境問題のひとつです。主に人間の活動によって排出された二酸化炭素を海洋が吸収することで海中の酸性度が上がり、魚やサンゴなど海の生き物を脅かすと言われています。
スタンフォード大学の教授らはこの問題を周知すべく、海洋酸性化の影響を分かりやすく解説した360度映像を制作しました。ヴァーチャル・ヒューマンインタラクションを研究する同大学のJeremy Bailenson氏は、VRコンテンツとして視聴してもらうことで、より身近な問題として感じてもらうことができるとしています。
映像はBailenson博士に加え、海洋生物学者のFiorenza Micheli氏やKristy Kroeker氏、同大学院の教授であるRoy Pea氏らによって2年をかけて360度動画として制作されました。GoogleCardboardなどモバイル向けVRHMDやPCVRを使用しての視聴も可能です。
The Crystal Reef | 360-Degree VR Experience
動画では生体化学の教授であるFio Micheli博士のナレーションに合わせ映像が変化していき、海洋の酸性化による海の生物への影響を、360度映像の特徴を上手く利用して解説しています。
スタンフォード大学の生体化学教授のFio Micheli博士
前方の風景では魚の泳ぐ健康的な海の様子が映し出されているが…
博士に言われ後ろを向くと、不健康で殺風景な光景が広がる。海洋酸性化により海中のpH値が減少した影響によるものだと博士は語る。炭酸カルシウムの骨格や殻を構築するサンゴは、酸性化に対して特に脆弱なため海洋酸性化の影響を特に大きく受けてしまうとのこと。
360度動画は、より人々の共感を得ることのできる表現方法として注目されており、今後も環境問題や社会問題を扱うコンテンツが多く制作されることが予想されます。
(参考)
Stanford Shows You the Horrors of Ocean Acidification in Virtual Reality(英語)
http://vrscout.com/news/stanford-horrors-of-ocean-acidification-in-virtual-reality/
※Mogura VR は、VR Scoutとパートナーシップを結んでいます。